薄物の季節です。何を隠そう着物を着始めた頃のあこがれは、豪華な訪問着でも高い紬でもなく、夏の着物でした。その頃は具体的にどんな素材があるかも知らなかったのだけど、白っぽい薄い着物にパラソルをさして街を歩いてみたいと。 で、初めて手に入れた夏の着物がこれです。2年前の6月末に友人の受賞パーティーに招待されました。欲しいと思っていても、着ていく場所がなければ買えない私。今がチャンスと、これを作ったのです。昔あこがれたのは麻の着物でしたが、まだ7月にならない時期なのでそれは少し早いと、絽の小紋にしました。 灰色がかった水色に流水模様はいかにも涼しげ。チラホラと蜻蛉が飛んでいます。よーく見ると鮫小紋の地紋が入っていて。帯は探している時間がなくて、本多先生が見せて下さった数本の中から選びました。七宝の地紋に朝顔模様、一見刺繍のようですが唐織りです。朝顔なのにベージュや茶色なのが面白くて。水と蜻蛉との相性もいいし気に入っています。ただ、自分で自由に探したら選ばなかったかも知れません。 蜻蛉の胴が朱鷺色なので帯揚げをそれに合わせ、帯締めには茶色・金茶・薄茶の3色の線。帯にピッタリの色合いです。下の写真の帯揚げでもいいのですが、ちょっと淋しくなってしまうかな。しばらくしてから、焦げ茶の麻帯を買いました。これについては来月、夏結城と共にくわしくご紹介します。 念願の薄物を着て、授賞式へ。さすがにこの季節に着物の人はいません。ちょっといい気分。暑くてたまらないかなと心配したけれど、大丈夫でした。着ている間はきりりとしていたいから心もシャンとしていて、そうするとあまり暑さを感じないの。ただし、帰りの電車から降り立ったとたんに、どっと汗をかきましたけどね。 やっぱり着物は心意気。心頭滅却すれば、3枚着ていても涼しいのです。自分がそうしたいから着ているのだけれど、他人が見て暑苦しいと思うカッコはしたくない。たとえ自身が暑くても、そう見せたくはない。おしゃれをしたいなら、時にはやせ我慢も必要かな。そのうちそんなことも気にせずに、木綿の着物に半幅帯を貝の口に結んで、らくーに着こなす達人になりたい私です。 |
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