臨床経絡
はじめに
十二の都市を持つ国の話
経穴ゲートスイッチ理論
気論
十二正経と奇経と経穴の関係 本論 代表的なスイッチ群 補瀉論
理論の実践
治療原則 刺鍼法 四診(望・文・問・切)
脈状診 比較脈診 症例
役立つ古典理論
陰陽五経 生理
脈状
病症 奇経 子午
附録;難経の読み下し文子午
臨床ひろば
異論な医論
生 理



<気血>

Ⅰ、生成

飲食物は口から入り胃に受け入れられる。飲食物は胃腸で消化吸収され糟粕・宗気・津液に分けられる。
糟粕は大腸から大便となり膀胱は小便を溜め後排泄する。
宗気は胸中に集積し心経を通じて呼吸作用の原動力となり主に肺と共に呼気に関係する。吸気は腎、肝が関係する。
津液は上焦の肺気が作用し衛気(気)と栄気(血)に区別される。

Ⅱ、循環

気血は呼吸によって全身を循環する。
経脉の全長は16丈2尺(骨度法)であり。気は1呼吸で6寸(骨度法)進むので全身を1回循るのに270呼吸する。
1日で気血は全身を50周する。従って気血は約29分で全身を1周することになる。

a、衛気(気)

衛気は朝、上焦の肺から上にのぼり眼に出、頭に上り膀胱経に沿って足の第5趾に行く。また眼の外側から分かれた陽気(衛気)は小腸経に沿って手の小指に行くものと胆経に沿って足の第4趾に行き更に上行して手の三焦経に沿い環指に至る。
また耳前に出た別の陽気は胃経に沿って下行し足の第2趾に至る。耳下に出た陽気は大腸経に沿って示指に至る。日中陽気は陽経を25周するが夜になると足裏から内踝の腎経に入っていく。腎経に沿って腎に入り、腎から心、肺、肝、脾、腎と陰経を25周循る。日の出と共に再び眼に出て陽経を循る。

b、栄気(血)

生成された栄気(血)は肺から全身に送られる。肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経、肺経の順に循る。
別枝は肺経から分かれて督脉、任脉、肺経と循環する。
栄気(血)は全身を1日に50回循環する。

Ⅲ、働き

a、衛気は脉外を循る。昼間は陽経の通る部位、夜間は陰経の通る部位を循る。
主に体表面を衛る。
熱で動の性質を持つ。

b、栄気は脉中を循る。
身体内部にあって身体を栄養し生命を維持する。
寒で静の性質を持つ。

生理(気血の循環)

<流注>

手の太陰肺経と手の陽明大腸経の流注概略図
足の陽明胃経と足の太陰脾経の流注概略図
手の少陰心経と手の太陽小腸経の流注概略図
足の太陽膀胱経と足の少陰腎経の流注概略図
手の厥陰心包経と手の少陽三焦経の流注概略図
足の少陽胆経と足の厥陰肝経の流注概略図

注)これらの流注図はそれぞれの経絡が経穴の分布する体表面以外ではどのようなところを循っているかを図示することを主な目的としています。
この知識があると臨床で証の弁別や切経、標治法などいろいろな場面で役に立ちます。
経穴を中心とした流注に関しては他の文献などを参照ください。

参考文献 黄帝内経霊枢