「伯爵カインシリーズ」の中のマザーグース

 シリーズ① 忘れられたジュリエット

第1シリーズには、マザーグースはまだ顔を出していないようです。

シリーズ② 少年の孵化する音

シリーズ③ カフカ

第3シリーズにも、マザーグースは見あたりません。

シリーズ④ 赤い羊の刻印

シリーズ⑤ー1 ゴッドチャイルド1

シリーズ⑤ー2 ゴッドチャイルド2

シリーズ⑤ー4 ゴッドチャイルド4

シリーズ⑤ー5 ゴッドチャイルド5

シリーズ⑤ー8 ゴッドチャイルド8

 英語圏の童謡マザーグースといえば、「ハンプティ・ダンプティ」や「きらきら星」「メリーさんの羊」「ロンドン橋」など楽しい唄、かわいい唄が有名なのですが、実は、けっこう不気味で残酷な唄も多いのです。 

 明るいメロディで親しまれている「ロンドン橋」の唄には恐ろしい「人柱伝説」が隠されているし、『ポーの一族』や『パタリロ!』で引用された「誰が殺したクック・ロビン」の唄も、殺されたロビンを鳥たちが弔う内容の唄なのです。 

 「死」や「殺人」を歌ったマザーグースは40編以上あり、中には、「お母さんが私を殺し、お父さんが私を食べている」という恐ろしい唄まであるのだから驚きですよね。

 

 由貴香織里の「伯爵カインシリーズ」には、マザーグースが頻繁に顔を出します。登場人物がマザーグースを口ずさんだり、マザーグースの見立て殺人があったりと、ストーリーに深く関わったものもたくさんあります。

 19世紀末のイギリスを舞台にしたゴシックサスペンス漫画に、マザーグースはぴったりの小道具。

 無邪気な子供の唄でありながら不可思議で不気味なマザーグースは、カインシリーズで、恐怖感を高めるために頻繁に引用されているのです。