D  寝返り  正確な理解をしてください  (理学療法士の寄稿)    (05)

  保護者は寝返りを正確に理解されていないことがあるようです。 偶然の寝返り様運動を誤解されていることがあります。

  正確な寝返りについての解説を理学療法士に依頼しました。 少し難しい内容ですが,必要な基準が説明されています。 理解しにくい個所は質問してください。

 

  赤ちゃんが寝返りをするためには,いくつかの準備段階を経て初めて出来るものです。

  赤ちゃんは仰向けの姿勢が安定すると、頭が自由に動くようになります。 それまでに家族の声を聞き,オモチャを目で追い、手や口で触って遊びます。

  このように聴覚や視覚からの刺激(オリエンテーション)で,様々な興味を充分に満たしながら、モノ(オモチャなど)を つかむという動作(把握動作) が発達します。

  次の段階で 好奇心と欲求(モチベーション) が高まると,視覚 (目でモノを見つける) と把握動作 を駆使し,より遠くのモノに手を伸ばそうとします。 同じ側にあるオモチャに手が届かないことが解ると,赤ちゃんは反対側の大脳半球の視野(目)で認識して,指示を受けた反対側の手でつかむ事が出来ます。

  このように、寝返りという動作は決して赤ちゃんが意識して学習しているのではなく,自分の興味を満たそうとする目的や欲求のためにする運動です。

  そして,満足するまで遊ぶために安定した仰向けの姿勢に戻ったり,うつ伏せ姿勢のままで遊ぶかもしれません。

  赤ちゃんがモノに興味を示さなかったり,つかむ事が出来ず,以下の寝返りの条件を満たさなければ,寝返りという動作は出来ないか,不完全なあるいは制限された形で行われるでしょう。

  ここまでは知的な条件について説明しました。 これに加えて運動をするための身体的な条件が必要になります。 これについて説明しましょう。

  寝返りの条件 として、次の4つが挙げられます。

  (仰向けから腹這いになる時期は5ヶ月半から6ヶ月までに出来る様になります)

   1) 背側と腹側の首の筋肉がバランスよく働き、あごが引かれて上半身と頚椎(首)が伸びることで、仰向けの姿勢が安定する。

   2) 正中線(身体の真中の線)を越えて,反対側の手で物を取ることが出来る。  
5ヶ月までは同じ側の手でモノをつかみ、決して反対側の手で取る事は出来ませんでした。 満5ヶ月を過ぎると視覚(目)で捉えた物を把握(つかむ)とき、両大脳半球がお互いに共同して働き始めます。  (試しに顔の真中オモチャを動かすと赤ちゃんはどうしていいかわからず取る事が出来ません――少し,ずらすと同じ側の手で取りに来ます――お母さん方はオモチャであやす時はチョット工夫してみてください)

   3) 一側の骨盤を引き上げることで、骨盤が斜めになる。 骨盤部での体軸のねじりです。  

   4) 骨盤をお腹の方に引き上げるようにして左右の下肢をそろえて曲げる事が出来る。

   以上4つの寝返りの条件は,それまでに発達した運動機能が充分に活用されて初めて可能になるということです。 逆にこれらの4つの条件を満たしていると,赤ちゃんのそれまでの発育は順調に発達していると言えるでしょう。

 

 追加説明

 寝返りの条件 として挙げた4つの条件は、難解かもしれません。

 家庭で観察出来る状況として書き直すと、次の様な光景が観察出来ます。

  ○ 頭から肩まで、自然に伸ばして安定感がある。

  ○ 身体の傍にある物を、反対側の手で物を取ることが出来る。

  ○ 腰部を床から持ち上げ、両手で足を触れるようになります。 時には足指を口元に近づけるほどに身体を屈曲します。

  ○ 骨盤部で身体をねじることが可能になる。

 標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ 育児のアドバイス ] に解説しています。

粗大運動の説明  目次      次は E を読んでください。 

@ 発達の指標  A 首座り  B うつ伏せ  C 手の支持  D 寝返り  E ハイハイの表現はダメ  F お座り

G いざり這いはダメ  H 運動器の成熟  I 発達の検査機器  J 発達の診断と評価  K 発達の診療機関

 

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