パウンドケーキと古本屋
2011年5月〜2011年8月
「こまどり屋の由来」
サラリーマンを辞めて、仕事をしていない時
利益率の高い商売は何かと考え、
食べ物屋さんがよいだろうと思い
自分は何を作れるかと試行錯誤して
真面目に「パウンドケーキ」でひと山当てよう
などと考えていました。
実際に作って見ると
素人の私のほうが、一流のケーキ屋さんより
おいしいパウンドケーキを作れることを知ってしまいました。
一流のケーキ屋さんは、生クリームやフルーツなど
特徴のある食材を生かすための
スポンジの技術と見た目の芸術性には優れていますが
ただ丁寧に作ればおいしくなるパウンドケーキは
素朴さこそが味の醍醐味であり
誰でもおいしいケーキを焼くことができると思います。
若干のポイントがありますが
それは後日のネタにとっておきます。
さて、こまどり屋の由来なのですが
単純に「パウンドケーキ」からの連想ゲームで付けました
「パウンドケーキ」→
「イギリス」→
「こまどり」という具合です。
ちなみに「ロビンフッド」やキン肉マンの「ロビンマスク」は
イギリスを代表する鳥である「こまどり」に由来します。
どうしてこまどり屋が古本屋になったかと言うと
第1は、古本の世界がめちゃくちゃ興味深い世界だったことですが
実際は通信販売で食べ物を扱うリスクと
食べ過ぎるとあまり健康的に良くない材料
(卵、小麦粉、砂糖、バター)
を使うことが
大きな要因であったことは間違えないと思います。
でも、いまでも少しだけ
おいしいパウンドケーキを作る自信はあります。
「パウンドケーキについて」
前回「こまどり屋」の由来が
パウンドケーキであることを記載しましたが
これから数回にわたって
パウンドケーキについて書きたいと思います。
パウンドケーキとは
材料である卵、砂糖、バター、小麦粉を
それぞれ1ポンド使用することより呼ばれているようです。
実際は卵1個の重さが大体50gですので
通常の型を利用すると卵2個に対して
砂糖、バター、小麦粉を100g使うことになります。
商売をしようと考えていた為
分量をいろいろ試して作って見たのですが
結局は、同じ分量の材料を使うことが
一番おいしいようです。
その時は、まるで難しい数式を解いていくと
極めて単純な式にまとまった時の感動に似ていると思いました。
美味しいパウンドケーキを作る準備段階として
2つほど重要なポイントがあります。
(細かいポイントは今後説明する機会があると思います。)
一つは「作り方の本」です。
一般的なお菓子作りの本は
パウンドケーキに膨らし粉(ベーキングパウダー)を入れる手順で
まとめられています。
しかし、パウンドケーキは
材料を同じ分量入れることが由来になっていることからわかるように
膨らし粉は本来、入れないものと思われます。
膨らし粉を材料として同じ分量を入れてしまったら
大事故になってしまいます。
少量使うとしても、
実質、膨らし粉はえぐみを味にもたらします。
その為、膨らし粉を入れないパウンドケーキの作り方が
描かれているお菓子作りの本を見つけることが
必要となります。
もう一つは「泡立て器」です。
電動で、パワーのある泡立て器を購入する必要があります。
理由は簡単です。
手で泡立てると、とても体力が必要になるからです。
パウンドケーキを作るには
バターを泡立てるという工程が入ってきます。
これが、かなり大変な作業となります。
私は最初、
1500円ぐらいの安価な電動泡立て器を利用していましたが
3回ぐらいでモーターを焼き切ってしまいました。
条件によって、モーターにかなりの負荷がかかるからです。
できるだけパワーのあるモーターの入った
泡立て器を購入する必要があります。
後はお菓子作りの本を参照して、その手順で作っていきます。
膨らし粉を入れないパウンドケーキの作り方の書いている本なら
かなり信頼度の高い本と思って間違いないと思います。
ここの文章では具体的な作り方には触れないで
私が、感じたり、面白く思ったことをまとめていきたいと思います。
もし、パウンドケーキ作りに興味がありましたら
ぜひ、膨大な洋菓子のレシピ本の中から
御自身に合った至極の1冊を見つけてください。
うっそうとした書林の中から、美しい1輪の花を見つける快感は
本を愛する者の特権と思います。
「共立てと別立て」
膨らし粉を入れないパウンドケーキの作り方のコツは
泡立てた泡を潰さないようにすることにつきます。
レシピの分量や手順、テクニックその全てが
泡立てた泡を潰さないようにするために設定されていると
思っても過言ではないと思います。
一般的にケーキにおいては
卵を泡立てることで空気を生地に閉じ込めます。
卵の黄身と白身を一緒に泡立てることを「共立て」、
卵の黄身と白身を分けて泡立てることを「別立て」とよびます。
以前、うちの近くの駅のロールケーキ屋さんで
「別立て」を手を抜かないケーキ作りのお店の売りとして
看板に大きく掲げていましたが
知らないうちに看板は下ろされていました。
実際は共立てのほうが別立てのほうより手間がかかります。
共立ては黄身が実際泡立つまでの温度で
湯煎しながらの作業になるため
手間、技術、テクニックなどにおいて
極めて難しいパラメータをたくさん抱えてしまうからです。
そして、共立てで作ったケーキはしっとりとしたケーキになるため
生地ではなく、クリームやフルーツが主人公となるケーキにおいて
絶妙な口当たりをもつケーキを作ることができるのです。
パウンドケーキは基本的には別立てで作ります。
別立てで作ったケーキはサクッとした口当たりになります。
しっかりとしたメレンゲを作って
メレンゲの泡を潰さないように生地を作れば
驚くほどおいしいパウンドケーキができます。
その時黄身はどうするかと言えば
泡立てたバターと一緒にさらに泡立てていくことになります。
実はバターはかき混ぜると空気をバターに混ぜ込むことができます。
今までバターを泡立てると言ってきましたが
実際は空気をバターに混ぜ込ませる作業をしていたこととなります。
それを油脂のクリーミング性と言うようです。
黄身単体ではなかなか泡立てられないのも
バターと一緒になることによって空気を含ませることができるようです。
スポンジケーキを作る時は共立て
パウンドケーキを作る時は別立てで
作るのが美味しいケーキを作るコツのようです。
普通、市販のケーキの原材料を見ると
ベーキングパウダー、重曹、炭酸水素ナトリウム などと
ほとんど膨らし粉が混入されていますが
それは、最も手間取り、最も難しい
泡立ての工程の手間を省いているからだと思います。
たからこそ、市販のケーキより手作りのケーキのほうが
絶対に美味しく作れると思います。
ちなみに、スーパーなどで
200円〜500円程度で売られているパウンドケーキは
膨らし粉だけではなく
もっとも高価な材料であるバターの量を少なくしていると思います。
もし、その味に慣れていて
パウンドケーキが美味しくないと思っている方は
ご自身で一度お作りになることをお勧めします。
(実は私がそうでした。)
カルチャーショックを受けること確実と思います。
「パウンドケーキの応用」
今まで書き綴ってきたパウンドケーキは
ベーシックと言うか、クラシックと言うか
最も古典的なパウンドケーキの説明です。
比較的容易に作れます。
パウンドケーキの膨らみは
メレンゲと油脂のクリーミング性によるものであることは
既に書きましたが
卵とバターと砂糖と粉を同等の分量で入れた場合
若干、泡をキープするのに余裕があるようです。
そこに色々な材料を加えることで
バライティーに富んだ味を楽しむことができます。
但し、基本的な材料以外のものを入れることは
泡を潰すことに繋がりますので
限度を超えない事、泡を潰さない材料を使う事が
パウンドケーキの応用のコツとなります。
追加材料の正確な分量は忘れましたが
基本的に
バターと一緒に泡立てる材料と、粉の2種類を同量加えるのが
私の試行錯誤で調べた結果です。
それぞれバターの5%、粉の5%程度が
混ぜる量のMAX程度と思います。
その部分は試行錯誤がいります。
そこで今回は、私が本当に商売になると思った
いくつかの材料の組み合わせを紹介したいと思います。
一つはアーモンドパウダーとはちみつです。
これは、パウンドケーキの素朴さを失わず
味を一ランク上に導きます。
お菓子の素材屋さんに行けば
アーモンドパウダーは比較的容易に入手できます。
はちみつはバターに混ぜ泡立てます。
アーモンドパウダーは小麦粉に混ぜます。
風味や感触はベーシックなパウンドケーキと似て
それでいて至高の味が楽しめます。
一つはココアパウダーとチョコレートです。
チョコレートは湯煎してして、バターに混ぜ泡立てます。
(湯煎が面倒な場合は電子レンジで温めます。)
ココアパウダーは小麦粉に混ぜます。
少し、ベーシックなパウンドケーキより、サクサク感が出ます。
普通はビターな味が好まれるのでょうが
私は軟弱な為、
ミルク入りのチョコレートとミルク入りのココアで作るほうが
美味しいと思いました。
また、このケーキには乾燥のクルミを混ぜるとさらに美味しくなります。
クルミは軽いので、焼くときに沈んでしまうことはあまりありません。
比較的使いやすい素材ですのでお勧めです。
実際、チョコレートのバターケーキはガトーショコラという名前で
一般的に売られているようですが
私が試したケーキ屋さんのガトーショコラより、
自分が作ったほうが美味しいものができました。
ぜひお試しください。
実は私が試行錯誤の中で一番おいしいと思ったのは
パウンドケーキとラムレーズンの組み合わせです。
ラムレーズンはラム酒の中に干しブドウを入れて
一日程度置いておけば簡単に作れます。
ラムレーズンの風味は乳製品の風味とよく合うようで
バターに絡むその味はとびぬけたものでした。
ただ、ケーキとしてうまく焼けませんでした。
それは、お酒が泡を潰す方向に作用することと
焼いてからしばらく置いておくと
ラムレーズンの水分がケーキに吸われて
その部分が空洞になってしまうからです。
それでも10回に1回ぐらいはそこそこうまく焼けたので
何らかのコツがあると思うのですが、結局あきらめました。
たぶん、ホイップクリームにラムレーズンを加え
ベーシックなパウンドケーキと一緒に出して食べれば
簡単にそのおいしさを感じることができると思います。
ただ、ネットの販売を考えていた私にとっては
どうしても完成することができなかった悔しい思い出です。
そのほか実際には
抹茶やきなこ、黒蜜白蜜、チーズ、乾燥フルーツなどを試しましたが
飛びぬけておいしいというものはできませんでした。
でも、今思うと
とても充実していた時代です。
ただ現在、何の役にも立っていません…
「パウンドケーキ屋さんから古本屋さんへ」
真剣にパウンドケーキ屋さんをネット上で開こうと思っていたので
実は、業務用の泡立て器を入手しました。
確か15万円程度の定価のものを8万円程度で買ったと思います。
保健所の許可をとれるように部屋の改造も考えていました。
でも、やはり、本格的に商売に踏み切ることはできませんでした。
何回か試作を重ねて、どんなに美味しいものが作れても
品質を安定させることが困難だったからです。
味に関しては安定させることができたのですが
膨らみや歯ごたえ、しっとり感等を
安定して作るのは難しいものです。
まあ、最も怖かったのは食品を作るデメリットです。
食中毒を起こしてしまえば、最悪人殺しになってしまう恐怖は
次の1歩を踏み出すことのできない充分な理由となりました。
その頃はWIN3.1全盛期で秋葉原がPC一色になり始めた頃です。
私はネット上への商売を考えていたので、
真摯にコンピューターの勉強をしていました。
その頃ラジオ会館の一番上にNECのサービスセンターがあり
(再開発で今やラジオ会館までなくなろうとしています。)
わからない事を聞いたり、勉強会に参加したりしていました。
そこへ行くとまれに「バザールでござーる」のグッズをタダでもらえて
知らないうちにグッズを集めるのが楽しくなってしまいました。
そして、秋葉原の街はただで販促品を提供するメーカーで
あふれていることに気付きました。
美少女ゲームもまさしく創成期で
ポスターやシール、カード、挙句はフィギュアまで
ただで、ご自由にお取りください状態でした。
しだいに私は恥も外見もなく
背中に大きなリックを背負い
ご自由にお取りください状態の販促品を
大量に入手するようになりました。
(実際の商品には全く興味が無いにも関わらずですが…)
これもネット上で販売するようになるのですが
その当時は、販促品のような入手の安定しないものは
商売には向いていないと思い
まだ、パウンドケーキを商品にすることを
試行錯誤していました。
こんな風に秋葉原をうろうろしているうち
神田明神が秋葉原から近い事を知り
神田明神まで行くと、お茶の水の駅が近い事を知り
お茶の水駅から神保町へは良く行っていたので
自然に毎週末に秋葉原から神保町に行くようになり
次第に古本の奥深い世界に入り込むようになり
ネット上で商売するには
これほどふさわしい商品は無いと思うようになりました。
その後も困難や試行錯誤はあったのですが
現在の商売となっています。
以前にも書きましたが
こまどり屋という屋号は
パウンドケーキ、イギリス、ロビン、こまどりという連想で
付けた名前です。
古本とは全く無縁の屋号です。
古本屋さんは、自分の見つけた商品に、好きな価値をつけて
その価値を認めてくださるお客さまに売れる商売です。
サラリーマン時代と違い、いつも喜びに満ちて商売ができます。
ただ、そんな道楽的な商売で、高い利潤を得られるわけが無く
収入はサラリーマン時代の1/3程度です。
もし、予定通りに
こまどり屋がパウンドケーキ屋さんとして成功していたらと
つい、思ってしまう時があります。
現に今でも
自分の作るパウンドケーキより美味しいものを食べたことがありません。
膨らし粉を入れない事とバターをケチらず適正に入れることと
泡立てる手間を惜しまない事で
誰でもおいしいパウンドケーキを作ることができるにもかかわらずです。
もしかしたら、素朴な味と言うのは
どんなに美味しくても商売には向かないのかもしれません。
誰でも作れるから、プロは作らないということもあるのかもしれません。
これでパウンドケーキのくだりは終わりとなります。
さて次は何を書いていこうかネタなしで困っています。
期待せずにお待ちいただければ幸いです。
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