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ごりんとう
五輪塔とは
「五輪卒塔婆」ともいいます。下から順に方形(立方体)・円形(球体)・三角形(笠型)・半円形(半球)・団形(宝珠)の形を石で造って積み上げます。方形は地を,円形は水を,三角形は火を,半円形は風を,団形は空の意味を持たせてあります。これは密教が説く宇宙の生成要素である五大(五輪)を表し,大日如来のシンボルとして尊崇されました。多くの場合,五大の種子(しゅじ)すなわち梵字が刻まれています(右の図参照)。尾張旭の五輪塔
わが国では平安時代の中ごろに作り始められ,鎌倉時代にかけて多く造られました。本来は信仰の対象としての塔ですが,墓碑として用いられました。尾張旭市内では現在,寺の墓地などに宝篋印塔とともに置かれていることが多いようです。宝篋印塔と異なり,銘文が確認されたものがなく,造られた時代も明らかではありません。「尾張旭市誌」には市内に17基あるとされていますが,完全な形のものはほとんどありません。方形や円形が欠けていたり,三角形が宝篋印塔の笠石に置き換わっていたりします。古い時代に造られた五輪塔を後世に墓石として流用したり,散逸した塔の各部を適当に組み合わせたりしたのでしょう。
市内の臨済宗の寺の墓地には,今も五輪塔が造られ続けています。ピカピカの五輪塔を含め,さまざまな時代に造られたと考えられる五輪塔を見ていると,どこまでを歴史的遺物と考えるべきか…悩みますね。【MENU】