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■■■ SAMマイコンの道標(SAML1x) ■■■


機能比較(SAML1x) 2019/11/16 追加
24pin〜32pinの機能を示します。
項目 共通 L10  L11 
セキュリティ強化 - -
オペアンプ 3個
汎用タイマ 3本
10bit DAC 1
12bit ADC 5(24pin)
10(32pin)
アナログコンパレータ 1(24pin)
2(32pin)
シリアル通信 2(24pin)
3(32pin)
メモリ FROM→
SRAM→
DataFlash 2KB
16/32/64KB
4/8/16KB
 
16/32/64KB
8/8/16KB
 
 
端子一覧(SAML1x) 2019/11/22 更新
24pin〜32pinの端子マッピングを示します。
 E.m   EXTINT[m] 外部割込み
 An.m  ADCn/AIN[m] AD用アナログ入力
 Sn.m  SERCOMn/PAD[m] シリアルI/F(IC不可)
 Sn+m  SERCOMn/PAD[m] IC可能シリアルI/F
 Un.m  TCn/WO[m]     基本タイマ
 Co.m  AC/CMP[m]     アナログコンパレータ出力
 Ci.m  AC/AIN[m]      アナログコンパレータ入力
 G.m   GCLK_IO[m]     汎用クロック入出力
 *印   High Sink端子(吸込電流増強端子)
 32pinのみ                      XOSC32ガード:32k発振のジッタを低減する場合なるべくレベル固定とする。
24pin
SSOP
24pin
VQFN
32pin
WLCSP
32pin
VQFN
TQFP
端子名 電源系 A
外部
割込
B
Ref
 
B
ADC
 
B
比較
入力
B
オペ
Amp
C
通信
 
D
通信
 
E
タイ
H
クロック
比較出力
その他
5 2 A2 1 PA00 VDDANA E.0 OA1- S1.0 U2.0 XIN32
6 3 A3 2 PA01 VDDANA E.1 OA1+ S1.1 U2.1 XOUT32
7 4 A4 3 PA02 VDDANA E.2 VOUT A.0 OA0- S0.2 XOSC32ガード
8 5 B3 4 PA03 VDDANA E.3 VrefA A.1 OA2- S0.3 XOSC32ガード
9 6 B4 5 PA04 VDDANA E.4 VrefB A.2 Ci.0 OA2out S0.0 U0.0
10 7 A5 6 PA05 VDDANA E.5 A.3 Ci.1 OA2+ S0.1 U0.1
C4 7 PA06 VDDANA E.6 A.4 Ci.2 OA0+ S0.2 U1.0
B5 8 PA07 VDDANA E.7 A.5 Ci.3 OA0out S0.3 U1.1
11 8 B6 9 VDDANA
12 9 C6 10 GNDANA
13 10 D4 11 PA08 VDDIO NMI A.6 S1.0 S2.0
D6 12 PA09 VDDIO E.0 A.7 S1.1 S2.1
C5 13 PA10 VDDIO E.1 A.8 S1.2 S2.2 G.4
D5 14 PA11 VDDIO E.2 A.9 S1.3 S2.3 G.3
14 11 E6 15 PA14 VDDIO E.3 S2.2 S0.2 U0.0 G.0 XIN
15 12 E5 16 PA15 VDDIO E.4 S2.3 S0.3 U0.1 G.1 XOUT
16 13 D3 17 PA16* VDDIO E.5 S1+0 S0+0 G.2
17 14 F5 18 PA17* VDDIO E.6 S1+1 S0+1 G.3
18 15 E4 19 PA18 VDDIO E.7 S1.2 S0.2 U2.0 Co.0
19 16 E3 20 PA19 VDDIO E.0 S1.3 S0.3 U2.1 Co.1
20 17 F4 21 PA22* VDDIO E.1 S0+0 S2.0 U0.0 G.2
21 18 F3 22 PA23* VDDIO E.2 S0+1 S2.1 U0.1 G.1
F2 23 PA24 VDDIO E.3 S0.2 S2.2 U1.0
E2 24 PA25 VDDIO E.4 S0.3 S2.3 U1.1
D2 25 PA27 VDDIO E.5 G.0
22 19 C2 26 RESET VDDIO
23 20 E1 27 VDDCORE
24 21 D1 28 GND
1 22 C1 29 VDDOUT
2 23 B1 30 VDDIO
3 24 B2 31 PA30 VDDIO E.6 S1.2 U1.0 G.0 SWCLK
4 1 C3 32 PA31* VDDIO E.7 S1.3 U1.1 SWDIO
 
消費電流(SAML1x) 2019/12/9 追加
SAML1xは、能力レベル設定として低速のPL0、高速のPL2の2種類があります。
また電源生成方法として、LDO(リニア)、BUCK(スイッチング)の2種類があります。
リセット時は、PL0, LDOでスタートします。
さらに動作モードとしてACTIVE, IDLE, STANDBY, OFFの4種類があります。
以下代表的な消費電流です(単位μA, 3.3V電源のmax値)。コアと最低限必要な発振系のみの値です。
動作モード PL0 PL2
LDO BUCK LDO BUCK
ACTIVE
(*)
672
DFLLULP 8MHz
200
DFLLULP 4.88MHz
3,072
DFLLULP 32MHz
1,125
DFLLULP 26.78MHz
664
OSC16M 8MHz
312
OSC16M 8MHz
2,848
FDPLL96M 32MHz
1,248
FPPLL96M 32MHz
IDLE 264
DFLLULP 8MHz
118
DFLLULP 4.88MHz
608
DFLLULP 32MHz
268
DFLLULP 26.78MHz
288
OSC16M 8MHz
168
OSC16M 8MHz
832
FDPLL96M 32MHz
384
FPPLL96M 32MHz
*:COREMARK/FIBONACCI演算時
 
発振回路(SAML1x) 2019/12/9 追加
 SAML1xには、高速発振器4種類、低速発振器2種類を搭載しています。
名称 用途 出力周波数 精度 (特記無きはVcc=3.3V) 消費電流[μA] (typ.は25℃時, max.は85℃時), Vcc=3.3V
OSC16M 内部高速発振 4〜16MHz ±1%(25℃), ±5%(-40〜85℃) 139(4MHz), 169(8MHz), 195(12MHz), 225(16MHz)。いずれもmax値
DFLLULP 超低電力逓倍発振(入力32k) 〜32MHz PL0:8MHz-3.8%/+3.2%, PL2:32MHz-3.2%/+3.4% (LDO電源時)
PL0:4.88MHz-16.3%/+38.9%, PL2:26.78MHz-8.7%/+16.3% (Buck電源時)
93(PL0モード8MHz), 223(PL2モード32MHz)  (LDO電源時)
Buck電源時は記載なし。特性が悪いのでBuck電源時は実用にならず。
FDPLL96M 逓倍発振(入力32k〜2MHz) 8〜96MHz 入力に依存 432max.(PL0モード48MHz), 777max.(PL2モード96MHz)
XOSC 外部水晶発振(高速) 0.4〜32MHz 外部発振子に依存 101(4MHz), 153(8MHz), 329(16MHz), 940(32MHz)。いずれもAGC=ON時のmax値
OSCULP32K 内部超低電力発振 32.768kHz -5.9%/+5.4%(Ta25℃), -24%/+20%(-40〜85℃, 1.62〜3.63V) データシートE版には記載無し
XOSC32K 外部水晶発振(低速) 32.768kHz 外部発振子に依存 0.309typ., 0.606max.

■OSC16Mの出力周波数は以下になります。リセット時はこの発振器が4MHzで動作を開始し、CPUへクロック供給します。
   出力周波数 = 4n MHz      [ただし n = 1〜4 (OSC16MCTRL.FSELレジスタ設定値 + 1)]

■DFLLULPの出力周波数は、能力レベル(PL0かPL2)および電源生成方法(LDOかBUCK)によって上限が変わります(上表の精度欄は上限周波数で規定)。標準値(typ.),最小値(min.)はマニュアルE版では規定されていません。
   出力周波数 = 入力周波数 x DFLLULPRATIOレジスタ値
 またキャリブレーションデータ(メモリアドレス0x00806020の下記ビット)を読み取ってレジスタ(DFLLULPCTRL.DIV)に格納する必要があります。
   PL0の場合:bit8-6、PL2の場合:bit11-9

■FDPLL96Mの逓倍率は、1/16単位で指定できます。整数部をLDR、分数部をLDRFRACとすると、
   発振周波数 = 入力周波数 x (LDR + 1 + LDRFRAC/16)   [ただし発振範囲は、32〜48MHz(PL0)または32〜96MHz(PL2)], [XOSC入力時は分周設定で2MHz以下にする]
   出力周波数 = 発振周波数 / n                  [ただし n = 1, 2, 4 のいずれか(DPLLPRESCレジスタで指定)]
となります。入力32.768kHzの場合、96MHz発振なら理論誤差0で逓倍できます(LDR = 2928, LDRFRAC = 11)。48MHz発振時は21ppmの理論誤差が出ます(LDR = 1463, LDRFRAC = 14)。

■32k発振端子に注意
 XOSC32を使用する場合は、ジッターに影響しないように下記ピンの信号の遷移時間を50μs以上(周波数10kHz以下)にする必要があります。
   WLCSP以外のパッケージ:PA02, PA31   WLCSP:PA30

 
クロック生成 GCLK(SAML1x) 2019/12/9 追加
 発振回路等→クロック生成器→各種周辺回路、および周辺回路アクセス用のバス・クロックの順でクロックを供給します(一部除く)。
 SAML1xにはクロック生成器が5個あり、生成器0のみリセット後も動作します。他の生成器はリセットで停止します。
クロック・ソース選択 クロック生成器分周設定  クロック供給先(代表例)(詳細後述)
設定値 ソース名称 生成器番号 分周範囲 (補足2参照) リセット時  選択可能生成器 対象ブロック
0 XOSC 0 1/1〜1/n〜1/255,
1/2〜1/(2n+1)〜1/512
注意:速度を落としすぎると
デバッガが二度と反応しなく
なるかも?
OSC16M,
1/1, 動作
生成器0のみ CPU、バス等(MCLK:メインクロック・コントローラ)
1 クロック入力端子
(ポート)
1 1/1〜1/n〜1/65535,
1/2〜1/(2n+1)〜1/131072
 停止 生成器0〜4 周辺回路ch0:FDPLL96Mへのソースクロック
2 クロック生成器1
の出力
2 1/1〜1/n〜1/31,
1/2〜1/(2n+1)〜1/512
 停止    : (同上)   :
3 OSCULP32K 3  停止 生成器0〜4 周辺回路ch11:SERCOM0(シリアル・コミュニケーションI/F 0)
4 XOSC32K 4  停止 生成器0〜4 周辺回路ch12:SERCOM1(シリアル・コミュニケーションI/F 1)
5 OSC16M    : (同上)   :
6 DFLLULP 生成器0〜4 周辺回路ch14:TC0, TC1(基本タイマ)
7 FDPLL96M    : (同上)   :
8〜 予約 無し(32k系発振回路直接) RTC, WDT(Watchdog Timer), EIC(External Interrupt Cont.)

注意1:CPUから周辺回路をアクセスするためのバスクロックの供給/停止の選択はMCLKにおいて行います(対象周辺回路ごと)。詳細後述。
注意2:CPUから周辺回路のレジスタをアクセスする場合に同期化処理が必要になる場合があります(詳細後述)
補足1:MCLK(メイン・クロック・コントローラ)内で、さらに1/1〜1/255分周が可能です。
補足2:分周範囲はGENCTRLn.DIVSELの設定により1/nか1/(2n+1)が選択可能ですが、1/(2n+1)の方はマニュアルに記載のない上限があります。上記上限はSAMC21で実測した結果です。生成器0を4MHz/512=7.8kHzに設定したらデバッガが反応しなくなりました(PICkit4, Snapとも)。

■パス・クロック供給(SAML1x)
 CPUから周辺回路をアクセスするにはバス・クロック供給が必要です。SAML1xの場合はデフォルトですべてイネーブルになっています。
 逆にローパワー化のためには、メインクロック・コントローラ(MCLK)のレジスタ設定によって使用しない部分への供給を止める必要があります。
bit名(位置) 対象 bit名(位置) 対象 bit名(位置) 対象
AHBMASK.APBA (0) 周辺バス・ブリッジA APBAMASK.OSC32KCTRL (5) 低速発振器制御 APBCMASK.EVSYS (0) イベント制御
AHBMASK.APBB (1) 周辺バス・ブリッジB APBAMASK.SUPC (6) 電源供給制御 APBCMASK.SERCOM0 (1) シリアル通信0
AHBMASK.APBC (2) 周辺バス・ブリッジC APBAMASK.GCLK (7) クロック生成 APBCMASK.SERCOM1 (2) シリアル通信1
AHBMASK.DMAC (3) DMAC APBAMASK.WDT (8) ウォッチドッグ APBCMASK.SERCOM2 (3) シリアル通信2
AHBMASK.DSU (4) デバイス・サービス・ユニット APBAMASK.RTC (9) 時計 APBCMASK.TC0 (4) 汎用タイマ0
AHBMASK.PAC (6) 周辺アクセス保護 APBAMASK.EIC (10) 外部割込制御 APBCMASK.TC1 (5) 汎用タイマ1
AHBMASK.NVMCTRL (7) フラッシュ制御 APBAMASK.FREQM (11) 周波数計 APBCMASK.TC2 (6) 汎用タイマ2
AHBMASK.TRAM (12) Trust RAM APBAMASK.PORT (12) ポート APBCMASK.ADC (7) AD変換
APBAMASK.PAC (0) 周辺アクセス保護 APBAMASK.AC (13) コンパレータ APBCMASK.DAC (8) DA変換
APBAMASK.PM (1) パワー管理 APBBMASK.IDAU (0) IDAU (L11のみ) APBCMASK.PTC (9) タッチ制御
APBAMASK.MCLK (2) メインクロック制御 APBBMASK.DSU (1) デバイス・サービス・ユニット APBCMASK.TRNG (10) 乱数生成
APBAMASK.RSTC (3) リセット制御 APBBMASK.NVMCTRL (2) フラッシュ制御 APBCMASK.CCL (11) カスタム・ロジック
APBAMASK.OSCCTRL (4) 高速発振器制御 APBBMASK.HMATRIXHS (4) バスマトリクス APBCMASK.OPAMP (12) オペアンプ

■周辺回路へのクロック供給(SAML1x)
 周辺回路を動作させるにはクロック供給が必要です。
 GCLK->PCHCTRL[周辺ch番号].bit.GEN に供給元の生成器番号を設定し、
 GCLK->PCHCTRL[周辺ch番号].bit.ENABLE を1にすれば供給します。
ch番号 供給先 ch番号 供給先 ch番号 供給先
0 FDPLL96Mリファレンス入力 10 シリアル通信0〜2の低速用(*) 20 カスタム・ロジック
1 FDPLL96M 32kHzクロック 11 シリアル通信0(コア)
2 DFLLULPクロック 12 シリアル通信1(コア)
3 外部割込制御 13 シリアル通信2(コア)
4 周波数計(測定用) 14 汎用タイマ0,1
5 周波数計(参照用) 15 汎用タイマ2
6 イベント・チャネル0 16 AD変換
7 イベント・チャネル1 17 コンパレータ
8 イベント・チャネル2 18 DA変換
9 イベント・チャネル3 19 タッチ制御
*:シリアル通信の低速用は、I2Cの特定機能で使用(例えばSMBusタイミング)。

■レジスタ・アクセスの同期化処理
 周辺回路の一部のレジスタは、CPUバスからアクセスする場合に同期化処理が必要になります(CPUバスと周辺クロックの違いにより)。
 (1)書き込み時
   各周辺レジスタの中でレジスタのPropertyにWrite-Syncronizedと書かれているものは、
  同期待ち(Synchronization Busy)レジスタの対応フラグが1の間は「書き換え中」なのでアクセスしてはいけません。
   例えば、SERCOM USARTのCTRLBレジスタの中にRXEN(受信許可)、TXEN(送信許可)のビットがありますが、
  これをビット・アクセスで連続して書き換えるのはNGです。一般的には、ビットアクセスではなく、ワードアクセスでRXEN,TXENを同時に書き換えればよいのですが、
  何かの事情でどうしても1ビットづつ書き換えたい場合は、ビジーフラグが0になってから次のアクセスします。
     例(この例は例外だが、他のレジスタでは必要になる場合があるかも):
        SERCOM1->USART.CTRLB.bit.RXEN = 1;
        while (SERCOM1->USART.SYNCBUSY.bit.CTRLB);
        SERCOM1->USART.CTRLB.bit.TXEN = 1;

 (2)読み出し時
   レジスタのPropertyにRead-Synchronizedと書かれているものは、このレジスタの読み出しに先だって「読み出し要求(作法は周辺回路による)」を行って、
  同期待ち(Synchronization Busy)レジスタの対応フラグが0に戻ってから読み出しを行います。
     例(カウンタ値の読み出し):
        TC0->COUNT16.CTRLBSET.bit.CMD = 4;  //カウント値の読み出し要求.
        while (TC0->COUNT16.SYNCBUSY.bit.COUNT);
        (格納先) = TC0->COUNT16.COUNT.reg;
 
フラッシュ(SAML1x) 2019/12/9 追加
 SAML1xのフラッシュのウエイト数に対する最大動作速度[MHz]を下表に示します。
能力レベル:電圧 wait0 wait1 wait2
PL0:1.62V以上 6 8 8
PL0:2.7V以上 7.5 8 8
PL2:1.62V以上 14 28 32
PL2:2.7V以上 14 32 32

 耐久性は、書き込み回数 25,000回(min)、25,000回書き込み後の保持年数10年(min)、100回書き込み後の保持年数25年(min)です。
 書込/消去の速度は、ページ書込2.5ms(max)、行消去6ms(max)
 
データフラッシュ(SAML1x) 2020/1/26 追加
 SAML1xにはデータ専用フラッシュ領域があります。SAMC2xとは多少異なる点があます。
■アドレス0x40 0000〜。ページサイズ(書き込み単位)=64バイト、ロウサイズ(消去単位)=256バイトです。(サイズは機能比較に記載)
■NVMCTRL.CTRLA.CMDに設定するコマンド(書き込みおよび消去)は、プログラム領域と共通のコマンドになっていて、アドレス・レジスタ(NVMCTRL->ADDR)の領域選択ビット(ARRAY[1:0])でデータフラッシュ領域の指定を行います。
■フラッシュ領域へライトしたデータはいったんページバッファに保存されます。保存されたデータは書き込みコマンドの発行でフラッシュに書き込まれます(マニュアルモード時)。
■注意:消去コマンド実行前に設定する対象アドレスですが、アドレス・レジスタ(NVMCTRL->ADDR)にバイトアドレスを指定するのか、ハーフワードアドレス(16bit単位アドレス)を設定するのかあいまいです(データシートE版には両方の記述がある)。ADDRを間接的に設定する場合はバイトアドレスで行えます。
 (直接法) NVMCTRL_ADDR = (領域選択指定 << 22) | オフセット;   →オフセットがバイト単位かハーフワード単位かは未確認(レジスタ説明にはByte aligned addressとあり、行消去説明には16bit単位とあります)
 (間接法) *(long*)(対象アドレス) = 0;                   →バイトアドレスで指定します。
■書き込みや消去の完了は、NVMCTRL.STATUS.READYで判定します("1"で完了)。なおデータフラッシュの書き込み中/消去中でもプログラム領域の読み出しは可能なので、コマンド発行後にプログラムが停止(完了待ち)することはありません。
■SAML1xの場合、データフラッシュ領域のアクセス・サイクルがプログラム領域より1クロック増えます。
 
メモリマップ(SAML1x) 2019/12/9 追加
■リトル・エンディアン
■I/Oポートも1クロック・アクセス
■メモリ・マップ(コア機能以外も含む。☆にはセキュアエリア含む)
アドレス範囲 区分 アドレス 用途 L10 L11
0〜  内蔵フラッシュ  0〜 ベクタ・テーブル(詳細次表)、プログラム・コード
0x0040 0000〜
0x0040 07FF
データ・フラッシュ
0x0080 4000〜
0x0080 401F
パワーオン時自動反映(DS 10.2.1参照)
0x0080 6020〜
0x0080 602F
ADC,DFLLULP調整データ
使用時は必ず読取って設定のこと(DS 10.2.2参照)
0x0080 6030〜 温度センサ補正データ(DS 10.2.3参照)
0x0080 C000〜
0x0080 C0FF
ブート設定
0x0080 A00C,
0x0080 A040〜
シリアル番号(128bit) (DS 10.3参照)
0x0200 0000〜
0x0200 1FFF〜
ブートROM
0x2000 0000〜 内蔵RAM 0x2000 0000〜 内蔵RAM
0x4000 0000〜 周辺ブリッジA 0x4000 0000〜 PAC, PM, MCLK, RSTC
0x4000 1000〜 OSCCTRL, OSC32KCTRL, SUPC, GCLK
0x4000 2000〜 WDT, RTC, EIC, FREQM
0x4000 3000〜 PORT, AC
0x4100 0000〜 周辺ブリッジB 0x4100 2000〜 DSU, NVMCTRL, DMAC, HMATRIXHS
0x4200 0000〜 周辺ブリッジC 0x4200 0000〜 EVSYS, SERCOM0〜SERCOM2
0x4200 1000〜 TC0, TC1, TC2, ADC
0x4200 2000〜 DAC, PTC, TRNG, CCL
0x4200 3000〜 OPAMP, Trust RAM
0x6000 0000〜 IOBUS 0x6000 0000〜 IOBUS PORT
0xE000 0000〜 コア内機能 0xE000 0000〜 システム制御、システム・タイマ、多重割込み制御
(32bitアクセスのみ可能)

■ベクター・テーブル
テーブル先頭からの
オフセット(ワード単位)
内容
0 リセット時のスタック・ポインタのロード値
1 リセット
2 NMI
3 ハード不良検出
4 予約
5 メモリ管理不正
6 バス不正
7 セキュア不正
8-10 予約
11 SVCall
12 デバッグ・モニタ
13 予約
14 PendSV
15 システム・タイマ
16 多重割込み(NVIC)0 以下詳細は「多重割込制御」参照
17 多重割込み1
60 多重割込み44
割込みには、15クロックかかるようです(L10、ノーウエイトの場合)。ハードウエアでスタックへ自動退避されるのは戻りアドレス、ステータス・レジスタの他に6本(R0〜R3,R12,R14(リンクレジスタ))あります。

 
多重割込制御 NVIC(SAML1x) 2019/12/9 追加
■SAML1xには45要因の割込み入力があります。
■制御レジスタ(32bitアクセスのみ可)は合計20本あります。NVIC_ISER〜NVIC_ICPRはレジスタ[0]のbit0〜bit31が割込み要因0〜31、レジスタ[1]のbit0〜が割込み要因32〜に対応しています。
アドレス 名称 内容 初期値 詳細
0xE000 E100〜
(2ワード)
NVIC_ISER0〜
NVIC_ISER1
割込み許可 0 リード:割込み許可状態を読み取れます。
ライト:1を立てたbitに対応した割込みを許可します。0のbitは許可/禁止状態を変更しません。
0xE000 E180〜
(2ワード)
NVIC_ICER0〜
NVIC_ICER1
割込み禁止 0 ライト:1を立てたbitに対応した割込みを禁止します。0のbitは許可/禁止状態を変更しません。
0xE000 E200〜
(2ワード)
NVIC_ISPR0〜
NVIC_ISPR1
割込み発生 0 リード:割込み発生状態を読み取れます。
ライト:1を立てたbitに対応した割込みを強制的に発生します。0のbitは影響しません。
0xE000 E280〜
(2ワード)
NVIC_ICPR0〜
NVIC_ICPR1
割込みクリア 0 ライト:1を立てたbitに対応した割込みをクリアします。0のbitは影響しません。
0xE000 E400〜
(12ワード)
NVIC_IPR0〜
NVIC_IPR11
優先順序設定 0 割込み要因に対応して1バイト毎に割込みの優先順序を設定します(上位2bitのみ有効)。
アクセスは1ワード単位なので、bit7-6, bit15-14, bit23-22, bit31-30を設定することになります。
設定値00が高優先、11が低優先です。

■割込みソース対応
 SAML1xの場合です。
番号 割込みソース 番号 割込みソース 番号 割込みソース 番号 割込みソース
0 PM, MCLK, OSCCTRL,
OSC32KCTRL, SUPC
12 DMAC1 24 SERCOM0 36 TC2
1 WDT 13 DMAC2 25 SERCOM0 37 ADC
2 RTC 14 DMAC3 26 SERCOM1 38 ADC
3 EIC0 15 DMAC4-7 27 SERCOM1 39 AC
4 EIC1 16 EVSYS0 28 SERCOM1 40 DAC
5 EIC2 17 EVSYS1 29 SERCOM1 41 DAC
6 EIC3 18 EVSYS2 30 SERCOM2 42 PTC
7 EIC4-7 19 EVSYS3 31 SERCOM2 43 乱数生成
8 FREQM 20 EVSYS(NSCHK) 32 SERCOM2 44 Trust RAM
9 NVMCTRL 21 PAC 33 SERCOM2
10 PORT 22 SERCOM0 34 TC0
11 DMAC0 23 SERCOM0 35 TC1

■割込み優先制御
 ・同時に複数の割込み要求が発生した場合、割込み優先順序レジスタの設定値が小さい方を優先します。
  優先順序レジスタの設定値が同じ場合は、ベクタ番号の若い方を優先します。
 ・初期状態では、どの優先度の割込みも受付可能です。
 ・多重割込み(ある割込みを受付けている中で他の割込みを許可)の場合、新たな割込みの優先順序レジスタの設定値が現在の割込みの値より小さい場合に受付可能です。