家の設計が始まると、仲の良いご夫婦でも、意見がバラバラなことが多いです。趣味が違ったり、趣向が違ったりします。ここに、ご両親が加われば、更にバラバラになります。そして、子供達もいます。親戚もいます。知人で家を建てた人もいます。多分、みんな好き勝手なことを言います。まとめ役となるご主人は大変ですね。家族間の力関係などもありますので、微妙な立場のご主人もいらっしゃると思います。
私達は、このバラバラな意見を、一つの方向に導くように設計を進めていきます。
三歩進んで、二歩下がるのは当たり前、時には四歩も五歩も下がる時があります。マイナスですね。でも、誰かがまとめていかないと、家の設計は進みません。後戻りを恐れずに、一歩一歩進んで行くしかないのです。
家族というのは、他人とは違うので、好き勝手に思いのままを口にします。でも、物事には、必ず一長一短があるんです。それぞれの思いに、優先順位を付けて、まとめていくしかありません。みんなが、少しずつ我慢して、はじめて意見がまとまります。これを全部、ご主人がやるとなると大変ですね。みんな、本当に言いたい放題になります。
この優先順位の付け方や説得をしてくれるのが設計士です。論理的に必要性やら、物理的にダメな理由などを話してくれます。なので、家族も納得し易い状況が生まれます。
設計士には、それぞれの意見を整理する「整理能力」が必要です。この能力がない設計士に、当たると大変ですね。何も進みません。設計士が面倒になり、「決めて頂ければ、プランを直します」と開き直られても困ります。
家族の意見というのは、トイレの広さだけでも、考え方が違います。よくある話は、小便器を付けるか、付けないかです。
女性側からすると必要ないという意見が多いです。男性側からすると、あった方が良いという話になります。
実際は、男性が洋便器に小便をすると、霧状に飛び散ります。その掃除は、誰がするのという話もあるのですが、その話はおいといて・・・。
洋便器と小便器を設けると、トイレのサイズが1坪程度必要になります。家の坪単価を50〜60万円と考えると、1坪のトイレが、50〜60万円になるということです。
洋便器だけのトイレのサイズは、1坪の半分で畳1枚程度となります。なので、半額の25〜30万円ということになります。まず、この金額でもめます。
そして、スペースを割り振っていくと、小便器のスペースは、無駄なスペースという話になります。「押入れが一個、多くできるよね」という話になります。ここで、またもめます。
更に、介護スペースを確保した方が良いのではないかという話がでると、ここでまた、どちらが良いのかという話になります。
設計の始めは、進めば進むほど、問題や検討事項が増えて行きます。三歩進んでも、二歩下がることになります。もっと下がることもあります。大変です。
こんな問題が、次から次へと続いて出てくるのが家の設計段階です。
ここで、調整役である設計士がいる場合といない場合を考えてみて下さい。どちらが大変ですかね。
設計士は、トイレについて、いろいろな一長一短のアドバイスをしてくれます。金額的なこと、スペース的なこと、使い方のアドバイスなど。それらを聞いて検討を重ねるのと、家族だけで決めなければならないのとでは、大変さがどれだけ違うかわかりますよね。
設計士の中には、ここまで踏み込まずに、「みなさんで決めて下さい」という人もいます。
一緒になって、「○○さんの場合、こっちの方が、こういう理由で良いですよ」と言ってくれる設計士もいます。あなたは、どちらを選びますか。家造りが、まとまるようにアドバイスをしてくれる設計士は重要だと思いませんか。
私達は、話がスムーズにまとまるように「質問事項」を準備しています。60項目近くあります。家族みんなで、考えて答えて頂いても良いですし、2世帯住宅の場合は、ご夫婦とご両親の両方に答えて頂いたりしています。
そして、その回答と敷地図などを元に、検討用のプランを作成しています。みなさんの意見をそのまま形にすると、こうなってしまいますよというプランです。場合によっては、「いろいろな話を聞いた結果として、こうすると良いのでは・・・。」というプランも作ります。
予算内に納まるように、総予算から割り出した家の大きさなども参考にして頂きながら、みなさんの意見をまとめ、設計を進めていきます。多くの場合は、「敷地より大きくて入りません」「予算的に大き過ぎて実現不可能」となります。
尚、第三者(設計士)が入ることで、大声でのもめ事は少なくなります。人前では、大声での喧嘩はできませんもんね。
ある意味、冷静に話が聞けます。間違ったことを言わなくて、済んだということもおきます。
「設計士が言うんだから仕方ないか」という、妥協がし易い状況も作れます。これって、重要なんですよね。それがないと、意見がまとまらないですから。
自分のライフスタイルが、他人と違うことに気付かないことがあります。例えば、家に帰ったらリビングで着替えをするとか、鍵の置場が決まっているとか、トイレの前にスリッパがある時は、人が入っている合図だから鍵を掛けなくても良いとか、食器の置く場所が決まっているのも、その家のルールですね。
これって、言われないと、他の人は知らないことですよね。親戚でも知らないことが、いっぱいあります。なので、トイレの前にスリッパがあっても、ドアを開けてしまうことがあります(私の体験談)。恥ずかしいですね。
私達は、そんな建主が自分では、普通と思っていて気付かない「かゆいところ」を探し出し、設計に生かすようにしています。それには、打合せの場所を、建主の住まいで行うことが重要です。
玄関の話をしていれば、「靴を脱いで、鍵をここに置いて・・・。」と、その家のルールや習慣、掟が打合せの時に、自然と出てきます。「じゃあ、鍵置場を考えないといけませんね」という話ができます。
帰宅した時の話をしている時、「主人は帰ると、リビングで着替えるんだけど脱いだ服が困るのよね」という話が出れば、「じゃあ、リビングにクローゼットを作ってしまいましょうか」という話もできます。まさに、「かゆいところに、手が届く設計」になっていきます。これって、完成した時に、本当に使い易い家になるんですけど、理解して頂けますか。
どんなに優秀な設計士でも、知らないことを設計することは不可能です。でも、今やろうとしていることは、まったく知らない赤の他人の家を設計することなんです。見方を変えれば、できなくて当たり前です。でも、建主の希望は、自分の使い易い家ですよね。暮らし易い家ですよね。そんな家に住みたいですよね。
私達が目指している設計は、「かゆいところに手が届く設計」です。建主が住み易く、使い易い家です。そんな設計をするには、今現在の住まい方を知る必要があります。
現在の住まいの間取りはどうか、家具や収納はどうか、どんなものがあるか、どんな使われ方をしているか、建主の生活を、ある程度知らなければ、建主の満足できる家を設計することは不可能だと思います。
プライバシーの問題もありますので、踏み込み過ぎない程度に、お聞きしながら設計を進めさせて頂いています。
設計士が、建主を良く知ることが出来たら、完成する家は、住み易く、使い易い家になると思いませんか。そんな、予感がしませんか。
今、お話していることは、第三者でないと気付かない「かゆいところ」です。建主が、自分の生活のかゆいところを、全て設計士に話せれば、なんの落ち度もなく設計できると思います。でも、これはかなり難しいですね。
残念ながら、建主には自分の生活、ライフスタイルが見えていません。建主にとっては、普通のことなので、なんの疑問も持たないわけです。「ライフスタイルを話して下さい」と言われて話せないのは、そんな理由です。
そして、話せないことが「落し穴」となります。かゆいところが設計されずに、家が完成してしまうと「失敗しちゃったな、ここは、こうしたかったんだよな!」という話が出てしまいます。そして、その失敗は最低、家を建て替えるか、リフォームするまで続きます。これって、かなり不幸ではないでしょうか。
建主は、かゆいところに気付くことができる設計士に設計を頼むと、良い家が建ちそうですね。
では、かゆいところに気付ける設計士は、どこにいるのでしょうか。これは、一級建築士の免許を持っていれば備わっている能力ではありません。なぜなら、試験に出ないからです。
長年の経験と知識、応用力など、どれだけ建主のかゆいところに気付いてきたかによって、決まってしまいます。かゆいところを設計してこなかった人に、突然できることではありません。これこそ、経験がものを言います。そして、このような設計士を探すのは、結構大変だと思います。なぜなら、どう探せば良いかわからないからです。建主は大変ですね。
参考に、このホームページにある「私の手掛けた建築」をご覧ください。どのような会話から、どのようなことに気付き、そして、実現させてきたのかがわかります。
今お住まいの住宅にも良いところ、悪いところがあると思います。使い易いところ、使い難いところ、落ち着く場所や落ち着かない場所など、良い面、悪い面を把握して、新居の設計に生かすことも大切です。
その為に私達は、今の住まいの間取り図(既存間取り図)を作成しています。そして、既存間取り図から、建主の生活スタイルを読み取っていきます。
「動線」という言葉は、お聞きになったことがあるのではないでしょうか。簡単にいうと、人が、どのように動いたかを線で表したものです。私達は、既存間取り図を作成することで、現在の動線を把握しています。
朝起きて、どの部屋に行って何をして、その後、どこの部屋に行くのかを把握します。この「動線」を把握することで、どの部屋と、どの部屋が近いと、移動距離が少ないとか、どの部屋と、どの部屋が隣だと便利ということを把握していきます。使い易さの追求ですね。
既存間取り図からは、いろいろな動線がわかります。洗濯物を洗って干すという洗濯動線や食事を作りながらの家事動線、来客があった時の対応がわかる来客動線、買い物の荷物動線やご主人の帰宅動線、子供動線や朝の活動動線、休日動線もあります。そして、この数々の動線には、建主でも気付かない、その家のルールや習慣、掟が潜んでいます。ここを感じて、探しだせる能力が設計士には必要です。ここでの見落としは、建主にずっとつきまといます。使い難いままずっと住まなければなりません。怖いですね。
例えば、家事動線ですが、いろいろな人がいます。
食事を作りながら、洗濯をすることが多く、食事が終わったら洗濯を干す。そして、帰宅したら部屋に取り込み、アイロンを掛けて、タンスにしまう。この一連の動線を考えても、いくつかの部屋が登場します。
キッチンから洗濯機置き場、キッチンに戻り、ダイニングに移動して、再度、洗濯機置き場へ。そして、物干し竿のある外へ行って、家に入ります。帰って来たら、部屋に取り込みアイロン掛け、そして、洗濯物をしまう部屋に行きます。
いくつの部屋が隣合わせであれば、スムーズな動線となるのでしょう。このスムーズさを追求して、プランを考える必要があります。そして、その途中で、いろいろな行動があることを聞いていきます。
この奥さんの場合は、家の中でハンガーに洗濯物を掛けてから、一気に手に持って、外に行くということがありました。「じゃあ、その場所は?」という話になります。
この奥さんの場合は、洗濯物をカゴに入れ、部屋の中に吊るしたパイプに一時的に吊るし、そして、外に持っていくという習慣があるということが判明しました。
そうなると、「パイプを吊るす場所が必要ですね。」という話になります。じゃあ、どの部屋でという話になるのですが、更に、乾いた洗濯物を取り込む時、干す時とは逆で、一気に手に持って、部屋の中のハンガーパイプに掛けるというのです。「は〜あ!」という感じです。このような習慣、ルールは、その人しか知りません。それを探していくことも大切なことなんです。
私達は、建主の動線を理解し、動線から感じとれるルールや習慣、掟を設計に生かすようにしています。そして、既存の間取りでは、使い難い動線、不便な動線を見つけ出し、新居では、どんな動線の家にするのが、良いのかを検討していきます。
妥協できる動線もあると思います。どうしても妥協できない動線も出てきます。その辺を建主と一緒に考えて、使い易い動線の家造りを目指していきます。それには、一日の家族それぞれの動線を把握することが大切なんです。
使い易い家の動線は、各家庭で違います。当たり前ですよね。この世に同じ人がいないように、まったく同じ生活の仕方をしている家族はありません。解り易いのは、アパートなどの共同住宅ですね。
家具などの配置から持っているもの、置き場所や工夫の仕方まで、隣の人と同じという人は、いないですよね。間取りは同じなのに、全然違う生活スタイルになっています。
これは、ものの置いてある場所が違うので、動線も各家族で違ってくるということです。家族構成も違えば、年齢も違います。部屋の割り振りも違います。違って当然ですね。
ということは、各家族に合った動線、生活スタイルが、十家族あれば、十通りあるということです。当然、各家族に合った家は、十軒とも違うということになります。
なので、私達は、ハウスメーカーなどが、出している「間取り集」から、自分の家を選ぼうとしている人達が不思議なんです。参考にするのは良いですが、「それで、本当に良いの?」と言いたくなります。
使い方が違うのに、それで良しと、なぜできるのか不思議なんです。まあ、人間は、順応性が高い動物なので、なんとなく家に自分の生活を合せてしまっているからだとは思うのですが、新居なのに寂しいですよね。
現在の住まいの動線に注目することは、重要です。そして、その既存動線を生かした設計が、できる能力が設計士には求められます。そして、感じる力を発揮し、建主が気付かないルールや習慣、掟を設計に生かさなければなりません。それが、できる設計士をお探し下さい。
既存の間取りから既存住宅での動線を把握すると、いろいろな問題点が出てきます。それらの問題を解決していかなければなりません。「問題解決能力」がないと大変なことになります。
この問題解決能力は、どれだけ小さな問題点を探しだしてきたか、その問題をどれだけ一生懸命に解決しようとしてきたかという経験がものをいいます。それと、どれだけ応用力を身につけてきたのかということもあります。つまり、研究熱心でないと発揮されない能力といえます。デザインばかりを勉強していてもダメですね。
そういった能力を持った人がいるのであれば、使わない手はありません。大いに利用し、より良い家が建てられるようにしていくべきだと思います。それと、建主からすれば、設計士の声は、「第三者の声」となります。自分では気付かなかったこと、アイデアを提供してくれます。これって、本当に使わない手はないですよね。
それから、建主には、思い込みや勘違いがあります。「これが絶対に良い」と思っていることでも、第三者的に見ると「それは、ちょっと違う」ということがあります。どうでも良いことに、こだわっている場合、優先順位の低いことに、こだわっている場合などがあります。思い込みや勘違いを、指摘をしてくれる設計士は重要です。
いろいろな問題には、必ず一長一短があります。例えば、既存の間取りから、トイレと客間が隣合わせで、トイレの音が客間に聞こえてしまうという問題があったとします。これは、短所ですね。
でも、長所もあるのです。来客がトイレを使い易いという長所です。それと、別の家族と顔を合わすことなくトイレに行けるという長所もあります。
別の短所としては、知らずに家族がトイレを使おうとすることがあります。来客が入っているのに、「ガチャガチャ」とドアノブを回すのは、いかがなものでしょう。
トイレと客間が隣合わせということだけで、これだけの一長一短があります。
単純に「離せば良いじゃん」というのも一つの答えですが、じゃあどれだけ、どこに離すかというのも問題です。
客間は、玄関に近い場合が多いです。トイレも客間に近い方が良いと考えると玄関の近くになります。
でも、来客が玄関にいた場合、家族がトイレを使いたくなるとどうでしょう。玄関の来客と、顔を合わすことになります。パジャマなどでは、出て行きにくいですよね。また、来客がいるにも関わらず、「ジャー」と音がします。気にしなければ、それまでなのですが、家が完成してから気づく問題点ですね。
この問題を、どう解決するかは、とても難しいです。単純な答えはありません。一長一短を考えられるだけ考え、優先順位を付けるしかありません。そして、妥協した答えを出すことになります。「え〜え、そんなに簡単に妥協しちゃうの〜う」と言いたくなりますか。
そこで、「問題解決能力」のある設計士だったら、いろいろな提案があるかも知れません。隣り合った客間とトイレの音の問題は、壁から音が伝わってしまうことにあります。
「この壁を防音の壁にしましょう」という提案があるかも知れません。また、「便器の洗浄音の小さなものを選びましょう」という提案があるかも知れません。また、「トイレと客間の間に、押入れを挟みましょう」という提案が出るかも知れません。
結局は、知識と経験、能力がその設計士にあるかどうかで、家の設計が大きく変わってしまうということです。
問題を解決できるかどうかは、問題にもよりますが、知識と経験がない設計士に、家造りを、お願いしてしまうと、ちょっと悲惨かもしれませんね。
設計士の問題点に気づき、問題を解決できる能力は、設計時に、発揮されなければならない能力ですね。工事が始まってしまうとどうにもならない場合が多いです。
設計図は、紙に線を書いた平面な世界です。そこから、3次元の立体的な世界を創造することは、経験がないとかなり難しいと思います。でも、家の設計段階というのは、平面から立体的な家を創造しなければなりません。
あなたは、平面図、立面図(外観の図面)、断面図などの線と面から家の形、家の空間を創造することができますか。かなり難しいですよね。
そこで、コンピューターを使って、3Dパース(立体図)を作成する住宅業者が増えています。紙に書いた線が立体的な絵になるので、理解しやすいですね。
私達も建主に理解してもらい易いように、3Dパースを作成しています。色を簡単に変えられたり、家具を置き換えたり、窓の大きさを変えたり、ドアのデザインを変えたり、簡単に入れ替えることができるので、建主に理解してもらい易い道具となっています。
線と面では理解できなかった、窓の高さや大きさの確認、家具を置いた時の広さなど、疑似体験をしてもらうことができるようになりました。建主も勘違いや思い違いがなくなり、家の完成を待つことが出来ます。安心ですね。便利な世の中になりました。
私達は、カタログや雑誌、現物サンプルを使って、更に理解してもらいやすいように設計を進めています。
色などは、微妙なので3Dパースではわかりません。良いと思った色が現実的には、暗すぎたとか、白すぎたとか、赤すぎたとか、黄色すぎたとかなります。
それとテクスチャーといって、実物と絵や写真では、材料の質感や触った感じが、あきらかに違います。完成した時には、この辺がとても重要です。家の雰囲気に影響します。
また、建築用語は一般の人に、馴染みのない言葉だと思います。聞いただけでは、解らない言葉がいっぱいあります。
この辺を、中学生でもわかる言葉に置き換えて説明してくれる設計士に、出会うことは、とても大切だと思います。だって、建築用語を知らない人にとっては、外国語のようにしか聞こえません。外国語で話をされてもわからないですよね。
「展開図」と言われてわかりますか。「切妻」とか「寄棟」とか言われてもわからないですよね。「桁方向」だの「妻面」だの言われても、「は、あ?」となってしまうと思います。
専門用語を丁寧に説明してくれる設計士と出会えるといいですね。最悪なのは、「言っても解らないでしょ」という態度をとる設計士です。「この野郎!」って感じですよね。
最近は、インターネットで、いろいろな材料について調べることができるようになりました。みなさん、一生懸命調べます。でも、読んでも解らない言葉が多いのではないでしょうか。
そんな時、「○○っていう材料は、どうなんでしょうか」と言われて、説明するのが面倒臭そうな設計士だったらどう思いますか。まして、「あんたに、説明しても解らないでしょ。」という態度を取られたら最悪です。
設計士も、世の中のすべての材料を、完璧に知っているわけではありません。新しい材料も、次から次へと出てきます。何とか工法というのも、どんどんと誕生しています。
なので、知らなければ知らないで、「ちょっと解らないので、調べて連絡します」という設計士が良いですね。
「面倒臭いな」という態度の設計士は最悪ですよね。適当に答える設計士も最悪です。ずっと生活していく家を設計してもらう人として、どうなのでしょうか。
また、質問しにくい雰囲気を醸し出している設計士も最悪です。「聞きたいのに、なんとなく聞けない」。聞くと、「そんなことも知らないのかとバカにされそう」といった雰囲気の設計士では、家造りが心配になりますよね。
この場合、建主が段々と「お任せ設計」になっていきます。自分の家なのに、解らないまま、お任せで、どんどん家の設計が進んでしまいます。
質問し易い雰囲気、解り易い言葉での回答はとても大切です。そんな設計士に出会うことが必要だと思います。
理解し易い提案力は、コミュニケーション能力も含めて、設計士の能力そのままということがいえます。3Dパースでの提案、カタログや現物サンプルでの説明、解り易い言葉での説明、質問し易い雰囲気、意見を言い易い雰囲気など、家造りには、とても大切ではないでしょうか。
部屋の雰囲気は、床、壁、天井で決まるというよりも、部屋に置かれる「家具」で決まります。
部屋の雰囲気の70%は、家具で決まるといっても良いくらいです。
これは、どんなに建物で部屋の雰囲気を頑張って作っても、入れる家具に左右されてしまうということです。ちょっと、わかりにくいですかね。
新居が完成した時は、床、壁、天井しかありません。アパートを借りる時に見たなんともいえない殺風景な部屋の状態です。ここに家具が持ち込まれることによって命が吹き込まれます。
なので「どんな家具を置くのか」は、非常に部屋の雰囲気に影響します。ちょっとは、理解して頂けましたか。
これは、大きな吹抜けなど空間に変化があったとしても同じです。
(このホームページにある「絵で見る自分らしい家の提案」をご覧ください。家具のない殺風景な部屋と家具を置いた部屋の3Dパースを掲載しています。)
部屋の設計をするには、どんな家具を置くのかを、よく考えた方が良いということです。
私達は、家具から部屋の雰囲気を設計していきます。統一された雰囲気の部屋が出来上がるようにしています。
家具が決まっていない場合は、雑誌などで建主の希望の雰囲気を確認しています。最初の希望は、いろいろで、バラバラです。
対話を繰り返し、既存の家具なども考慮しながら、部屋の雰囲気の方向を出していきます。その時、今住んでいる家にあるものを、参考にさせて頂いています。
どんな小物があるのか、置物や家具から感じる雰囲気、座布団や湯呑、コップなどから感じる雰囲気なども参考にさせて頂いています。現在の住まいには、多少の違いはあっても、ある程度の統一感があります。その辺を感じながらトータル的に、コーディネイトさせて頂いています。感じとる力がないと難しいんですけどね。
雰囲気に統一性がないと、チンドン屋になってしまうことは、どなたもご存じだと思います。
既存の家具を使えば、その家具の持っている雰囲気を無視することはできません。既存家具が良く見える雰囲気の部屋造りをする必要が出てきます。なので、既存家具を使うのか、使わないのか、その後の進め方に大きく影響します。
家を建てるに当たり、家具を全て新品にするという方は、少ないと思います。多くの方は、既存の家具を利用する予定だと思います。そうなると、既存家具の雰囲気が部屋に影響を及ぼすということになります。
既存家具がお気に入りの家具で、その家具に合った雰囲気の部屋を希望されるのであれば、良いのですが、別の雰囲気を望みながら「勿体ないから使いたい」というのが結構困ります。
同じ雰囲気の家具であれば、部屋に居場所を作ってあげることで、部屋に馴染みますが、違和感のある家具では、「どうしようか〜あ」となってしまいます。
家を建てるのであれば、家具を買い替えるくらいの気持ちがあった方が良いということもいえます。でも、なかなかできませんね。勿体ないし。
一つ例をお話します。赤いタンスがあったとします。その赤いタンスをメインに部屋の雰囲気を考えて作るとして「タンスが赤だからシックに、白黒な部屋に置くと似合うだろう!」ということで、白黒の部屋になったとします。
その時は、良いと思ったことでも、完成してから「なんか落ち着かない。私はやっぱり、木の雰囲気や和風ぽい雰囲気の方が好きだな」ということが起きる可能性があります。こうなると、最悪ですね。
この場合は、
家具に部屋を合わせるのではなく、自分の住みたい雰囲気の部屋を作る
必要が、あったわけです。当たり前に感じますが、なかなか難しいんですよね。だって、今度は、木がいっぱいある和風の部屋に赤いタンスを置くことになるのですから・・・。
既存家具に合わせた家造りをするのであれば、気に入った雰囲気の家具を残して、その他の家具には、どこかに行ってもらうか、隠れていてもらうしかありません。(納戸などに入ってもらう方法があります。)
建主は、どこを基準に部屋の雰囲気を決めていくのか、選択を迫られることになります。
「そんなこと関係ないわ。私はいいの」という方は、家が出来上がってから、チンドン屋の部屋での生活が待っています。これって、楽しいのでしょうか。心が落ち着くのでしょうか。私には疑問です。
私達は、既存家具の雰囲気や今のお住まいの全体的な雰囲気を感じながら、どの方向の部屋造りが、建主の為なのかを模索して、提案させて頂いています。既存家具からの部屋造り、雑誌などから、ご希望の雰囲気を感じ取り部屋造りに生かす進め方をしています。結果、建主にあった雰囲気の部屋が出来上がります。
部屋の雰囲気を考えた時、だんだんと、どんな雰囲気が良いのかわからなくなる時があります。このような時は、お気に入りの家具の似合う部屋の雰囲気造りというのも一つの方法です。
部屋の雰囲気は、その家に住む人にあった雰囲気にしないと疲れてしまいます。家具も部屋の雰囲気もフィーリングがとても大切です。それには、長年一緒に暮らしてきた家具との相性を忘れないことも大切です。
アイデアというのは、問題が発生して、その問題を解決する為に生れてくることが多いです。その家に、どんな問題が発生し、その問題をどのように解決しなければならないかという必要性が出て来た時に生まれてきます。
一つ例をあげます。敷地が狭く、1階の面積が小さくなってしまうケースです。
建主の希望は「敷地は狭いけど、広いリビングにしたい」ということでした。問題が出たので、考え方の整理、アイデアや工夫、発想の転換、我慢が必要となります。
この建主の場合は、動線計画から、1階にリビングは欲しい、ダイニングは欲しい、キッチンは欲しい、トイレや浴室、洗面脱衣も玄関も欲しい、客間も欲しいし、子供部屋も1階の方がいいよねということで、1階に欲しい部屋がいっぱいになっていきます。でも、全部を1階にすると小さな部屋ばかりになってしまうんですよね。
敷地から部屋を割り振ると、リビング6帖、ダイニング3帖、キッチン2帖とか。これでは、狭いですよね。決して広い部屋、広いリビングとはいえません。でも、建主の希望は「広いリビング」です。
いろいろな考え方があるのですが、「じゃあ、リビングは、何帖あれば良いんですか」というところから、リビングの欲しいサイズを決めるという方法があります。
「え、広ければ、広い程いい」では、検討して行く基準がないので進めにくいです。
そこで、リビングですること、リビングに望むことを箇条書きにしてもらいます。そして、それを、何人で使うのかを考えてもらいます。こうすることによって、リビングの必要な広さが明確になります。この明確になった広さは、今度、絶対条件と言えるほど強い基準となります。この作業を各部屋について行います。そうすると各部屋の絶対に欲しい広さの基準が生まれます。ここ、重要です。
そして、今度は出てきた各部屋の広さを、敷地に入れ込むわけです。ここでは、まだ敷地に、部屋が入りきりません。駐車場や庭などを考えた場合、物理的に無理ということになってしまいました。
出てきた問題は大きいですね。欲しい部屋の広さの基準が出来たのに、敷地に入らないという問題です。あなたならどうしますか。敷地を買い替えますか。それは一つの方法です。でも、それじゃちょっと、・・・ですよね。
ここで、発想の転換やら、工夫、アイデア、我慢が必要になります。それにはもう少し、条件設定が必要となります。
まず、物理的に不可能なところから、解消するしかありません。1階が、敷地に入らないのですから、2階にする部屋を決めるという作業が必要です。
どの部屋は上げられて、どの部屋は上げられないかを考えます。
いろいろな考え方がありますが、ダイニングを1階と決めるとキッチンは付いてきますね。
じゃあ、リビングはダイニングと離れていて良いのかというと一緒の方が良いということになります。普通、トイレもないわけにはいきませんよね。客間はリビングと兼用と考えれば無くすことができるという考え方もあります。子供部屋は2階でも仕方ないかという話もでます。洗濯は、食事を作りながらしたいから1階。そうなると「脱衣と浴室も1階が良いわ!」となります。
全体から見ると、1階が大分小さくなりました。今度は、余るほど小さくなってしまいました。
ここで、今度は、部屋を広くするのではなく、「2階でも良い」と考えた部屋の中から、どの部屋ならば、1階に出来るか、1階の方が良いかを考えていきます。
この建主の場合、「やっぱり、客間は1階に必要だよ。だって、お母さん達に泊まって行ってもらえないじゃん。足が悪いから2階は無理だし」という話がでました。なので、1階に客間が入らないかということになりました。
ここでは、1階に客間を入れる程の広さは残っていないという現実がありました。ここで、登場するのが、「アイデア」と「工夫」と「我慢」です。面積的な制約から、どこかの部屋を、小さくしなければ入らないということなので、最初に登場するのが「我慢」です。どの部屋を小さくできるかという検討から入ります。
結果、リビングを小さくするしかないかなあということになり、リビングを小さくして、客間を入れ込みました。建主からは「あ〜あ。広いリビングは、どこに行っちゃったの」と不満の声です。ここで、「工夫」と「アイデア」の登場です。
工夫、アイデアは問題が発生してから生まれてくるものなのですが、ここでは、リビングを広く見せる工夫とアイデアをお話します。
設計士から「リビングは狭くなりましたが、広く見せることは可能です。」と驚きの一声が聞こえてきました。建主は「なにそれ?」って感じです。設計士は、リビングと客間が隣合わせであることに着目。
通常は壁で仕切られるのですが、その壁を無くそうというのです。「じゃあ、部屋にならないじゃん」というのが普通ですが、設計士からは、壁の部分を、三本の引き込み戸にすることによって、壁を無くすことができるというのです。建主は「は〜あ」と呆気にとられています。
続いて、設計士の説明は、来客は毎日来るわけではないので、普段あまり使わない客間を使わないままにしておくのは勿体ない。だから三本引き戸を、開けっ放しにすることで、リビングが広くなったような錯覚を起こすことができるという提案です。
わかり易くいうと、昔ながらの日本家屋です。隣同士の部屋が「襖」で仕切られています。その襖を開けっ放すことで、部屋を広く見せようという「アイデア」です。
次は、「工夫」です。「三本引き戸の背を高くして、壁の中に納めてしまいましょう」というのです。開口部が高く、広く、大きくなり、襖を見せないことで、部屋の一体感を増そうという工夫です。結果、「襖を開けると広いリビング」が実現しました。この建主は大喜びです。
この例では、「アイデア」と「工夫」によって、「広いリビングが欲しい」という希望を叶えることができました。
全ての問題をアイデアと工夫で解決できるとは言えません。でも、発想の転換やどこに着目するかなどによって、アイデアと工夫で解決できる問題はあるということです。
当然、設計士によって違う能力なので、問題点を解決できる能力のある設計士に頼むことは、重要だといえます。
問題はこれだけなく、いっぱい、いっぱいあります。その全てを検討して行かなければなりません。家造りは大変な作業ですね。
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