粗大運動の説明   F  乳児の “お座り” の獲得時期    (07)

 乳児の発達の指標として【首座り】,【寝返り】,【四つ這い】,【つかまり立ち】が取り上げられます。

  ここでは【お座り】について検討してみます。 皆さんは 【お座り】 獲得の時期を6ヶ月と記憶されているでしょう。 これは 【お座り】 の意味を正確に理解されていない証拠です。

  《 乳児が寝ころんだ状態から,自身の力だけで座ることが出来る 》 と言う事では10ヶ月頃でが正解です。

  皆さんが常識として理解されている6ヶ月で乳児が出来る内容は,《 保護者が座位の姿勢にした時に,軽い支えでお座りの姿勢が保持できる 》 であり、乳児が自力で臥位から座位に変わることではありません。 

  支えなしで短時間座れることを ‘自力で (独りで) 座れる’ と表現されることから、誤解を生じているようです。

  この違いを正しく理解してください。

  姿勢を保つたり,体を動かすためには,骨を支え関節を動かす筋肉・靱帯の成熟が必要です。 例えば身体を垂直に保つには腹筋・背筋・関係する靱帯の成熟が必要です。

  乳児の発達過程では,姿勢の確保 (成熟) と共に必要な筋肉・靱帯の成熟が完成してゆきます。 

  助けなしに臥位からお座りが出来る10ヶ月にして,腰椎から上の脊柱を垂直に保つ為に必要な筋肉の成熟が完成します。 これ以前の長時間の垂直支持は関係する筋肉に負担を掛けることになります。 ヒトが垂直の生活を続ける為には脊柱を支持する筋肉・靱帯の成熟と強化は不可欠です。

  【軽い支えで短時間のお座り】 が出来る6ヶ月頃には長時間上半身を垂直に保つ力が腹筋・背筋には備わっていません。

  このために6ヶ月でお座りを強制すると,未成熟の筋肉・靱帯に負担が掛かり,個々の筋肉・靱帯間の支持力のバランスを壊すことになります。

  発達過程の中で得られる筋肉・靱帯の成熟は訓練で加速出来るものではありません。

  運動発達を促進するのに有用なものと宣伝して用具が販売されているようです。 専門医・療法士が治療に必要と判断して奨める用具以外の使用は賛成できません。

  【自力のお座り】 が出来る10ヶ月になれば可成りの長時間,座らせても無理にはなりません。

  この事を正確に理解して育児・子どもの姿勢に注意してください。

 標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ 育児のアドバイス ] に解説しています。

粗大運動の説明  目次      次は G を読んでください。 

@ 発達の指標  A 首座り  B うつ伏せ  C 手の支持  D 寝返り  E ハイハイの表現はダメ  F お座り

G いざり這いはダメ  H 運動器の成熟  I 発達の検査機器  J 発達の診断と評価  K 発達の診療機関

 

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