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芸美短談

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画材屋の仕事                      2005、2

我が社は45年あまりの歴史があり、自分が社長になって約10年になった。
昔の画材屋と言えば、ごちゃごちゃとして油臭く、特に店の親父は気むずかしい感じが多い者だったが、自分の父親はどちらかと言えば気さくで当時から若いお客さんに受けが良かった。
しかし、店自体は如何にも一般の人には敷居が高くみえるほどよくあるスタイルであった。
そんな店でもよくベテランの絵描きと始めたばかりの日曜画家や学生がイスに腰掛け店の出すお茶をすすりつつ、最近の絵画界はなどとたいそうな話に花を咲かしていたものだった。
いつの頃からか、こうした景色はなくなり、店がこぎれいになって品数が増えるのにつれて、長時間店先で話し込む人も少なくなっていった。
自分が社長になってからの10年あまり、常に思うのは親父の時代のあの風景であった。
確かに現代の画材屋の仕事は多岐に渡っている。画材の種類も増えた、額縁もただはめ込むのではなくて、人の作業を加えて「額装」と言う分野が伸びている。
しかし、多くのものを扱い、経済的に融通のきくベテラン作家にサービスを偏重させてシステマチックに作業を進めるにつれて、売る側の画材屋の知識はやせ細りお客様との語らいはへっていった。
お客さんともっと語り合い、画材やならではがもっている知識でお客様の制作のお手伝いをする、そんなスタイルが取れないものか?
これから先の若者とアートを作り出すすばらしさを共に感じたい。
そしてついに自分は決心をした。作家と画材屋とお客様の語りあうサロンをもち、若者に発表の場を提供して支援していく店を作ろう。
2004年4月、「五岳アートライフ」が開店しました。


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