我が頭の蝿(はえ)を追え。
解釈:他人の人を構うよりも先ず自分のことをきちんと始末せよということ。
類義:己の頭の蝿を追え。我が蜂払え。我が身の蝿を追え。
我が家の仏尊し。
解釈:人は、自分の物が一番よいと思っていることのたとえ。
類義:自己仏(じこぼとけ)。我が寺尊し。我が寺の仏尊し。我が仏尊し。
我が家(いえ)、楽の釜盥(かまたらい)。
解釈:釜を盥の代用にするような不自由な生活をしていても、わが家が一番
気楽だという意。
類義:我が栄楽の金盥(かなだらい)。
若い時の苦労は、買うてもせよ。
解釈:若いときにする苦労は、将来必ず役に立つので、自分から進んで苦労
するがよい。
類義:艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉にす。若い時の辛苦は買ってもせ
よ。若い時の力瘤(ちからこぶ)。
我が上の星は見えぬ。
解釈:誰でも、自分の運命は分からないものだというたとえ。
類義:我が上知らずの破れ笠。我が上の星は細かい。
我が面白の人泣かせ。
解釈:自分は面白くて楽しんでいることでも、他人には迷惑を掛けている場
合があるということ。
類義:我(われ)面白の人姦(かしま)し。我面白の人困らせ。
我が刀で首切る。
解釈:自分でしたことのために苦しむたとえ。
類義:自縄自縛(じじょうじばく)。我が脛(すね)に鎌。我が手で首を絞
める。
我が門(かど)で吠えぬ犬なし。
解釈:どんな弱虫でも、自分の家では威張ることのたとえ。
類義:家(うち)の前の痩犬。旅の犬が尾を窄(すぼ)める。所で吠えぬ犬
はない。我が家に鳴かぬ犬なし。
若木に腰掛けな。
解釈:若い者や弱い者は当てにしない方がよい。また、若い者の成長を踏み
付けるなということ。
類義:古木に手を掛くるな、若木に腰掛くるな。
若木の下で笠を脱げ。
解釈:若い木が将来どんな大木になるか分からないように、若い人はどんな
に偉くなるか分からないのだから、軽んじたりしないで、敬意を払うべきだと
いうこと。
類義:後生(こうせい)畏る可し(べし)。若木の下で笠を脱げ、古木の下
で糞(くそ)を扱(こ)け。
我が口に甘ければ、人の口にも甘し。
解釈:自分が好むことは、人もまた好む。自分がよいと思うことを人にも恵
み与えよという意。
若気(わかげ)の至り。
解釈:年若いため血気に逸(はや)って無分別な行動をすること。
類義:若気の無分別。
我が心石に匪(あら)ず、転(てん)ず可(べ)からず。
解釈:石ならば転がすことができようが、自分の心は石ではないので、動か
すことはできない。心が確固不動であるという意。
わが子自慢は、親の常。
解釈:親馬鹿の意。
類義:我が子には目がない。
我が事と下り坂に、走らぬ者なし。
解釈:我が身の大事となると、他人に言われなくても進んで奔走するするも
のであるというたとえ。
我が好きを人に振る舞う。
解釈:自分の好きな物で人を持て成す。自分の好みで人を律することのたと
え。
類義:亭主の好きを客へ出す。
我が脛(すね)に鎌。
解釈:自分で自分を傷付けることのたとえ。
類義:自縄自縛(じじょうじばく)。自分で自分の首を絞める。我が刀で首
切る。
我が田への水も八分目(はちぶんめ)。
解釈:欲もほどほどにすべきであるというたとえ。
我が田へ水を引く。
解釈:人の事を考えずに、自分に都合がよいように計ること。
類義:我田引水(がでんいんすい)。
参考:Every miller draws the water to his own mill.(どの粉屋も自分
の水車小屋へ水を引く)
我が身に偽りある者は、人の誠を疑う。
解釈:心に疚(やま)しいところがある人は、他人の誠意まで疑いの目で見
る。
我が身の一尺は見えぬ。
類義:人の一寸、我が一尺。
我が身の臭さ、我知らず。
解釈:自分の欠点には気が付かないものだというたとえ。
類義:息の臭さは主(ぬし)知らず。我が糞は臭くなし。我が身の臭さ、知
ることなし。
我が身の事は人に問え。
解釈:自分に関することは、かえって判断に迷うから、人の意見を聞く方が
よい。また、自分の欠点や誤りも自分では気が付かないものだから、人に尋ね
て直すのがよい。
我が身を立てんとせば、先ず人を立てよ。
解釈:自分の望みを達成させようと思ったら、まず人に譲る気持が大切で、
その人を立てるようにせよ、という意。
類義:我が子可愛くば、人の子を可愛がれ。
我が身を抓(つね)って、人の痛さを知れ。
解釈:自分の苦痛と引き比べて、他人の苦痛を思いやれという戒め。
類義:身を抓みて人の痛さを知れ。我が身抓んで人の痛さを知れ。
我が物食えば、竈(かまど)将軍。
解釈:他人の世話にならず、自分で働き、自分で食べているのであれば、誰
に遠慮も要らない一家の主(あるじ)であるというたとえ。
類義:内(うち)ほどよい所はない。夫婦暮らしは殿様でもできぬ。我が家
(いえ)楽の釜盥(かまたらい)。
参考:「竈将軍」とは、亭主関白のこと。
我が物と、思えば軽ろし笠の雪。(俳句)
解釈:少々苦しくても、自分のためと思えば、苦にならないという意。
参考:『古今俳諧明題集』に宝井其角(たからいきかく)の句として見える
が、他の諸本では「我が雪と思えば軽し笠の雪」で伝えられる。
沸きが早いは、冷め易い。
解釈:物事に熱中しやすい人は、冷めるのも早い。
類義:熱し易い物は冷め易い。
湧く泉にも水涸(が)れ。
解釈:どんなに豊富にある物でも、尽きるときがあるというたとえ。
和光同塵(わこうどうじん)。
解釈:自分の知恵を隠して目立たないようにし、俗世間の人々の中に混じっ
て暮らすこと。また、仏・菩薩(ぼさつ)が衆生(しゅじょう。庶民のこと)
を救うため、本来の威光を和らげて、人間世界に仮の姿を現すこと。
和魂洋才(わこんようさい)。Japanese spirit with Western learning.
解釈:日本古来の精神世界を大切にしつつ西洋の技術を受け入れ、両者を調
和させ発展させていくという意味の言葉である。古くから使われていた和魂漢
才(わこんかんさい)を基に作られた用語。
即ち和魂洋才の「和魂」は,日本人固有の精神を示す。「広辞苑」によると、
菅原道真公が、「わが国固有の精神と中国伝来の学問をどう融合するか」とい
う精神を一言で示した「和魂漢才」に由来するとされている。「いかに優れた
海外の文化でも、まずは日本人の精神を通して消化し活用することが大切であ
る」と。
類義:大和魂(やまとだましい)。
わざくれも三年。
解釈:捨鉢なことを言っているのも、ほどほどにしないと、何時か誰も相手
にしなくなるという意。また、よくないことでも、何時かよいことを生じさせ
る材料になることもあるというたとえ。
類義:禍いも三年経てば用に立つ。
参考:「わざくれ」は自暴自棄(じぼうじき)、捨鉢(すてばち)の意。
殃(わざわい)池魚(ちぎょ)に及ぶ。
類義:池魚の殃。
禍いは口から。
解釈:人は、自分の口から出た言葉によって災難を起こすことが多い。物を
言うときは、慎重にせよとうたとえ。
類義:口は禍いの門(かど)。病は口より入(い)り、禍いは口より出ず。
禍いは口より生まる。禍いは多言より大なるはなし。
禍いは口より出で、病は口より入(い)る。
類義:病は口より入り、禍いは口より出ず。
禍いは福(さいわい)。
解釈:禍いがかえって幸せの元となることもあるという意。
類義:禍いも福の端(たん)となる。
禍い独り行かず。
解釈:禍は一度だけで済むものではなく、えてして度重なるものである。
類義:福重ねて至らず、禍(か)必ず重ねて来たる。
禍いも三年経てば用に立つ。
解釈:今禍いに遭っても、年月が経てば何かの役に立つことがあるという意。
類義:焙烙(ほうろく)の割れも三年置けば役に立つ。わざくれも三年。禍
い三年、時の用。禍いも三年置けば、幸いの種。禍いも三年置けば、福の種。
禍いを転じて福となす。
解釈:身に振り掛かった災難を巧く処理して、かえって幸せになるようにす
ること。
類義:失敗は成功の母。七転び八起き。
和して同せず。
解釈:人と争わず、協調はしても、主体性を持っているので、引きずられた
り、妥協して他人の意見に同調することはないという意。
参考:君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。
忘れたと知らぬには、手が付かぬ。
解釈:「忘れました」とか「知りませんでした」と言われれば、怒っても何
と言っても無駄である。
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