朱里通信

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Book
針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat -
針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat -
吉田篤弘/著
★★★★★
 クラフト・エヴィング商會の作者による短編小説集です。
 ですから、すてきな装幀は言わずもがな。帯の文章も魅力的です。
これにて、月とふたりきり
空から記憶がおりてくる
(表紙側の帯のコピー)

本当に素晴らしいところは
どんな地図にも載っていない
(裏表紙側の帯のコピー)

 なんと思わせぶりなのでしょう。
 この2つの文章に、私はすっかり虜になりました。

 この短編集には7つの作品が収められており、どれもすべて独立した世界観で描かれています。
 異国情緒漂う舞台で様々な登場人物たちが織りなす、どこか懐かしさを呼び覚ます物語。丁寧な語り口はとても穏やかで静謐なイメージがあります。
 私が特に気に入った登場人物は3名いました。
 「北極星のように美しい女性」「道化ズボンの男」「あと少しで消えてなくなってしまうものを撮る写真家」。
 いかがでしょう、少し興味が湧いてきましたか?
 この短編集、読み進めていくうちに、ふと気がつくことがあります。
 「……あれ? ひょっとして……」と。
 何が「ひょっとして」なのかは、読んでみてのお楽しみ。
 ここでは敢えて紹介しませんが、すてきな仕掛けがあるのです。

 あ、もう一つの仕掛けを書きわすれるところでした。
 この本の間には、小さな紙が挟まれています。明るい珊瑚色の2つに折り畳まれた紙です。
 単なる書籍の広告かと思われるかもしれません。ですが、間違って捨ててしまわれませんように。
 それは小さな掌編なのですから。挟まれた紙すらもまたこの本の一部というわけです。
 ……こういう遊び心いっぱいの計らいは、さすがです。
 購入する際は、この掌編がきちんと挟み込まれているか、確認することをお忘れなく。

 では、最後にもう一つ、作中、私の胸に突き刺さった文章をご紹介いたしましょう。
 『少しだけ海の見えるところ』という作品のちょうど真ん中(ページ数にすると、130ページ)に、それはありました。
 しばらく前は、映画を観るたび「もう二度とこの映画を観る機会はないだろう」と思っていた。
 しかしこのごろは本を読んでいて、「もしかすると、これがこの本を読む最後になるかもしれない」と思うようになった。またふたたび、この本を読みたくなる季節が巡ってくるだろうか? 若いときには、こんなことまったく考えなかった。

 ……ああ、これほどまでに共感を覚えた言葉はありません。ということは、私ももう若くはないということでしょうか(苦笑)
 でも、同時に「今回がこの本を読む最後」にはならないだろうと、確信しました。
 時々、何度も読み返したくなる一冊です。
 興味を覚えた方は、ぜひご一読を(^_^)
 そして、何が「ひょっとして」なのかをあなたご自身の目でお確かめください。
2004-02-29
Book B
ONE PIECE
だれも欲しがらなかったテディベア
どこかにいってしまったものたち
ないもの、あります
アヒルと鴨のコインロッカー
アリスの不思議なお店
ムットーニ おはなしの小部屋
針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat -
水玉の幻想
猫町
模倣犯
Game G
どうぶつの森+
リモココロン
逆転裁判
大乱闘スマッシュブラザーズDX
Movie M
A.I.
トゥームレイダー
陰陽師
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