ベルリッツ受講体験記

    

思うところあって、英会話を習うことにした。

 外資系の会社に勤めているため、マネージメントクラスになるには英語が必須なのだ。と言うと聞こえがいいので、対外的にはそういうことにしているが、実際にはリストラをくらったため、転職前に多少の英語くらい喋れるようにしておきたいというのが本音のところ。うちみたいな中途半端な外資では実際に英語が必要で喋れるのは、社長付けのセクレタリーとマーケティングだけだ。

 外資に転職するにはやはりTOEIC650点くらいが必須。650点とるってのがどのくらい難しいのかその時は知るよしもない。TOEICを受けたこともないので、もちろん今も実感はないが。ま、腐っても文学部出身。某大学の外国語学部英語学科だって合格している。そんな大昔の英語力が今かけらでも残っているのかどうかは疑問だが、何より英語は嫌いじゃない。十数年の記憶がハードディスクに残っていることを期待しよう。どのファイルに入っているのか記憶はないが、削除した記憶もないし。

●まずは相談

 都合のいいことに、友人がベルリッツに勤めているので相談してみる。何しろ何の留学経験も英会話の素養もない友人を、外資系会社のディレクターが務まるまでにした英語教育力についてはやはり聞いておくべきだろう。

 「パンフレット持ってきて」といって、週末焼肉屋で逢うことにする。相談はしてみたものの酒ばかりすすんで、他愛もない話に花が咲く。結局、詳しい話は学校のおねえちゃんに聞くことにする。が、新しい学校が出来たのでその学校へ入学すれば、今ならレッスン料が半額であるというネタを聞いた。有名ではあるが、お値段がいいことでも有名なベルリッツで半額というのはちょっと魅力的な誘惑でもあった。おまけに「教育訓練給付制度」を使えば、5万足らずで行けそうなのだ。

●教育訓練給付制度について

 ■教育訓練給付制度とは

 働く人の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の新しい給付制度です。
 一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または一般被保険者であった方(離職者)が、労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の80%に相当する額(上限20万円)をハローワーク(公共職業安定所)から支給します。

 ■ 支給対象者は・・・

 教育訓練給付金の支給対象者(受給資格者)は、次の@又はAのいずれかに該当する方であって、労働大臣が指定する教育訓練を修了した方です。

@ 雇用保険の一般被保険者
 労働大臣が指定した教育訓練の受講を開始した日(以下「受講開始日」という。)において雇用保険の一般被保険者である方のうち、支給要件期間が5年以上ある方。
A 雇用保険の一般被保険者であった方
 受講開始日において一般被保険者でない方のうち、一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ支給要件期間が5年以上ある方。

 だそうです。要するに5年間サラリーマンとして働いて、雇用保険を5年以上払った奴には、金利の代わりに20万までなら授業料払ってやるよ。ということらしい。そんなものいらないからとりあえず厚生年金とるのやめてくれ。

詳しくはこちら 教育訓練給付の支給申請手続について  をどうぞ。  



●カウンセリングを受けてみる

 少し考えてみたが、考えていてばかりでもしょうがないので学校へ行って詳しい話を聞いてみることにする。別にはいんなくてもいいっていうし、嫌だったら友人に断ればいいので知らない学校へ行くよりは気が楽だ。友人に電話しといてもらって、「簡単な説明だけ」してもらうことにする。よくよく聞くといろんな仕掛けがあって、やはり紙を読んでるだけでは気がつかない事も多い。

 別に友人がいるからといって宣伝するつもりは毛頭ないのだが、あとのお話を解りやすくする為、どんなコースがあるか書いときます。

1.レギュラープライベート・レッスン(マンツーマン)40レッスン3ヶ月コース  ¥381,500

2.昼間集中プライベート・レッスン(マンツーマン)40レッスン2ヶ月コース  \309,500

3.セミプライベート・レッスン(2〜3名)週1回半年間コース  \247,300

4.セミプライベート・レッスン(2〜3名) 週2回半年間コース  ¥413,700

これがパンフレットに載ってた4コース。ちなみにお値段は通常価格。

 ひととおり説明を聞いて、まず気になっていた「教育訓練給付制度」が使えるかどうかを聞いてみた。残念なことにこれは一番高いコースしか使えないというのだ。ちょっとショック。ま、高いコースと言うと人聞きが悪いが、セミプライベートレッスンの週2回半年間のコースしか適用されないとの事。これは制度そのものの決まりなのかもしれない。もちろん訓練給付金制度というのは高いコースで使ったほうが有利なのは言うまでもありません。ちなみにベルリッツにはこのほかにも全部で6コース給付金適用講座があるのだが、とりあえずそれはおいときます。

 つづいてレッスン時間のこと。2〜3人でやるセミプライベートレッスンだと、曜日、時間が固定スケジュールなので変更が出来ないのだ。つまり、1回決めちゃったらずーっとその時間に行かなきゃいけないとのこと。サラリーマンたるもの、そんな固定スケジュールが組めるわけがないし、土曜日にずーっと学校へ通うのもめんどくさい。しかも半年間も。だいたい半年先に大阪にいるかどうかも解らないしな。プライベートレッスンだと、好きな時間に予約が出来るらしい。やはり便利なものはお金がかかる様になっているもの。再度検討して考えることにする。

 あと、レベルの話だが、やはりTOEIC650というのはベルリッツではレベル4くらいらしい。詳しい資料については説明してくれるだけでよく覚えていないが、普通素人はレベル1から始まるので、どっちにしても遠い道のりであることは間違いないようだ。

 で、1レベル上がるのにだいたい40レッスンかかるというので、まともにレベル4までやろうと思ったら30万×4=120万かかることになる。これじゃいくら金があっても足りない。そんなに金をかけるつもりはないので、やはりちょっと考えてしまう。

●入学してみよう

 結局、入学してみることにした。「使いもしないのに馬鹿馬鹿しいな」とか、「ほんとに喋れるようになるのかな」とか「40レッスンくらいやってレベル1ならただの無駄遣いだな」とか、いろいろ考えてみたが、ものは試し。ベルリッツで半額で受講できる機会ってのはそうそうないかもしれないし、何かあっても友人がいるので気が楽だし、とりあえず英会話学校ってとこに一度入ってみるってのもいい経験だろうと考えたのだ。

 さて入学の申し込みにベルリッツへ行く。ここのおねえちゃん達はみんななかなか良くトレーニングされているのか、愛想もいいし、親切だ。英語が喋れるという意味じゃなくて、知的レベルが高そうな気がする。

 結局やることにしたのは昼間集中プライベート・レッスン 40レッスン2ヶ月コース ¥154,750也(半額でこのお値段)のコース。これは2ヶ月間で好きな時間に40レッスンを受けるというコース。レギュラーのプライベート・レッスンよりなぜちょっと安いかというと、普通サラリーマンが受けられる時間帯の18:15〜21:10という時間は受講不可なのだ。あと、レギュラーだと3ヶ月なのだが、これは2ヶ月。集中してていいのだが、逆に言うと有効期間が2ヵ月しかないということだ。私は今、平日に割と時間が取れるので迷わずこのコースにした。飽きっぽい性格なので、短期決戦の方が都合がいいし、本気になったときも集中してできたほうがいいからだ。

 契約の時も割とのんびり説明してくれて、なんか優雅な感じだ。高い金払う商売ってのは、割となんでも丁寧なのかな。金払うだけだと思ってたのに、意外と時間がかかった。外資のくせになぜだかAMEXが使えないのが不思議だ。しょうがないのでマスターで払う羽目になった。ちょうど友人がいたので、少し話をする。授業をテープにとって繰り返し聞いたほうがいいというので、レコーダーを買おうかと考える。

●いよいよ初レッスン

 さて、7月7日いよいよ初レッスン。受付とレッスン室は別のフロアにあり、レッスン室へ向かう。さすが新しいだけあって綺麗だし、完全個室。外の音はほとんど聞こえない。グループレッスン用に作ってあるのだろう、5〜6人入れる部屋なので結構広い。これならマンツーマンで2人でいてもそんなに圧迫感はなさそうだ。

 部屋で待っていると先生がやってきた。女の先生でちょっと安心。北欧系の元美人といった感じでやさしそう。やはり野郎よりは女性の方が話す気にもなろうというもの。

 二言三言話して、まずレベルチェックをする。これでレベルを決められてしまうので結構重要だと思うのだが、何を喋っていいのかよく解らない。なんか趣味のことを話せといわれてもやっぱすらすらとは出てこない。そりゃ外人と話したことなんて数えるほどしかないのだが、10年も英語習ってきたのでもう少し何とかなるかと思ったのだが、なんともならなかった。

 結局一番最初から始めるようなので、どうやら俺の会話レベルは最低ということらしい。解っちゃいるがちょっと悔しい。ベルリッツでは絵本を使って授業をするのだ。字は何も書いていない外人の書いたらしい外人絵の絵本。絵を見ながらほんとに「This is a pen」からやり直しだ。これは馬鹿馬鹿しい。初日にやったことは

「これは何ですか」「これはペンです」「これは何ですか」「これは本です」「これは何色ですか」「これは青です」「これは鉛筆ですかペンですか」「これはペンです」こんなことの繰り返しだ。

 めいっこが小さい頃、絵本を見ながら遊んだことを思い出した。「これ何?」「ワンワン」「これは?」「ニャアニャア」「これは?」「ブーブー」おんなじだ。まさかここからやるとは思ってなかったな。それでもつい「It's a blue」などと言ってしまい、結構間違える。面白いのは誉め方で、ちゃんと言えると「Great」「Good job」などと大層に褒めてくれる。日本語って日常生活でそんなに誉められることがないので、ちょっとうれしくてにやけてしまう。笑みがこぼれると空気は和むと。

 一応初レッスンは初歩的だったものの、いい感じで終わり、まあひと安心。2ヶ月後どの程度になりますか。 

7月10日

 2回目のレッスン。前回の先生とおんなじなのでひと安心。しかしやることは進歩がない。しかし困るのは地図を見ながら「これはなんていう国ですか」とか「フランクフルトはどこの国にありますか」という受け答えが、けっこう困る。俺は地理がめちゃくちゃ苦手なので日本語で聞かれても南アメリカの国名なんかわからねえってのに、英語じゃ余計わかんない。チリの隣の国がどこだかなんか知らないって。英語の前に基本的な基礎知識が足りないらしい。

7月14日

 3回目のレッスン。講師が変わった。今日の先生は藤井隆そっくりの東洋系の兄ちゃん。多分俺より若い。歳下の男にものを習うというのは避けたかったパターンなのだが、まあしょうがない。おまけに見るからにオリエンタルフェイスなのでなにより有難味がない。こういうのに偉そうにされたら嫌になっちゃうんだろうなと思って心配していたが、敵もさすがそこは商売。なかなかの役者ぶりで、まあ滞りなく終了。

7月17日

 4回目のレッスン。今日も先生が違って今度はハゲのおじちゃん。オーストラリアンなので発音が心配だが、そんな発音を聞き分けられるほど俺はまだリスニングに精通していないようだ。ただ、オーストラリアとアメリカは物言いが違うらしく、「僕らはこういいますが、アメリカでは普通こう言います」みたいなことが2つくらいあった。

 オーストラリアではzip codeのことをpost cordといって、business cardのことをName cardというらしい。この先生に限らないが「その言い方はどっちが正しいんですか」と聞くと大体みんなちょっと困った顔をする。たとえばit's over hereとIt's hereとどっちが正しいのかと聞くと、「うーんどっちでもいいけどだいたいはover hereって言うけどなー」みたいな返事をする。まあネイティヴだったらどっちでも正しいんだろうけど、受験英語で育ってきた私としてはそんなことがけっこう気になる。そんな事気にするよりスピーキングの流暢さを学習した方がいいんだろうけど。

7月20日

 祝日なのにレッスン。何たる真面目さ。やる気まんまんだな。今日の講師は見るからにラテン系のちょっと太った胸毛先生。今日は何言われてるか聞き取れず、苦労した。やっぱすらすら話されると、何言ってんだかぜんぜんわかんない。once more pleaseとI beg your pardonの嵐だ。が、それは俺だけのせいじゃなかった。彼はなまってるのだ。newspapaerの事を完全に「パイパー」と発音するのだ。出身を言わなかったので、絶対田舎生まれでなまってるのに違いない。と、ヒアリングの未熟さを人のせいにする今日この頃であった。

 この日、初レッスン時にやったレベルチェックの結果をもらった。結果は「Level 1 - Beginner」だそうで、特にグラマーが悪いらしい。コメントとしては「complete biginner」で、「最も基礎的な質問ですら答えられない」レベルらしい。失礼な。ちゃんと悪口は読めるのに。

 ちなみに「ポテンシャル」は「エクセレント」だと。そりゃポテンシャルくらい優れさせておかないとレッスンする意味ないもんな。

7月25日

 今日も違う先生。今日はピンクハウス系のフリフリの服を着た女の先生だった。やはり女性の方が教え方が丁寧というか、優しい。何言ってるか解らなくても、聞き直しやすいのがいいな。演技派で、ロールプレイング風の掛け合いが多くて面白いのだが、やらされる方はちょっと恥ずかしい。

 今日簡単な単語でえらく迷ってしまった。スクランブルドエッグを「catch up」しろというのだが、スクランブルドエッグを捕まえるって意味がわかんない。「キャッチアップ?」と聞いてみると「キャッチアップ」と返事をする。キャッチアップで合ってるらしい。「料理する」という意味でもあるのかと思って「cook?」と聴くと、違うという。スクランブルエッグに何かをするらしいので「塩胡椒?」と聞くと「catch up」と言う。まだわかんない。スクランブルエッグにかけるもの。。。「ケチャップ?」「ケチャップ!」やっと意味が通じた。ケチャップだけで5分くらいやってたな。

 うちにかえって調べたら「ケチャップ」のスペリングは「catchup」と、そのまんまだった。ま、3種類くらいあるんだが、これじゃ何度聞いても「catchup」って言う訳だ。

だいたい俺はスクランブルエッグに「ケチャップ」なんかかけないし、そもそもケチャップは嫌いだ。

7月28日

 今日も日系の先生。ダルマン先生と命名。どうしても日系の先生はありがたみがないな。うちの東京のオフィスにもどう見てもアジア顔のフィリピン系アメリカ人が一人いて、日本語が全然喋れないと聞いてびっくりしたことがある。ま、ほんとに話せないらしいのだが、「てめー、ほんとは日本語喋れるんだろ」って思っちゃう。つーか、日本にいるなら努力しやがれ。どこの日本人がアメリカに行って日本語で仕事できるってんだよ。

 でもまあ、日系の先生は熱心だし、一生懸命笑いを取ろうとしたりして気を使いながらやってくれるので、それはそれでいいか。

7月31日

 しかしほんとにこれじゃ落ちつかねえな。毎回毎回違う先生で、慣れるどころの騒ぎじゃない。今日はいかにも白人然とした外人っぽい先生。この先生はふざけていて教室に飲み物を持ち込んで授業をはじめた。

 外人って、そういうことはありなのかな。以前、NYに研修に行ったときに、割と構えた会議なのに飲み物が用意されていて、プレゼンする本人もダイエットペプシを脇においてプレゼンしていたのに驚いた。極東の島国から来たゲストのために用意してくれたのか、それともいつも会議中でも飲み物はOKなのかはよくわからないが、割と当たり前のことなのかな。まあうちもこじんまりしたオフィスなので、会議中でもコーヒー飲みながらやるけどさ。あと、ガムも人と喋るとき噛んでても失礼じゃないのかね。あれも謎だ。

 うちの上司が前、英語習得命令が出たときにベルリッツに通ってたのだが、「なんかなー、外人に馬鹿にされてるような気がするんだよなー」といってたのをちょっと思い出した。続きの台詞は「そんなことで行かなくなっちゃうもんなー。やっぱ英語は自費でやんなきゃ駄目だな」だ。

 まあ今日の先生はそんなに小ばかにしてるという感じはなかったのだが、白人の薄ら笑いを見ると、なんか馬鹿にされてんのかなって思う気持ちはよく解るな。

今日の謎:「The airport」を先生が「ザ」と発音したので、「「ザ」と「ジ」とどっちが正しいんですか?」と聞いたら、ちょっと考えた後「気にすんな。ザって言ってもジって言っても注意する奴なんかいやしねえよ」というお返事。「a」と「an」にはうるさいくせに。

8月4日

 なんなんだここは。今日は2レッスンとったら、1レッスン目と2レッスン目と先生が違う。多分専任の教師がいないんだな。それにしても違いすぎるだろ。レッスンパターンも発音も違うし、質問方法も違うので教師が何を求めているのか毎回俺の方が考えなければならないのはちょっと苦痛だ。バリエーションがあるといえばそれまでだが、トレーニングってのは基本的に反復練習の繰り返しなんだから、身につくまではパターン化したほうが良いに決まってる。バリエーションはその後だ。なんかたらい回しにされてるような気がする。

 一人目はビルゲイツ。グレイの入ったブロンドで、眼鏡をかけている。映画でよくガリ勉とかいじめられ役で出てきそうなタイプだ。割とオーバーアクションで、無遠慮なタイプ。なので逆にこちらも話しやすかったりする。

 二人目は無愛想なイタリア系。名前がなんかイタリアンぽかった。最初怒ってんのかやる気がないのか解らなかったが、にこりともせずに「It's joke」というあたり作戦なのかもしれない。「二枚目が真面目な顔をしていうとつまらない冗談でも面白く聞こえる作戦」かもしれない。このへん談誌の「緊張と緩和」理論を体現してるな。ビルゲイツはOKパターンだったが、このイタ公は注意パターン。「ここちょっと難しいところだからね」とは言うものの、多少納得いかないまま終了。最近多少口語っぽい言い回しがあるのでちょっと難しくなってきた。

8月7日

 一時間目。多分初めての先生だったと思うのだが、記憶がない。印象の薄い人だったのかな。授業も何やったか記憶がない。そんなにやな感じじゃなかったんだろうけど、忘れた。もしかしたら顎鬚先生だったかも。

 2時間目は一番最初にやったマム先生。この先生は評判がいいとは聞いていたが、やはりいい先生だ。物腰が柔らかいし、何しろ簡単な言葉でゆっくり喋ってくれるのでほとんど解る。英語が喋れるようになったのかと思っちゃうくらいだ。「英語は簡単ですか?結構早くすすんでますね」と言われる。その割に実感はない。別に文法的に難しいことをやってるわけではないので、困りはしないし。まあ今やっていることを全部覚えて喋れるようになれば確かに日常会話に不自由しないのかもしれないが、英語力がついたという実感はないな。決め台詞は「Good job」と「great」。

8月8日

 この日は初めての連続3レッスン。ちょっと時間がおしてきたので、多めにとってみる。一時間目はだるまん先生。この人は東洋系なので見た目が安心。割と演技派でオーバーアクションなのでまあ面白い。しかし大阪の事を聞かれてもよく解らない。そごうの隣の銀行はなんですかって、俺のメインバンクは第一勧銀だから三和銀行ががどこにあっても興味がないし、心斎橋に何軒イタリアンレストランがあるかなんて知らんちゅーねん。ちなみに決め台詞は「Exellent」。

 残りの2レッスンは顎鬚先生。この人は親切なんだかやる気がないんだかよく解らない。で、解らないので質問するとホワイトボードを使って丁寧に説明してくれるのだが、割と難しい単語も使うのであんまりよくわからない。「Both OK」もよく使うので、受験英語が得意な私としてはちょっと不安が残る。ちなみに褒め台詞は「perfect」と「Fantastic」だ。

 しかし、「英語は趣味か、仕事で使うのか」と聞くので「両方だ」と答えたあと、「会社は何の会社だ」と聞くので社名を答えたら、彼はうちの社名を知っていた。まあ、日本じゃしょぼいがアメリカじゃ割とでかいので知っているのだろう。で、外資なので多分ほんとに仕事で使うのかと思ったのだろう、ビジネス用のテキストを持ってきて、「ビジネスで使うなら次のコースはこれの方がいい。面白いし役に立つ」といって説明してくれた。まあ先生なのでセールスじゃないと思うんだが。最後にも「カセットプレイヤーを持ってないのか。持ってないならセクレタリーに言えば貸してくれるぞ」となかなか親切だ。まあ、これでもう少しべしゃりがゆっくりで笑いがとれればいい先生なんだが。

8月11日

 今日も3レッスン。3レッスンはやっぱ結構長いな。今日はマム先生が連続でやってくれる。好きな先生だしやりやすいのだが、慣れてくると妙に照れちゃう。でも連続だと安定感があるし、やってて楽しい。

 今日は現在形のレッスンで、現在形は「usually」を表すというところ。そろそろ時制の一致に入ってくるらしい。まあここまで来るとだいぶ解ってくるが、会話に必要なのは中学英語までで十分で、今やってることがちゃんと聞けて、全部覚えて喋れれば確かに日常会話には不自由しないんだろうな。レベルを上げるには勉強が必要だし、リスニング力とヒアリング力を維持するには継続的なトレーニングが必要だ。結局必要性がないものを身につけるのにはとても努力が必要なんだろうな。

 これから問題になるのは知らない言葉は聞こえないということ。真面目にやるんであればやはり単語力がものを言うと思う。基本は受験英語と一緒だな。いや、日本語でも一緒で最終的にはボキャブラリーだ。

8月22日

 ほぼ十日振りのレッスン。なんか久し振りにやるので英語を忘れてるような感じ。田舎にこもってたので英語なんか聞く機会も無かったし、なにしろ日本語だって今ちょっと田舎訛りになってるのだ。

 今日は2レッスンが顎鬚先生だったのだが、髭が無くなっていた。 この先生はなんかぶっきらぼうというか気さくな喋り方をする先生で、英語でいろいろ喋ってくれるのだが、 絶対べらんめえ口調みたいな英語だと思う。
 なんかベルリッツ主催の「ビアパーティー」が今週の土曜日にあって、「パーティーにこないのか?」と聞くので、「行かない」と返事をした。すると、「なんだ、こねえのか。先生もみんな来るし、そのときは先生も生徒もないからいろんな話できて面白いぜ。授業じゃトンプソン(絵本に出てくる主人公)の話ばっかりだけど、その時はトンプソンがどうなっていようが誰も気にしちゃいないしな」みたいなことを言うのだ。内容は合ってるかどうか解らないが、絶対こんな口調で喋ってると思う。

 もうワンレッスンはオーストラリアンのはげのおじちゃん。本人が気にしているわけでもないだろうに、どういうわけだかこの人の時はアメリカとイギリスの違いの話が多い。今日の違いはフロアの数え方。アメリカは一階二階はファースト、セカンドだが、イギリスではグランドフロア、ファーストフロアなので数とフロアがマッチしないようだ。昔習ったなそんなこと。ま、イギリス行かないので役には立ったことはないが。オーストラリアはイギリス方式だと言っていたが、よく考えたらオーストラリアがイギリス英語なのはあたりまえの話だよな。旗にイギリス国旗ついてるもんな。

 で、このおじちゃんは「大丈夫だ。アメリカ英語もイギリス英語も解るから安心しろ」と言うのだが、ネタはばれた。多分彼が両方に堪能なのではなく、彼がイギリス英語で、先生用のテキストはアメリカ英語で書かれているのだ。おまけにアメリカ英語とイギリス英語の違うところにはちゃんと注釈がしてあるのだ。なるほど、システムだけじゃなくて、先生の能力によって授業内容がぶれない様に、先生用のマニュアルもしっかりしてるんだなと感心した今日この頃であった。ちなみにこの先生の決め台詞は「Lucky man」だ。「ワイフはいるの?」「いやシングルです」「Lucky man」「夏休みのヴァケイションはとれた?」「ええ取れました」「You're Lucky man」。こればっかりだ。なんか俺そんなに幸せなのかと思っちゃうぜ。

 この日ディレクターと面談。そろそろ40レッスンが終わるので「是非続けてやりましょう」とかいうお勧めがあるのかと思ったら、何の事はない、単なる世間話みたいなもんだった。ま、売り込まれても困るし、俺も商売柄、人様から黙って物を売り込まれるつもりもないが。

 で、英語をマスターするためには、「自分で興味を持ってたくさん英語に接すること」、という誠にあたりまえのアドバイスを貰った。まあそんなことは言われなくても解ってるわけで、英語のビデオも見ているし、地上波のテレビがつまんないときはCNNだって解りもしないのに見てる。4コマ漫画の「OL進化論」の対訳版だって読んでいる。アドバイス頂いたようなことは大概やってるんだけどな。ただ、英語に費やす絶対時間がまだ圧倒的に少ないな。

 英語に接する時間を長くして英語漬けにしないと、なかなか英語の頭にならないだろうな。絶対量が一番大事だと思う。何しろ昔NYに行った時、毎日毎日英語だらけで、ディナーの時も両脇が外人で俺の頭ごしに英語が飛び交ってた日の夜は、喋れもしないのに英語の夢を見たくらいだからな。

8月24日

 今日は3レッスンともマム先生。先日1レッスンごとに先生が替わるのは落ち着かないので、一回のレッスンは同じ先生にして欲しいって言ったせいかな。この先生、きっと普段の物腰も落ち着いた人なんだろうな。絵本のページをめくったり、次のステップへ行くときもとてもゆっくりだ。

 今日はBeforeとAfterを使った2センテンスの文になったので、結構しかめっ面で授業を受けていた様だ。「Relax」と3回くらい言われた。しかし2センテンスを一瞬とはいえ覚えたり、喋ったりするのは意外と頭のメモリを使わねばならない。タイピングでもそうだが、単語と文では打つスピードが全然違うし、1センテンスと2センテンスでは全然違うもんな。しかしこんなとこで引っかかるわけにも行かないし、頑張りどころかな。

 で、今日実は「レベル1」が終わったのだ。まあ順調にきているのだろう。いよいよ次からレベル2になるようだ。しかしその前に「LEVEL CHECK」があるのだ。マム先生は「あなたなら全然問題ないですよ」とは言うものの、他の先生はどうチェックするかわかんないしな。俺的には発音が解りやすくてゆっくり喋ってくれるこの先生にお願いしたいところなのだが、今日はもう出来ないし、明日もスケジュールが詰まっているので駄目らしい。ちぇっ。

8月25日

 さて今日はいよいよレベルチェック。ワンレッスン丸々かかるらしい。で、レベルチェックは顎鬚先生。この先生は真面目なのだがちょっと早口なのがネックだ。まあ、しょうがない。滞りなく終わったつもりだったが、道案内は結構難しかった。「down to main street」だと「メインストリートへ向かって進む」で「go down main street」だと「メインストリートを進む」という意味になるらしい。よく解らんし、これがあってるかどうかも実は自信がない。だいたい進むのになんでダウンなんだ。坂ばっかりでもあるまいし。

 レベルチェックが終わった後、自己評価をして、その後カウンセリングみたいなことをするのだが、これが英語でやるのでなに言ってんのかほとんどわかんない。まあ、もう終わるのでいっか。

 ちなみに顎鬚先生は髭を剃ってしまい、顎鬚先生ではなくなってしまったので今日髭を剃った訳を聞いてみた。「Did you have musutassyu last week?」。理由は彼のベビーが髭嫌いで、キスすると痛がるらしいのだ。どこの国でも子供は髭が嫌いらしい。うちのめいっこも髭剃れってうるさいし。

8月28日 

 ラス前。2ヶ月のコースなので8月一杯で終わるのだ。で、今日は授業を録音しようと思ってカセットを買ってきた。先日のレベルチェックのときに「80%の生徒はカセットで授業を録音してそれを聞いているぜ。まあ退屈だが、授業を何度も聞いてれば、次の授業のときに「前回何やった?」って聞かれても思い出せるだろ」と言われたからだ。まあ入学当初から言われてはいたのだが、めんどくさくてついぞやらなかったのだ。が、難しくなってきたし、少し授業をテープに残しておいた方がいいなと思ったのだ。よく考えたら全部授業を録音しとけば聞くだけで授業やってるのと同じなんだもんな。ワンレッスン単価高いんだからそうしとけばよかった。

 と思ってセクレタリーに「カセット借りられますか?」と聞いたら「今ここではやってません」と言われてしまった。前に聞いたときには一台あるって言ってたのに。ばかもの。このテープ何に使えっていうんだ。315円もしたのに。

 で、今日はこの期に及んで初めての先生。なんかぽっちゃりして陽気なアメリカンって感じなのだが、スイスとオーストラリアのハーフだと言っていた。ミスグラマーと命名する。もちろん文法にうるさいからではない。この先生は割と楽しい喋りかただし、多分日本語が喋れるんだろう、ジャパニーズイングリッシュみたいなとても解りやすい発音をしてくれる。英語にも女言葉と男言葉でもあるのだろうか、女性の先生の発音は往々にして聞き取りやすい。若干何かの言い回しの時にオーストラリアンぽい発音が出るのが気にはなったが、俺が変な顔でもしたのか途中でその言い方は止めてしまった。何だったかはどうしても思い出せない。

 今日は突然現在完了形が出てきて驚いた。「I've got」だ。「take」か「have」の言い換えだと思ったが、急に言われると一瞬迷う。かといって現在完了形に進むわけでもなく、単なるよく使う言い回しだったようだ。この先生は一言ごとにほめてくれるので、なんか逆に照れてしまう。決め台詞は「fantastic」と「well done」。まあ日本語にすると、「オッケー」とか、「そうそう」程度の合鎚なんだろうけど、普段ほめられる事がないのでやっぱりほめられるのは楽しい。

 セクレタリーの人が先生と喋っているのは割と面白い。よく聞いているとたまに大阪弁が混じっている。「there is the bank どこやったかな at the corner of 御堂筋と何やろ」みたいに。関西弁に慣れてない人が聞いたら絶対完璧な英語に聞こえるな。

 余談だがこの前は先生とセクレタリーが「『カンガルーには袋がある』と言うのは日本語でなんと言うのか」と言う話をしていた。セクレタリーは「カンガルーには袋があるって日本語でなんていうんやろ。。。」と悩んでいた。それで日本語じゃないのかな。テーマはなんだったのかいまだに謎だ。

8月28日 ラストレッスン

 ラストレッスンは結局顎鬚先生で2レッスン。多分この先生のレッスンが一番多かったんじゃないのかな。

「いつも3レッスンなのに今日は2レッスンじゃん。珍しいね」
「今日でレッスン終わりだから」
「そっか。グループレッスンで続けないのか」
「うーん、そんなに長いこと続けられるかどうかわからないし」

 ま、続けた方がいいのはわかっているが、とりあえずスケジュールの決まっている長期コースはどっちにしても受けられないのでとりあえず終了だ。

 今日のレッスンは、「お買い物」。北アメリカでは日本で言う「デビッドカード」、つまりキャッシュカードで買い物が出来るシステムがかなり進んでいるらしい。クレジットカードは誰でも持てるわけではないので、そうなっているようなことを言っていた。やっぱクレジットカードがアイデンティティになるってのはほんとなのかな。

 最終レッスンはほんとは授業はどうでもいいからフリートークさせてくれってお願いしようと思っていたのだが、なんて言っていいかわかんないのと、顎鬚先生では早口過ぎて何喋ってるかわからないので結局やめた。その代わり今までの授業の謎のところをいくつか質問した。

 一つ目は聞いたとたんに意味を忘れた「I've got」。これは「have」のことだと言っていたがあまり良い表現ではないようなことを言っていた。

 二つ目は「道案内」。まあ道端で外人に道聞かれることってたまにあるし、覚えておいて損はない。謎だったのは「Go down Main street」だ。何故downなのか?誰に聞いてもgo downと言う。upじゃ駄目なのか? 今日その謎は解けた。

 まず「この道を真直ぐ」がgo straight ahead。これは判るんだが、ただ単に「真直ぐ行け」じゃ右へ行くんだか左へ行くんだかわからねえじゃねえかと思っていたのだ。そしたらちゃんと指定するんだな、その後に。to Maple street って。基本的にはNYや京都みたいに通りが縦横にきちんとしている街を想定しているようだ。でもGo straight ahead 3blocksなんてのは概念的にちょっと俺には使えそうもないな。ストリートもアヴェニューも日本じゃ「通り」だし、日本語だと「3つ目の角を」になるもんな。

 で「メインストリートをメイプルストリートに向かって真直ぐ行って」はGo straight ahead to Maple streetかGo down Main street to Maple streetになる訳だ。では何故downなのか。理由はあった。サードアヴェニューからファーストアヴェニューへ向かう場合はdownつまり通りの数字の小さい方へ行くときがdownなんだそうだ。逆の場合にはupを使うこともあるらしい。なるほどな。今思いついたが、南下北上の時も使い分けるのかな。大阪だとミナミへ行くときはGo down Midosuzi って言いそうな気がするな。

 さて、そんなこんなで無事2ヶ月40レッスンのベルリッツは終わり。結局レベル2へ上がってChapter7を終わったところで終了となった。一番初めにベルリッツへ行ったときは「Hello」 「Hay」なんて挨拶している外人と生徒を見て、「なんだこいつら」と思っていたが、今では隣の会社のおじちゃんに「なんだこいつら、日本人のくせに」という目で見られながら「Hello」と挨拶できるまでには成長した。最後に割引クーポン券を貰ったのだが、ちょっと条件が付きすぎていて俺には役に立ちそうがない。

 しかし面白いことに、誰も俺にこの後どうしますかとか、継続したほうがいいよとはいわない。まあしつこく継続勧誘しないのはとてもありがたいんだけど、商売としてそれでいいのか。普通「継続しますか」くらいは聞くだろうし、例えば継続割引とかなんかで客引っ張りつづけた方がいいんじゃないかと思うのだが。ワンセット売ったら売りっぱなしかい。まあ、余計な勧誘をしないのがベルリッツメソッドって奴なのかな。

●総論

 あたりまえの話だが、2ヶ月40レッスン行ったくらいでは喋れるようにはならない。学生の時、どこへ行くのにも「でる単」を肌身離さず持っていたときですら飛躍的に英語力が上がるなんて事はありえなかったのだ。週に何時間か外人と話すだけであっという間に英語が話せるなんて事はありえないことは解ってはいた。しかし、勉強時間の短さを棚に上げて正直言うと、もう少し英語が身近に感じられる、と言うかご挨拶程度はもっとスムーズに出来るようになるかなと思っていた。今程度の英語力では外人から電話がかかってきたらあたふたしてしまうだろう。

 内容的にもレベル1は中学英語程度の難易度なので、英語自体の能力が上がったわけでもない。中学程度の英語を喋れるようになる為に何十万もかけて英会話学校に行くのは正直言って馬鹿馬鹿しい。しかしその程度の英語すら流暢に会話できない実力しかないと言うのもまた事実ではある。俺はブロークンでいいからもっといろいろな会話が出来るようになりたいんだということが改めて認識された。

 ただまあ当初の目的の「とりあえず英会話学校がどんなものか体験してみる」「外人と話す機会を持ちたい」「ビビらずに喋れる程度に外人に慣れたい」くらいは達成できたかもしれない。レッスンで習った「挨拶」とか「お買い物」とか「道案内」がちゃんと喋れるようになるかどうかはこれからの俺の記憶力と反復練習にかかっているだろう。ちゃんと憶えて、使う機会があったらの話だが。

 今後の目標としては、まあテキストとテープを一通りやってみることと、NHKの英会話講座でも継続的に見て英語のある生活を続けること。一度TOEICは受けようと思っているのだが、10月には初級シスアドの試験を受けなければならないのでそれまではちょっと無理かもしれない。

 以上でベルリッツ受講体験記はおしまいです。次は「TOEICプロジェクト」でお目にかかりたいと思います。

 


 

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