よい中(うち)から養生(ようじょう)。 解釈:体が健康なうちに養生するのが最上の健康法だということ。予め用心 すれば、失敗しないということのたとえ。 類義:転ばぬ先の杖。用心は無事なる中。用心は前にあり。予防は治療に勝 る。 宵越しの金(かね)は使わぬ。 類義:江戸っ子は宵越しの銭は使わぬ。 宵っ張りの朝寝坊。 解釈:夜は何時までも起きていて、朝は早く起きられない人のこと。 類義:朝寝坊の宵っ張り。 酔いどれ、怪我せず。 解釈:酔っ払いは案外大怪我をしない。無我無心の者はかえって大きな失敗 をしないことのたとえ。 好い仲には垣がある。 解釈:親しくとも一定の隔てを置いて、礼を失しないようにしなければいけ ないという戒め。 類義:親しき中に礼儀あり。 好い仲の小諍(いさか)い。 解釈:親密な間柄の者にはかえって小さな争い事があるものだという意。 類義:思う仲の綴り諍い。 酔いに十(とお)の損あり。 解釈:酒に酔うと、いろいろの弊害が出て来るということ。 類義:酒は諸悪の基。 反義:酒三杯は身の薬。酒は十の徳あり。 宵寝朝起き長者の基。 解釈:早寝早起きは、金持になる元だということ。 類義:朝起きは三文の徳。 よい花は後から。The good flower flowers later. 解釈:充実した立派な物は、後から現れることのたとえ。 活用⇒本命は、最後に登場する。The favorite appears at the end. 類義:名のない星は、宵から出る。 用ある時の地蔵顔、用なき時の閻魔顔。 解釈:頼みたいことがあるときは愛想がよいのに、用がないと嫌な顔をする こと。 類義:借りる時の地蔵顔、済(な)す時の閻魔顔。 楊枝(ようじ)で重箱(じゅうばこ)の隅を穿(ほじく)る。 解釈:取るに足らない些細なことまで、穿りだして口出しすること。 類義:重箱の隅を楊枝で穿(ほじ)る。 養生(ようじょう)に身が痩せる。 解釈:養生するには金(かね)がかかる。費用の捻出に苦労し、かえって身 が痩せること。 類義:人参飲んで、首括る(くくる)。 用心に怪我なし。 解釈:用心すれば、失敗がないということ。 類義:疑いは安全の母。人を見たら泥棒と思え、火を見たら火事と思え。 用心には網を張れ。 解釈:用心の上にも用心を重ねること。 類義:転ばぬ先の杖。念には念を入れよ。 用心は臆病(おくびょう)にせよ。 解釈:幾ら用心しても、し過ぎることはない。臆病なくらいに用心せよとい う意。 類義:用心には網を張れ。 用心は前にあり。 類義:転ばぬ先の杖。 羊頭狗肉(ようとうくにく)。 解釈:見掛け倒し。外観は立派だが、内容が思いの外よくないこと。店の看 板に羊の頭を懸けて、実際は偽って狗肉(小さい犬の肉)を売るということか ら。 類義:看板に偽りあり。牛首(ぎゅうしゅ)を懸げて、馬肉を売る。球を衒 (てら)いて、石を売る。 反義:看板に偽りなし。 参考:He cries wine, and sells vinegar.(酒を売ると称して酢を売る) 用に叶えば宝なり。 解釈:どんなに詰まらない物でも、役に立てば宝のようである。幾ら立派な 物でも、役に立たなければ宝とはいえない。 よきも悪しきも七十五日。 類義:人の噂も七十五日。 斧(よき)を針に磨ぐ。 解釈:斧(おの)を針になるまで研ぎ続ける。気長に、一つの事に精出して 努めること。 善く泳ぐ者は溺れる。 解釈:人は得意とする面でかえって失敗する事が多いというたとえ。 類義:過ちは好む所にあり。河童の川流れ。川立ちは川で果てる。 欲には目見えず。 解釈:欲のために理性を失うこと。 類義:金を攫(つか)む物は人を見ず。鹿を逐(お)う者は山を見ず。欲に 耽(ふけ)る者は目見えず。 欲の熊鷹、股裂くる。 解釈:欲が過ぎると災難に遭うことのたとえ。二頭並んだ猪を熊鷹が襲った が、猪が左右に逃げようとするのを放すまいとして、鷹の股が裂けたという話 から。 類義:二兎を追う者は一兎をも得ず。欲すりゃ損する。欲する鷹は爪落とす。 欲の世の中。 解釈:人は全て欲得で動いている。 類義:欲に頂(いただき)なし。欲の袋に底なし。 よく学び、よく遊べ。 活用⇒日々、真面目に勉強し、その後に気楽になろう。Every day, let's study seriously, and become comfortable afterwards. よくゆうて悪く言わるる後家の髪。(川柳) 解釈:未亡人が髪を美しく結うと、不品行の疑いで悪口を言われる。「結う」 に「言う」を掛けて、折角人を褒めたのに、誤解されて割の悪い立場に立たさ れることを洒落ていう川柳。 予言者郷里に容れられず。 解釈:優れた先覚者も、郷里の人からは偉く思われないことが多い。 類義:人は故郷を離れて貴し。 夜声八町(よごえはっちょう)。 解釈:夜は辺りが静かなので、声が遠くまで聞こえるということ。 類義:こそこそ三里。囁(ささや)き千里。 横紙(よこがみ)破り。 解釈:和紙は縦に裂けやすく、横に裂けにくい。それを敢えて横に裂こうと することから、無理を押し通そうとすること。 類義:横車を押す。 横車を押す。 解釈:横の方向に車を押すことから、道理に合わないことを強引に押し通す こと。 類義:横紙破り。横に車。 横槍を入れる。 解釈:第三者が横から口出しをすること。 類義:横矢を入れる。 吉田松陰の辞世の歌。 親思う心にまさる親心 今日のおとずれ何と聞くらむ。 義経(よしつね)と向こう臑(ずね)。 解釈:言葉の語呂は似ていても、内容は全然違う物のたとえ。 類義:浮塵子(うんか)と天下。 葦(よし)の髄(ずい)から天井覗く。 解釈:自分の狭い見識で大きな問題を判断することのたとえ。 類義:鍵の孔(あな)から天を見る。針の穴から天上覗く。火吹竹から天を 見る。 よ過ぎて鳥が啼く。 解釈:よ過ぎると、後で悪い事が起こるという意。夜過ぎて鳥が鳴くと不吉 といわれた。「良過ぎる」と「夜過ぎる」を掛けた言葉。 類義:満は損を招く。よ過ぎて魔が差す。 他所の花はよく見える。 類義:隣の花は赤い。 蚊母鳥(よたか)の宵(よい)工(だく)み。 解釈:不可能な事を計画する。計画だけは大きいけれど実現できないたとえ。 類義:梟(ふくろう)の宵工み。蚊母鳥の食(じき)工み。 淀む水には、芥(ごみ)溜まる。 解釈:流れのない淀みには塵が溜まり、水も腐る。人も新しく入れ替えない と、人心の腐敗を招きやすいことのたとえ。 類義:流水は腐らず。 世の取沙汰は、人に任せよ。 解釈:世間はとかく人の噂を好むものだから、言いたい者には言わせておく がよい。 類義:人の口には戸は立てられぬ。 世の中は九分(くぶ)が十分(じゅうぶん)。 解釈:世の中の事は儘(まま)ならないのが常だから、思った事が九分通り できれば満足すべきだということ。 世の中はなるようにしかならない。 解釈:この世の中、幾ら努力しても焦っても、どうにもならないことがある。 類義:明日(あした)は明日の風が吹く。 世の中は三日見ぬ間の桜かな。(俳句) 解釈:桜の花が三日見ないうちに散ってしまうように、世の中の移り変わりの激しいことをいう。島蓼太(しまくょうた)の句。 類義:諸行無常(しょぎょうむじょう)。 世は相持ち。 解釈:この世は、人と人が互いに助け合っていかなければいけないというこ と。 類義:人は相持ち。世の中は相持ち。 世は情(なさけ)。 解釈:世渡りには、互いに思いやりの心を持って、助け合うことが必要であ る。 世は七下がり、七上がり。 解釈:人生には悪い時もよい時もある、浮き沈みの繰り返しであるというこ と。 類義:浮き沈み七度。 呼ぶより謗(そし)れ。 解釈:人を呼ぶには、その人の悪口を言った方が早い。 類義:噂をすれば影が刺す。 予防は治療に勝る。 類義:よい中(うち)から養生。 夜道に日は暮れぬ。 解釈:どうせ遅くなったのだから、もう慌てることもないということ。 類義:夜道に急ぎはない。夜道に遅い暗いはない。 嫁が姑になる。 類義:昨日は嫁、今日は姑。 夜目十目(よめとおめ)。 解釈:「夜目遠目」の変化したもの。三つ違い、九つ違いの男女の縁組は不 縁になるとして忌み嫌う俗信があった。「四目(十目)」とは年齢の差が四年 目(十年目)、即ち三つ(九つ)の違いのこと。 類義:四悪十悪。四目十目七つ目。 夜目遠目笠の内(よめとおめかさのうち)。 解釈:女の人は、夜見たり、遠くから見たり、笠の下から覗いて見ると、実 際以上に美しく見えるものである。 類義:遠目山越し笠の内。 嫁と姑、犬と猿。 解釈:嫁と姑とは極めて仲が悪いものだという意。 嫁と姑も七十五日。 解釈:嫁に来た当座は姑とも仲がよいが、日が経つに連れ不仲になるという 意。 類義:嫁と姑の仲のよいのは盆三日。嫁の三日褒め。 嫁の朝立ち、娘の夕立ち。 解釈:嫁が実家に帰るときには、いそいそと朝早く出るが、娘が婚家に帰る となると、夕方しぶしぶ戻るという意。嫁が生家を慕う心の強いことをいう。 嫁の三日褒め。 解釈:嫁が来た当座は姑も褒めるが、それもほんの短い期間のことだという 意。 類義:女房百日、馬二十日。嫁二十一日。 嫁は姑に似る。 解釈:嫁は何時の間にか姑がしていたように、家事を切り回すようになると いう意。 嫁は庭から貰え。 類義:婿は座敷から貰え、嫁は庭から貰え。 嫁を貰えば親を貰え。 解釈:娘は親の影響を受けて育つものだから、嫁に貰うときは、親の人柄を 見るとよいということ。 類義:嫁を見るより親を見よ。 由(よ)らしむ可(べ)し、知らしむ可からず。(論語) 解釈:国民を為政者の定めた方針に従わせることはできるが、その原理や方 針を全ての人に理解させることはできない。 参考:「知らしむ可からず」を「知らせるな」と解釈し、封建時代の政策と して説かれたこともあったが、誤りである、という。 寄らば大樹の蔭。 解釈:身を寄せるなら、小さな木より大木の下、力のある人を頼った方がよ いということ。 類義:立ち寄らば大樹の蔭。箸と主(しゅう)とは太いがよい。寄らば大木 (おおき)の下。 反義:鶏口(けいこう)となるも牛後(ぎゅうご)となる勿れ(なかれ)。 夜の錦。 類義:闇夜の錦。 夜は忠告を齎す(もたらす)。 解釈:何か大切なことを決めるときは、その場で決めてしまわず、一晩よく 考えてからがよいということ。 類義:枕と相談せよ。夜は思案の母。 夜昼(よるひる)あって立つ世の中。 解釈:昼ばかりでも困るし、夜ばかりでも困る。対応する両者があってこそ、 世の中は成り立っていくものだということ。 喜んで尻餅を搗く。 解釈:得意になり過ぎると失敗を招く。 万(よろず)の病は心から。 類義:病は気から。 弱牛(よわうし)の尻押し。 解釈:詰まらない者に同情したり、力を貸したりしても無駄だということ。 弱馬(よわうま)、道を急ぐ。 類義:痩馬の道急ぎ。 弱くても相撲取。 解釈:専門家ともなれば、たとえ優秀でなくても、素人に勝るというたとえ。 類義:芸は道によって賢し。商売は道によって賢し。 世渡りの殺生は、釈迦も許す。 解釈:職業や生活のためならば、多少の過ちや無慈悲もやむを得ない。 弱り目に祟り目。 解釈:弱ったときに、また災難に遭うこと。不運の上に不運が重なることを いう。 類義:落ち目に祟り目。鬼は弱り目に乗る。泣き面(つら)に蜂。病む目に 突き目。 参考:Misfortunes never come singly.(不幸は一人で来ない) 世を捨つれども、身を捨てず。 解釈:隠遁したり出家したりはするが、命までは捨てない。命ほど惜しいも のはないということ。 |