粗大運動  A 首座り  首の安定  首のコントロール    (02)

乳児が独力で出来る運動を指標にするなら,正確な順序は【首座り】, 【寝返り】,【四つ這い】,【お座り】,【つかまり立ち】,【一人歩き】として記憶してください。(これは 《発達の指標》 に書いた一文です。)

ここでは 【首座り】 について考えて見ました。

 《発達の指標》 では 「運動とは本来自力で出来る事であり,他の助けを得て出来る事は対象としていません。」 と説明しました。 この説明を 【首座り】 に当てはめると,どのような運動を意味するのかが不明瞭で理解出来ないでしょう。

  実際には,検査する者が寝ころんでいる乳児の両手を握って引き起こし,頭の反応・位置を観察して成熟の度合いを観察します。 乳児の頭は支えられることなしに45度を超える斜位まで後屈せずに持ち上げることが出来る事を確認しています。

  《臥位の状態から45度まで引き起こす変化に従って,頭を支えられるまでに筋肉・靱帯の力が備わっている》 ことの確認です。

  頭を支えて垂直の位置にして後に支えをなくして短時間垂直に出来る事を確認しているのではありません。

  【首座り】 の標準確立時期としては,三ヶ月半から四ヶ月頃とされています。

  一方で,早期 (上に書いた時期以前) からの立て抱きの問題があります。

  早くから立て抱きをすれば 【首座り】 が早く完成するとの誤った風潮があります。 確かに二ヶ月も過ぎると,頭を支えて垂直の位置にして後に支えをなくしても,短時間は垂直に頭を支える様には見えます。

  柔らかいバネの一方には棒を着け,反対側にボールを着けたオモチャを想像してください。 棒を握って垂直にしようとしてもバネの部分で曲がって垂直には出来ません。 しかし片方の手でボールを持って全体を垂直にした後でボールを支える手を離すと全体を垂直に保持出来ます。

  首座りが出来ていない乳児に同様のことをしているのです。

  《発達の指標》 でも書きましたが一つの運動・姿勢を保持する為には,関係する筋肉・靱帯の成熟が不可欠です。 正確に判断された 【首座り】 獲得以前の立て抱き・頭を支えなしに垂直にする事は乳児の首・頭部周囲の筋肉・靱帯に無理をさせることになります。

  立て抱きで,頭を短時間垂直に保持出来たように見えるのも真の保持ではありません。

 三ヶ月半以前に頭を支持せずに立て抱きすることは止めてください。 抱っこバンドを使用しての買い物も賛成できません。 母親は両手に荷物を持ち,【首座り】 をしていない乳児がバンドの中で首を後方や側方に屈している姿勢をよくみかけます。 健康に良いはずはありません。

  四ヶ月を過ぎた乳児も睡眠中に抱っこバンドを使用する時,母親は手で頭を支持することを忘れないようにしてください。

 標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ E 育児のアドバイス ] に解説しています。

粗大運動の説明  目次      次は B を読んでください。 

@ 発達の指標  A 首座り  B うつ伏せ  C 手の支持  D 寝返り  E ハイハイの表現はダメ  F お座り

G いざり這いはダメ  H 運動器の成熟  I 発達の検査機器  J 発達の診断と評価  K 発達の診療機関

 

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