この商会で昔取り扱っていた品で、今はどこにいってしまったのか分からない品の抜け殻(パッケージや取り扱い説明書など)を集めたカタログが本書、『どこかにいってしまったものたち』です。
全体的にレトロな雰囲気の本なので、新品なのにとても使い込まれた本のような……不思議な感覚を味わうことでしょう。
さて、具体的にどんな「どこかにいってしまったものたち」があるのか、ザッと紹介いたしましょう。
「アストロ燈」「時間幻燈機」「水蜜桃調査猿」「卓上キネマハウス」「瞬間永遠接着液」「空中寝台」などなど。
全部で二〇品目以上もあります。
どうです? 名前を目にしただけで、好奇心を刺激されませんか?
一体、どんな商品なんだろう、と。
そんな貴方にはピッタリの書物と言えましょう。
詳細はぜひ、本書を手にとってお確かめください。
装幀も手がけているクラフト・エヴィング商會の書物ですので、普通のものよりも凝った内容になっています(ダーッと文章が書いてあるだけの本ではない、ということ)。
次の頁を捲るたびに新しい発見をすること、間違いありません。
そのため、この書物を手に入れられましたら、一気に速読せずにじっくりと、宝物を愛でるかのように熟読されることをお勧めします。
幻想的でどこか懐かしい世界に没頭できること請け合いです。
きっと、すべてを読み終えてしまうのがもったいないと感じることでしょう。
比較的本を読むのが早い私もなかなか読み進められませんでしたから…。
それと、お得な情報をひとつ。
クラフト・エヴィング商會は新しい書物を発行するごとに、展覧会を開いています。
そもそも私がこの書物を知ったのも、新聞記事に展覧会の情報が掲載されていたからなのです。
私もこの書物に出会ったその日、『どこかにいってしまったものたち』の実物を目の前に帰りたくなくなってしまい、た〜っぷり時間を掛けて眺めてしまったのを覚えています(笑)。
ああ、あれは幸せなひとときでした…(うっとり)
『ぴあ』などをチェックしていれば見つかると思うので、実物をぜひ見てみたいという方はそちらもチェックしてみてください。
2001-11-01