6

110616_home1_1.gif110616_home1_1.gif110616_about1_1.gif110616_about1_1.gif110616_gallery1_1.gif110616_gallery1_1.gif110616_bbs1_1.gif110616_bbs1_1.gif110616_link1_1.gif110616_link1_1.gif110718_blnk2.gif

kv強化月間z

Gallery

備えあれば 憂いなし

テキストサイズ 小 |中 |大 |


6.



「悪ィ、すっかり待たせちまったな」「ぎゃあっ!」
この世には、いくら用心し備えても、どうにもならない災いというものが存在する。地球に来てからというもの、オレはその事についてイヤというほど理解させられている。突如、オレの上に落下してきたものの正体を確認するまでもなかった。突然オレの上に降ってきた満面の笑顔のソイツに、オレは仰向けにひっくり返されガバっと大股を開かされた。
「じゃ、続きすっか!」
イキナリ何しやがるくそったれぇっ!股間のモノを尻の狭間にぐりぐり押しつけられ、あまりにもみっともない格好をさせられる。能天気な声と、凶器とも呼べそうなデカイもののギャップに、恥かしいやら頭にくるやらで思わず顔が真っ赤になる。

「ふっふざけるなキサマ!さっさとどけ!」「うわっと!」
相手の顎を砕く勢いでヤツの顔を張り飛ばし、反動をつけてオレが身を起こすと、ソイツ…カカロットは、後ろ向きに倒れた。けれどさすがに無様に転げ落ちるような事は無く、後頭部を打つ直前にすかさず手をついて片腕の力だけで短く跳躍し、屈伸姿勢でくるりとトンボを切って着地した。
「ふう、危ねえなあ」
「何が『ふう』だ、現れたと思ったら突然人の上に降ってきやがって!」
「ああ、そうか。オラ急いでたんだ、おめえを待たせちゃ悪いと思ってさ」
「悪いと思うところが間違ってるぞくそったれ!」
殴ってやろうと拳を振り上げながら、一方でオレは不思議と安堵を感じていた。――良かった、カカロットのやつ、どこかへ行っちまったのかと思ったが、ちゃんとここにいたんだな(もちろん口には出さなかったかが)。


「おめえの気を探って瞬間移動したらさ、おめえいきなり座り込んでるんだもんなあ」
…なんだと?照れたように頭を掻くカカロットの顔を見ながら、ヤツを殴ろうと振り上げた腕が思わず止まった。『瞬間移動』だと?やっぱりコイツ、どこかへ行っていたのか?一体どこへ?振り上げた腕を下ろしながら、そう疑問を口にしようとして、出来なかった。
「!」
「?」
突然、視界の隅に何か小さな塊が跳躍してきた。オレと同時にカカロットもその存在に気が付いたらしい。オレ達の目には随分とゆっくりした動きに見える、その正体を目にした途端、カカロットは目を見開き、オレは全身がゾッと硬直した。
「何だ、ヘビじゃねえか」
「!!!!!!!!!」
まるで果物でももぐような気安さでカカロットが左手で掴み取ると、ソイツはうねうねと身もがいた。にゅるにゅる、ニョロニョロ。その動きに、オレはまた全身の力が抜けるのを感じ、カカロットの肩に崩れ掛ってしまった。
「見ろよベジータ、こんな小せえヘビ捕まえたぞ!」
すかさずカカロットはオレの腰を片腕に抱き込みながら、得意げにソイツをオレの顔の前に突き付けてきた。
「ぎゃあああああああああっ!!!」



ヤツが掴み取ったもの。それは先程目にした小さなヘビだった。苛立ち紛れにオレが窓と壁の大半を壊してしまったのものだから、最早オレ達がいる室内と外とは陸続きだ。草の影に身をひそめていたが、新たな外敵の来襲に驚いたのか、決死の跳躍で距離を詰め、その牙で攻撃しようと向かってきたものらしい。悲鳴を上げるオレに、ヘビの両顎をしっかりと押さえながらカカロットが面白そうな顔をする。
「なんだよ、ベジータ、おめえこんな小せえヘビが怖いんか?」
「オレはニョロニョロしたものが大嫌いなんだと何度も言ってるだろうが!」
「大丈夫だって、こいつまだ赤ん坊だからさ、ほら」
「うぎゃぁああああああああっ!!!!」
ヘビを顔に近づけられて、シッポがぴたぴた顔に当たる。逃げだそうにもオレの腰はカカロットの腕にしっかり抱きこまれているから、すり抜ける事も構わない。出来る事といったらせいぜい、ニョロニョロが二股の舌をちらつかせながら、細かいうろこに覆われた身をくねらせるのを出来るだけ見ないように、カカロットの胸に顔を押し付けて視界を覆う事、くらいだ。


「はっ、早くソイツをどうにかしろくそったれ!」
「こいつ、黒焼きにして食うと、精が付くんだ」
ちょっと臭いはくせえけどな。オレの訴えをまったく聞いていないカカロットは、想像するだけで意識が遠くなりそうな事を口にする。
「でも、こいつは赤ん坊みたいだし、食っちまうのはかわいそうかな、なあ、ベジータおめえはどう思う?」
「どっちでもいい、さっさとソイツをどうにかしろ!」
「どうにかって、どうすれば良いんだ?」「何でもいいからどこか遠くにふっとばせ!やらなければキサマごとソイツをふっ飛ばしてやる!!!」
「分かった、分かったって!落ちつけよ」
「これが落ちついていられるか!」
腰を片腕で抱きこまれたまま、半ば恐慌状態でカカロットの胸倉を掴んで揺すぶると、ヤツはようやくニョロニョロから手を離した。


「ほら、早く逃げろよ」
丁重な手つきでカカロットがヘビを地面に降ろすと、そいつはまだ怯えたように床材と地面の上の境界あたりを這いまわっていたが、オレがいっそ焼き払ってやろうかと気弾を撃つ構えを見せると、驚いて近くの下草に飛び込み、そのまま気配が遠のいていった。
――くそったれ、脅かしやがって!ようやく去った脅威にオレは大きく安堵の息をついた。
「ははは、おめえ、あれだけ修行を必死でやってるのに、あんな小さいヘビ見てガタガタ震えちまうんだな」
オレの背中を慰撫しながら、カカロットがからかうような笑い声を上げる。
「うるさい!オレのトレーニングはキサマを倒すためだ!あんなニョロニョロに備えるためじゃねえ!」
ヤツの言葉に思わず顔が赤くなるが、相変わらず腰を抱きこまれたままなので顔を隠す事が出来ない。それならせめてと出来るだけカカロットから顔を背ける。
「おめえのそういうところさ、可愛いよなあ」
「うっ、うるさいうるさいうるさい!」
このベジータ様を捕まえて、何が「可愛い」だ!そう怒鳴ってやろうとするが、顔がますます赤くなってしまい、どうにも顔を上げる事が出来ないでいた。
「…ところでさあ」
耳まで熱くなってくるオレの顔のすぐ近くで、カカロットが顔を上げる気配と共に怪訝そうな声を上げた。

「なんで窓、壊れてんだ?」
今頃その指摘か!