Ex-diary 秋過ぎ去れば3

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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秋過ぎ去れば 人恋し [3]

2010/09/27

「春来りなば」より前の話。何も考えてない男x意識し過ぎな 美少女 おっさん




「顔も赤えし、熱あるんじゃねえ?おめえ早く着替えた方がいいんじゃ…」
「!オ、オレに構うなぁっ!!」
「イテッ!!」
オレの顔にカカロットの手が伸ばされてきて、咄嗟にヤツの手を叩き落とした。突然の事なのでオレは自分が思った以上に力を込めていたらしい。カカロットが盛大に痛そうな声を上げる(情けない話だが今日のバトルでカカロットに一番ダメージを与えた攻撃かもしれん)
「痛ってえなあ、おめえそんなに力一杯叩く事ねえじゃねえか!ちょっと熱測ってやろうとしただけだろ」
「う、うるさい!不用意に敵の体に触れようとしればどうなるかくらい、キサマの頭でもわかるだろうが!」
「おめえまだ敵って……・ま、いっか、その方がおめえらしいもんな」
オレに叩かれた方の手を振りながらカカロットが苦笑する。……良かった、オレの症状にヤツは気付いていないようだ。体は冷え切っているのに顔は熱い。オレは顔の熱を少しでも体に移そうと、冷えた自分の腕に顔を伏せた。



「――なあベジータ」
しかし、油断するにはまだ早かった。少しの間、岩棚から落ちる雨垂れを黙って眺めていたカカロットが、再びこちらに向き直ったかと思うと、とんでもない事を口にしたのだ。
「おめえってさ、やっぱ随分体が小せえよなあ」
「……なっ?!」
途端に、外気に冷やされて落ちつきかけていた頬が、またしてもかあっと熱くなった。
「腰とかも細えしなあ。だってさ、こんだけしかねえんだろ?」
「――っ!!ばっバカヤロウ!!じろじろ見るんじゃねえ!!」
両手で輪を作って見せるカカロットを相手に、顔を赤らめながら懸命に怒鳴る。
「オラ、おめえやナッパってヤツくらいしか純粋なサイヤ人は見た事無えけどさ、他のヤツは……」
カカロットのくそったれ、イキナリ何を言い出しやがる!!漸く呼吸が整いかけていたというのに、ヤツの言葉を聞いた途端、心臓が先程よりも一層激しく暴れ出した。カカロットがまだ何か言っているが、バクバク鳴り響く自分の鼓動が邪魔をしてそれ以上は聞こえなかった。
カカロットに見られている…!!オレの身につけているのは体をぴたりと覆う戦闘服だ、しかも雨に濡れた今、ますます肌は透けて体のラインははっきり浮き出しているに違いない。ヤツの視線がオレの体に絡みつくような気がする…!!い、いや、そんな気がするだけだ!!ヤツの態度はいつもと同じだろう、いつも通りの真っ直ぐで無遠慮な視線がオレを……!?!?何を考えてるんだオレは!!自分の体を掻き抱きながら、ヤツの視線を避けるように出来るだけ身を小さく縮込ませる。―――いかん!このままでは例の一番ひどい症状が表れてしまう!症状が……症状が……




『――なあ、ベジータ』
カカロットの低い声がする。いつものやや甲高い、甘ったるい声じゃない。こちらの身を震わせるような、低くかすれた声。戦闘時のそれに少し似ている。
『…こんな小せえ体でオラよりも強えんだよなあ。信じられねえ』
…背中に熱い感触がする。カカロットの太い腕にオレは抱きすくめられたのだ。冷え切った体を温められるのが心地良くて、思わず身をゆだねてしまいそうになるのを必死にこらえる。
『なっ?!キサマ、いきなり何しやがるっ!』
『…冷てえな、おめえ体が冷え切ってるぞ?』
『離せ、離しやがれ!!』
何とか腕の拘束を逃れようと身もがくほどに強くなるヤツの力。
『なあベジータ、熱くなるような事してやろうか?』
『キサマ、何言って……あ、あっ……!』
ヤツの固い手のひらが、濡れたシャツの裾からするりと忍び込んできたかと思うと、オレの体の上を無遠慮に這いまわり始めた。冷えて敏感になった肌の上をざらついた手のひらが這いまわる感触に、思わず息があがってしまう。
『よせ、カカロット、イヤだ、やめ……っ…』
始めは嫌がって身をよじっていたオレは、いつの間にか身をすっかり蕩けさせ、ヤツの腕に身を任せてしまい―――




「よせ、カカロット!!」
「ん?何か言ったかベジータ」
自分の上げた声に、ぎょっとして我に返った。雨は相変わらず止む気配が無く、岩棚から落ちる滴の音は激しいままだ。
「急に立ったりして、何かあったんか?」
胡坐をかきがなら後ろ手を着いたカカロットが、怪訝そうな顔でオレを見上げてくる。ぶしつけな程真っ直ぐな視線、甘ったるい声、いつものカカロットそのものだった。オレが今しがた思い描いた、夢想とはかけ離れたいつもの―――。


「~~~~~~~~~!!!」
まただ、また起きてしまった!!オレの奇病の中で一番ひどい症状。それがたった今も起きた『幻覚』に『妄想』だ!!向かい合った相手にオレが…その…なんだ…、つまり『性的』にどうこうされるという、非常に具体的かつ非現実的極まりない、そして強烈な印象を残す妄想を見てしまうというものだ。しかも昼夜問わず、眠っていれば夢の中で、昼間なら白昼夢で、そのイメージは表れる。これは相当重症だ!!(更に不思議な事に、オレがどうこうされる『相手』というのは、今のところカカロットのみだ。おそらくオレが一番殺してやりたい相手なんだという、強いイメージがそんな幻覚に影響しているに違いない)


「お、おい、ベジータ、おめえ何やってんだよ?!」
「―――うるさい、オレに構うな!」
おもむろに軒先から頭を突き出して、降りしきる雨で頭を冷やした。オレの行動にカカロットが驚いた声を上げているが、かまうものか!ざぶざぶと被る雨は氷のように冷たくて、すっかりのぼせ上がったオレの思考を冷やすにはちょうど良かった。



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