粗大運動の説明   G “いざり這い”  “いざり移動” は注意信号    (08)

 “いざり這い” とは、お座りの姿勢で下肢を動かすだけで前進する移動です。

  “いざり移動” については異常でないと説明する小児科医・保健婦もおりますが,この意見には賛成できません。 異常なしとするのは少数意見です。

  運動治療を担当する医師・理学療法士は異常と見なすのが多数です。

  ここで ‘病気’・‘異常’・‘普通でない’・‘正常’ と区別して表現しますと, “いざり移動” は病気ではありませんが,正常と評価できる運動発達経路では起こらない運動です。 ‘普通でない’ と判断できる状態です。

  “いざり移動” をする乳児は,その後に獲得しなくてはならない “つかまり立ち”・“歩行” の獲得が遅れます。

  “いざり移動” が判った時には正常と説明されて納得した保護者が,“つかまり立ち”・“歩行” の獲得が遅いと相談に来られることが多くあります。

  原因は他の項にも説明していますが,早期のお座りの強制にあります。

 『正常運動発達における四つ這いは, 支持器官としての足の発達, そして手の把握・支持・認識器官としての発達にも関与する重要な発達指標である』 この指摘は永年に乳児の運動発達を観察してきた理学療法士から受け取りました。

  「移動すれば、どのような方法でも良い」 との意見とは相容れませんが、運動を分析して解き明かされた指摘を受け取ってください。 上の指摘に添えて、“いざり移動”  をした乳児のマイナス点も説明してありましたが、ここでは省略します。

 関連する状態 (姿勢) として、“シャッフル” と呼ばれる状態があります。

 シャッフルとは、お座りの姿勢から、脇の下を抱えて体を持ちあげると、両方の脚を前方につきだして腰は直角に曲げた姿勢のままで、空中に上がってきます。

 この様な症状を示す乳児を “シャッフル・ベービー” と呼びます。

  注 “シャッフル”、 “シャフリング”、 “シャッフル・ベビー” 等の用語が出てきますが、全てを同じとして読んでください。  この子達の移動がいざり這いです。

  シャッフルについては、他のコーナーで説明しています。   シャッフルの説明 へ

 標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ 育児のアドバイス ] に解説しています。

粗大運動の説明  目次      次は H を読んでください。 

@ 発達の指標  A 首座り  B うつ伏せ  C 手の支持  D 寝返り  E ハイハイの表現はダメ  F お座り

G いざり這いはダメ  H 運動器の成熟  I 発達の検査機器  J 発達の診断と評価  K 発達の診療機関

 

 

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