マンガの長期連載化
ここ数年気になるのは,連載の長期化傾向。 もともと週刊誌の連載は長期化の傾向があった。
単行本にすると,20冊や30冊など楽に超えてしまう。 でも,「無駄にだらだら続けたんじゃないの?」と思う作品も多い。 あだち充『タッチ』は小学生の頃から好きで読んでいた。 『少年サンデー』で毎週読み,尚かつ単行本も買っていた。でも,1つの試合を何ヶ月もかけて連載するのには,正直疲れてしまった。和也の死まではテンポよく進んでいたのに,その後は…。 あだち充の作品だと,『ナイン』『陽あたり良好!』の方が,余分な部分がなく,すっきりとまとまっていて好きだ。 同じサンデー系ということで高橋留美子『犬夜叉』も長期化が難点。 「人魚シリーズ」が好きで,その雰囲気が感じられたので読み始めたが,一向に終わる気配がなく,途中で読むのをやめてしまった。 最近では,月刊誌連載も長期化傾向にある。こちらは,数ヶ月連載したかと思うと休載期間に入り,また連載再開となるパターンが多い。 その結果,休載中に他の連載が入り,雑誌全体としては連載作品が増えることになるが,読み手としては「何ですぐに休載になるの?」と正直イライラしてくる。 やまざき貴子『っポイ!』は10年以上の長期連載となってしまった。 その間に絵柄が変わるのは当然だが,キャラクターの雰囲気も変わってしまったように感じる。大きな理由として,子どもを取り巻く社会環境の変化があると思う。この作品の良さとして,その当時の等身大の子どもたちを描き出すということがあると思う。同時に,子どもたちが抱える悩み,問題も取り上げてきている。最初,主役の平や万里はどこかおちゃらけていて,でもそれなりに悩みもある等身大の中学生だったのに,平はさまざまな問題に巻き込まれ(自分から突っ込んでいるとも言える),万里は何でもお見通しで中学生離れしてしまった。 この作品を最初に読んだとき,中学生読者が「うん,そうだよ!」と共感できてとてもよいと思った。できれば,その読者たちの成長と合わせて,平や万里も成長し,卒業して欲しかった。でも,10年以上も彼らは中3のまま…。当時彼らと同じ中学生だった子どもたちは,とっくに大人になっているのだ。彼らと一緒に卒業したかった読者は多かったはずなのに…。 社会問題をしっかりととらえ,それを乗り越えていこうとしていき,成長する姿勢を描いているのはいい。けれど,リアルタイムで読む読者の成長も考えて欲しい。 せっかく素晴らしい内容の作品なのに,読者が置き去りにされている…そんな感じがしてしまうのは実にもったいない。 間に『ZERO』という作品を同じ雑誌で発表していたが,こちらもズルズルと長期化してしまった。おそらく,世紀末だからこそ描きたかった内容なのだろうが,もっと簡潔にまとめるか,別の雑誌で同時進行するか,方法を検討して欲しかった。(と言っても,同時進行は不可能な気がするが…。) 昨日『名探偵コナン』の青山剛昌の記事が新聞に載っていた。コナンのアニメが10年になるという。雑誌連載は…12年くらいだろうか。読者から「読み始めたのはコナンの年齢(小学1年生)だったのに,今では新一の年齢に(たぶん17歳くらい)なってしまいました。」という声が寄せられたそうだが,本人曰く「忙しくて10年も経ったという感じがしない。」とのこと。 やはり読者が置き去りにされているのではないだろうか。(06/01/07) |