社会風刺マザーグース
『現代のための童謡集』(Nursery Rhymes for the TimesJeff Sparks作 Malcolm & Hayes,Inc. 1971年)は、『環境とマザーグース』(Ecology and Mother Goose)という副題のとおり、環境問題をテーマとしたものです。
公害問題や人口問題などの難しいテーマをマザーグースを使って易しく訴えかけています。
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall. The reason why he lost his place Was just a lack of living space. ハンプティ・ダンプティ へいの上に座ってた ハンプティ・ダンプティ おっこちた 居場所を失った そのわけは 居住空間不足のためさ |
次に、邦題は上と同じタイトルになりましたが、『現代のための童謡集』(Nursery Rhymes for Modern TimesHoratio Hotchpotch作 Sutter House, 1975年)。アメリカの社会や政治を風刺した内容です。
Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
Every politico should have the sense
To be sure of his seat before he straddle a fence.
ハンプティ・ダンプティ へいのうえにすわってた
ハンプティ・ダンプティ おっこちた
政治家なら 身の安全をはかるべきだった
へいのうえに またがるまえにね
反差別・男女平等をうたい文句に掲げた『がちょうおじさんの童謡集』(Father Gander Nursery RhymesFather Gander作 Advocacy Press, 1985年)では、ハンプティ・ダンプティの唄はどう変えられているのでしょうか。
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall. All the horses, the women and men, put Humpty Dumpty together again!
ハンプティ・ダンプティ へいのうえにすわってた ハンプティ・ダンプティ おっこちた お馬と女性と男性 みんなで ハンプティ・ダンプティ もとにもどした |
これらの替え唄は、現代の社会問題や時事問題をマザーグースを使って風刺したものです。元唄がよく知られているからこそ、これらの題材が生きてくるのだと思います。
それでは、1つ、楽しいパロディとイラストが載ったサイトをご紹介します。
「大きな木」や「僕を探して」のシェル・シルバースタインが描いたマザーグースのパロディ。15編のマザーグースのパロディが素敵なイラストと共に描かれています。もともとは雑誌「プレイボーイ」に連載されたものです。