英雄色を好む。 解釈:英雄といわれる人は、精力も、征服欲も旺盛なため、情事を好む傾向 が強い。 参考:英雄色に迷う。 得がたきは時、逢いがたきは友。 解釈:好機は逃しやすく、親友は得ることが難しい。 益者三友、損者三友(論語)。 解釈:交際して為にになる友人に三種あり、為にならない友人にも三種ある。 為になる友人とは、正直な人、誠実な人、知識のある人で、為にならない友人 とは、へつらう人、誠のない人、口ばかり達者な人である。 易者、身の上知らず。 解釈:易者は他人の運勢は占うが、自分のこととなると分らない。自分のこ とには正しい判断ができないということのたとえ。 類義:医者の不養生。陰陽師(おんようじ)身の上知らず。髪結(かみゆい) の乱れ髪。紺屋(こうや)の白袴。儒者の不身持ち。坊主の不信心。 えぐい渋いも味の中。 解釈:味にはいろいろあり、幅が広く、奥行きの深いものだということ。 類義:熱さ冷たさ味のうち。 靨(えくぼ)は七難隠す。 解釈:靨は可愛いので、ほかに欠点があっても目立たないという意。 類義:色の白いは七難隠す。 会者定離(えしゃじょうり)。 解釈:会う者は必ず何時かは別れる運命にある。この世の無常をいったもの。 類義:逢うは別れの始め。 参考:生者必滅(しょうじゃひつめつ)会者定離。 えせ侍の刀いじり。 解釈:武士らしくない卑怯な侍に限って、人前で刀をいじってみせるもので ある。 類義:えせ者の空(そら)笑い。 えせ者の空(そら)笑い。 解釈:軽薄な者は、可笑しくないのにえせ笑いをするということ。 類義:えせ侍の刀いじり。曲者(くせもの)の空笑い。世辞で丸めて浮気を 捏(こ)ねる。 枝先に行かねば、熟柿(じゅくし)は食えぬ。 類義:虎穴にいらずんば虎児を得ず。 越鳥(えっちょう)南枝(なんし)に巣くい、胡馬(こば)北風(ほくふ う)に嘶く(いななく)。 解釈:故郷が忘れ難いことのたとえ。中国の南国越(えつ)から来た鳥は他 国へ行っても、南側の枝に巣を作り、北国胡(こ)から来た馬は他国にあって も北風が吹くと北の胡地を慕って嘶く。 類義:鳥は古巣を慕い、北国の馬は北風に嘶く。 得手に鼻つく。 解釈:得意なことがかえって失敗のもとになること。 類義:得手で手を焼く。得手物で仕損ずる。泳ぎ上手は川で死ぬ。好む道よ り破る。 参考:Good swimmers are oftenest drowned.(よく泳ぐ者はおぼれることが 最も多い) 得手に帆を上げる。 解釈:よい機会が到来したとき、逃さずにこれを利用し、調子に乗って事を 行うこと。 類義:得手に棒。得手に帆を引く。追手(おいて)に帆を上げる。順風満帆 (じゅんぷうまんぱん)。真帆(まほ)に追手(おって)。渡りに舟。 参考:Hoist your sail when the wind is fair.(順風のときに帆を上げよ) 得手八人力。 解釈:相撲界で得意の手は、八人力に相当するということ。 類義:得手千人力。 江戸中の白壁は皆旦那。 類義:此処ばかりに日は照らぬ。 江戸中っ子は五月(さつき)の鯉の吹流し。 解釈:江戸の人は言葉は荒っぽいが、腹の中はさっぱりしていて、含むとこ ろがない。「口先ばかりで腸(はらわた)なし」と続く。 類義:江戸っ子は五月の鯉で口ばかり。 江戸っ子は宵越しの銭(ぜに)は使わぬ。 解釈:江戸っ子は金離れがよく、その日稼いだ金はその日のうちに使ってし まい、翌日に残すことはしない。 類義:江戸っ子は宵越しの銭は持たない。 江戸の敵(かたき)は長崎で討つ。 解釈:意外な場所で、また筋違いの事で仕返しをすること。 江戸は八百八丁、大坂は八百八橋。 解釈:江戸や大坂の広いことのたとえ。江戸には町数が多く、大坂は淀川の 支流や掘割(ほりわり)に架かった橋が多い。 類義:江戸は三千余町。 江戸べらぼうに、京どすぇ。 解釈:江戸と京都の方言の特徴を挙げたもの。「べらぼう」は、馬鹿あるい は甚だしいの意で、江戸っ子は人を罵るとき「べらぼうめ」と言った。「どす ぇ」は、ですよの意。 類義:大坂さかいに、江戸べらぼう。長崎ばってん、江戸べらぼう。 江戸者の生まれ損ない金(かね)を溜め。 類義:江戸っ子は宵越しの銭(ぜに)は使わぬ。 画に描いた餅。 解釈:話や計画がどんなに素晴らしくても、実現しなければ役に立たないと いうたとえ。「画餅(がへい)」ともいう。 類義:画に描いた餅、飢えをいやさず。 柄の無い所に柄をすげる。 解釈:理屈の無いところに無理にこじつけて、理屈をつけること。 類義:理屈と膏薬(こうやく)はどこへもつく。 恵比寿講(えびすこう)の儲け話。 解釈:実際にあり得ない夢のような大儲けの話。 参考:「恵比寿講」は十月二十日と一月二十日に恵比寿神をまつる祭。この 日、商家では、恵比寿神の前で家人同士で売買の真似をし、一万両、十万両な どと途方もない値をつけて競り売りしたり、大儲けの話をして商売の繁盛を祈 った。 蝦で鯛を釣る。 解釈:少しの元手で大きな利益を得るたとえ。蝦のように小さい餌で鯛のよ うに大きな獲物をとらえること。略して「えび鯛」ともいう。 類義:雑魚(ざこ)で鯛釣る。鼻糞(はなくそ)で鯛を釣る。麦飯(むぎい い)で鯉を釣る。 参考:Throw a sprat to catch a whale.(小鰯を投げて鯨を捕る) 笑みの中(うち)の刀。 解釈:うわべは柔和だが、内心では腹黒く悪だくみをしていること。 類義:餌の中の針。笑みの中に刀を抜く。笑中(しょうちゅう)に刀あり。 真綿(まわた)に針。 栄耀(えよう)の餅の皮。 解釈:贅沢に慣れると、餅の皮まで剥いて食うようになる。度を越して贅沢 をするたとえ。 類義:栄華の上の餅の皮剥く。豆腐の皮を剥く。 選んで粕(かす)を掴む。 解釈:あまり選り好みし過ぎると、かえって悪い物を取る結果になる。結婚 の相手選びなどについていうことが多い。 類義:選(よ)れば選り屑。 鴛鴦(えんおう)の契(ちぎ)り。 解釈:鴛鴦(おしどり)は雌雄何時も一緒で仲がよいところから、夫婦仲の 睦まじいことのたとえ。 遠交近攻(えんこうきんこう)。 解釈:利害の衝突しない遠い国とは仲よくしておいて、背後から牽制させ ながら、近い国を攻める策。中国の戦国時代に范雎(はんしょ)が唱えた外交 政策。 燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや。 解釈:小人物には大人物の遠大な志が分らないというたとえ。燕雀(つばめ とすずめ)のような小さい鳥には、鴻鵠(おおとりとくぐい(白鳥))のよう な大きな鳥の志すところは理解できない。中国の秦(しん)の時代に陳渉(ち んしょう)が言った言葉。 類義:鶯鳩(おうきゅう)大鵬(たいほう)を笑う。猫は虎の心を知らず。 遠水近火を救わず。 解釈:遠方にいては急場の役に立たないことのたとえ。遠くの水では、近く の火事を消せない。 類義:遠い親戚より近くの他人。 円転滑脱(えんてんかつだつ)。 解釈:物事が滞りなく運ぶこと。かどを立てず変化に応じて、自在にすらす らと処理する様をいう。 縁(えん)と命(いのち)は繋がれぬ。 解釈:一度死んだらもう生き返らないように、縁も一度切れたら再び繋ぐこ とはできない。 類義:縁の切れたのは結ばれぬ。破鏡再び照らさず。覆水(ふくすい)盆に 返らず。 縁なき衆生(しゅじょう)は度(ど)し難し。 解釈:人の意見に耳を貸さない者は、救いようがないということ。仏の広大 な知恵と慈悲をもってしても、仏を信じないような仏縁(ぶつえん)のない者 は救うことができない。 縁の切れ目は子でつなぐ。 解釈:夫婦の間が決裂しても、子供がその縁を繋ぎ止め、別れることはない。 類義:子は鎹(かすがい)。 縁の下の鍬使い。 解釈:頭が上らないたとえ。また、窮屈で自由に働けないこと。 類義:九尺の間で二間(にけん)の槍を使う。雪隠(せっちん。便所)で槍 を使う。 縁の下の力持ち。 解釈:人の目につかない所で努力し、陰で支えている人のこと。他人のため に骨を折るばかりで、世の中に認められないことをいう。 類義:縁の下の掃除番。縁の下の舞。楽屋で声嗄(か)らす。陰の舞の奉公。 簀子(すのこ)の下の舞。闇の独り舞。 縁の目には霧が降る。 解釈:縁の繋がる者同士には、相手の欠点さえもよく見える。贔屓目(ひい きめ)に見れば、なんでも美化されることのたとえ。 類義:痘痕(あばた)も靨(えくぼ)。 縁は異なもの。 解釈:男女の結びつきは、人知(じんち)の及ばない、真に不思議なもので ある。 類義:合縁奇縁(あいえんきえん)。出雲の神の縁結び。縁は異なもの味な もの。縁は知れぬもの。 参考:Marriages are made in heaven(縁組は天国でなされる) 縁木求魚(えんぼくきゅうぎょ)。 解釈:「木に縁(よ)りて、魚を求む」木の上に登って、魚を捕まえようと するのと同じで、方法が間違っていて、実行が絶対に不可能なこと。 類義:木に縁(よ)りて、魚を求む。 遠慮なければ近憂(きんゆう)あり(論語)。 解釈:現状に満足して先々のことを考えないと、必ず急な心配事が起こって 悩むことになるという戒めの言葉。 遠慮は無沙汰(ぶさた)。 解釈:先方の気持を思うあまり遠慮して訪問を控えていると、かえって遠の くことになり、礼を欠く結果になる。 類義:遠慮が無沙汰になる。 遠慮ひだるし伊達(だて)寒し。 解釈:外見を飾ることを戒めた言葉。遠慮して食べなければひもじいし、美 しく見せようと薄着をすれば、寒い。 類義:遠慮は腹へたまらぬ。賢者ひだるし伊達寒し。伊達の薄着。 |