雲龍山少林寺 (稲葉町二丁目) ▲MENU
【左】一石造りの五輪塔 【右】本当はこんな大きさです
墓地にあった一石造りの五輪塔
稲葉町にある少林寺の墓地には,馬頭観音2体が引き取られています。実はもう1体あるのでは…と出かけたのですが,馬頭観音は空振りでした(尾張旭市誌本編P546の写真の馬頭観音です)。かわりに,かわいらしい一石造りの五輪塔を見つけました。上左の写真では大きく見えますが,高さはわずか29pにすぎません。一番上の団形(宝珠)はそれらしく見えますが,半円形(半球)はやや苦しいですね。三角形(笠型)はまあ何とか。円形(球体)はその気になって見れば…というところでしょうか。方形(立方体)の下には固定していたセメントが残っています。少林寺の墓地には,今も真新しい五輪塔が墓石と一緒に並んでいますから,この小さな五輪塔も,もともと墓地にあったものなのでしょう。墓石や地蔵が集められた一角に,団形と半円が一体に造られた五輪塔の上部がありました(上右の写真参照)。こちらは笠型に差し込むへその部分を除いても高さ18pあまり。けっこう立派な五輪塔の一部だったようですね。今は墓地の隅にひっそりと置かれ,見る影もありません。
境内には積上げ式の4/5
少林寺の境内,庫裏の前の日本庭園にも五輪塔がありました。こちらは積上げ式ですが,残念なことに一番下の方形(立方体)がありません。かわりに庭石の上に置かれています。かなり本格的な造りのお庭の中なのですが,意外に違和感がありません。お寺の庭という先入観があるからでしょうか。それとも,庭石に上に置かれたさまが灯篭のようだからでしょうか。残った部分の高さは38pで,団形と半円は一体に造られています。墓地にあったものと同じくらいの大きさですが,団形と半円の比率はずいぶん違います。笠型の上には微妙なくぼみが掘られ,半円がぴったりと収まるように整形されていました。円形は石の質が異なっていますから,もとは別の五輪塔のものだったと考えられます。大きさのバランスも変ですね。この五輪塔も,墓地に墓石として置かれていたものなのでしょうか。由来はちょっと分かりかねます。