刃(やいば)から出た錆(さび)は、砺ぐに砥石がない。 類義:身から出た錆。 刃(やいば)は切れるが重宝(ちょうほう)。 解釈:用途に合う物が、よい物である。 八百長。Match-fixing. 解釈:予め打ち合わせておき、表面上だけ争った振りをして、他者を騙すこ と。明治初年頃、屋号が八百長という八百屋が、相撲のある年寄(としより) としばしば碁を打っていたが、秀でた技術を持ちながら、巧みに扱って一勝一 敗になるように持ち込んでいたところから出た言葉。 活用⇒勝負する前に、勝ち負けを決めておくこと。Before the game, that you decide to win or lose. 焼きが回る。Grilled spin. 解釈:熱した鋼(はがね)を急激に冷やすことにより、刃物に堅さが出てく るが、熱し過ぎると、脆(もろ)くなったり切れ味が悪くなることから、年を 取り愚鈍になるの意。 活用⇒年を取ると、愚鈍になる。Person, as his age, be crass. 焼餅と欠餅(かきもち)は焼く方がよい。Jealousy and rice cake is burning better. 解釈:女は嫉妬する方が寧ろよいというたとえ。 活用⇒女は嫉妬する。しかし、神の嫉妬心はより強力だ。Women are jealous. But the jealousy of a god is more powerful.(The god is a general god.) 類義:悋気(りんき)は女の七つ道具。 反義:焼餅焼いて、食い手なし。 焼餅焼くとて、手を焼くな。Willing to be jealous, not to ruin. 解釈:嫉妬もほどほどにして、身を誤るなという戒め。 活用⇒貴方は私を嫉妬している。神も私を嫉妬している。でも貴方は神に は敵いません。諦めなさい。You are jealous of me. A god is jealous of me too. But a god is not your enemy. Please give up.(The god is a general god.) 類義:焼餅焼くなら狐色。 焼きを入れる。 解釈:刀の刃を焼いて鍛える。人に刺激や苦痛を与えて、しゃんとさせる。 役者が一枚上。 解釈:才知を働かせた謀(はかりごと)や駆け引きが抜きん出ていること。 役者に年なし。 解釈:役者はどんな年齢の役も巧みに演ずる。何時までも若いことをいう。 類義:芸人に年なし。役者は年知らず。 薬石(やくせき)の言(げん)。 解釈:身のためになる忠告。「薬石」は薬と石鍼(いしはり)で、病を治療 する際に用いられたことから、転じて薬と治療を意味する。 役人多くして事絶えず。 類義:船頭多くして、船山へ上る。 役人と木片(きぎれ)は立てるほどよい。 解釈:役人は、お世辞を言って顔を立てておけば損はないという意。木片も 立てるとよく燃える。 疫病神(やくびょうがみ)で讎(あだ)を取る。 解釈:呪って仇(かたき)を討つこと。正当に向かっては敵わないので、敵 (かたき)に疫病神が執り憑くように祈ること。 類義:風邪の神で敵を取る。 薬籠中(やくろうちゅう)の物。 解釈:薬箱の中の薬。必要なとき、何時でも役立つ物の意で、自分の身に付 けた技術や物のこと。また、自分の言いなりになる人や必要な人物のことをい う。 類義:自家薬籠中の物。 焼跡の釘拾い。 解釈:火事で大損害を受けてから、焼けた釘を拾ってみても、どうにもなら ないことから、遊興などで大金を失った後で、細かな事にけちけちすることの たとえ。 類義:焼庭の釘拾い。 焼石に水。 解釈:焼けた石に、少しばかりの水を掛けても冷めない。援助や努力の力が 僅かで、効果が上がらないこと。 類義:焼石に雀の涙。 焼けた後は立つが、死んだ後は立たぬ。 解釈:火事に遭った家は復興するが、主(あるじ)亡き後の家は潰れること が多い。 焼面(やきづら)火に懲(こ)りず。 解釈:失敗に懲りずに、また同じ事を繰り返すたとえ。 類義:火傷(やけど)火に懲りず。 火傷(やけど)火に怖(お)じる。 解釈:経験した失敗を、必要以上に怖がること。 類義:羹(あつもの)に懲りて、膾(なます)を吹く。 参考:A burnt child dreads the fire.(火傷した子は火を怖がる) 焼野の雉子(きぎす)、夜の鶴。 解釈:雉(きじ)は巣のある野を焼かれると、身の危険を冒して子を救い、 巣籠る鶴親は霜の降りた夜、子を羽で覆って温める。親の子に対する情の深さ のたとえ。 参考:A mother's heart is always with her children.(母の心は何時も子 の上にある) 焼け木杙(ぼっくい)には火が点き易い。 類義:燼(もえぐい)には火が点き易い。 野狐禅(やこぜん)。 解釈:深く悟りもしないのに、自分だけは悟り切った気でいる人を嘲(あざ け)っていう。 夜叉(やしゃ)が嫁入り。 解釈:醜い女の厚化粧を嘲(あざけ)る言葉。夜叉とはインドの鬼神で、姿 が醜悪なだけでなく、性質も猛悪だったという。 夜食過ぎての牡丹餅(ぼたもち)。 解釈:夕飯が済んで満腹なところに、牡丹餅を貰っても有り難くないこと。 時機を逃しては価値がないことのたとえ。 夜食は食の足しにならぬ。 解釈:夜食は睡眠中に消化器を働かせるため負担を掛けるので、健康上よく ない。また熟睡も妨げる。 野心(やしん)。 解釈:身分不相応の望みや企み。慣れ親しまず、人をも害する恐ろしい心の 意。 類義:野望。狼子野心(ろうしやしん)。 安請合いは当てにならぬ。 解釈:安請け合いをする人は違約が多く、当てにならない。 類義:諾(だく)を軽んずる者は、信寡(すくな)し。 安かろう悪かろう。 解釈:値段が安い分、品質も悪いこと。 類義:銭は銭だけ。安物買いの銭失い。 安きに危うきを忘れず。 解釈:世の中が安泰でも、乱れる時を予想して油断しないこと。賢者の心掛け。 類義:治(ち)に居て乱を忘れず。 安物買いの銭失い。 解釈:安物は品質が悪いので、結局損をすることになるということ。 類義:値切りて高買。安物買いの銭乞食。安物に化物が出る。安物は高物。 鑢(やすり)と薬の飲み違い。 解釈:一寸聞くと似ているが、大変な違いがあること。早合点すること。 類義:義経と向こう臑(ずね)。 痩せ牛も数集(たか)れ。 解釈:痩せた弱い牛でも数が集まれば、重い荷を曳くことができる。 類義:餓鬼(がき)も人数。枯木も山の賑わい。 痩せ腕にも骨。 類義:一寸の虫にも、五分(ごぶ)の魂。 痩馬に重荷。 解釈:身分不相応の重い責任を負うこと。 類義:小舟に荷が勝ったよう。 痩馬に鞭。 解釈:弱い物に、更に打撃を与えること。また、痛々しい様子のたとえ。 類義:痩馬に重荷。痩馬に針を立てる。 痩馬の声嚇(おど)し。 解釈:鳴き声だけは威勢がよいが、実力がないこと。 類義:痩子(やせご)の大声。弱い者の空威張り。 痩馬の道急ぎ。 解釈:弱い者が何とかしようと気ばかり焦って功を急ぐことのたとえ。 類義:小馬の朝駆け。弱馬道を急ぐ。 痩馬鞭を恐れず。 解釈:酷使された馬は、苦しみに恐れなくなり、主人の命令を聞かなくなる。 罰で脅すより愛情を以って使えということ。 類義:飢えたる犬は棒を恐れず。 痩我慢は貧から起こる。 解釈:困難や不自由を忍ぶのも、貧乏でやむを得ないからであって、好き好 んで不自由な思いをする者はないということ。 類義:伊達の素足も貧から起こる。 痩子にも産土(うぶすな)。 解釈:痩せ細った子にも、氏神様は付いている。誰にも保護者があること。 痩せても枯れても元が元。 解釈:元が無一文な者は、落ちぶれたなどと豪語しても、初めから何も無い のだから、落ちぶれようがない。「痩せても枯れても」と見得を切るのを、か らかう言葉。 痩せは治っても、人癖は治らぬ。 解釈:痩せているのは治っても癖は治らないこと。痩せのヤ(八)と癖のク (九)を掛けた言葉。 類義:病は治るが、癖は治らぬ。 痩法師の酢(す)好み。 解釈:痩せた人は酢の料理が好きだということ。また、酢を飲むと痩せると いわれるところから、体に悪い物が好きなたとえにいう。 類義:痩子の酢好み。痩せの酢好み。 八つ子も癇癪(かんしゃく)。 解釈:小さな子供でも言い分のあるときは、癇癪を起こして自己主張するこ と。 解釈:一寸の虫にも五分の魂。粉糠(こぬか)にも根性。蛞蝓(なめくじ) にも角。痩せ腕にも骨。 やってみせ、言って聞かせて、させてみて、 ほめてやらねば人は動かじ (山本五十六)。I perform a copybook for him and explain it. I let him review it afterwards. And he never acts if he does not praise him. 宿取らば、一に方角、二に雪隠(せっちん)、三に戸締り、四には火の元。 解釈:旅先の宿での注意事項。 柳風に撓(しな)う。 解釈:柳は風に吹かれるままに靡くので、枝を痛められるようなこともない。 人も従順でいれば、他から傷付けられることもないというたとえ。 類義:楊柳(ようりゅう)の風に吹かるる如し。 柳に風。 解釈:言われた事を上手に受け流して、逆らわない。「柳に風と受け流す」 という。 類義:楊柳(ようりゅう)の風に吹かるる如し。 柳に風折れなし。 類義:柳に雪折れなし。 柳に雪折れなし。 解釈:柔軟な柳の枝は、よく撓(しな)って大雪が降っても適度に雪を払い 除け、枝に溜めることはないので、枝が折れることもない。柔軟な物は、剛直 な物より耐久力に富んでおり、一見弱々しい人の方が、試練に適応しやすいと いうこと。 類義:堅い歯は折れても、柔い舌は折れぬ。木強ければ則ち折る。柔よく剛 を制す。柳で暮らせる。柳に風折れなし。 参考:Better bend than break.(折れるよりは撓(たわ)むが勝る) 柳の下の泥鰌(どじょう)。 解釈:たまたま柳の下で泥鰌を捕まえたからといって、何時もそこで捕まえ られるとは限らない。一度よい事が起こったからといって、度重なるものでは ないということ。 類義:何時も柳の下に泥鰌は居らぬ。 類義:株(くいぜ)を守る。大猟の明日。 参考:A fox isn't caught twice in the same snare.(狐は二度と同じ罠 に掛からない) 柳は緑、花は紅(くれない)。 解釈:理に適って自然のあるがままの姿。また、物事は様々だということ。 春の風物の美しさの形容でもある。 野に遺賢(いけん)無し。 解釈:賢者は全て政府に任用されて、民間に賢者が残っていないこと。 |