<気血>

T、生成

飲食物は口から入り胃に受け入れられる。飲食物は胃腸で消化吸収され糟粕・宗気・津液に分けられる。
糟粕は大腸から大便となり膀胱は小便を溜め後排泄する。
宗気は胸中に集積し心経を通じて呼吸作用の原動力となり主に肺と共に呼気に関係する。吸気は腎、肝が関係する。
津液は上焦の肺気が作用し衛気(気)と栄気(血)に区別される。

U、循環

気血は呼吸によって全身を循環する。
経脉の全長は16丈2尺(骨度法)であり。気は1呼吸で6寸(骨度法)進むので全身を1回循るのに270呼吸する。
1日で気血は全身を50周する。従って気血は約29分で全身を1周することになる。

a、衛気(気)

衛気は朝、上焦の肺から上にのぼり眼に出、頭に上り膀胱経に沿って足の第5趾に行く。また眼の外側から分かれた陽気(衛気)は小腸経に沿って手の小指に行くものと胆経に沿って足の第4趾に行き更に上行して手の三焦経に沿い環指に至る。
また耳前に出た別の陽気は胃経に沿って下行し足の第2趾に至る。耳下に出た陽気は大腸経に沿って示指に至る。日中陽気は陽経を25周するが夜になると足裏から内踝の腎経に入っていく。腎経に沿って腎に入り、腎から心、肺、肝、脾、腎と陰経を25周循る。日の出と共に再び眼に出て陽経を循る。

b、栄気(血)

生成された栄気(血)は肺から全身に送られる。肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経、肺経の順に循る。
別枝は肺経から分かれて督脉、任脉、肺経と循環する。
栄気(血)は全身を1日に50回循環する。

V、働き

a、衛気は脉外を循る。昼間は陽経の通る部位、夜間は陰経の通る部位を循る。
主に体表面を衛る。
熱で動の性質を持つ。

b、栄気は脉中を循る。
身体内部にあって身体を栄養し生命を維持する。
寒で静の性質を持つ。

参考文献 黄帝内経霊枢

<臨床における流注の応用>

経絡治療では本治法と標治法とに分けて施術を行い、本治法ではその選穴は五要穴から組み合わされそれ以外の場所に施術することはありません。それに比べて標治法はどこに施術しようと原則的には許されます。従って実は標治法の選穴の差によってその治療効果にも大きな差が出てくることがあります。
標治法ではいわゆる経穴に施術するだけでなくその場の判断で選ぶいわゆる阿是穴(阿々是穴也;アアコレツボナリ)を如何に的確に選穴できるかが治療の成否に関わることもあります。ですから折角本治法までは経絡的弁別で道筋をたててきても標治法になって支離滅裂にならないようにしなければなりません。
例えば患者が痛みを訴えているとき痛みの部位に施術をする場合でも本治法でたてた証と矛盾するような選穴や手法であっては厳密に言えば経絡治療をやったことにはなりません。

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