上達のコツ

まず一言で言えば
質の高い実技研修の場や指導者を探すこと。臨床家として成功したければ 既に臨床家として成功している開業鍼灸師を指導者として仰ぐこと。
本は書いているが来院患者は少ないなどという有名鍼灸師もいるので要注意。 そういう臨床家の著書は開業臨床家にとっては参考程度にしかならない。

次に少なくとも月に一回はそういう場で研修を受けること。経絡治療の技術は実際 には主観的なものであるが、自分の今の技術がどの位置にあるのかを確かめていく うえでも他の優秀な臨床家と技術交流をもつことを欠かしてはならない。

研修を受けた内容を必ず臨床の場で繰り返し試すこと。また研修の場と臨床の場で鍼 のスタイルを決して違えないこと。これを守らないでいると研修会では結構なことが できるように見えても臨床では一向に上達しない。こういう人は10年やろうが20 年頑張ろうがだめ、モノにはならない。

臨床では必ずこと細かいカルテを作ること。自分がどのように脉を診、鍼をし、鍼 をした結果患者の脉がどのようになったかの記録をとること。術前には前回の術後 病症はどう変化したか、また翌日はどうであったかも必ず問診し記載しておく。 こうすることによって前回の脉診の是非、鍼治療の可否が客観的に考察できる。 西洋医学では日常的な行為だが東洋医学でも同じことである。

当たり前のことばかりのようだが、これが貫けない人が多いのも事実である。 そういう人達は臨床家としての成功はなかなか望めない。

 具体的に言うと脉差診では陰陽のバランスを注意して観察し陰陽の幅が大きい部位を 中心に検討すると診やすい。
 脉状診については研究会では指導者や先輩が指摘する脉を必ず確認する。 指に感じる感覚的なものとそれを表す用語が結びつくまで繰り返し確認する作業を怠 らない。
 臨床では脉診して感じたことを事細かにカルテに記載しておく。 最初は記載法には拘らないでも良いが最終的には「脉法手引き草」にあるような 二十四脉などの専門的な用語をできるだけ用いるように努力する。
 これは研修会の場での共通の言語としていずれは使えるようにしたいがためである。 共通の言語として意見を交わすことによって主観的な観察が限りなく客観性をもって くる可能性があるからである。 このことは特に小里方式の研修によって活かされることになる。

取穴は脉診で確認しながら訓練する方が一番良い。 これも小里方式による生きて働いている穴の取穴トレーニングが一番効果的である。

刺鍼も取穴と同じで小里方式によって刺鍼技術を磨くのが一番効果的である。

診断力は最終的には患者に教えてもらうことによってついてくる。つぶさに術前術後 の経過を問診し自分の技術を自己評価しながらカルテをとっていくことで経験が財産 となってくる時必ず診断力は増してくる。問診は常に粘りづよく淡白にならないこと。

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新着情報
はじめに
コラム

(1)理論
1.1陰陽五行
1.2生理
1.3脉状
1.4病症
1.5六十九難
1.6奇経
1.7子午

(2)診察法
2.1脉診
2.2簡易脉診法
2.3腹診

(3)治療法
3.1プロセス
3.2上達のコツ

(4)実技研修
4.1取穴
4.2刺鍼法
4.3小里方式

(5)その他
5.1参考文献
5.2リンク
5.3Memo
5.4その他

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