泰山（たいざん）は土壌を譲らず。
　解釈：泰山が小さな土塊（つちくれ）も選り好みせずに受け入れるように、
度量の大きい人物は、人々の小さな意見をよく受け入れて大業を成就すること
ができる。「泰山」は中国山東省（さんとうしょう）の名山であるが、一般に
高く大きい山の意に用いる。
　類義：河海（かかい）は細流を択ばず。大山は礫石（れきせき）を譲らず、
江海は小流を辞せず。

　 大山鳴動（たいざんめいどう）、鼠一匹。
　解釈：大噴火が起こるくらい山が鳴り動いたのに、鼠一匹しか出てこない。
前触れが盛大で大騒ぎした割に、これというほどの事件が起こらないたとえ。

　 大事の中の小事（しょうじ）なし。
　解釈：大事や非常時の場合には、小事を顧みるゆとりがないから、小事には
こだわらない。
　類義：大行（たいこう）は細謹（さいきん）を顧みず。

　 大事の前の小事。
　解釈：大事を行おうとするときには、小さな事柄は問題にせず、無視するが
よい。また、大事を行おうとするときには、たとえ小さな事柄でも慎重に対処
しないと、失敗することがあるということ。
　類義：大事は小事より顕（あらわ）る。大事は小事より起こる。

　 大事は小事より顕（あらわ）る。
　解釈：一寸した油断や詰まらないきっかけから、大事件が起こったり、大失
敗をしたりするということ。
　類義：大事は油断が元。

　 大樹の下に美草（びそう）無し。
　解釈：茂った大木の下は日陰になるので、よい草が生育しない。人材の育つ
条件に欠ける所には、有能な人間は集まらないものであるという意。
　活用⇒大木の下に草花が育たない、しかし、小さい木が育つこともある。
The flowering plant might not grow up under the gigantic tree.
However, a small tree might grow up.
　類義：高山の嶺（いただき）には美木なし。
　反義：大木の下に小木育つ。

　 大丈夫、金（かね）の脇差（わきざし）。
　解釈：一人前の立派な男子が、本物の脇差を差している。間違いない、大丈
夫だから安心してよろしいという保証の言葉。
　類義：大丈夫金の草鞋（わらじ）。

　 大食短命（たいしょくたんめい）。
　解釈：大食はかえって健康を損なう基になり、長生きできないということ。
　活用⇒大食いする人は、短命である。The person who eats like a horse
 is a short life.
　類義：小食は長生きのしるし。大食は病の基。腹八分に医者いらず。

　 大所高所（たいしょこうしょ）。General view. A broad perspective.
　解釈：細かい所にこだわらず、対極的に物事の全体を見通す広い視野のこと。
「大所」は、全体のこと。広い視野や立場をいう。

　 大人（たいじん）は大耳。
　解釈：有徳（うとく）の人は、細かな詰まらない事を耳にしてもいちいち気
にしないということ。
　活用⇒有徳の人は、全ての事を聞く。A virtuous person hears all 
things.
　類義：大名は大耳。

　 大声（たいせい）、里耳（りじ）に入（い）らず。
　解釈：高尚な理論は一般の人には理解され難いものだというたとえ。
　類義：陽春の曲、和する者必ず寡（すくな）し。
　参考：「大声」は高雅な音楽や偉大な道理を含んだ言葉。「里耳」は俗人の
こと。

　 大地に槌。
　解釈：絶対に外れようのないほど確かなことのたとえ。槌を振り上げてたら、
後はどうやっても槌は大地を打つしかない。
　類義：地を打つ槌。槌で大地を叩く。

　 大知（だいち）は愚（ぐ）の如し。
　解釈：本当に知恵のある人は、小賢しく言動をひけらかすようなことはしな
いから、一見すると愚者のように見えるということ。
　類義：大賢は愚なるが如し。大賢は愚に似たり。大巧は拙なる若（ごと）し。

　 大敵と見て恐れず、小敵（しょうてき）と見て侮らず。
　解釈：敵が大勢でも恐れず怯（ひる）まず、また小勢でも侮らず油断をしな
い。
　類義：小敵をば欺（あざむ）くべからず。大敵を見ては欺き、小敵を見ては
畏れよ。

　 泰斗（たいと）。
　解釈：その道における最高権威者、第一人者のこと。泰山（たいざん）と北
斗七星のように尊ばれる人。「泰山」は中国山東省（さんとうしょう）の名山。
「北斗七星」は天帝の乗り物。陰陽を分かち季節を定める星として重んじられ
た。

　 大同小異（だいどうしょうい）。
　解釈：細かい所では少し違いがあるが、本質的に見れば同じ。よく似ていて
同類であること。大して差がないこと。
　類義：五十歩百歩。似たり寄ったり。

　 大道（だいどう）廃（すた）れて仁義有り。
　解釈：人の正しい道が行われていたときは人情が自然のままで偽りもなかっ
たが、後生人道が乱れてくると、世の中に虚偽が多くなって仁義が生じてくる
という意。

　 大徳（たいとく）は小怨（しょうえん）を滅ぼす。
　解釈：恩徳が広大であれば、僅かの恨みなどは自然に消えてしまうものであ
る。
　活用⇒大きな恩徳は、小さな怨恨を駆逐する。A big moral character 
expels a small grudge.

　 大の虫を生かして、小の虫を殺す。
　解釈：やむを得ないときには、大事な物を生かすために、小さな物を犠牲に
するがよい。事の大小を誤ってはいけないというたとえ。
　活用⇒大事を選べば、小事は無くなる。The trifle disappears if 
importance is chosen.
　類義：小の虫を殺して大の虫を助ける。大を生かして小を殺せ。

　 大は小を兼ねる。
　解釈：大きい物は小さい物の働きを兼ねることができる。だから容器などは
小さい物より大きい物の方が用途が広いということ。
　活用⇒大は小を兼ねる。A large thing substitutes for a small thing.
　類義：大きな物は、細う使われる。
　反義：杓子（しゃくし）は耳掻きにならず、長持は枕にならぬ。

　 大病に薬なし。
　解釈：物事が極端に悪くなってしまっては手の施しようがない。何事も手遅
れにならないうちに方策を講ずべきであるということ。
　活用⇒破綻する前に手当てせよ。Assist before it fails.

　 大木（たいぼく）の下に小木（しょうぼく）育つ。
　解釈：勢力の盛んな人の下には、そのお蔭を蒙っている人が沢山いるという
こと。
　活用⇒大木の下に小さい木は育つ、しかし、草花が育たないこともある。
A small tree grows up under the gigantic tree. However, the flowering
 plant might not grow up. 
　類義：大木（おおき）の下に小木（おぎ）育つ。
　反義：大木（おおき）の下に小木（おぎ）育たず。大樹の下に美草（びそう）
無し。

　 大木は風に折らる。
　解釈：大木は他の木より抜きん出て高いので、風の害を受けやすい。人も、
他に抜きん出た人ほど、嫉（ねた）まれやすく、攻撃されやすいということ。
　類義：喬木（きょうぼく）は風に折らる。高木、風に嫉まる。出る杭は打た
れる。
　参考：Tall trees catch much wind.（高い木は多くの風を受ける）

　 大木は倒れても地に付かず。
　解釈：大木は枝葉が茂っているため、倒れても幹が地面につのことはない。
同じように勢力のある人は、失敗しても見苦しい倒れ方はしないし、再起する
余力もあるということ。
　活用⇒盛んな人は、失敗しても傷心しない。直ぐ再起する。He doesn't
 worry even if the active person fails. He returns soon.

　 大名（たいめい）の下（もと）、久しく居り難し。
　解釈：名誉ある地位に長くいると、人の嫉みを一身に受けて失脚することに
なるから、時機をみてさっさと降りるのが賢明である。
　類義：成功の下、久しく処（お）るべからず。

　 鯛も一人は旨からず。
　解釈：どんなに美味しいご馳走でも、一人きりで食べては美味しくない。大
勢で楽しく食べると、美味しい物が尚一層美味しく感じられるということ。
　活用⇒料理は大勢で食べると美味しい。The dish becomes delicious if 
eating with a lot of people.

　 鯛も平目魚（ひらめ）も食うた者が知る。
　解釈：食べた経験がなければ、鯛と平目の区別はよく分からない。経験のな
い者には、物事の僅かな相違は分からないということ。

　 大勇（たいゆう）は勇ならず。
　解釈：本当の勇気ある人は、威張ったり争ったりはしないから、かえって勇
気がないように見えるということ。
　類義：大賢は愚なるが如し。大勇は怯（きょう）なるが如し。大勇は闘わず。

　 大欲は無欲に似たり。
　解釈：大望を抱いている人は、小さな目先の利を追わないから、欲がないよ
うに見えるということ。また、欲ばり過ぎると大局が見えず、かえって損失を
招いて無欲と同じ結果になるということ。
　類義：虻蜂（あぶはち）取らず。大利は利ならず。二兎を追う者は一兎も得
ず。

　 内裏様（だいりさま）も食わねば立たぬ。
　解釈：身分の高いお公卿様でも、食べずには生きていけない。まず食べるこ
とが肝心だということ。
　活用⇒食べなければ、生きることはできない。It is not possible to 
live if not eating. 
　類義：公卿の位負け。名よりも実。

　 大猟の明日（あした）。
　解釈：大猟の日の翌日は獲物が少ない。よい日は二日続かないというたとえ。
　類義：いい後は悪い。柳の下の泥鰌。

　 倒した雪は消えるが、倒された竹は起きる。
　解釈：雪に倒された竹は、雪が消えると必ず元のように起き上がる。抑圧者
が何時までも栄えることはなく、ひどい目に遭っても我慢する人は、必ず立ち
上がれる。辛抱が大切であるという意。
　活用⇒彼は我慢強いので、必ず立ち上がる。He stands up without fail 
because he is patient.

　 斃（たお）れて後（のち）已む（やむ）。
　解釈：死ぬまでやり通す。生きている間は努力し続ける様。
　活用⇒生きている限り、これをやりぬく。I do this as long as I am 
alive.

　 倒れぬ先の杖。
　類義：転ばぬ先の杖。