身ありての奉公(ほうこう)。 解釈:全ては命あってこそという意。 類義:命あっての物種(ものだね)。命に過ぎたる宝なし。命は法の宝。身 があっての事。 木乃伊(みいら)取りが、木乃伊になる。 解釈:木乃伊(ミイラ)を取りに出かけた者が、木乃伊になってしまう。人 を連れ戻しに行った者が先方に留まって、逆に連れ戻される立場になるように、 責任、役目を果たさないことのたとえ。 類義:木兎(ずく。ミミズク)引きが木兎に引かれる。人捕る亀が、人に捕 られる。 見栄張る(みえばる)より、頬張(ば)れ。 解釈:体裁を繕(つくろ)うより、利益を取った方が得である。また、世間 体より内輪をよくする方がよいという意。 類義:義理張るより、頬張れ。花より団子。 見栄坊(みえぼう)の空言(そらごと)。 類義:虚栄は嘘の母。 見栄より心。 類義:人は心が百貫目。 身があっての事。 解釈:人間の感情や行動、全ての出来事は、命あってのことだという意。ま た、無理をして、全ての根源である身体を壊しては何にもならないということ。 類義:命あっての物種(ものだね)。身ありての奉公。 見かけばかりの空大名(からだいみょう)。 解釈:一見して威勢がよく見えるが、内情は苦しいこと。 味方千人、敵千人。 解釈:人は誰にでも、味方があれば敵もあるということ。 味方見苦し。 解釈:味方ばかりを贔屓(ひいき)するのは、見苦しい。不公平は見っとも 無いということ。 類義:味方身贔屓。 身から出た錆(さび)。 解釈:外部からの事情ではなく、自分自身の悪因から招いた不幸のことをい う。 類義:仇(あだ)も情(なさけ)も我が身より出る。因果応報(いんがおう ほう)。自業自得(じごうじとく)。平家を滅ぼすは平家。刀(やいば)から 出た錆は砥ぐに砥石(といし)がない。 右と言えば、左。 類義:ああ言えば、こう言う。 右の手で放して、左の手で握る。 解釈:一方で関係を断ち、他方では関係を保つことで、ずるいやり方。 右の耳から、左の耳。 解釈:聞いたことが頭に残らず、次から次へ忘れてしまうこと。 類義:馬の耳に風。馬の耳に念仏。どこ吹く風。 右は京道(きょうみち)、左は伊勢道。 解釈:東海道と参宮道は関の追分(おいわけ)を分岐点とし、逆方向に分か れることになる。些細な違いが、後になって大きく隔たってしまうことのたと え。 右を踏めば、左が上がる。 解釈:片方に力添えすれば、片方は疎かになってしまう。物事を両立させる のは難しいということ。 類義:頭押さえりゃ、尻上がる。彼方(あちら)立てれば、此方(こちら) が立たぬ。 御輿(みこし)を上げる。 解釈:腰をあげて出かけようとする様。また、漸くことに取り掛かるたとえ。 御輿は、「み腰」の掛け言葉。 反義:御輿を据える。 御輿を据える。 解釈:どっかりと腰を落ち着けて動じない様。御輿は、「み腰」の掛け言葉。 反義:御輿を上げる。 巫女(みこ)の虚言(そらごと)。 解釈:巫女は神のお告げと称して、不明解なことを言うものだ。巫女の虚言 を無闇に信じてはいけないということ。 見ざる聞かざる言わざる。 解釈:人の短所を見ない、人の非を聞かない、人の過ちを言わないという戒 め。目、耳、口をそれぞれ両手で塞ぐ三匹の猿を三猿(さんえん)といい、そ れぞれの行為の戒めを表す。 未熟の芸(げい)誇り。 解釈:無能な者ほど自慢をするというたとえ。 類義:口叩きの仕事下手。 身知らずの口叩き。 解釈:自分の分際(ぶんざい)を弁(わきま)えずに、大言を吐くこと。 微塵(みじん)積もって山となる。 類義:塵も積もれば山となる。 微塵(みじん)眼(まなこ)に入(い)れば、大山(たいざん)も見えず。 解釈:小さな塵でも目の中に入れば、大きな山も見えなくなるように、小さ いからといって軽く見過ごしてはならないことのたとえ。 水到りて渠(きょ)成る。 解釈:水の流れが自然に溝を作るように、時期が来れば自然と物事はできあ がるということ。学問を究めるれば、自ずと徳が備わることのたとえ。 類義:水到りて魚(うお)行く。 身過ぎ(生業)は草の種。 類義:商売は草の種。 身過ぎ(生業)は八百八品(はっぴゃくやしな)。 解釈:商売の種類は多彩であること。 類義:商売は草の種。身過ぎは草の種。 水清ければ、魚(うお)棲まず。 解釈:あまり澄み切った水中では、魚も身を隠す所がなく棲み付かない。人 間もあまり清廉(せいれん)過ぎると近寄り難く、敬遠されるということ。 類義:石の上に五穀は生ぜず。人と屏風は直ぐには立たぬ。水清くして大魚 なし。 水清ければ、月宿る。 解釈:心の美しい人は、神仏から危難を救われるというたとえ。 水喧嘩は、雨で直る。 解釈:喧嘩の原因さえ排除すれば、直ちに元の仲に戻れるということ(乾い た稲田に水が潤うこと)。 水心あれば、魚心(うおごころ)あり。 類義:魚心あれば、水心。 水積りて、魚(うお)集まる。 解釈:水嵩(みずかさ)が多いと自然に魚が集まってくる。これと同じよう に利の多い所には人間が集まってくるというたとえ。 類義:鳥雀(ちょうじゃく)技の深きに集まる。 水積りて、川を成す。 解釈:水も大量に集まれば、川になり得るということから、僅かな物も量を 積めば大きな物になるというたとえ。 類義:湖深くして魚(うお)生ず。淵深くして魚生ず。水積りて呑舟(どん しゅう)の魚を生ず。 水と油。 解釈:互いに溶け合わず、しっくりしない間柄のこと。 類義:油に水。氷炭(ひょうたん)相容れず。 水に絵を書く。 解釈:幾ら水上に絵を描いても形には残らない。無駄な苦労をするたとえ。 類義:脂(あぶら)に画き、氷に鏤(ちりば)む。 水に流す。 解釈:今までのいざこざを一切咎めずに、新しい繋がりを持つこと。「水に する」「水になす」ともいう。 水に燃え立つ蛍。 解釈:水上を光を放ちながら飛び交う蛍の様を、「水」を「見ず」に掛けて、 愛しい人に会えずに一途(いちず)に焦がれている人にたとえた言葉。 水の泡となる。 解釈:水の泡が儚(はかな)く消え去るように、苦労が無効になってしまう ことをいう。「水泡(すいほう)に帰する」ともいう。 水の恩ばかりは報われぬ。 解釈:水の恩恵は莫大であるということ。 類義:親の恩は送っても、水の恩は送られぬ。 水の中の土仏(つちぼとけ)。 解釈:長続きしないことのたとえ。 水飲んで尻炙る(あぶる)。 解釈:手順が悪く、能率が上がらないことをいう。あべこべ。 類義:餅食ってから火に当たる。 水は逆さまに流れず。The water does not flow upside down. 解釈:水は常に流れを乱すことはない。何事も自然の流れに沿わなければで きないということ。 活用⇒時間は逆流しない。時刻は遡らない。Time is not regurgitation. Time doesn't go back. 何事も、水の流のように経過し、出来上がる。 It passes like a style of the water, and everything is completed. 水は舟を載せ、亦舟を覆す。 解釈:舟を浮かべるのも、それを沈めるのも水であるというように、ある物 がよくも悪くも働き得ることをいう。また、舟と水を君臣にたとえて、君主の 盛衰は臣下によって決まるということ。 水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随う(したがう)。 解釈:水は容器の形によって、丸くも四角くもなる。人は環境次第でよくも 悪くもなるという意。「方円」は四角と丸。 類義:朱に交われば赤くなる。善悪は友による。人は善悪の友による。 水広ければ、魚(うお)大なり。 解釈:人が成功を収めるには優れた環境が大切というたとえ。上に立つ人の 度量が大きければ、優れた部下が集まってくるというたとえ。 水を注す。 解釈:物事や人間関係が巧くいきかけているときに、邪魔をすること。 未曾有(みぞう)。Unprecedented. 解釈:未だかつて無かった珍しいこと。「未曽有」とも。 活用⇒稀なこと。Rare thing. 用例:未曾有の大事件。An unprecedented great event. 味噌に入れた塩は、他所へ行かぬ。 解釈:その時点では、その人にとって無意味な行為でも、それが後になって 役立つことをいう。 味噌盗人は、手をかげ。 解釈:悪事はほんの些細な事から簡単にばれてしまうということ。 味噌の味噌臭きは、食われず。 解釈:職業や環境が一目で分かるような人は、未熟で奥ゆかしさがない。 類義:侍(さむらい)の侍臭く、学者の学者臭く、味噌汁の味噌臭きは悪 (あ)し。味噌の味噌臭きは上味噌に非ず。 味噌豆は、七里帰っても食え。 解釈:味噌の原料である煮た温かい大豆は、味、栄養価地共に満点であると いう意。 味噌を付ける。 解釈:味噌が器に付いて見苦しいことから、失策をして、醜態を晒すこと。 |