もう遅蒔きの唐辛子。 解釈:間抜けの意。時期遅れの唐辛子(とうがらし)は、辛味が少ないとこ ろから、時機に遅れて事を成すときにいう。 類義:遅蒔きの西瓜(すいか)。遅蒔きの唐辛子。 猛火(もうか)燎原(りょうげん)より甚だし。 解釈:「燎原」は「燎原の火」の意で、勢いが盛んで防ぎ止めることができ ないくらい燃え広がった火勢の形容。悪い行いは直ぐ世間に知れ渡ることのた とえ。 盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)。 解釈:大海中に棲み、百年に一度だけ水面に上がる盲目の亀が、海上に漂う 一本の浮木の穴に収まった寓話(ぐうわ)。出会うのが極めて困難なこと。ま た、滅多にない好運に巡り会うことのたとえ。 類義:一眼(いちがん)の亀、浮木に乗るが如し。盲亀も時に会う。 儲けぬ前の胸算用(むなざんよう)。 類義:捕らぬ狸の皮算用。 孟母(もうぼ)三遷(さんせん)の教え。 解釈:子供の教育はよい環境を選ぶことが大切であるという教え。墓所の近 くに住んでいた孟子(もうし。中国)が、埋葬の真似をして遊ぶので、母は市 場の側へ移った。しかし、商売の真似をして遊ぶので、学校の側に転居したと ころ、今度は礼儀作法の真似事をするので、母は初めて安心して住居を定めた という故事による。 類義:孟母の三居。 孟母(もうぼ)断機(だんき)の教え。 類義:断機の戒め。 燼(もえぐい)には火が点き易い。 解釈:以前係わりあった人は、疎遠になった後でも、また元の仲に戻りやす い意。 類義:焼け木杙(ぼっくい)には火が点き易い。 燃え付いてからの火祈祷(ひぎとう)。 解釈:火災に遭ってから、火災に遭わない御祈祷をすること。手遅れのたと え。 類義:生まれた後の早め薬。火事後の火の用心。葬礼帰りの医者話。 燃える火に油を注ぐ。 類義:火に油を注ぐ。 木像(もくぞう)物言わず。 解釈:木像は何も話さない。無口な人を嘲(あざけ)っていう。 百舌(もず)勘定。 解釈:自分は金(かね)を出さないで、他人にばかり出させるようにするこ と。百舌、鳩、鴫(しぎ)が十五文の買い食いをし、勘定のとき、百舌は鳩に 八文、鴫に七文出せ、自分は一文も出さなかったという昔話による。 餅は乞食に焼かせろ、魚は殿様に焼かせろ。 解釈:適材を選ぶことが大事だということ。餅は度々ひっくり返して焼く方 がよいので、落ち着きのない人に焼かせるのがよい。また、魚はあまりひっく り返すと身が崩れてしまうので、ゆったりした人に焼かすのがよいということ。 類義:餅は大名に焼かせろ、豆は乞食に炒らせろ。 餅は粉(こ)で取れ。 解釈:餅を伸(の)すには取り粉(こ)を十分に用いないと巧くいかない。 物事は無理をせず、適切な方法でやるべきだということ。 餅は餅屋。 解釈:道具さえあれば誰にでもできそうな餅も、矢張り専門家の搗いた餅が 一番美味い。何事も専門家に頼るのが確かだということ。 類義:馬は馬方。刀は刀屋。船は船頭に任せよ。仏の沙汰は僧が知る、弓矢 の道は武士が知る。道によって賢し。 餅腹(もちばら)三日。 解釈:餅は腹持ちのよい食品ということ。 持物(もちもの)は主に似る。 解釈:持ち物は、その人の人格や好みを反映するものだ。 餅より粉に要る。 解釈:本筋以外の雑費に、意外な費用を要すること。 類義:餅より餡(あん)が高く付く。 物怪(もっけ)の幸い。 解釈:思いも掛けなかった好運。 沐猴(もっこう)にして冠(かん)す。 解釈:沐猴(猿)が冠(かんむり)を着けているようだということで、野卑 (やひ)な人を嘲(あざけ)る言葉。君主の地位に就く資格のない野人という こと。 類義:狼に衣。鬼に衣。猿に烏帽子(えぼし)。 勿体(もったい)ないも卑しいから。 解釈:勿体無いからと、拾い食いをするのは、その実(じつ)心が卑しいか らだ。 持ったが病。 解釈:持たなくてもいい物を、持ってしまったが故に、患いが生じること。 また、持って生まれた病は、容易に治らないこと。 持った棒で打たれる。 解釈:自分の武器を敵に貸す羽目になるたとえ。 類義:鉈を貸して山を伐らる。 持った前には、蹲う(つくばう)。 解釈:人物の立派さに関係なく、金(かね)のある人には頭を下げるのが、 この世の常であるという意。 類義:人は金によりて威(い)あり。 持った病は治らぬ。 解釈:生まれついてのものは、中々変わらないこと。 類義:三つ子の魂(たましい)百まで。 持つべきものは子。 解釈:他人では到底やってくれない事も、わが子なればこそ、苦心してやっ てくれる。子は有り難いものだという意。 幹木(もとき)に勝る末木(うらき)なし。 解釈:最初に伸びる幹よりも立派な枝木はない。次々に手を出しても、結局 は最初のものがよいということ。 類義:女房は変えるほど悪くなる。 元の鞘(さや)へ収まる。 解釈:絶縁した関係が、復縁するたとえ。 類義:元の鞘へ嵌る(はまる)。 元の木阿弥(もくあみ)。 解釈:再び以前の無一物の状態に戻るたとえ。大和郡山(やまとこおりやま) の城主筒井順昭(つついじゅんしょう)が病死し、順昭に姿、声のよく似た木 阿弥を立ててその死を隠したが、その後数年して嗣子順慶(じゅんけい)が成 長し、順昭の死が発表され、木阿弥は元の市井(しせい)の人に返ったという 故事による。また、僧木阿弥が老いて、出家前の妻の所へ戻ったので、長年の 修行が水の泡になったという別説もある 類義:元の木庵(もくあん)。元の木椀(もくわん)。 求めよ、さらば与えられん。Request would be given without fail. 解釈:ひたすら神に祈り求めれば、救いを得ることができるという教えから、 心を決めて積極的に努力すれば、必ずそれに見合った成果が得られるという意 味。 活用⇒努力すれば、成果を得ることができる。If you try, you can reap the benefits. 類義:叩けよ、さらば開かれん。 元も子も失う。 解釈:利益も元金も全て失って、跡形もないこと。 類義:元子失う。 物言えば唇(くちびる)寒し、秋の風。(俳句) 解釈:悪口を言った後は、不快になるものだ。また、余計なことを言って災 いを生じることをいう。松尾芭蕉の句。 類義:口は禍いの門。 物が無ければ、影射さず。 解釈:原因の無いものに結果は無い。 類義:火の無い所に煙は立たぬ。 物盛んなれば、則ち衰う(おとろう)。 解釈:物事は盛んになると、何時かは衰えるということ。 類義:盛者必衰(しょうじゃひっすい)。月満つれば、則ち虧く(かく)。 物種(ものだね)は盗まれず。 解釈:遺伝は争えないものであるという意。父親が誰だか分からなくても、 その子を見れば直ぐに分かるということで、姦通(かんつう)による結果の恐 ろしさをいう。 類義:木を接(つ)げば、花は盗めるが、血は盗まれぬ。物種は盗むとも、 人種は盗むな。 物には時節。 解釈:物事には、それに適した時機があるから、時機が来ていないのに無理 をしたり、それを外しては成功しない。 類義:事は時節。物に時あり。 物は言い残せ、菜(さい)は食い残せ。 解釈:思ったことの全てを言い尽くすものではない。過言を慎み、遠慮深い 態度を持てという教え。 物は言いよう。 解釈:同じことを伝える場合にも、話し方一つでよくも悪くも受け取られる。 類義:三味線も弾き方。丸い卵も切りようで四角、物は言いようで角が立つ。 物は言いなし、事は聞きなし。 物は祝い柄(がら)。 解釈:縁起が悪いされている事でも、縁起のよいように言い直し、祝えば目 出度くもなること。 物は考えよう。 解釈:物事は考え方次第でよくも悪くも取れる。最悪の場合を思えば、諦め も付く。 物は相談。 解釈:名案が浮かばないときでも、一人で悩まず、まず相談してみると、意 外によい結果が生ずるものだということ。人に頼み事をするときの前置きの言 葉。 類義:膝とも談合。物は談合。 物は試し。 解釈:何事もやってみなければ分からない。初めから見切りを付けずに、兎 に角一度は試みるものであるという意。 物は弾み(はずみ)。 解釈:物事はその場の成り行きで、思わぬ展開を示すものだという意。一寸 したことが大事件に発展することもある。 物は八分目(はちぶんめ)。 解釈:何事も控え目な方がよいということ。 類義:十分は零(こぼ)れる。 木綿布子(もめんぬのこ)に紅絹(もみ)の裏。 解釈:木綿の綿入れに紅絹の裏地を付けること。不釣合いのたとえ。 類義:小刀(こがたな)に鍔(つば)。乞食が赤裏(あかうら)。 桃栗三年柿八年。 解釈:桃と栗は芽が出てから三年、柿は八年で実がなるということ。何事も 相応の期間を努力する必要があるということ。 類義:桃栗三年柿八年、梅の十三年待ち遠い。桃栗三年、後家一年。柚子 (ゆず)は九年で花盛り、梅は酸(す)いとて十三年。 貰い物で義理済ます。 解釈:貰い物を贈って義理を果たすこと。 類義:人の牛蒡(ごぼう)で法事する。人の褌(ふんどし)で相撲取る。人 の物で義理をする。 貰い物に苦情(くじょう)。 解釈:人は勝手なもので、貰い物にさえ、欲深く文句を付けるということ。 貰う物は夏も小袖(こそで)。 類義:戴く物は夏も小袖。 貰うた物は、根が続かぬ。 解釈:貰い物には限りがあること。自分の働きで得る物は、働く限り続くが、 貰い物はどんなに沢山あっても、何時までも続くものではない。 類義:貰い物は能持ちがない。 両刃(もろは)の剣(つるぎ)。 解釈:一方では大変役立つものが、他方では大きな害を与える危険を伴うと いうたとえ。「諸刃(もろは)の剣(つるぎ) 」とも。 門外漢(もんがいかん)。Outsider. 解釈:その事柄に関係のない人のこと。専門以外の人。「漢」は男の人のこ と。 文殊(もんじゅ)も知恵の零(こぼ)れ。 類義:孔子(くじ)の倒れ。 門前市(いち)を成す。 解釈:門前に人が大勢集まっていること。訪問客が尽きないこと。 類義:門庭市の如し。 反義:門前雀羅(じゃくら)を張る。 門前雀羅(じゃくら)を張る。 解釈:訪れる人がなく、門前に群がる雀を雀網で捕るほど閑散とした様子。 反義:門前市(いち)を成す。 門前の小僧、習わぬ経(きょう)を読む。 解釈:寺の門前に住む子は、聞き覚えてお経を読む。普段見聞していると、 自然と覚えるものであるというたとえ。 類義:勧学院(かんがくいん)の雀は、蒙求(もうぎゅう)を囀る(さえず る)。智者の辺(ほとり)の童(わらわ)は、習わぬ経を読む。 反義:習わぬ経は読めぬ。 門に入らば笠を脱げ。 類義:郷(ごう)に入っては郷に従う。 門に倚(よ)りて望む。A mother, at the gate, waiting for the return of her child. 解釈:母親が門戸に寄り掛かって子供が帰ってくるのを待ち望むこと。 類義:倚門(いもん)の望(ぼう)。 |