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Humpty Dumpty 

Humpty Dumpty sat on a wall,

Humpty Dumpty had a great fall.

All the king's horses,

And all the king's men,

Couldn't put Humpty together again.

 

ハンプティ・ダンプティ 塀の上に座ってた

ハンプティ・ダンプティ 落っこちた

王さまのお馬と

王さまのけらい みんなよっても

ハンプティ・ダンプティ もとにもどせなかった

 

【解説】

 フランスをはじめ、ドイツ、デンマーク、スウェーデンと、ヨーロッパ各地に卵の紳士を題材とした唄が伝わっている。ハンプティ・ダンプティの唄は、もとは卵を答えとするなぞなぞであったが、『鏡の国のアリス』によってなぞなぞであったことが忘れられるほどよく知られるようになった。有名な唄だけに、パロディもいっぱいです。(パロディへ

ハンプティ・ダンプティのイメージは「非常に危なっかしい状態」「もとに戻せない状態」「丸まるとした人や頭」などであることを、ぜひ知っておきたい。

「ハンプティ・ダンプティ」は2本の映画のタイトルに顔を出している。

ウォーターゲート事件を扱った『大統領の陰謀』の原題は "All the President's Men"(1946.US)。このフレーズを聞いただけでマザーグースを聞いて育った人なら「塀から落ちた卵」を連想するだろう。

大統領の側近がどれだけもみ消し工作をしたところで失脚したニクソンを元にもどせない、というニュアンスをこれだけの引用で鮮やかに描きだしている。

また、『オール・ザ・キングズメン』の原題は ”All The King's Men”(1949.US)。ロバート・ペン・ウォレンの長編小説『王様の臣下をみんな集めても』(1946年ピューリッツア賞受賞)を映画化したものである。

独裁的な権力をふるった政治家ウィリー・スタークの破滅の物語で、「もうどうにもならない」というような政治腐敗の状況を描いている。

『アンナ・カレーニナ』"Anna Karenina" (1948.UK)の中の子供を寝かせつける場面でも、この唄が子守唄として歌われていた。

   

Hush, little baby 

Hush, little baby, don't say a word,

Papa's gonna buy you a mockingbird. 

If that mockingbird won't sing,

Papa's gonna buy you a diamond ring.

If that diamond ring turns brass,赤ちゃん

Papa's gonna buy you a looking glass.

If that looking glass gets broke,

Papa's gonna buy you a billy goat.

 

静かに赤ちゃん しゃべらないで

パパがものまねどりを買ってやろう

ものまねどりが歌わなかったら

パパがダイヤの指輪を買ってやろう

ダイヤの指輪がしんちゅうになったら

パパが鏡を買ってやろう

もし鏡がわれたなら

パパが雄やぎを買ってやろう

【語句】

mockingbird 「マネシツグミ」。他の鳥の鳴き声を巧みにまねる。アメリカ南部によくみられる鳥。

billy goat 「雄のやぎ」の子供っぽい言い方。(反)nanny goat 

【解説】

 アメリカの代表的な子守唄だが、映画で引用されるときは、赤ちゃんを眠らせる場面ではなく、古き良き幼年時代を回想する場面で用いられることが多い。

その理由は、この唄の歌詞にある。

赤ちゃんが枝から落ちてしまう子守唄'Hush-a-bye'と違って、ものまねどり、ダイヤの指輪、鏡、やぎなど素敵な物を次々もらえるこの唄は、幼いころの幸福な思い出につながるのだろう。

親子の絆を確かめる場面でよくでてくる唄である。

このマザーグースは、ビートルズでも引用されています。

Hush-a-bye, baby 

Hush-a-bye, baby, on the tree top,

When the wind blows the cradle will rock;

When the bough breaks the cradle will fall,

Down will come baby, cradle, and all.

 

ねんねんころりよ こずえのうえで

かぜがふいたら ゆりかごゆれる

えだがおれたら ゆりかごおちる

あかちゃん ゆりかご みんなおちる

【解説】

 子守唄の中ではいちばんよく歌われているものであり、映画での引用も最も多い。'Rock-a-bye'で始まっている唄がほとんどで、'Hush-a-bye'で始まっているのは『バイバイモンキー』だけである。

 引用のされかたは、@赤ちゃんが出てくる場面での唄やBGMが4本、

A「風が吹き、枝が折れ、赤ちゃんが落ちてしまう」という内容を使ってその場の状況や映画の内容を説明したものが4本であった。

 前述の'Hush, little baby'の唄は、幼年時代の回想場面で数多く引用されていたが、この唄にはそういった引用例はない。赤ちゃんが落ちてしまうような内容では「古き良き幼年時代」の象徴とはならないのであろう。

 『ジュラシック・パーク』'Jurassic Park'(1993.US)の前半の恐竜の赤ちゃんが誕生する場面や、『夜を楽しく』'Pillow Talk'(1959.US)の産婦人科の場面などでも、BGMにこの唄が用いられている。

 タイトルでは、『底抜け楽じゃないです』'Rock-A-Bye, Baby'(1957.US)、『摩天楼ララバイ』'Rockabye'(1985.US)や『ロック・ホラー・ベイビー』'Rock-A-Die, Baby' (1989.US)などがあり、いずれも赤ちゃんに関係した内容であることがわかる。

この唄は、アリスでも引用されています。