矢張り野に置け、蓮華草(れんげそう)。 解釈:野の花は野原で咲いているからこそ美しい。人もその人に合った環境 の中で、幸福が掴めるものだということ。 藪医者の玄関。 解釈:藪医者は立派な家を設け、患者を信用させようとすること。不釣合い に立派な玄関を冷やかす言葉。 類義:山師の玄関。 藪医者の手柄話。 解釈:下手な者ほど自慢話をしたがる。 藪医者の病人選び。 解釈:下手な者ほど、仕事の内容を選り好みすること。 藪医者の薬味箪笥(だんす)。 解釈:下手な者ほど道具に拘ること。 類義:下手の道具調べ。 藪から棒。 解釈:出し抜けにすること。物事が不意に起こって思い掛けない様子のたと え。 類義:窓から槍。藪から棒を突き出す様。 参考:A bolt from the blue.(青天の霹靂) 藪に功の者。 解釈:草深い所にも思い掛けずに立派な人物がいるという意。 藪の中の茨(うばら)。 解釈:藪の中の薔薇は、曲がったり絡んだりして、真っ直ぐに育たないよう に、友が悪くてはよい人間にはならない意。 類義:朱に交われば赤くなる。 破れても小袖(こそで)。 解釈:元がよければ、たとえ痛んでいてもそれだけの値打ちがあること。 類義:腐っても鯛。千切れても錦。 藪を突(つつ)いて蛇を出す。 解釈:余計なことをして、かえって災いを起こすこと。「藪蛇」とも言う。 参考:It's not good to wake a sleeping lion.(眠ったライオンを起こす な) 病、膏肓(こうこう)に入る(いる)。 解釈:不治の病に罹ること。重病で治る見込みがないこと。転じて、悪癖や 弊害が手の付けられないほどになるたとえ。 病上手に、死に下手。 解釈:軽い病気に罹りやすい人は案外大病には罹りにくく、長生きすること。 反義:病み上手に、治り下手。 病と命は別物。 解釈:病気の重さと寿命とは、全く別のものである。死は天命によるという 意。 病治りて、医師(くすし)忘る。 解釈:病気が治れば医者の有り難さも忘れる。苦しいときに受けた恩も、楽 になれば直ぐに忘れてしまうというたとえ。 類義:咽元過ぎれば、熱さを忘れる。 病の紙袋。 解釈:病気ばかりしている人の意。何時も風邪を引いている人は、「風邪袋」 という。 病は気から。 解釈:病は気の持ちようで、よくも悪くもなるということ。 類義:気軽ければ病軽し。諸病は気より。百病は気から起こる。病気は気で 勝つ。 病は口より入(い)り、禍いは口より出ず。 解釈:病は口に入る飲食物から生じ、災いは口から出る言葉から生じる。 口は慎まなければいけないということ。 類義:口は禍(わざわい)の門。病は口から。 病を知れば、癒ゆるに近し。 解釈:病の根元が分かれば、全快も近い。自分の欠点さえ分かれば、容易に 改められるということ。 山師の玄関。 解釈:中味はなくて外観ばかりを飾ることのたとえ。見かけばかり立派なこ と。 類義:医者の玄関。藪医者の玄関。 山師、山で果てる。 類義:川立ちは川で果てる。 山高きが故に尊(たっと)からず。 解釈:外観が立派なだけでは本当に値打ちがあるとはいえない。実質が伴っ て初めて尊いといえるということ。 山と言えば川。 類義:ああ言えばこう言う。 大和魂(やまとだましい)。The Japanese spirit. 解釈:次の歌を参考。 敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ 山桜花(本居宣長) かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂(吉田松陰) 身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂(吉田松陰) 剣道は 神の教への道なれば 大和心をみがくこの技(高野佐三郎) 活用⇒大和魂(真の日本精神)。True Japanese spirit. 類義:かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂。 類義:和魂洋才(わこんようさい)。 山に躓(つまず)かずして、垤(ありづか)に躓く。 解釈:大きな事には用心するから失敗することは少ないが、小さな事には油 断してかえって失敗しやすいというたとえ。 山に蛤(はまぐり)を求む。 類義:木に縁りて魚(うお)を求む。 山に舟を乗るよう。 解釈:山で舟に乗るように、無理なこと、理屈の通らないことのたとえ。 山の芋、鰻(うなぎ)とならず。 解釈:世の中には突拍子もない変化などというものはないということ。 反義:山の芋が鰻になる。 山の芋が鰻(うなき)になる。 解釈:ある筈のないことが起こり得る世の中であるというたとえ。思い掛け ない変化のこと。 類義:雀、海中に入って蛤(はまぐり)となる。腐草、化して蛍となる。 反義:山の芋、鰻とならず。 参考:昔、僧侶は殺生戒めのため肉食を禁じられていたので、鰻を山芋と称 して密かに蒲焼にして食べていたという。 山の芋を蒲焼にする。 解釈:山の芋が鰻になるということから、まだ鰻にならない山の芋を蒲焼に しようと考えること。途中を抜きにして早まることの甚だしいたとえ。 類義:飛ぶ鳥の献立(こんだて)。 山の奥にも風は吹く。 解釈:何処に行っても人の世の無常からは離れられないということ。 山の奥にも都あり。 解釈:山の中も捨てたものではないというたとえ。 類義:住めば都。 山彦と女は同じように、秘密を保つ。 解釈:女は山彦にように、聞いた秘密をそのまま人に話してしまうものだ。 類義:女は知らないことしか隠さない。 山より大きな猪(いのしし)は出ぬ。 解釈:誇張するにも限度があるということ。器より大きな物が入っていると いうことはあり得ないというたとえ。 闇から牛を牽き出す。 解釈:暗くて何が何だか分からないこと。また、性質が鈍間(のろま)で歯 切れが悪くて、要領を得ない人をたとえていう。 類義:暗闇から牛。 闇から闇に葬る。 解釈:事件が世間に知られないように秘密のうちに始末すること。 闇に提灯、曇に笠。 解釈:何事にも用心が大切だということ。 闇に独り舞。 解釈:徒(いたずら)に苦心するばかりで、人に知られないことのたとえ。 類義:縁の下の力持ち。簀(す)の子の下の舞。 闇の夜に、灯火(ともしび)を失う。 解釈:これから先どのようにしたらよいか、途方に暮れること。 類義:暗夜に灯(ともしび)を失う。木から落ちた猿。 闇の夜道の松明(たいまつ)。 解釈:困ったときに助けられた嬉しさをたとえていう。 闇夜に烏、雪に鷺(さぎ)。 解釈:周りの物と区別が付かない物のたとえ。 闇夜に提灯。 解釈:熱心に望んでいる物に巡り合うことのたとえ。 類義:旱天(かんてん)の慈雨。曇に傘。闇夜の灯火(ともしび)。 闇夜に鉄砲。 解釈:当てずっぽうにやってみること。向こう見ずの事をすること。また、 用心しても避けようがないことのたとえ。 類義:暗闇の鉄砲。闇夜の礫(つぶて)。 闇夜に目あり。 解釈:人に知られない積りでいても、必ず誰かが知っているものだというこ と。 類義:壁に耳あり、障子に目あり。天に眼(まなこ)。 闇夜の礫(つぶて)。 解釈:当たるか当たらないか覚束ない。また、用心しても避けようがなく恐 ろしいこと。 類義:暗中、的を射る。闇夜の鉄砲。 闇夜の錦。 解釈:闇夜に錦を着ても、誰もそれと知る者がなく無駄であること。何の役 にも立たないことのたとえ。 類義:闇に錦。闇に錦の上着。夜の錦。 病む身より、見る目。 解釈:病人の苦しさもさることながら、それを側で見ている者の方が、耐え 難い思いをするということ。 病め医者、死ぬ坊主。 解釈:医者は人が病気になるのを願い、坊主は人の死を願う。人間は自分の ためには人の不幸をさえ願うというたとえ。 類義:病めば死ぬ。 矢も楯も堪らず。 解釈:思い詰めて、抑え切れないこと。 病眼(やもめ)には日の光が仇となる。 解釈:相手が悪ければ、親切からしたことも逆効果であることのたとえ。 槍玉に挙げる。 解釈:多くの中から選び出して、批判や攻撃の対象として取り上げること。 槍持ちの雪隠(せっちん)。 解釈:槍持ちが槍を持ったまま入れる雪隠(便所)という意で、細長い家の こと。 類義:鰻の寝床。 夜郎自大(やろうじだい)。 解釈:自分の力量を知らないで、仲間うちで幅を利かしていい気分になって いる者のこと。昔、中国の西南部にいた夜郎という夷(えびす)が、漢の広大 なことを知らずに自分の勢力の強大なことを頼みにして威張っていたことから いう。 八幡(やわた)の八幡知らず。 解釈:出口が分からなくて、迷うこと、千葉県市川市八幡町の法漸寺の南に ある竹藪に入ると、再び出られなくなるとか、祟りがあるとかいわれたことに よる。 類義:八幡の藪知らず。 |