1.一社指名の見積り
住宅業者1社に、家造りを頼んだとします。出された見積りが、高いのか、安いのかわかりますか?
多分、わからないと思います。私も見積り書を見ただけではわかりません。高そうか、安そうか程度は、雰囲気で感じることはできます。でも、本当のところはわかりませんね。
また、高いと思ったとしても、「いえ、我が社では、これが精一杯の金額です」と言われたら「もっと安くなるんじゃないの〜う?」と言っても「無理です」としか言われません。
「なんか高いような気がするな〜あ」という感覚だけの話となります。悲しいですが、確認することは、かなり困難です。まあ、確認できたとしても、金額が下がることにはならないのですが・・・。
これは、工事金額の妥当性を確認することができないので、疑問に思ってしまうということですね。
住宅業者の中には「家の仕様を下げれば、金額を下げられます」というところが、あると思います。でも、当たり前ですよね。
怖いのは、知らないところで、勝手に仕様を下げられて「○○○円まで下げます」と言ってくる業者です。
土台がヒノキから他の材料に変えられていてもわかりませんよね。クロスが、最初1300円で見積りをしてあったのに、1000円に下げられていても解りませんよね。「クロスの見積りの範囲はここまでです。この中から選んでください」と言われれば「そうですか。じゃあ、その中から選びます」ということになってしまいます。
もう一つ、住宅業者1社指名で気を付けた方が良いことは「今回は、特別○○なので建設費の1割り、200万円値引きさせて頂きます。かなりお得となっています。」という内容の誘い文句です。「え、1割りも安くしてくれるの。お得じゃん」と思ってしまうと、住宅業者の術中にはまってしまいます。
最初の見積りに、1割り分の金額を上乗せしてあったとしたらどうでしょうか。値引きをしても痛くもかゆくもありません。
金額の妥当性が解らない限り、高いのか、安いのかは、判断はできないということです。知らないということは、簡単に騙されてしまいますね。
2.仕様がバラバラな複数の住宅業者からの見積り
それでは、次に「複数」の住宅業者から、「同じ程度の大きさの家」の見積りを取ったとしましょう。工事金額の低い業者から高い業者まで順番に並びます。あなたは、一番安い住宅業者に、すぐに決めてしまいますか。
私は、安いだけでは決めません。デジカメや車は安いからという理由では、購入を決めませんよね。性能やデザイン、機能の満足度などの「仕様」を天秤に掛けて、予算とにらめっこして決定しているのではないでしょうか。多くの人はそうしますよね。
なので、複数の住宅業者から見積りを取った人は、一生懸命に、バラバラな仕様(屋根材、壁材、キッチンや浴室などの仕様が全部違う)とにらめっこしがら、「選ぶ」ということをしています。
これって本当に「お値打ちな家」を選ぶことができる方法なのでしょうか。自分が住みたいと思える家を選べるのでしょうか。かなり疑問ですよね。だって、バラバラな仕様なんだから本来、金額の比較ができないはずです。
また、各住宅業者が妥当な金額を提示しているかどうかもわかりません。本当に良い材料を、使っているのかもわかりません。何もわからないまま、自分の感覚だけで、大金を払おうとしているんですよね。かなりの大冒険ですよね。私にはできません。
3.共通の仕様書(設計図)で複数の住宅業者から見積り
最善な方法と思うか、思わないかは、人それぞれですが「仕様書(設計図)」を作ることを、お勧めします。
屋根材は洋瓦、外壁はタイル、窓は・・・、床は・・・、内壁は・・・、システムキッチンは・・・と家の仕様を全て決めてしまって、複数の住宅業者から見積りを取れば、一品一品同条件で、金額比較していることになります。これだと、高いのか、安いのか比較できますね。
複数の住宅業者から同じ条件で見積りを取るということは、複数の家電販量販店のデジカメの値段を調べることと同じです。
デジカメは同じ仕様、同じメーカーなのに値段が違いますよね。住宅も仕様が全て、決まっていれば、単純に同じ仕様での、金額比較となります。妥当な金額を見極めることができます。
でも、それには「仕様書(設計図)」が必要となります。
仕様書(設計図)には、家の材料を全て書込みます。その仕様書を元に、複数の住宅業者から見積りを取ります。当然、どの住宅業者が作っても同じ家になります。各住宅業者は、仕事を受注したければ、見積り金額を下げなければなりません。「競争の原理」による仕事の争奪戦となります。競争に勝つためには、儲けや経費などを下げなければなりません。仕様書があるので、材料を変えて価格を下げることはできません。
建主は、一番安い住宅業者に、工事を依頼すれば、お値打ちな家が手に入り、とてもお得です。
住宅業者から出てきた一番安い見積りは「妥当な見積り」といえます。これ以上の価格根拠はないのではないでしょうか。あなたは、どのように感じられましたか。他の良い方法を、何か考えられますか。
4.公共の建物の入札(見積り)
因みに、公共の建物では、設計事務所が作成した設計図(仕様書)を元に、複数の工事業者に、工事金額を、入札させるという方法をとっています。同じ仕様の建物の工事金額の比較となるので、お役所も一般市民に説明しやすいんですね。理解も得られます。
「設計と工事を一緒にした入札」だと、各社が勝手に設計しますので、建物の仕様(設計)が違ってしまいます。仕様の違う工事金額を比較しても、金額は違って当たり前。なんのために入札しているのかわからなくなってしまいます。これは、住宅業者であるハウスメーカーや工務店に、「設計と工事を一緒」に、お願いしてしまう場合と同じです。なので、仕様が違い、比較ができず、妥当性を確認することができません。
ちょっと、どうなのでしょうか。疑問ですね。
設計事務所では、建主と打合せをしながら、家の「仕様書(設計図)」を作ってくれます。
そして、複数の住宅業者から見積りを取ってくれます。出てくる見積りは、建主と決めた仕様での見積りで、どの住宅業者が作っても同じ家になります。あなたは、その見積り金額を見て、住宅業者を選ぶことが出来ます。結果、あなたは、お値打ちな家を手に入れることが出来ます。
これでも、まだ、設計事務所の設計した家は、「高い」と思いますか。
5.競争見積りをした場合の金額差
尚、この時の各住宅業者の見積りの金額差は、200〜800万円程になります。「うっそ〜う!」という金額差ですが、同じ仕様なのに、これだけ違うのが現実なんです。理由は、いろいろとありますが・・・。
(注:いろいろな設計事務所があります。無駄なデザイン、無駄に高価な材料など、無駄が多い設計では、当然、高上がりな家となります。このような設計事務所の設計した家は「高い家」ということがいえます。どんな設計事務所なのか、どんな内容の設計なのか、見極めが必要です。)
外壁はレンガで、暖炉があって、自然素材をいっぱい使って、素敵なキッチンを入れて、大きな吹抜けがあり、ウッドデッキも広く、収納に困らないようにいっぱい作ってと、夢はどんどん大きくなります。でも、最終的には現実に引き戻されます。
誰でも「夢の家」を実現したいですよね。でも、予算には限界があるでしょうし、敷地条件や建築基準法の制限などもあります。夢を絶対に実現できるとは限りません。理想と現実の狭間を行ったり来たりすることになります。
家造りにおいて、建設費だけでは、住める家になりません。「え、だって家を買えば住めるんでしょ!」という方、お待ちください。実は家を買っただけでは住めないんです。
住宅資金の借入をするだけでも費用が掛かります。家を登記する為の費用も掛かります。引っ越し代や電話の移設費なども掛かります。地鎮祭や上棟式などの費用も掛かります。水道の加入金やら下水道の負担金やら、なんやかんやで結構お金が掛かるんです。
家造りにおいては、住める家にする為の「総予算の把握」が重要です。この「総予算」を把握していないと、とんでもないことになります。お金が足らなくなるのです。
私達は、「総予算の割り振り」をして、予算のトータルバランスを考えて、提示させて頂いています。なので、後で「お金が足らなくて困ったなあ!」ということがないように、お話させて頂いています。安心ですね。
私達は、総予算の割り振りから、家に掛けられる「建設費」を考えていきます。仕上げのグレード、システムキッチンに掛けられる金額、断熱性能に掛ける金額や耐震性能に掛ける金額などを割り振ります。ここで見えてくるのが、「どの程度の夢が実現できるか」ということです。
予算配分を考えることによって可能となります。
一つ、落とし穴をご紹介します。我が社の話ではないので、お間違えなく。
設計の段階というのは、あれも欲しい、これも欲しい、ここはこうしたい、こっちはああしたいと好き勝手に言うことが出来ます。とても楽しいです。夢が全て織り込まれて設計が完成して行くと、夢の家が出来上がるような錯覚を覚えるからです。
で、最後に「それでは、これで見積りをしてみましょう」となって、初めてとんでもない要望を出していたことに気付かされます。それは、とんでもない金額の見積りが出てくるからです。
「こんなはずじゃなかった!」「○○○万円でお願いと言ってあったのに!」と言っても遅いです。残念ながら考え直さなければならない部分がいっぱい出てきます。今まで一生懸命考えて、検討してきた夢が、全て水の泡となり消えて行きます。とても悲しいですね。これが理想と現実のギャップです。「私は、そんなことはしない」という方もいらっしゃるのですが、それ程簡単なことではありません。また、金額を最初に 言ってあっても、守ってくれるとは限らないのです。
これは、家造りをどんな会社に頼んだかで、変わってしまいます。
住宅業者は「設計」と「工事」の両方を行っている場合が多いです。会社の儲けを考えた場合、建設費が高額になると儲かります。設計段階で、建主の希望を全て聞き入れ、見積りをすると、どうなるでしょう。当然、建設費が高くなります。住宅業者は潤います。これを、「建主の言いなり設計」と言います。
設計事務所でも、設計に時間を掛けずに手間を省こうとするところは、この「建主の言いなり設計」をします。楽ですし、建主も大喜びです。だって、すべての夢が叶うような気分にさせてくれるからです。
そして、見積りが出てきた時に、やはり慌てます。とんでもない金額の見積りが出てくるからです。そして、設計事務所からの言葉は、「あなたの、希望したことでしょ!」となります。どんな気分なのでしょうか。
私達は、そのようなことがないように、総予算から建設費を割り出し、どこまでできるかを、お話させて頂きながら、設計を進めさせて頂いています。過去の実績を元に概算を行い、増える要素は、その都度、お話させて頂いています。そして、予算オーバーがなく、夢が壊れることがないように進めさせて頂いています。安心ですね。
家造りには、理想と現実のバランスが大切です。このバランスを考えながら、一緒に家造りをしてくれる業者を選ぶことは重要だと思います。
私達との家造りでは、どこを優先して、どこを我慢するか、バランスを一緒に考えながらの共同作業となります。どこまでの無駄を削ぎ落とせるかも、打合せしながら進めさせて頂いています。
夢には、どうしても叶えたい夢と我慢できる夢があります。夢に優先順位を付けて、どうしても我慢できない夢から実現するようにしていくのがコツです。この辺の見極め、相談に乗ってくれる設計士は、掛け替えのないパートナーとなるのではないでしょうか。
50坪の敷地に1階が60坪の家は建ちません。2000万円の予算で3000万円の家は建ちません。残念ながら家造りでは、実現できない夢の部分があるということです。
このことを、よく理解することが、失敗しない家造りには必要となります。夢や希望を全て詰め込んで予算内に納めることは、現実的に難しいといえますが、「予算内で夢を見ながら、家造りを進めること」は可能です。そのような進め方の家造りは、楽しいのではないでしょうか。
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