田歩くも、畦(くろ)歩くも同じ。 解釈:手段や経路は違っていても、目的は同じであるという意。 類義:田から行くも、畦(あぜ)から行くも同じ事。 大隠(たいいん)は市に隠る。 解釈:隠者は山野に隠遁(いんとん)生活を送るものであるが、非凡な隠者 は俗事に心を乱さないから、山野に隠れる必要もなく、市中に住んでいる。 大恩(たいおん)は報(ほう)ぜず。 解釈:小さな恩には負い目を感ずるものだが、大き過ぎる恩はかえって気付 かないで恩返しをしようともしないものだ。 類義:大徳は酬(むく)いず。提灯(ちょうちん)を借りた恩は忘れないが、 天道の恩は忘れる。 大海の一滴。 解釈:広大な場所に極めて小さな物のあるたとえ。 類義:九牛(きゅうぎゅう)の一毛(いちもう)。滄海の一粟(いちぞく)。 参考:A drop in a bucket.(バケツの中の一滴) 大海は芥(あくた)を択ばず。 解釈:大海は塵(ごみ)が流れ込んでも問題にしない。度量の広くてよく人 を受け入れることのたとえ。 類義:河海(かかい)は細流を択ばず。大海は塵(ちり)を択ばず。泰山 (たいざん)は土壌を譲らず。 大海を手で塞ぐ。 解釈:到底不可能なことのたとえ。 類義:大水を手で堰く(せく)。大水を手で防ぐ。 大海を耳掻きで測る。 解釈:自分の狭い見聞を元にして、大きな問題を議論することのたとえ。 類義:貝殻で海を測る。 代(だい)が変われば、世が変わる。 解釈:人の家は代が変わると、家風を始めすっかり変わるということ。 大廈(たいか)の顛(たお)れんとするは、一木(いちぼく)の支うる所 にあらず。 解釈:大廈(大きな建物)が倒れそうなときに、到底一本の木では支えられ ない。国家が滅びそうなとき、一人の力で食い止めようとしても、どうするこ ともできないというたとえ。 類義:大樹の将(まさ)に顛れんとするは、一縄(いちじょう)の維(つな) ぐ所にあらず。 大家、後(のち)無し。 解釈:大家は一代限りで、子孫には先祖の業を継ぐほどの人物は出ないもの だということ。 類義:売家と唐様(からよう)で書く三代目。堯(ぎょう)の子、堯ならず。 賢が子、賢ならず。 対岸の火事。 解釈:向こう岸の火事。自分にとっては痛くも痒くもないこと。 類義:川向こうの火事。川向こうの喧嘩。山門から喧嘩見る。高みの見物。 大姦(たいかん)は忠(ちゅう)に似たり。 解釈:大姦(大悪人)は上辺を巧みに繕(つくろ)って本性を出さないから、 如何にも忠誠な人のように見えるということ。 活用⇒大悪人は、善人のような化粧をする。A large bad man makes it up like the good man. 大器小用(たいきしょうよう)。 解釈:大人物を詰まらない位置に置いて、やり甲斐の無い仕事をさせること。 類義:大根を正宗(まさむね)で切る。鶏を割くに牛刀を用う。 大儀(たいぎ)親(しん)を滅す。 解釈:国や主君の大事のためには、私情を捨て親兄弟をも顧みない。昔、中 国の春秋時代、衛(えい)の国の石昔(石偏+昔。せきさく)が、君主殺しに 加担したわが子を反逆者として殺した故事による。 活用⇒大事の時は、親と別れる。It is a separation of parents of straightening though is wonderful. 大吉は凶(きょう)に還る(かえる)。 解釈:吉も過ぎるとかえって凶になる。 活用⇒幸福の次は、凶へ至る。The next of happiness return unhappily. 類義:最上は幸福の敵。過ぎたるは、猶及ばざるが如し。満は損を招く。盈 (み)つれば虧(か)く。陽極まって陰生ず。 大疑(たいぎ)は大悟(たいご)の基(もとい)。 解釈:大いに疑問を持つことで、大きな悟りを得ることができる。疑問がな いと悟りはない。 活用⇒疑問を持てば、悟りを得る。The person can obtain enlightenment with the doubt. 類義:疑わぬ者に悟りなし。迷わぬ者に悟りなし。 大器晩成(たいきばんせい)。 解釈:大きな器はそう直ぐにはでき上がらない。大人物は大成するまでに時 間がかかる。 類義:大きい薬缶は沸きが遅い。ローマは一日にして成らず。 反義:栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し。 大魚は小池(しょうち)に棲まず。 解釈:大きな魚は、小さな池にはいない。人間でも、大人物は詰まらない仕 事であくせく働くことをしないということ。 類義:大魚は小水に棲むことなし。鶴は枯木に巣をくわず。流れ川に大魚な し。 反義:天水桶(てんすいおけ)に竜。掃溜に鶴。 大工の掘立(ほったて)。 解釈:家を建てる専門職の大工が、掘っ立て小屋のような粗末な家に住んで いる。他人のためだけに忙しがって、自分の事にかまける暇のないこと。また、 かまけないこと。 類義:医者の不養生。紺屋(こうや)の白袴。足袋屋の素足。餅屋餅を食わ ず。 大軍に関所なし。 解釈:いくら地の利がよくても、圧倒的に優勢な軍勢に攻められては防ぎよ うがないこと。 類義:大軍に切所(せっしょ。難所)なし。 大賢(たいけん)は愚なるが如し。 解釈:優れて賢い人は、才能を小出しにしたり、ひけらかしたりしないから、 一見愚かな人に見えるものだ。見掛けで判断をすると誤ることの戒め。 活用⇒賢人は、愚人に似ている。The wise man looks like the lunatic. 類義:大賢は愚に近し。大巧は拙なるが若(ごと)し。大知は愚の如し。大 知は知ならず。能ある鷹は爪隠す。 太閤様でも子守りは嫌い。 解釈:子守は厭なものである。どんな偉い人の言い付けでも、またどんな身 分の高い人の子でも、子守は御免蒙りたいということ。 大行(たいこう)は細謹(さいきん)を顧みず。 解釈:大事を行おうとする者は、小さな慎みなどは気にしない。 類義:大行は小謹せず。大功を成す者は、小を成さず。 大巧(たいこう)は拙(せつ)なるが若(ごと)し。 解釈:優れた名人は、見かけの小細工などしないから、一見拙劣に見えると いうこと。 類義:大賢は愚なるが如し。大巧は巧術無し。大孝は愚の如し。 太公望(たいこうぼう)。 解釈:魚を釣る人のこと。中国周(しゅう)の文王(ぶんおう)に見い出さ れてその子の武王(ぶおう)の軍師となり、殷(いん)を滅ぼした呂尚(ろし ょう)の呼び名。分王に見い出される前は、世に隠れて渭水(いすい)で魚を 釣っていた。用いられたとき、「あなたは亡くなった太公が久しく待ち望んで いた人に違いない」として太公望と名付けられた故事による。 大黒の尻に味噌。 解釈:大黒様のお尻に味噌を塗ること。あり余るほどある所へ、更に付け加 えることのたとえ。大黒天(だいこくてん)は七福神の一人で、恵比寿(えび す)と共に最も親しまれている福の神。 類義:長者の面(つら)へ味噌擦(なす)り。 大黒柱と腕押し。 解釈:力量に格段の差があって、勝負にならないことのたとえ。とてもでき ないこと。 類義:須弥山(しゅみせん)と丈比べ。大黒柱を蟻がせせる。蟷螂(とうろ う)の斧。竜の鬚(ひげ)を蟻が狙う。 大黒柱を蟻がせせる。 解釈:大黒柱に蟻が群がっても、大黒柱は何ともないように、びくともしな いこと。非力の者が不釣合いな大きな仕事に取り組むことのたとえ。 類義:大黒柱と腕押し。大黒柱を蟻の鬚(ひげ)。大仏殿を蟻がせせる。大 仏を蟻が曳く。富士の山を蟻がせせる。藁蘂(わらしべ)を以て泰山(たいざ ん)を上ぐる。 太鼓のような判を捺(お)す。 解釈:絶対に大丈夫ということのたとえ。証明、保証のために、大きな印鑑 をしっかりと押すこと。 類義:太鼓判を捺す。 醍醐味(だいごみ)。 解釈:物事の深い味わい。最高の楽しさ、本当の面白さ。 太鼓も撥(ばち)の当たりよう。 解釈:太鼓は大きく叩けば大きく響き、小さく叩けば小さく響く。人もこち らのやり方次第で相手の反応が異なるということ。 活用⇒彼女は、彼のやり方を見て、自分のやり方を変える。She sees his way, and changes the one's own style. 太鼓を打てば、鉦(かね)が外れる。 解釈:一方に注意を向ければ、もう一方が留守になる。掛け持ちは中々難し いので、物事は一つずつ片付けていった方がよいという戒め。 活用⇒彼は両手に3個の西瓜を持つことはできない。He cannot have three watermelons in both hands.しかし、彼女は、両耳で3人の話を聞くこ とができる。However, she hears the story of three people by both ears. 類義:鉦叩きゃ念仏が外れる。田の事すれば、畠が荒れる。念仏申せば鉦が 外れる。櫓(ろ)を押して櫂(かい)は持たれぬ。 反義:一挙両得。一石二鳥。 大根食うたら、菜っ葉は干せ。 解釈:大根は白い根を食べたら、葉は干してとっておき、おかずに利用する とよい。どんな物でも仕舞っておいて、後で役立てよという教え。 大根種と人種(ひとだね)は盗まれぬ。 解釈:遺伝や血筋は争えず、父親の分からない子を身ごもっても、生まれて 見れば誰の子か直ぐ分かってしまうものだという意。姦通(かんつう)を戒め た諺(ことわざ)。 活用⇒大根の種と人妻は、盗んではいけない。Neither seed of the radish nor the married woman must steal. 類義:食い物の種は盗めても、人種は盗めぬ。子供と芋種は隠されず。物種 は盗まれず。 大根を正宗(まさむね)で切る。 解釈:大袈裟な事はするなという戒め。また、才能のある人間に詰まらない 仕事をさせることのたとえ。 活用⇒客船が笹舟を引く。The passenger boat pulls the bamboo leaf boat. 類義:大器小用。鶏を割くに牛刀を用う。 |