Ex-diary 秋過ぎ去れば2

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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秋過ぎ去れば 人恋し [2]

2010/09/25

「春来りなば」より前の話。何も考えてない男x意識し過ぎな 美少女 おっさん



雨は大粒で、みぞれ混じりだった。濡れた戦闘服の冷たさと来たら、冷え冷えと骨まで冷やすようだ。慌てて突き出た岩棚の下で雨宿りをする。そいつは高さが地球の単位で5メートルくらいはあって、体を伸ばして立つには充分だったが、奥行きは膝を曲げて座るのがせいぜいと言ったところだ。これ以上濡れてしまわないよう、オレは膝を抱えながら岩壁に体をへばり付かせて雨を避けなければならなかった。しかもこの狭い場所にいるのはオレだけじゃない。肩の触れ合いそうな近さで、カカロットが胡坐をかきながら興味深げな顔でオレを見ているのを横目で感じていた。悔しい事に、ヤツの体には雨粒一つかすった形跡が無い。
「あーあ、おめえすっかりびしょ濡れだなあ」
「うるせえんだ…は、ハックショイッ!!」
盛大にくしゃみをしながらぼんやりと考える。この頃のオレはどうもおかしい。おそらくオレは病気なのだ。いや、そうに違いない。しかも、これまで経験した事の無い奇病だ。そうでなければ説明がつかん。


「こりゃ当分止みそうにねえな。仕方ねえ、今日の修行はこれでお開きだな」
「なんだと?!キサマ、まだ勝負は着いてないぞ、また逃げる気…は、ハックションッ!!」
―――いや、病気だろうが何だろうが関係ねえ。誇り高きサイヤ人の王子であるオレが、この程度の事で怯んでどうする!つまらん事を考え始めた頭を一つ大きく振る。情けない、これしきの雨で体を冷やすとは。地球に来てからというもの、どうもあちこち体がなまりっぱなしだな。明日からもっとトレーニングのメニューを厳しくしなければならん。そんな事を考えていると、また盛大なくしゃみが出た。
「ハ、ハックションッ!!」
「仕方ねえだろ、こんなにすげえ雨が降ってんだからさ。おめえだってそんなにクシャミしてたら戦えねえだろ?」
「フン!これくらい大した事な…」
拳を握りしめて身を乗り出しかけていたオレは、息を飲んだ。オレの顔を真っ直ぐ見るカカロットと正面から視線が勝ちあう。途端に、冷え切っていたはずの頬が、かあっと熱くなった。
「―――――っ!!!」


ドキ…ドキ…
ドキドキドキ…



……!いかん、まただ!また例の『病気』の発作が始まりやがった!!
オレの自覚症状、それは今までオレが経験したどの症状とも違っていた。そもそもエリートであるオレは病気と言うもの自体、あまり経験が無い。
ぼーっとする。集中力が無くなる。気がつくと他ごとを考えて、トレーニングの手が止まっていたりする(それで先日オレは重力室の対人レーザーに髪の毛を焦がされた)。
更に、オレの症状の中でも特に顕著なものが今また起こり始めていた。『動機』『息切れ』だ!!
動悸がやけに早くなる。呼吸が早く忙しなくなり、まともに息ができなくなる。特に戦っている時……たとえば先程のカカロットと対峙した時のように……唐突に表れる症状だ。始めは呼吸器系の機能低下かと考え、肺活量を上げるトレーニングを積んでみたが、一向に良くならん。それどころかこうして平静にしている時ですら症状が起こるとは、よほど病状が進行しているに違いない!!さらにカカロットと目線を合わせていると、手のひらがうっすら汗ばみ、体中が熱くなってくる。動悸はますます激しくなる。間違いない、オレは病気だ!!しかもこの病気の症状はこれだけじゃ無い。一番ひどいのは…。
「ベジータ、おめえ大丈夫か?なんかぼーっとしてるぞ」
ドキドキドキドキ…
ドキドキドキドキドキ…!!!



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