小山卓治についての一考察


 今ほとんど音楽に興味がなくなってしまったわたしが、唯一ライブに行き、CDも買うアーティストです。 もっともCDはレコード会社と契約を切られたらしく、ほぼ廃盤状態。もちろん ニューアルバムはほとんど出ず、ライブも2年に1回程度。売れて欲しいわけじゃないんだけど、 廃盤は何とかして再発売して欲しい。(まあ暴威ですら、セカンドはしばらく廃盤になってたのでしょうがないけど、 小山の場合は再発売の目はないから悲しいです。)


♪お知らせ♪

2008年6月25日

小山卓治11th オリジナルアルバム、「Circle Geme」 リリース。

Circle Game | サークルゲーム
○定価:3,000(税込)○商品番号:LZCD-2 
○発売元 : Blaze/プライエイド・レコーズ
○販売元 : ユニバーサルミュージック
  

50歳だそうです。

ここまでがんばってくれると思っていませんでしたが、

がんばってくれてます。

小山がいる限り大丈夫です。

    

小山初のベスト・アルバム「stories」絶賛発売中。
In Store Now

詳しくは小山卓治Official Site RED&BLACK でご覧ください。


 小山卓治と言うシンガーと出逢って、15年近くなるんだろうか。こいつをリアルタイムで 知ってる年代の人は御存知かと思うが、NHK-FMの「高橋基子のニューサウンズスペシャル」 という番組で初めて聞いたと思う。
 しばらくして、ミュージックトマトジャパンのようなプロモビデオでもたまに見た。 あの頃はからかなりプロモーションビデオ番組が増えてきたのかな。 まだTMネットワークがオズの魔法使いみたいなカッコしてた頃だ。その後1、2度テレビで見かけたが、 結局ブレイクする事もなく、何年かに一回レコードを出し、小さなハコでライブをやるという 程度の活動を続けていた。俺は行けなかったが、一番でかいハコでも渋谷公会堂どまりだったと思う。 暴威やプリプリは渋公からあっと言う間に武道館バンドになったが、小山はあっという間に ライブハウスに戻ってきた。

 今ほとんど音楽雑誌等で見る事もなく、(もちろん全盛期でもほとんど見なかったが) インターネットくらいでしかその所在を知る事は出来ない。レコード会社とも契約を切られているので、 ほとんど何の活動もしていない。もう華原朋美状態。当然CDなんぞ売っている筈もなく、 ライブは2年に一回程度。なんでこんな奴にはまってるんだろう。尾崎のファンになっとけば 本だってCDだって山ほどあるのに。もちろん小山の事を「尾崎になりそこなった男」と言う奴は グーで殴ります。(一度後輩がそう言ってたので、小一時間説教くれてやりました。)

 尾崎が好きじゃない、好きになれなかった理由の大きな1つは、彼が俺より歳下だった事だろう。 何時の世でもそうだが、2つ3つ歳下の小僧の能書きというのは何時だって腹が立つものだ。 可愛いなと思えるほど歳が離れていれば別だが、ちょうどやな歳だったんだろうな。 もちろん俺は尾崎のアルバムを聞いた事がないので、メディアから流れるシングルから垣間見られる 尾崎のイメージしかない。 彼が「この支配からの卒業」を願って「校舎のガラス壊して回った」頃、俺はもう卒業していたし、 「盗んだバイクで走り出す」頃、俺は尾崎にバイクを盗まれるんじゃないかとひやひやしてた。 17歳の地図はコンセプトはともかく中上のパクリだとしか思えなかったし、 「15の夜」は当の昔に過ぎていた。

 何より違うのは、尾崎が「大人になりたくない少年の苦悩」であるのに対し、小山は 「『大人』になりきれない男の捨て科白」である点だ。小山は大人になることをまるで拒否していない。 というより小山のスタンスは大人の男だ。「Mister,I ain't a boy. No,I'm a man」という 中途半端な場所には立っていない。 一見どちらも社会に対する不満の吐露という点では似ているように見られるが、 全くスタンスが違う。尾崎は社会に出る事を拒否しながら異議申立てをする。 小山は社会に出て、異議申立てをする無意味さを知ってしまったにもかかわらず、 己を奮い立たせようとしている。

閑話休題。

 デビュー曲の、「フィルムガール」は個人的にはあまり好きな曲ではない。中森明菜の事を 唄っているんだとまことしやかに言われているが、私にはどうもシンクロしない。はまったのは、 「Heat of the night」だったと記憶している。ピアノと綺麗なベースラインから始まるイントロは 今でも好きだ。その後現在に至るまで、シングルを除くほとんどのCDを聴いている。もちろん 「YELLOW WASP」を聴いた事は、ない。

 一考察のつもりだったのですが、だんだん長くなってきてしまいました。下の方  アルバムを聴きかえして、思いついたことをしたにぐだぐだ書いています。ほんとは気に入った曲 一曲一曲やろうと思ってはいますが、とりあえずかきなぐりです。
 このホームページを作っているうちに、小山のオフィシャルホームページが出来てしまいました。 やっぱり本人が作ると違うな。勝手にリンク貼っときますので、ぜひ一度行ってみてはいかがでしょう。

小山卓治オフィシャルホームページ  RED&BLACK

(2000年7月4日 LINK OK いただきました。)


CONTENTS

ALBUM REPORT

LIVE REPORT


ALBUM

 「NG! 小山卓治」
1983.6.22発売 CBS/SONY LP 28AH1543 CBS/SONY CD 32DH469 SONY RECORDS CD選書 SRCL1835

 「HIMAWARI TAKUJI OYAMA,1984」
1984.7.21発売 CBS/SONY LP 28AH1741 CBS/SONY CD 32DH470 SONY RECORDS CD選書 SRCL1833

 「PASSING  小山卓治」
1985.6.21発売 CBS/SONY LP 28AH1882 CBS/SONY CD 32DH471

 「The Fool  小山卓治」
1986.7.21発売 CBS/SONY LP 28AH2029 CBS/SONY CD 32DH447

 「On The Move   小山卓治 With DAD」
1987.5.21発売 LP 28AH2171 CD 32DH657

 「VANISHING POINT   小山卓治」
1987.11.21発売 CBS/SONY LP 28AH2263 CBS/SONY CD 32DH836

 「夢の島  小山卓治」
1989.3.21発売 CBS/SONY 32DH5214

 「成長」
1991.10.25発売 SONY RECORDS SRCL2200

 「花を育てたことがあるかい」
1992.11.21発売 SONY RECORDS SRCL2526

 「Rocks!」
1995.2.22発売 SONY RECORDS SRCL3112

 「種」
2003.6.25発売

「Circle Geme」
2008.6.25発売


SINGLE

 「手首」
2000.8.25発売 WAGAMAMA RECORD WAG0001


NEW SINGLE

 「YELLOW WASP」
2001.2.23発売 WAGAMAMA RECORD


ALBUM REPORT
 「NG! 小山卓治」 SONY RECORDS CD選書

 一枚目のアルバムは「NG!」だ。これはまだ買えるし、なんでこんなものをCD選書にしたのか 俺にはよく理解できない。有名シンガーかヒットしたアルバムくらいしかCD選書にはならないと 思っていたのだが。まあ、ありがたいことだ。私の記憶が確かならば、レコード版は、 「小山卓治 WITH THE CONX」のクレジットになっていたはずだ。
今となっては少し重いが、良い出来だと思う。彼の1曲目は派手なカマシではなく、意外にも
「1 WEST 72 STREET NYNY 10023」から始まる。ジョンレノンの住んでいた、ダコタの住所のはずだ。 ニューヨークへ行った時、「バスガイド」さんが、「一番上の階の手摺がついている所が、 ジョンが住んでいたところです。手摺は自分でつけました」と言っていた。 「花火のように弾けた」の後のピアノが美しい。
2曲目は「FILM GIRL #2」なんで#2なのか、未だに解らない。きっと#1もあるんだろうな。
「カーニバル」朝が来て憂鬱な気分で目を覚ました。の出だしでおなじみの名曲。「俺達ここで 生きていかなければ」と言うフレーズが、田舎者で、転勤ばかりのおいらには沁みる。
「ILLUSION」
「朝まで待てない」
 おなじみ、モップスの名曲。まあおいらは鈴木ヒロミツの ヴォーカルでこれを聞いた事はない。これはとても好きだ。というのも、 昔京都で多分初めて小山を見た時、小山と、ギターがライブハウスのテーブルの上を蹴散らして上がり、 大盛りあがりだったからだ。俺も声を枯らして叫んだ。「Can't wait」と。実はこの曲で 小山のライブにはまったと言っても過言ではない。それくらい良い出来のライブだった。 京都ビッグバン。その頃はまだバービーもライブハウスバンドで、そこに出たりしてた。 爆風もうちの学祭に来るくらい初期の頃だ。
「HEAT OF THE NIGHT」
「Aの調書」
「NO GOOD!」
 この街で仕事を見つけ、正直に働いてきた。だけど回りのお偉方 俺に出すサインは 「NO GOOD!」小山の歌詞はいつも1行目から俺をねじ伏せてくる。 ここ最近は「陽気に生きてくことさえ こんなに難しい」のくだりでつい涙ぐんでしまう。歳かな。
「西からの便り」


 「HIMAWARI TAKUJI OYAMA,1984」 SONY RECORDS CD選書

 セカンドは、工業地帯、煙突のある街へ続く道の写真が美しいジャケット。今聴いても、 このアルバムには統一された世界観がある。まだちょっと若い声をしている。 一曲目はタイトル曲の 「ひまわり」から始まる。シチュエイションは難解だが、モノクロ映画を思い起こさせる 映像的な歌詞とミディアムテンポの落ちついたメロディ。私は派手な小山が好きなのですが、 これは好きな曲です。
「煙突のある街」 このアルバムで唯一、他人の曲。作詞作曲はもとブルーハーツの真島昌利
「下から2番目の男」 ライブでは指を2本立てて腕を振り上げるパフォーマンスでおなじみの 小山らしい曲。 「うそっぱちの履歴書で俺はやっと雇われた だけど騙されたのはどうやら俺らしい」。サラリーマンに なったころはうわ言の様に口ずさんでた。
「DOWN」 このアルバムの中では一番好きだった曲。「新しいだけでいいのならもう時間の問題だ  ほら次の奴が出番を待ってる」の件が自己矛盾を感じてとてもよかった。
「家族」
「傷だらけの天使」
 ライブの時にはTVドラマ「傷だらけの天使」の、イントロをつけてましたね。
「土曜の夜の小さな反乱」 「9月になれば私もとうとう30歳になる」 これ聞いてた当時は遠い先の話だと思ってたんだが。(笑)
「PARADAISE ALLEY」 「ほんの少しだけ 俺のほうが利口だったわけさ」
「記念日」


 「PASSING  小山卓治」

 ベスト版と言っても過言ではありません。名曲「Passing Bell」を含む一押しのアルバム。 ほとんど無駄がない。どの曲をとっても良いというのは珍しいアルバムだと思う。 なのに私はこのCDを持っていない。貧乏学生だったので、レコードを買う金がなかったのと、 CDになっているのかどうか確認しないまま現在のような状況に至ってしまったため。 ジャケットは今までジャケットに自分の写真を出さなかった小山のバストショット。多分初めて小山の顔を見たんだと思う。「竹本孝之じゃねーのかこいつ」と思うくらいのゴツめの甘いマスクだ。
 最近(99年9/4)やっとインターネットのCD屋でやっと入手しました。
 「気をつけた方がいいぜ(Watch Out Your Step)」いきなり「気をつけた方がいいぜ」と、 なんのひねりもなくタイトルコールから始まるストリート感あふれる曲。「疲れと善意の燃え滓を  誰もがのどに詰まらせてる そいつを飲み干した奴から 椅子を蹴飛ばし歩き出す。」しばらくは 飲み屋から出る時は椅子を蹴飛ばしてた。
「Night After Night」 男の子と女の子の、小粋なラブストーリーと言う感じか。「やせっぽちの 腕を絡ませ たった二人のスクラム」その当時俺は痩せていたので、このフレーズが気にいっていた。
「裏窓」 たたみかけるような言葉数で、次々に映像を浮かばせるヴィジュアル的な曲。 片思いの女の子の状況描写がいい感じに描かれている。
「Passing Bell−帰郷」 友人が死んだら絶対この曲を歌ってやろうと思っていた。この曲では、小山の隠された背景が垣間見える 様に感じる。どこかに悲劇を背負った登場人物が何人も登場するが、全部がフィクションではないのだろう。 圧倒的な絶望感がこの曲を支配している。 アンコールで何が聴きたいって、これの大合唱だよな。
「Time」
「Lucky Guy」
ハードボイルド小山の真骨頂。映画のワンシーンを切り取った風のつくりの名曲。
「Dogs」
「Escape」
よくショーウィンドウを見ながら、「あ、俺もチンピラだ」と思ったものです。
「もうすぐ」


 「The Fool  小山卓治」

 驚いたことに、これも持っていない。貧乏だったんだろうな。まだCDも持ってないし、レコード盤も 買ってない。
 「風」の「ささやかなこの人生」と同じコード進行のアコギのイントロの「Hustler」から始まる。 この頃は小山も調子良かったのかな、この曲は好きだし、ライブでも何度も聴いたような記憶がある。  「あの紅い上等のバッグ」は、今ならエルメスのバーキンだろうな。俺はてっきり相棒が 死んじまった話だと思っていたのだが、噂に聞くと相棒に裏切られた歌らしい。
「Blind Love」 俺の中では「NIGHT AFTER NIGHT」の続編かな。 「今夜二人の勝利とロマンスを探そう 」 が、「たった二人のスクラム」で探しているような気がする。女の子と一緒に戦っていく、小山ならではの 一曲か。
「DaDa」 ラップ、というか語り口調の曲。
「The Fool On The Build'」 優しいピアノで始まる、小山にありがちなセンチメンタリズム丸出しの曲。 おそらくタイトルの「The Fool」なのでキーの曲なんだと思うが、個人的にはあまり好きじゃない。
「最終電車」 ぐうの音もでない。これを聴いてよく泣く。学生の頃人気者だった新社会人、 就職を目の前に控えた女子大生、ガキになめられるほど落ちついちゃいないと思ってるおっさん、 退役間近の車掌さん。ライブでたまにやるアンプラグドヴァージョンもいいんだよね。 そして今日も思う「明日こそは幸せな朝を迎えたい」
「第3章」
「Aspirin」
 ヒステリックな都市を歌った、田舎の子には解りやすい歌。ライヴヴァージョンは「あなたよりもっと大きいのを 探しに行くつもりなの 思い出を持って消えるわね あなたの写真と基礎体温計」だね。
「MIdnight Primadonna」 ハードボイルドとロマンスをフィクションの上で体現した感じかな。 昔、おねえちゃんと待ち合わせの時、俺を見つけたら、 「小さく手を振って」と頼んだ事があった。
「Bad Dream '86」 驚くね。気がついたら13年前の歌なんだ。正直者の振りをし続けている ちょっとすれた小心者。 そんなスタンスが俺は嫌いじゃない。 弱気になると思い出す。「僕の耳はまだ聞こえるし 拳だって握れるさ」ボンクラの能書きに騙されるほど 間抜けじゃないし、 大人しくしてるけど、喧嘩が出来ないわけじゃない。歳かな、ふと騙されそうになっちゃう。(笑)


 「On the Move TAKUJI OYAMA With DAD」
 渋谷公会堂 1987.2.4ライヴ 

 レコード盤持っていますが、最近(99/8/6)近所の中古CD屋でたまたま見つけてCD入手しました。
 小山初のライヴ盤。おそらくレコーディング時にヴォーカルエフェクトになんのかけひきもない 小山にとってはなんの問題もなく、そして私にとっても生の小山が聞けるいいアルバムだと思う。 久し振りに聴くと、まだ少し声が若くて、それが切羽詰った切なさを増加させるように聞こえる。 ひまわりでワンクッション置いて、DADでやってる頃なので、第二期バンドユニットでのってる頃なんだ と思う。
「Bad Dream '86」
「下から2番目の男」
やはりライヴヴァージョンがいいですね。間奏のところで、鏡に向かって 髪を整えたり、ダッシュ山下を殴ったり。
「傷だらけの天使」
「Time」
「ILLUSION」
「はんぱな夢を見つづける」いくつになってもね。
「もうすぐ」未だにこの歌詞のシチュエイションがよく解らない。 「君」は彼女なのか、娘なのか。小山の歌にはたまにこの手がある。ある確固とした状況があって、 それをロマンチックに、ある部分だけ解りにくく切り取るような歌。もしかしたら解る人には 解るのかもしれないが俺には解らない。
「Hustler」ポールニューマンのハスラー2「Come back」が流行ってた頃かな。 この前後にプールバーが流行って、ちょいとしたビリヤードブームが来たりする。
「Aspirin」「ヤクをくれ〜」(笑)
「NO GOOD!」どっかのライヴで「ここでは俺はウォークマン 自閉症患者ウォークマン」 のとこで、狂ったように頭振ってる兄ちゃんがいた。この歌詞にはまったんだろうな。
もちろんこの間奏のクレッシェンドはブルース・スプリングスティーンのパクリだね。
「FILM GIRL」アコギヴァージョン。


 「VANISHING POINT   小山卓治」

 うちはここからCDになってるので、この辺でCDラジカセをもらったらしい。サラリーマンになって、 1.2年目に弁論大会の賞品でCDラジカセを貰った。おいらのCD生活はそこから始まるからね。 ジャケット写真は疲れたような小山の顔。Passingから比べるとかなりしょぼい。
原田は抜けたけど、まだDADって名前でやってたのかな。スマイリーは出たり入ったりだけと、 このアルバムには居る。
「逃げ出せ」このアルバムの中では、好きな曲。「あんたがみくびっているより  俺達ずっとタフだぜ」 「売り飛ばした魂をこの手に掴み返すんだ」に励まされた時期もあった。
「Passing(いつか河を越えて)」イメージとしてはマンハッタンブリッジだったんだけどね。 英語のとこ、今でもなんて言ってるか知らない。
「失われた週末」ラップっぽい一曲。カラオケじゃできねえな。
「Rock'n Roll's Over」
「Yellow Center Line」
「Night Walker」
小山お得意のハードボイルドな一曲。イントロもそれっぽくて解りやすい。 聴きながら書いているんですが、思わず聞き入ってしまいました。繰り返しになるけど、小山の歌には こういうヴィジュアルを優先させた曲がよくある。俺が画像屋だったらヴィジュアルにするんだが。
「Motherless Child」
「DINNER」
これはシナリオを無理やり曲にしたような感じかな。
「Roadie」ローディ、つまりヤーボですな。ヤーボの経験なんかやっぱりあるんだな。
「こわれた自転車」ジャングルジムに見られるような、ガキの頃を歌ったよくありがちなバラード。 俺の中では、何の意味もない。


 「夢の島  小山卓治」

 両手で顔を隠すような小山のモノクロ写真のジャケット。夢の島というタイトルが、 「Dream Island」のことなのか、いわゆる「夢の島」と引っ掛けているのか未だによく解らない。 意外なことに、このアルバムには「with DAD」のクレジットがある。が、スマイリーは復活している。 まだこの頃はDADでやってようだ。もう原田はいない。好きな曲と、そうでない曲の 出来がはっきりしているアルバムだ。
「夢の島」今聴くと意外ともたった感じだ。久し振りに聞いたが、やっぱ小山は声がいいんだな。 魅力的、というか聴かせる声をしていると思う。
「Once」
「嵐からの隠れ場所」
「結婚」を意識する年頃になってから随分沁みるようになりました。 若い頃は「彼女のブラウスのいちばん上のボタンまでの長い道のり」に共感してたんだが、 最近は、「ハードボイルドもロマンスももうここでは試せない」をよく多用します。
「Heart Attack」
「P.M.11:11」
ピアノとヴォーカルの静かな、しかしドラマティックな一曲。 こんな女ほんとにいたら恐いが、気持ちはよく解る。 惚れたまま別れた女からかかってきたらこんな感じだよな。しかも心理的に少し自分の方が アドバンテージがあれば。
「Gallery」ツインのアコギが印象的な名曲中の名曲。 今でもライブでよくやるので小山も気に入ってるんだろう。
俺はいつも思うんだが、最後の「ほんの少し生きるため」を1回で止めてるとこが良い。 アリスの頃の谷村新司や甲斐よしひろだったら絶対2回繰り返してるよな。
「LIFE VEST UNDER YOUR SEAT」
「大統領様」
フランス生まれの大統領の話とノーツに書かれている。 言われてみればフランスも大統領制なんだ。 誰のことだろう。 穏やかだがAの調書を思わせる異議申立てみたいな一曲。
「Shadow Land」
「夏の終わりに」


 「成長  小山卓治」

「欲望」
「絶望のダンス」
「結晶」
「成長」
「俺は帰ってきたんだ」
「紫の夜明け」
「談合坂パーキングエリア」
「長すぎる夜と遠すぎる朝」
「今までの僕は」
「虹の袂」


 「花を育てたことがあるかい  小山卓治」

「花を育てたことがあるかい」
「夜を行く」
「そして僕は部屋を出た」
「さよなら恋人」
「前夜」
「天使の歌う朝」
「負けないで」
「孤独のゲーム」
「祈り」


 「Rocks!  小山卓治」

 足掛け4年ぶりの小山のアルバム。というか、自分でもよく忘れずに小山の事を覚えていたよなというくらい久し振りの、そして今のところ最新アルバム。だからこそ待ち望んでいたものだった。そして、久し振りの小山はどこか遠くへ行かずに、俺の好きな小山のまま帰って来た。
 俺が大阪へ来て、最初で最後のアルバムがこれだ。確かバンドユニットでライブをやった筈なのだが、その時の記録がないのが残念だ。
 ジャケットは丸めのグラサンをかけて不精髭を生やし、煙草を咥えたいかにもわかりやすいチンピラ風の小山の顔。そんな振りしなくたって、俺達はいつでもチンピラだったじゃないか。

「これでも食らえ!」
久し振りの小山は、いつだって俺のことを解ってたような顔をして帰って来る。そしてしょぼくれた風で前よりイカして戻って来る。「でも毎日かすみを食って生きてたから俺が一番若いだろ?」
「Crying Bee」
「真夜中のボードビル」
「壊すなら1秒」
「ダンスを踊ろう」

真島である。このアルバム唯一の小山以外の曲。今にして気がついたが、「ひまわり」の時も一曲だけ真島が書いている。何か意味があったんだろうか。この頃NBAがブームだったので「マイケルジョーダンがダンクを決めるんだ」という一説が妙に気になっていた。
「HOT BUTTER」
この曲に出てくる女は出来れば宝島系の美人がいいと思っていたんだが、今日聴いたら優香のイメージだ。ライブの時俺達の「ヨーイドン」の掛け声に小山が大爆笑したのをよく覚えている。その後は恒例になったが。
「ついてねえや」
とても好きな歌詞で、私のホームページの紹介文としてパクらせてもらっている。サブタイトルBad Luck。「ツキに見放され頼りは悪運 プラマイゼロの勝ち知らず」。まさしく自分のことだなとリアルに感じてしまった。小山にしては珍しく、歌詞を少し作った感じがあるが、バッドラックボーイを自認することが出来るようになったのは、この曲のおかげだと思っている。もちろん私の場合であれば「50万のシルビア、改造に100万」というタイプであるのだが。
「ジャングルジム」
フールオンザヒル系の懐古的なスローな曲。
「太陽に手が届きそうだ」
ほんとはこういうLet's系の「前向きに行こうぜ」系の唄はいい筈なのだが、今の私にはあまりはまらない。この当時の小山の中でもなんか妙にさわやか過ぎるような気がする。
「君が本当に欲しいもの」
カラオケになったのはこれだったかな。
「これでも食らえ! 〜REPLY〜」
「回答」というサブタイトルがついているが多分、こっちを先に作ったんじゃないだろうか。それともこれがこのアルバムに対する小山の回答なのか。いや、やはりこれが小山の答えだ。この荒削りなおまけのような「これでも食らえ!〜REPLY〜」自体が今の小山の答えなんだろうな。

 このノーツの最後の方に書いてある、「Singing,Shouting,Laughing,Dancing,and Fighting by 小山卓治」というのがとても印象的だ。俺もガキじゃないんだから、なんかこう書かれてしまうと「おいおい、そうがんばんなよ」と普通だったら少し照れてしまうのだが、妙に納得した記憶がある。(2000/7/19 追記)


 「手首」 WAGAMAMA RECORD 

「手首」
「青空とダイヤモンド」

 意外だった。この曲は、ライブで何回か聴いた事があったので、知ってはいた。しかし、どうしても小山と野球というのが結びつかないのだ。 野球で思い出してしまうのはブルース・スプリングスティーンの「Grory Days」のプロモーションビデオだ。やはり奴の影響を受けてるのか。いや、そうでもないだろう。元歌はサイモン&ガーファンクルの「Boxer」らしいし。
もちろんJapanese boy たるもの、おそらく90%くらいは野球経験者だと思うので、野球の話が出てきてもなんの不思議もないのだが、どうも小山とは結びつかない。
「少年の頃の夢は ベーブ・ルース ハンク・アーロン ナガシマ」の唄い出しで始まる。「ギャラリー」を少し思い出させるアコギの綺麗なスリーフィンガーの曲だ。少し字余りで、ハンク・アーロンとナガシマを同列に並べるところがとても小山らしい始まりだと思う。いや別に小山らしくはないかもしれないが、こんな歌詞で始める小山が好きだ。(歌詞カードを見ると「長嶋」であった。俺のイメージでは「ナガシマ」だったんだが。)

 俺は最近この歌をよく口ずさむ。センチメンタルなんだけど、メロディーと裏腹のとても力強いところもあって、気に入っている。
「9回裏ツーアウト 僕はいつも夢を見た」。男はいつだって土壇場での大逆転の夢を見る。
「少年は男になる 秘密のサインを忘れて」。俺はもう、大人になりたくないなんて戯言が言える歳じゃない。でもまだ男にはなってないかもしれない。男になるためには秘密のサインを忘れる事が必要なのか。いろんな事を忘れてきた。秘密のサインも、大切だった事も、悲しかった事も、楽しかった事も。大切だったいろんな事を忘れて、少年は男になるのかもしれない。
「だけど僕は今も思う 次の打順が回ったら」。次の打順ってのは実はなかなか回ってこない。レギュラーで居続けなければならないし、勝負を続けなければならない。多分この主人公は前の打順で失敗してるんだろう。だからこそ次の打順こそはと「いつも」思うし、「今も」思う。
 そして彼は男になって生きていく。「奪えるものを奪って 力ずくで生きていく」。あたりまえの話だが誰も俺に何もしちゃくれない。ついうっかり何かを人のせいにしてしまいがちだが、自分で見つけて、自分で稼いで、自分の力で生きていかねばならない。わりと人生の過渡期にある俺にとっては、この一行を今の座右の銘にしている。

 ちなみに俺は今この曲を着メロにしている。  (2000/12/03)

「光のオルガン」


「YELLOW WASP」 

 ブルース・スプリングスティーンの評価の仕方に「ロックンロールの未来を見た」という有名な表現があるが、俺は今日、ロックンロールの過去と真実を見た。
 小山のYELLOW WASPを手に入れた。CD発売を楽しみに待っていたのだが最近MDを買ったので、ミュージックデリでダウンロードすることができるようになったのだ。俺にとっては久し振りの新曲だ。

 家へ帰るのももどかしく、待ちきれずに店を出てすぐにMDを入れ替え聞いてみた。阪急梅田駅3Fホーム。京都、神戸、宝塚、いろんなところから電車がなだれ込んでくる雑踏の中。これを聞くにはぴったりだったかもしれない。煙草に火をつけ、最初わくわくして聞いていた。イントロは軽いタッチのギターで始まる。なだれこむタイコの音、たたみかける様に古典的なオーバードライブのかかったギターが俺を引き込む。そして、始まる。まだ若い頃の小山で。

盗んだバイクにまたがって 女をケツに乗せて走りだした
浦安のボーリング場の 駐車場で決闘が始まる
夜の9時コンビニの前 集まったバイクと車の群れ
急げばまだ間に合うはず 5月28日のこと
俺や仲間達は いつでもこう呼ばれる
残留孤児2世
黄色いワスプの住んでるこの国じゃ

 ここまでは完全にハードボイルドだ。状況描写だけでこんなにいかした曲になってる。そのうちいても立ってもいられなくなって歩きだした。

やられっぱなしじゃないぜ 俺は腰抜けじゃないんだ
だけど震えながら見あげる 今にも降りだしそうな空

この辺で歩きながら涙があふれてきた。傍から見たらバカみたいだったろうな、俺。いつもの小山だったら言い回しは 「やられっぱなしじゃないんだぜ」だと思うんだが、ここでは「ないぜ」で終わる。譜割の都合もあると思うのだが、少し、この主人公が実は小山ではないところを感じさせる。が、次の「今にも降りだしそうな空」が小山ならではだ。

タマネギ臭い指をした 仲間達が俺を見守ってくれた
心から話しあえるのは 同じ境遇の仲間だけ

 タマネギ臭いの件で泣きそうになった。その後の「心から話しあえるのは同じ境遇の仲間だけ」は要らないんじゃないのかな。

 初めて効くコンプリート版のYELLOW WASP。音楽的に見ればまったく優れているわけじゃない。ディストーションのかかったベタベタのリフ。古典的なコード進行。字余りの歌詞。途中で怒鳴る。こんなベタベタのロックンロールにどうしてはまるんだろう。小山が小山だった頃の匂いがプンプンする。いや、過去形じゃない。俺は、ずっとこれを待っていたんだ。 ロックンロールの完成形といっても過言ではない。ブルースの「JACKSON CAGE」に勝るとも劣らない良い出来だ。 今無人島へ一曲だけ持っていけって言われたらこれを持ってくね、俺は。

 10年近く前に作られたこの唄。俺はしびれまくっている。始めて小山を聞いたときよりも、京都ビッグバンで初めてライヴにいって「朝まで待てない」で小山にはまった時よりも、「帰ってきたんだ」で再度やられたときよりも爆裂的な衝撃だ。 全体的にこの曲を支配しているのはハードボイルドなんだが、一節目は完全に状況描写だけだ。なのにめちゃめちゃカッコいい、というか素敵だ。状況描写の歌詞だけでこんなに聞き入らせるのは世界観の切り取りかたが良い歌詞なのか、声が良いのか。

 無論、この曲は実際の事件を元にして作られているという。その現実感を間引いたとしてもこの曲の完成度は高い。俺の中での小山の代表曲になってしまった。この事件について俺は憶えていないし、少し論じるべきなのかもしれないが、それは今の俺にはできない。

 ちなみに買った5時間後にMDの操作方法がまだよく解っていない為、この曲は途中でMDから消えてしまった。再度ダウンロードしたのは言うまでもないが、ダウンロードってのも便利だが不便なもんだ。 (2001/2/4)


LIVE REPORTも読んで見る


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