改革マザーグース
ハンプティ・ダンプティがへいから落ちてこわれてしまったり、ゆりかごが木の上から落ちたり、盲目のねずみがしっぽを切り落とされたりと、けっこう残酷な内容が多いマザーグース。
そういった残酷な内容を子供向けに書き変ええようという動きは昔からありました。
アメリカのサミュエル・グッドリッチ(1793-1860)などは「マザーグースは粗野で下品で有害であるので子供には読ますべきではない」と主張していたくらいです。
ここでは、品よく書き変えられた唄をいくつかご紹介します。
まず、『ご立派マザーグース』(Positively Mother GooseDiane Loomans作 H.J.Krammer,Inc. 1991年)から一編。
残酷な内容を排除し建設的なものに書き変えるという趣旨のようです。
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall. All the king's horses and all the king's men, Helped to put Humpty together again. |
ハンプティ・ダンプティ おっこちた
王さまのお馬と王さまのけらい みんな たすけあって
ハンプティ・ダンプティ もとにもどした
次に、『マザーグースの新しい冒険』(The New Adventures of Mother GooseBruce Lnsky作 Meadowbrook Press, 1993年)をみてみましょう。
この本で、作者は「マザーグースを理屈にかなったものにしたかった」と述べています。
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall. I wish they'd had super glue way back then- they could have put Humpty together again. |
ハンプティ・ダンプティ へいのうえにすわってた
ハンプティ・ダンプティ おっこちた
そのころに 接着剤があったら
ハンプティ・ダンプティ もとにもどせたのにね
マザーグースを使ってキリストの教えを子供たちに伝えようという試みもなされています。
『敬虔なマザーグース』(The Christian Mother GooseMarjorie Ainsborough Decker作 World Bible Publishers,Inc. 1992年)をみてみましょう。 (この本のウェッブ版もあります。詳しくはリンクへ)
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall. Humpty Dumpty shouted, "Amen! God can put me together again." |
ハンプティ・ダンプティ へいのうえにすわってた
ハンプティ・ダンプティ おっこちた
ハンプティ・ダンプティ さけんだ
「アーメン! 神様がぼくをもとにもどしてくださる」
品よく書き直された優等生的なマザーグースが子供にとって本当に魅力的であるかどうか疑問に感じます。
子供というのは本来大人が好ましくないと思うものにひかれるものだからです。不思議で不可解なところが、マザーグースの魅力なのではないでしょうか。
7つのマザーグースの唄がPolitically Correct に書き替えられています。