奇 経 1、「衝脈」 a)
流注・配当穴
b)病症・治療穴 逆気して裏急する(難経二十九難) 「衝脉公孫穴主治歌」 九種の心疼で病が安らかならざるもの 結胸、翻胃で食が停まり難きもの 酒食、積聚で腸鳴があらわれるもの 水食、気疾で膈と臍が痛むもの 腹痛、脇脹、胸膈満 虐疾、腸風で大便が紅きもの 胎衣が下らずして、血が心を迷わすもの(胎盤がおりず、血が心胸に上衝して危険な状態に陥り、意識がはっきりしなくなる) 急ぎて公孫穴を刺さば自ら霊なり
2、「陰維脉」 a)
流注・配当穴
b)病症・治療穴 「陰維内関穴主治歌」 中満、心胸に痞脹多きもの 腸鳴、泄瀉して脱肛に及ぶもの 食が膈に下り難きものと、酒に傷われしもの 積塊堅硬にして脇の傍らをおびやかすもの 婦女の脇疼ならびに心痛 裏急、腹痛、勢当たり難きもの 傷寒が解せずして結胸を病むもの 瘧疾。内関、独り当たるべし 3、「帯脉」 a)
流注・配当穴
b)
病症・治療穴 「帯脉臨泣穴主治歌」 中風で手足の挙動が難しもの 麻痺と痛み、発熱して筋が拘攣するもの 頭風、腫痛が口の両脇、項、眼に連なり 赤くなりて痛み、頭眩、歯痛 難聴、咽腫の証と合わせるもの 遊走性の関節痛、掻痒、筋のひきつれ 腿の痛み、脇の脹り、肋と肢の痛み 鍼が臨泣に入れば、病は癒ゆべし 4、「陽維脉」 a)
流注・配当穴
b)病症・治療穴 「陽維外関穴主治歌」 肢節の腫痛、膝の冷え 四肢に上随、すべての頭痛 背と大腿の内外の筋と骨の痛み 頭頚眉稜が病みてやすらかならざるもの 手足の熱麻、夜の盗汗 破傷、踵腫、目晴紅きもの 傷寒で自汗し、こうこうたる熱のもの ただ外関に鍼することあらば、極めて霊なり 5、「督脉」 a) 流注・配当穴 「陽脉の海」。胞中より起始。骨盤の中央に下行し尿道口の下端にある廷口(膣の開口部)に連絡。会陰から起こり脊柱に沿って上り後頭の正中より風府穴に至り、脳に入る。さらに頭蓋の正中を通り百会穴に上り額をめぐり鼻柱に至り上歯齦に終る。
「督脈後谿穴主治歌」 頭痛、眼腫、漣漣たる泪 背腰腿膝の痛みが綿々たるもの 頑強、傷寒の病が解さざるもの 牙歯と顋の腫れ、喉の病が難きもの 手足の麻木、破傷風、盗汗 後谿穴に先ずうつなり 6、「陽蹻脈」 a)
流注・配当穴
b)
病症・治療穴 「陽蹻申脈穴主治歌」 腰背脊強、足踵風 悪風、自汗、あるいは頭痛 手足の麻攣、上肢の冷え 雷頭風、赤目、眉稜痛、吹乳、耳聾、鼻血 癲と癇、四肢の関節痛 遍身腫満、汗淋漓 申脈に先ず鍼すれば奇効あり 7、「任脈」 a)
流注・配当穴 「陰脉の海」。胞中から起始。肝経・脾経・腎経とともに腹の中を並んで進む。会陰から起り、下腹部の正中を上り、のどをめぐり下顎の正中より下歯齦に終る。
b)
病症・治療穴 「任脈列缺穴主治歌」 痔瘡で肛門が腫れ、泄痢が纏わるもの 吐紅、溺血、漱咳痰 歯の痛み、喉の腫れ、小便が渋るもの 心胸腹の痛み、むせびて咽が難しきもの 産後に強ばりを発して、語ること能わざるもの 腰痛、血疾、臍腹の冷えるもの 死胎が下らずして、膈に上攻するもの 列缺に一刺すれば、すなわち癒えるなり 8、「陰蹻脈」 a)
流注・配当穴
b)
病症・治療穴 「陰蹻照海穴主治歌」 喉閉、淋渋と胸腫 膀胱気痛ならびに腸喝 食黄、酒積、臍腹痛 嘔瀉、胃翻及び乳瘊 便燥、難産、血、昏迷 積塊、陽風で便を下さば紅きもの 膈中上快、梅核気 照海を格主して鍼すれば霊あり ▼「八脈交会八穴歌」(医宗金鑑) ◆公孫は衝脈にして胃心胸をつかさどる ◆内関は陰維にしてくだすところは総じて同じ ◆臨丘は胆経にして帯脈に連なる ◆陽維は目鋭にて外関と逢う ◆後谿は督脈にして内眥と頸に通じ ◆申脈は陽?;の絡にしてまた(内眥と頸に)通ず ◆列缺は任脈にして肺系に行き ◆陰?;は照海にして膈と喉ロウ;にいく |