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2011/10/13 更新 |
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Q.設計事務所と建築士事務所の違いは何ですか? | ||||||||||
A |
特に違いがあるわけではありません。 ただ「設計事務所」というと建築以外の設計を行っている事務所もあてはまりますが、「建築士事務所」といえば「あぁ、建築士の事務所なんだな」とすぐにおわかりになる、というくらいの違いでしょうか? 事務所の名称の付け方は人それぞれなのでいろいろな名称がありますが、建築に関する設計を業とする事務所においては大差はありません。 ちなみに、設計・監理を業として行う事務所の正式名称は、個人事務所であろうと法人(会社)事務所であろうと同じで、決まっています。 一級・二級・木造の違いはありますが、例えば「梶「▽設計」の場合であれば「梶「▽設計・○級建築士事務所」というように、会社名の前後どちらかに「○級建築士事務所」と入ります。 |
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Q.設計事務所を開こうと思っているのですが、開くのに何か特別な資格は必要なのでしょうか? | ||||||||||
A |
設計事務所を開くことそのものには特段資格は必要ありません。ただ、誰でも開けるかというと、そういうことでもありません。開設には「開設者」の他にその事務所を専任で管理する建築士(俗に「管理建築士」と呼ばれます)が必要になります。 まず、自分自身が建築士の資格を持っていれば、自身が「管理建築士」となることで資格に見合った建築士事務所を開くことができます。この時は自分自身が「開設者」と「管理建築士」を兼任する形になります。 自分自身が建築士の資格を持っていなくても「開設者」にはなれますが、この時は他に建築士を雇い入れて専属で管理してもらうことで開くことになります。この場合に特に注意しなくてはならないのは、「管理建築士」となっていただく方は専任でなくてはならないということです。他の会社に籍を置いていたりしてはならないのです(建築士法第24条第1項)。 なお、他の設計事務所等に在籍し「所属建築士」として登録されていた建築士が独立して開こうとする場合は、前の会社の「所属建築士名簿」からの削除が必要で、同時に建築士事務所登録の申請の際に前の会社が発行する「退職証明書」の添付が必要になります。独立される前に、会社に対して以上のことを請求しておいてください。 |
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Q.建築士の中では一級建築士が偉いのですか? | ||||||||||
A |
いえ、別に偉いということはないのですよ....(^^; [知っ得8.建築士と設計について]で建築士のできる業務範囲について記載していますが、これはあくまでもそれらの規模・用途の建築物を設計・監理できる権限があるだけで、その資格を持っている人間がエラいことにはならないと思うのです。 確かに肩書きで見ればそのように感じてしまうのは避けられないとは思いますが、少なくとも私はそうは思ってはおりません。二級建築士の方でも素晴らしい仕事を遂行される方もいれば、一級建築士であっても「なんだ、そんなことも知らんのか」ということもあるのです。 肩書きだけで判断するのは早計です。人間的にまた技術的に、ご自分の要望を叶えてくれそうな方とまずはお付き合いしてみてはいかがでしょう? 住宅であれば人生の一大事なんですから、それから設計者を選定しても決して遅くはないと思うのです。 |
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Q.相談するだけでもお金はかかるのですか? | ||||||||||
A |
これについては設計事務所によって考えがまちまちなので断言はできませんが、一般的には相談のみによってお金を請求されることはまずないでしょう。 もちろん相談を受けることによる業務時間が発生しますので弁護士さんのようにお金を請求しても差し支えないのですが、現実的にはまずないと思われます。 |
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Q.“相談”の範囲は? | ||||||||||
A |
う〜ん、これも事務所によってまちまちですね。(^^; 一般的な認識の範疇でお話しすれば、建築敷地を測ったり役所調査についてはどれくらいの規模のものが建築可能かの判断材料集めのためと思われますので、“相談”の範疇でも差支えないと思われます。 ※設計事務所によって取り扱いはマチマチですので、ご了承ください。 |
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Q.お願いするときに必要なものはありますか? | ||||||||||
A |
ご相談いただく際に、あれば設計事務所が助かるものは、まずは建築敷地の敷地図ですね。 三斜の求積線や廻り間が記入されていて土地の状況がわかるものが望ましいです。 それと公図や登記簿の閉鎖謄本、地積測量図などの法務局にある土地の情報や用途地域・建ペイ率・容積率等の情報があればなお助かります。 いずれも相談時点ではなくてもかまいませんが、おありにならない分については敷地を測ったり役所調査をしたりするため、その場では即答はできかねる場合が多いことをご承知おき下さい。 |
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Q.お隣が3階建てが建っているのに私の所は無理と言われました。こんなことってあるの? | ||||||||||
A |
現実にそのようなケースはあります。それが何に起因するかによっても違いますが...... まず考えられるのは、丁度お隣との間で用途地域の境が変わっているケースです。用途地域と共に高度地区や北側斜線制限が変わっていることもあります。このようなケースは、例えば商店街の裏に敷地をお持ちでその境で用途地域も変わっているとか、大きな道路の一本裏の道路に接しているとか様々考えられます。 用途地域等が同じ場合、建築敷地の地形によっても無理なケースがあります。 いずれにしろ現地を含め調査しないとわからないことがありますので、お気軽にご相談下さい。 |
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Q.自分の敷地なんだから好きなように建ててもいいんじゃないかと思うのですが? | ||||||||||
A |
確かにご自分の敷地なんだから持ち主の自由じゃないか、とか、個人の敷地内の建物に法律で制限を受けるのは納得がいかない、と思われるのはある意味致し方のないところです。 しかし生活していく上で、自分一人で生活しているわけではありません。みなさんの廻りにもそれぞれの人がそれぞれの生活を営んでいるのです。 アパートやマンションなどの共同住宅を想像してみて下さい。 隣家や上下階の方に対し、音や振動などの面でお互いに気遣いながら日々を生活していませんか? 一戸建ての場合もこれと全く同じだと思うのです。ただ気遣う内容が、建物内から建物外へと出ただけのことなのです。それらを明文化しよりよい社会生活が営めるように建築基準法が存在しています。 どうかご理解願います。 |
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Q.敷地の空いた部分にもう1棟建てたいのですが、敷地分割が必要だと聞きました。建築においては 法務局での分筆とは異なると聞きましたが、どういうものなんですか? |
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A |
建築で言う「敷地分割」とは、建築基準法施行令第1条の「原則一宅地一建築物」の規定に則り、用途上不可分である場合を除き、2以上の建築物を敷地に建築しようとするときに、互いの建築物ごとに敷地を分割したものとして取り扱うことを言います。これは、確認申請時において敷地・配置図上で「敷地分割線」を設定し図面上に書き込めば済むものです。 ただし、ただやみくもに敷地分割線を設定すればいい、というものではありません。設定された分割線により、既存の住宅部分が違法となってしまうような分割は認められないからです。 従って敷地分割線を設定するときは、まず最初に既存住宅が合法になるラインを探って検討しながらの設定をしなければならないのです。こうして残った部分において、新たな建物を計画していく必要があります。 そして、設定された敷地分割線はそのまま隣地境界線と同じ扱いになりますから、採光関係規定や斜線制限規定等諸法規の規定は敷地分割線から発生することになります。 なお建築においては、敷地の持ち分については問わない(建築には敷地持ち分に関する権限がありません)ため、法務局において敷地を分筆登記する必要はありません(ただし、都道府県条例その他の法令等で定められていれば別ですが)。 言い換えれば、法務局(権利)とは関係なく、状況さえ許せば建築確認申請上で自由に敷地分割線を設定することができます。 |
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Q.住宅メーカーに建築を頼んであります。外構部分の工事もその住宅メーカーに頼もうと思っています が、その見積りにきたのは地元の業者でした。これでは、あまりメーカーに頼んだ意味が無いように 感じましたが・・・? |
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A |
外構工事は、工事種別としてはエクステリア部分に該当します。つまり建物本体とは切り離して考えることになります。 住宅メーカーといっても、そこが直接工事を行うのは建物本体のみで、外構工事等については最終的にその住宅メーカーの名前で見積書が出てくるとしても工事を行うのはメーカーの下請けとして入っている業者さんになるのです。 ご質問者様の場合、詳しい経緯はわかりかねますが、住宅メーカーの下請けとして入っている業者さんがたまたま地元の方だったのでしょう。下請け業者さんにしても、実際に工事を行う現場の確認と状況の把握のために直接お伺いすることは少なくありません。おそらくはそのケースでしょう。 ただ、地元の業者さんに直接お願いするよりもメリットはあります。地元の業者さん直依頼だと手直しや補償は業者さんの善意によるのみですが、住宅メーカー経由でお願いすればそのメーカーが責任を持って補償に当たってもらえますし窓口の一本化にもなり、責任の明確化にもなります。 従って、全くの無意味ということはありませんよ。 |
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Q.設計事務所って堅いイメージがあるし、敷居が高そうですが? | ||||||||||
A |
『建築家』と呼ばれる“先生方”の事務所は確かに敷居が高いこともありますね....(^^; でも一般の設計事務所では、設計事務所の方で敷居を高くしているところはほとんどないと思いますよ。 『建築家』と呼ばれる“先生方”はその知名度から、知らず知らずの内に敷居が高くなってしまっているところもありますが、自分で敷居を高くしているところはそう多くはないと思いますよ。 |
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Q.「間仕切壁」の意味は「住戸内を間仕切ることを目的とした壁」とのことですが、例えば居室とトイレ、 居室と廊下、あるいは居室と隣室のクローゼットとを仕切る壁は「内壁」と言うのでしょうか? |
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A |
「間仕切壁」というのは、それこそ住宅内で部屋と部屋を間仕切るための壁全般を指します。ですから「居室と居室」だけではありません。もちろんこの場合、「部屋」には居室以外のものも該当します。 一方「内壁」は、「外壁」に対して“内部の壁”という意味なのです。 この2つは意味合いは似ていますが、「間仕切壁」と言った場合、その多くは壁の心材(木造であれば柱や間柱で構成された、壁となる躯体部分)のことを指しています。 これに対し「内壁」は、間仕切壁の上に張られた石膏ボードや合板、クロス等の仕上材の部分を指します。 |
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Q.「設計監理」って言葉をよく聞くのですが、これって何ですか? | ||||||||||
A |
これは公の用語ではないのですが、“設計者(又は設計事務所)が行う工事監理”または“設計された内容を工事監理する”の意味で用いられていることが多い言葉です。設計者がそのまま工事監理を行う場合によく聞きますね。仕事内容は工事監理そのものですので違いはありません。 これとは別に、設計事務所の業務紹介などで「設計・監理」とか「設計及び監理」とあるのは「設計&工事監理」という意味です。ただ言葉が短縮されただけだと思って差支えないでしょう。 |
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Q.「こうじかんり」と「せこうかんり」って、何が違うんですか? | ||||||||||
A |
全く違います。漢字にすると「工事監理」「施工管理」となります。特に「かんり」の字が違うことがおわかりいただけるでしょうか?この件については[建築・設計 用語集]でそれぞれ解説していますので、詳しくはそちらのページをご覧ください。 簡単に区別しますと、「工事監理」は建築士が行う仕事で工事の内容が設計通りになっているか否かをチェックすることをいい、「施工管理」は建築工事としての目的を達成するために立てた工務店自らの計画を実行していく過程での業務そのもののことです。 |
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Q.私は建設会社で「監理技術者」資格を持っています。この資格をもって「工事監理者」になることは できますか? |
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A |
結論から申し上げると、できません。まず、それぞれの資格を設けている法律が違います。「監理技術者」 は建設業法に基づく資格で、「工事監理者」は建築基準法、また「工事監理」の業務に関しては建築士法によります。 仕事内容も当然異なります。「監理技術者」は一定規模以上の建設現場において建設現場に専任で配置され、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導監督などを行います。 一方「工事監理者」は建築基準法により、建築士法に基づく工事監理を行う者のことです。 役割も法律も全く違うため、「監理技術者」資格をお持ちでも「工事監理者」にはなれません。 |
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Q.「特定行政庁」って言葉をよく聞くのですが、これって市役所のことですか? | ||||||||||
A |
いえ、これは市役所・町村役場を直接指しているわけではありません。 建築主事が置かれている行政機関のことをいいます。 ですから、建築主事のいない市町村は特定行政庁ではありません。 [知っ得6.特定行政庁・建築主事って何だ?]で詳しく解説していますので参考にどうぞ。 |
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Q.建築基準法で謳っている建築の定義のうち、改築とはどういう意味でとらえればいいのでしょうか? 既存の建物の内部の間仕切りを変更する場合も改築ととらえるのですか? |
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A |
改築。この言葉は、建築基準法本来の意味とは違った形で用いられることも多く、それ故に間違えやすい言葉でもあります。一般には「改築」と言うと建替えのことを指したり、ちょっとした改造のことを言う場合が多いと思いますが、建築の法規的には次のように定義されています。 | |||||||||
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なんだ、建て替えのことじゃないか、と思われたかもしれませんが、改築の場合は間取り的にもほぼ同じもののことを指しますので、普通に建て替える場合には「新築」扱いとなり、従前のものと著しく異なる場合には「新築」または「増築」扱いとなるのです。なお改築の場合には、使用材料の新旧は問いません。 ちなみに「改築」の定義は、建築基準法第2条第13号【建築】の項目と共に、昭和28年11月17日付住指発1400号という、旧建設省住宅局が発した通達に規定されています。 なお内部の間仕切を変更すること自体については、上記の通り「改築」の定義がありますので「改築」とは言いません。その代わり「大規模の修繕」または「大規模の模様替」に該当する場合がありますので、詳しくは計画案を建築士に相談してみてください。 |
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Q.建物は、道路がないと建築できない、と聞きましたが? | ||||||||||
A |
そのとおりです。建築物は基本的に道路に有効に接した敷地でないと建築できません。 “基本的に”というのは、もちろん例外(緩和措置)もあります。特定行政庁が要求する一定の条件を満たしたものについては、許可を得ることによって「道路と同等」とみなしてもらえることもあります。 「道路」の定義ですが、建築基準法上の道路はその道が“道路状”になっていればいいというわけではありません。“道路状”であっても「建築基準法上の道路」でない道もあります。 この判定は特定行政庁が行っているため、出向いて【道路台帳】を閲覧しないと判断がつきませんので、詳しくは建築士にご相談の上調査していただいてください。 道路の種類(種別)により敷地のセットバックが必要なものや、事前に申請・許可が必要なものがあります。 なお公道・私道の別ですが、建築基準法上ではこの2つに区別はありません。 従って○○市の市道であっても「建築基準法上の道路」でないケースも実際にはあります。 公道であやしいのは昔の農道が発展した道や俗に“○間道路”と呼ばれている道ですね。 私道の場合はまず「建築基準法上の道路」でない、と疑ってみましょう。 私道でも〈道路位置指定〉を受けているものは「建築基準法上の道路」ですので大丈夫です。 |
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Q.「計画道路」って何ですか? | ||||||||||
A |
正確には「都市計画道路」といいます。 これは都道府県単位で定められた「都市計画施設」のうちの一つです。 「都市計画道路」には大きく分けて〈計画決定段階〉と〈事業決定段階〉があります。 〈計画決定段階〉であれば、建築敷地が都市計画道路内に入っていても一定の条件下において建築することは可能です。が、〈計画決定段階〉は言うなれば〈事業決定段階〉の前段階にありますので、〈事業決定〉された時点で立ち退きや建物規模の縮小等の可能性が残ってしまいます。 なお建物を建てる際には確認申請の前に都市計画法上の【建築許可】が必要になります。 〈事業決定段階〉は「都市計画道路」を実際に造る“事業(=工事)の段階”ですので、事業決定された都市計画道路内には建築することはできません。 建築する・しないの前に、都道府県から立ち退き等の折衝が始まっていますのでその地での建築は事実上不可能です。上記の都市計画法上の【建築許可】申請や確認申請も受け付けてもらえません。 |
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Q.「高度地区」って何ですか? | ||||||||||
A |
簡単に言ってしまうと、建築基準法にある「北側斜線」と同様のものです。都市計画法に基づいて都道府県及び政令指定都市単位で定められる制限で、建築物の高さの最高限度又は最低限度を決めるものです。ほとんどの場合高さの最高限度を定めたものとなっていますが....(^^; 建築基準法の「北側斜線」と同様に、真北方向から高さを規制するので、敷地の北側部分だけを気をつければいいというものではありません。真北が東西どちらかに振れていれば、振れている方の隣地境界線からも制限が発生します。 建築基準法の「北側斜線」と異なるのは、建築基準法の「北側斜線」が第一種及び第二種低層住居専用地域と第一種及び第二種中高層住居専用地域(基本)が規制対象なのに対し、「高度地区」はそれが定められた地域であれば用途地域に関わらず規制の対象になることです。商業系、工業系の用途地域でも規制対象になります。 なお「高度地区」が定められた地域においては、それ自体が建築基準法の「北側斜線」よりも厳しいものであるため、前出の住居系用途地域において「北側斜線」は適用されません。 また「高度地区」は都道府県及び政令指定都市単位で独自に定められるため、各地域において異なる制限内容となっています。 |
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Q.「確認申請」って出さないといけないのですか? | ||||||||||
A |
正確には全物件というわけではありませんが、ほとんどの建築物に関しては、事前に建築主事に確認してもらうことが必要です。
このように、ほとんどの建築物が申請対象であることがおわかりいただけるかと思います。第四号は、第一号から第三号に当てはまらないものについての規定ですが、都市計画区域内や準都市計画区域内のものはもちろん、これらの区域外だとしてもほとんどのケースで対象になっています。 |
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Q.「確認申請」は誰にでも出せるのですか? | ||||||||||
A |
この件に関しては、1つ前の項【Q.「確認申請」って出さないといけないのですか?】に記載してある条文(建築基準法第6条第一項)の中に、明確に記載されています。ページを少しロールアップして見てみてください。条文の一番最初の部分で、ここでハッキリ「建築主は」と謳われています。つまり、確認を出せるのは建築主だけなのです。 「何言っているんですか、設計事務所が出しているじゃありませんか!」とお思いになったかもしれません。これは、設計事務所(正確には設計事務所に所属する建築士)は、建築主の委任を受けて、確認申請という業務を「代行」しているにすぎないのです。そのため、確認申請書には必ず建築主から委任を受けた証である「委任状」の添付が必要で、確認申請書第二面の【代理者】欄には委任を受けた建築士の名前を記します。 その代理業務(正しくは「建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理」と言います)は誰ができるのかというと、これは建築士法第21条により、建築士(木造建築士にあっては、木造の建築物の範囲に限ります)が行えること、となっています。ですから、無資格の方が申請代行を行うことはできません。また、他人の物件に関して申請代行をしようとする時には建築士事務所登録が必要になりますのでご注意ください(建築士資格を持っているだけではできません)。 以上は法律において定められている業務資格の事項であり、実際の実務作業に関しては以下のようになります。 建築士でないと確認申請代理業務をできないことは、これまでに述べさせていただいたとおりです。ですが法律では、実際に役所の窓口に行って実務を行う人についてまで述べているわけではありません。 どういうことかというと、確認申請をはじめとする建築に関する申請業務は建築士の有資格者である必要があります。これは前述のように、建築士法において建築士が行うことができる業務として記載されているからです。しかし建築士本人が実際に窓口に行って手続きをしなくてはならない、とはどこにも記載されていません。 つまり、確認申請書の【設計者】や【工事監理者】欄、また【代理者】欄については有資格者である所属事務所内建築士さんの名前を記載し、実際に窓口に書類を持っていったり折衝したりするのは、設計事務所 に所属している質問者様のような資格を有していない方であってもかまわないのです(質問者様が設計事務所に所属していれば、の話です。所属していないとこれすらも行えませんのでご注意ください)。 要は、各々の責任所在が明確になっていればよく、できれば持っていった書類の内容(設計内容を含む)についても把握していて、窓口担当者とやりとりができればなおいいのです。 ですから、仮に質問者様が無資格のままだったとしても、設計事務所に所属していれば、「設計事務所の所員」として実務を行うことができます(名義はあくまでも有資格者さんとなりますが)。 |
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Q.「検査済証」って何ですか? | ||||||||||
A |
建築工事をおこなう前に「確認申請」をおこなって「確認済証」を交付してもらわなくてはならないことは前項でおわかりいただけたことと思います。今度は工事が完了した時に、その確認申請して「確認済証」を交付してもらった内容の通りに工事がおこなわれたかどうかを、特定行政庁に「完了検査申請書」を提出して検査してもらうのですが、その検査に合格すれば「検査済証」が交付されます。 ただしご注意いただきたいのは、「検査済証」は検査した時点において確認申請並びに確認済証の通りに施工されていることを証するものであって、未来永劫それを証明・保証するものではない、ということです。 |
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Q.完了検査って受けないといけないのですか? | ||||||||||
A |
これは受けなければなりません。建築基準法第7条に定められた建築主(及び工事監理者)の義務です。
以前では「工事完了届」なる書類があり、工事が完了した際に同届を届け出て検査してもらっていました。以前から義務ではあったのです。しかしあまりにもこの届をキチンと届け出ている現場が少なかったうえ、特定行政庁(特に田舎の方)によっては届だけ受理して検査をしていなかったケースもあったようです。 このため、建築基準法の改正の際に「完了検査申請書」と名称変更すると共に、特定行政庁に対しても検査を義務づけるようになったのです。 おかげで完了検査申請並びに検査済証取得率は大幅にアップしました。これはひとえに、検査済証取得=違反はできない、という、ごく当たり前のことがようやく工務店レベルでも浸透してきた証でもあります。また同時に設計者や工事監理者の責任問題にもなるため、目を覆うような違反建築物は激減している効果があります。 なお、この「完了検査申請書」を申請しなかった場合はどうなるか?ですが、特定行政庁によっても対応はマチマチですが、確認申請書に記載された予定工期を2〜3ヶ月過ぎても完了検査申請がなされない場合、電話や書面にて申請書提出を催告する所が多いようです。従って、違反があるから完了検査申請をしない、ということはできないような体制づくりがなされている、と思っておいた方がよいでしょう。 |
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Q.用途変更は建築士でなくても出来るのでしょうか?建築士法第3条では記載されてませんが? | ||||||||||
A |
建築士法第3条〜第3条の3は、建築士でないと行うことができない設計又は工事監理について書かれています。用途変更に関する事項はここではなく、別の所にある条文を見ないとなりません。
まず用途変更に関してですが、これは建築基準法第87条に記載されています。
建築基準法第6条その他の規定を受けるわけですから、用途を変更する場合には、基本的に確認申請を行う必要があるわけです。 次に、その確認申請を建築士以外でも行えるか否か、ですが、これについては建築士法第21条が適用されます。建築士法第21条には次のように書かれています。
ここで言う「手続きの代理」とは、確認申請をはじめとする各種の建築に関する手続きの代理のことを言っています。この条文により、確認申請をはじめとする各種手続きの代理は建築士の独占業務となっています。 つまり、用途の変更という行為は確認申請を必要としますので、建築主本人が直接申請する場合を除き、建築士以外の人が手続きの代理業務を請け負うことはできません。またこれらの業務は、建築主本人が申請する場合以外は第三者が手続きの代理をすることになるため「業」の扱いとなり、建築士事務所に所属する建築士でないと手続きの代理業務を行うことができません。 |
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Q.工務店との「請負契約」の他にも設計事務所に頼むと契約が必要なのですか? | ||||||||||
A |
住宅に限らない一般論の上では「設計契約」を締結して各設計業務に入ります。 設計契約にもいくつか種類があって、 (1) 事前の調査や企画案を作成するための「企画設計契約」 (2)まとまった企画案を具体的に設計するための「基本設計契約」 (3)基本設計の内容を更に突き詰め、詳細な設計を行うための「実施設計契約」 などがあります。 ※それぞれ[設計事務所の業務とは?]のページで紹介している設計業務内容を行うための契約です。 ただこのように何回も設計契約を締結してステップを踏んでいくのは大きな建物の場合が多く、普通の住宅など小規模のものでは(1)は省かれ(というよりほとんどサービスで....f^^;)、(2)と(3)を合わせて1回の「設計契約」としているところが大半です。 なお設計契約に限らず「契約」と名の付くものは当事者双方に契約の意志があれば口頭でも成立します。 が、お互いの意思確認の証書的な面も持ち合わせていますので、口頭で済まさず必ず契約書を取り交わすようにしましょう。 |
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Q.地元の工務店に建築を発注したら、後で渡された確認申請書に頼んだ覚えのない設計事務所が「設 計者」「工事監理者」として名前が載っていました。 「工事施工者」は発注した工務店でしたが、これっていったい......? |
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A |
これは質問のとおり地元の工務店や大工さんに一式で工事を発注(契約)した場合によく見受けられます。 どういうことかというと、[住宅の新築・建て替えをお考えの方へ]でも触れていますが、その工務店の場合、社内に建築士が所属していないか、もしくは所属していても設計可能範囲の建築士ではない場合、また設計可能範囲の建築士が所属していてもその会社が設計可能範囲の建築士事務所登録をしていないことが考えられます。 これらの場合にはその会社内において設計及び工事監理をすることができませんから、その会社と取引のある外の設計事務所に業務を委託しているためです。 お施主様と設計事務所の関わり方としては工務店を介しての特殊な形にはなりますが、発注先が地元の工務店や大工さんのケースでは以外とよく見受けられるものです。 |
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Q.私の場合は住宅メーカーに建築を発注したら、後で渡された確認申請書に記載されていた「設計者」 「工事監理者」「工事施工者」は住宅メーカーでした。しかし「代理者」という欄には頼んだ覚えのない 設計事務所の名前が載っていました。これっていったい......? |
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A |
この場合は質問のとおり住宅メーカーに一式で設計及び工事を発注(契約)した場合に見受けられるケースです。 大手の住宅メーカーは通常『建築士事務所』としての登録をしているため、会社単独で設計・工事監理を行うことができ、確認申請手続きにおいても設計部門の社員が役所まで足を運んで申請手続きを行っています。しかし何らかの理由(例えば遠隔地であるとか会社の経費上外注した方が安いとか)で確認申請をはじめとする諸手続を外部の設計事務所に委託することがあるのです。 建築士(設計事務所)はその業務として「建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理」(俗に「代願」と呼ばれます)を請け負うことができるため、設計者及び工事監理者とは別に「代理者」となることができます。 ⇒ 業務については[設計事務所の業務とは?]ページを参照してください。 最近は経費削減のためかあまり多くは見かけなくなりましたが、「手続きの代理(=代願)」は設計及び工事監理とは別の業務なため、ケースとしてはあります。 ただしご注意いただきたいのは、質問のように「頼んだ覚えのない設計事務所」であっては本来はいけないのです(これは1つ前の質問にも通じます)。 なぜなら「手続きの代理(=代願)」には建築主から委任を受けた建築士であることを示す【委任状】が必要だからです。この【委任状】は確認申請書に添付する必要があります。 従って建築主としては、確認申請が行われる前に、誰が確認申請業務を行うのかを住宅メーカーに確認しておくべきでしょう。もし住宅メーカーが外部の設計事務所に申請業務を委託しようとしているのであれば、直接外部設計事務所と会うことはなくても「○○設計事務所に委託します」旨の書類をメーカーから貰っておくようにしましょう。 そうしておけば、申請の前に住宅メーカーを通じて○○設計事務所から【委任状】用紙が届くでしょうから、「頼んだ覚えのない設計事務所」状態を回避することができますよ。 |
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Q.設計をしてもらった設計事務所が、工事監理を引き受けてくれません。 建築士でなければ工事監理できない建物なのに...... 設計者は工事監理をする義務はないのですか? |
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A |
設計業務においても工事監理業務においても、物件に見合った資格の建築士が業務に当たる必要があります。しかし、設計をした者が工事監理をしなくてはならないわけではないのです。 設計と工事監理は、それぞれ別の業務として定義されており、それぞれ別の建築士が業として請け負うことができます。 言い換えると「業(営業)である」ので、設計をした者が請け負わないこともできるのです。 その場合には、別の設計事務所(建築士)に工事監理を依頼することになります。 その場合において、設計に起因する“瑕疵”があった場合には、設計者は設計責任を負うことになりますが、工事監理業務を受けていないため工事監理責任は発生しません。 ただあくまで個人的意見として、自分の設計した物件の工事監理を、特に理由なく引き受けを拒んで行わない設計事務所はいわば「設計しっぱなし」なわけですから、建物の品質管理という点で無責任といわざるを得ませんね。 |
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Q.知り合いに一級建築士の資格を持った人がいて、住宅の設計を頼もうとしたら「法律で禁止されてい るから」と断られてしまいました。資格を持っているのにどういうことなんでしょう? |
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A |
知り合いの方が一級建築士であるならば、設計者としての資格(物件の規模的な要件)は問題ありません。しかしお知り合いの方が「法律的な問題」でできない、と言われたのはおそらく次の理由からでしょう。 建築士は、その資格を持っているだけでは他人の建築物の設計・工事監理をすることができないのです。 それは〔建築士法〕という法律によって次のように定められているからです。 |
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条文で読むと難しいですが、要約すると他人の建築物を設計・工事監理するときには建築士事務所登録をしていないとダメですよ、ということなのです。 この場合、そのお知り合いの方がどの建築士事務所にも属していなければ、その方が設計者として設計することはできません。工事監理も同様です。 お知り合いの方が建築士事務所に所属していて、その建築士事務所がお知り合いの方を「事務所所属建築士」として事務所登録してあれば、その方が「設計者」となることはできます。ただし「設計者」の建築士事務所欄はその建築士事務所名にはなりますが...... なお「知り合いだからお金はサービス(無報酬)でやってくれるんだよ」といってもダメです。 建築士自身以外の人は法律上他人(たとえ家族・親戚であっても)ですから、たとえ無報酬であっても(現実にそういうことはないでしょうが......)お金のやりとりが発生していると見なされるので、建築士事務所登録をしていない限り、その方の名前で設計・工事監理をすることはできません。 |
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Q.私の場合は知り合いの一級建築士に設計を頼もうとしたら「設計はやっていないんです」と言われ、 結局他の建築士を探してお願いしたんです。 一級建築士なのに設計をやっていない(できないのか?)とはどういうこと? |
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A |
この場合は事務所登録云々ではなく、その方が歩んでいる建築・建設業が設計ではない、ということなのでしょう。 建築士は、その全てが設計に携わっているというわけではありません。 工事現場で管理・監督として建築士資格を使っている方もいれば、設計は設計でも「意匠設計」ではなく「構造設計」のみ、「設備設計」のみで携わっている方もいらっしゃいます。 言い換えると、意匠・構造・設備・現場を自分一人で行っている建築士はごくまれで、ほとんどの場合どれか1つ(もしくは2つ)に特化した業務を行っているのです。 モチロン、建築士資格を取得するために受験する「建築士試験」において、業種に関係なく設計製図試験をパスしない限り建築士にはなれませんから、設計しようとして全くできないわけではないでしょう。 ただお知り合いの方にしてみれば、自分は業として行っていることが“設計”ではないため、設計を業として行っている建築士に頼んだ方がいい建物ができますよ、ということなのだと思います。 |
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Q.ある工務店から「確認申請を出してほしい」と依頼を受けましたが、実際に自分では設計行為をして いない(工務店が設計している)し工事監理も行わない(工務店にて監理もどきのことをする)のに確 認申請書の【設計者】欄と【工事監理者】欄に自分の事務所の名義を記載してくれ、と頼まれました。 これって違法ではないのですか? |
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A |
これは、いわゆる「名義貸し」を要求されていると思われます。「名義貸し」は建築士法違反に該当する行為です。 | |||||||||
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「名義貸し」は、主に建築士事務所登録をしていない工務店が自社内で建物を企画・管理し、外部建築士事務所とは確認申請時のみつながりを持つような運営形態を持つ会社が要求してくるケースが多いように思います。設計事務所を「確認をとるためだけの業者」とみている会社、と言えそうです。 「名義を貸してくれ!」と工務店が言ってくる場合、そのほとんどは建築士事務所登録をしていないために自社では合法的に設計・工事監理ができないからです(その理由は2つ上のQ&Aを参照して下さい)。 ですが、前述のように「名義貸し」は違法行為です。「懲戒処分ランク6(=業務停止3月)」となる重大な違反です。工務店からの要求内容がもしこの「名義貸し」に該当するようならぜひ断って下さい。 ただし、「事務所の名前を出してくれ」と頼まれたとしても、おおざっぱな企画は工務店だけれども自分の事務所において責任を持って、企画案のその後の詳細を設計することになっている(自分で設計に対する責任が負える)であるとか、きちんと工事監理までお願いされた、という場合は除きます。この場合は自分で業務を行う意志があるものとみられるため、「名義貸し」に該当しないと思われます。 |
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Q.前の会社で建築事務所登録を私の名義で登録したのですが、退職後もそのまま私の名前のままの 場合は変更、削除は私自身が行わないといけないのでしょうか? |
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A |
質問者様は従業員として前の会社に勤めていたわけですから、建築士事務所の開設者は会社の代表者(社長さん)であるはずです。本題の「変更、削除は私自身が行わないといけないのでしょうか?」ですが、これに関しては建築士法第23条の5に明記されています。 | |||||||||
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条文を見るとお分かりかと思いますが、管理建築士の変更の届け出をしなければならない義務者は、建築士事務所の開設者、すなわち社長さんです。現実問題的には社長さんが自ら手続きしに行くわけではなく、その会社の総務の方とかが行う事務となるでしょうが、いずれにしても変更の届け出をしなければならないのは建築士事務所の開設者(つまりは前の会社)に責任があり、管理建築士であった質問者様自身が行うことではありません。前の会社は、質問者様が辞められてから2週間以内に管理建築士が変更になった旨の届け出を都道府県知事にしなければなりません。 またもし質問者様の退職により建築士有資格者がその会社に不在となる場合、建築士事務所の登録を抹消しなければなりませんが、その場合も建築士法第23条の6により、建築士事務所の開設者により廃業の届け出をする必要があります。 |
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Q.2×4工法(ツー・バイ・フォー、枠組壁工法)が増改築には向かないそうですがなぜですか? | ||||||||||
A |
2×4工法(ツー・バイ・フォー、枠組壁工法)は[構造形式について]でも述べさせていただいているとおり、主に壁組(耐力壁)と床組(床版)で大きな“箱”を造り、家全体で荷重を支える構造になっています。これを大壁式工法といいます。在来木造が柱と梁(軸組)で荷重を支えるのに対し、壁や床の役割が非常に大きくなっている造り方、と言えるでしょう。 壁や床をいじらない増改築は考えにくいですが、耐力壁である壁と“箱”を構成する床版ををいじることに問題が生じるため不向きなのです。新築時、建物上下左右の剛性バランスや絶対耐力を検討して造ってあるわけですが、これらを崩すことになるわけなのでお勧めはできません。 ただし、この工法でも開口部分(窓やドアがある部分)は耐力壁ではありませんから、それらから互いに行き来できる出入口を設けて、かつエキスパンション・ジョイント([建築・設計 用語集]の構造編を参照)で構造的に分離できれば不可能ではありません。 |
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Q.2×4は釘が命!と本に書いてありました。現場見学に行った折に釘が木にめり込んでいました。 本にはめり込みは耐力低下が著しいのでダメとありました。ナゼ耐力低下するのでしょうか? 今まで行った現場のほとんどがめり込んでいたように思います。どっちが正しい施工でしょうか? |
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A |
2×4(ツー・バイ・フォー、枠組壁工法)においては確かに釘が重要な役割を持っています。それは、在来軸組工法が部材の継手や仕口を加工し組み上げていき釘は補助的な役割をするだけなのに対し、2×4では釘・金物だけが部材相互を結びつけるものだからです。 ご質問の「釘のめり込み」ですが、確かに実際の現場においては釘がめり込んでいるものが多いように思います。これは釘の打ち方に起因しています。 最近の現場では作業性・生産性をよくするために「ネイラー」と呼ばれる自動釘打ち機が使用されるのが一般的です。このネイラーはコンプレッサーによる圧縮空気を利用して釘を打ち込みます。このとき、打ち込み空気圧が正しく設定されていれば理屈の上では釘頭と材面が一致しますが、空気圧が足りないと釘頭が材面から飛び出した形で残ってしまうため、手打ちにて打ち込む必要が出てきます。これでは作業性が著しく低下してしまうため、実際の打ち込みでは空気圧を気持ち高く設定して2度手間(手打ち)を出さないようにしているのです。 しかし打ち込む際の空気圧が高いと当然材にめり込む形になります。枠組材等の材圧が厚めのものであれば若干のめり込みはそれほど問題にはならないでしょうが、下地張り材等の材圧が薄めのものには影響が大きく出てしまいます。 この比較は、クルマに例えるとわかりやすいかもしれません。軽自動車で120km/h で走っている場合と2000ccクラス以上のクルマで120km/h 出す場合とでは余裕度が全然違うでしょう?そこにエアコンをかけたらパワーダウンの度合いは軽自動車の方が大きく、快適とは言い難いはずです。 つまり、元々持っているキャパシティが小さい材に釘がめり込む施工をすると、その影響は無視できないくらいになってしまうのです。それはつまり、設計当初見込んだ構造体力が期待できないことを意味しています。 しかしながら実際の現場では作業性・生産性が低下するのを防ぐために「わかっているけれど......」状態なのも事実でしょう。 施工者側の注意としてまず釘をめり込ませない施工を心がけること、また工事監理者側の注意として、めり込んだ部分を発見したら釘の打ち直しを指示して徹底させること、これが2×4を工事する際における現在の「正解に近い答え」なのではないでしょうか? モチロン、めり込み施工が正しいか正しくないか、の2者択一だったら「正しくない」となってしまうでしょう。 |
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Q.小屋裏の換気口についてですが、丸い形や四角、小さいのや大きいのなど形がばらばらですが、 法規的には何か規定はあるのでしょうか? |
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A |
小屋裏の換気についてですが、「小屋裏を換気しなくてはならない」旨の規定は建築基準法上には特に定めがありません。従って形状は問いません。 また法律とは別に、主に都道府県単位で設ける建築関係の「条例」において小屋裏換気に関する規定が盛り込まれている場合にはその規定が適用されます。小屋裏換気についてはあまり見かけませんが...... ちなみに住宅性能評価を受ける際、劣化対策等級の等級2以上取得時には屋根断熱部分以外の部分について小屋裏換気をする必要がありますが、その場合でも形状に関する直接の規定はありません。 |
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Q.階段の勾配でよく見かける表示に22/21と記されていますが、どういう意味なのでしょうか? | ||||||||||
A |
これは、22/21の数字がそれがそのまま階段の蹴上(けあげ)と踏面(ふみづら)の寸法比となっています。蹴上/踏面、という数式(分数)です。 ここで注意すべきは、踏面とは段板の奥行き寸法そのままではない、ということです。ご存じの通り、階段の各段はその上段よりも奥まで段板があるのが普通です。上段の先端から当該段の奥までの部分を「蹴込(けこみ)」といいますが、踏面とは段板奥行き寸法から蹴込を抜いた寸法を言うのです。 「(踏面)=(段板奥行き寸法)−(蹴込寸法)」 なお、階段に限らず勾配を現す場合の表記には決まりがあり、「何分の幾つ」という形になります。数式にすると次の通りです。 「勾配=(垂直方向比率)/(水平方向比率)」 言葉にすると 「勾配とは、(水平方向比率)分の(垂直方向比率)」 となります。 よく屋根などの勾配を現すときに「4寸勾配屋根」などの表記があるのを目にすることがあると思いますが、これも同様なのです。すなわち、「4寸勾配屋根=垂直方向に4/水平方向に10、の比率の勾配の屋根」 ということなのです。 |
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Q.床面積の計算において階段の取り扱いはどのようにすればいいのでしょうか。1階で床面積に入れて 計算し2階で吹き抜けになっている場合は入れなくてよいのかや、階段の下を収納などにする場合な ど、通常どのように床面積の計算に入れるのでしょうか。 |
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A |
階段に限らず、床面積を算定する場合、実は下から見上げるのではなく、上から見下ろした形で計算されます。 2階建てでお話しすると、2階の床レベルから下を見下ろした形で計算しますので、階段部分は2階床面積に算入されます。次に1階を見た場合、階段下に収納を設けるか否かの区別無く、「階段を支持するための床が1階に存在する」とみなされるため、1階にも階段部分の面積と同じだけの面積が算入されます。 従って、2階部分において、階段から天井までが吹抜のように見えていたとしてもそれは吹抜ではなく、床面積に算入することになります。 |
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Q.大学で建築を学んでいます。就職するに当たっては、建築士の資格を持っている方が就職に有利な のですか? |
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A |
一般論として、昨今の就職氷河期時代においては即戦力が期待されています。しかし新卒者に限って言えば、下記の「受験資格」にも掲載していますが就職活動時あるいは入社時に資格を取得していることはあり得ません。それはいずれも在学中に受験できるものではないからです。 従って新卒者であるならば資格の有無(......というよりあり得ませんが)は関係ないでしょう。 ただし大学院生については例外で、大学卒業後に進む大学院では博士前期課程(修士)の在学中に二級及び木造建築士の受験資格が生まれます。また博士後期課程(博士)の在学中に一級建築士の受験資格が生まれます。 大学卒業時に不幸にして就職ができなかった方についても、次の春までには二級及び木造建築士の受験機会がありますから受験することができます。いずれの場合も、取得できるときに取得しておいた方が就職活動においては有利に働くでしょう。 ちなみに転職時においては資格の有無は重要視されるでしょう。 |
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Q.建築士の資格を取りたいと思っていますが、簡単に取れるのでしょうか? 受験するにあたっての資格ってあるのですか? |
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A |
簡単ではありません。難しいです。国家資格であり、昨今の大地震により構造基準等もかなり強化されていますので、大学で勉強している人たちでも年々難しくなっています。
加えて平成20年11月28日に施行された改正建築基準法により、建築士試験の受験資格が大きく変更されました。実務経験には設計・工事監理等に関するものが必要であるなど、それまでより更にハードルが高くなってしまいました。 建築士試験を受験するには、建築実務に関わっている年数や学歴に応じて受験資格が分かれています。次のリンク先に抜粋を掲載しますので参考にしてください。 →→ 〔 建築士試験の受験資格について 〕 |
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Q.一種低層で北側斜線の厳しい土地に家を建てるのですが、なんとか斜線いっぱい有効に使いたいの ですが、実際建てる屋根のラインはどのようにしてどのくらいまでぎりぎり、北側斜線に近づけられる でしょうか?役所への申請の際は斜線からさらに5〜10センチはクリアランスが必要といわれるよう ですが、実際こんなに空けて建てなければいけないものなのでしょうか? |
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A |
第一種低層住居専用地域、略して一種低層の地域における北側斜線はどの地域においても厳しい斜線規制がかかっているのが現状です。これはいわゆる住宅地に多い用途地域です。 北側斜線と呼ばれるものには、大きく2つのものがあります。一つは、建築基準法により定められている一種低層の「北側斜線」、もう一つは特定行政庁が定めて規制している「高度地区制限」で北側斜線同様のものです。2つ目のものも便宜的に「北側斜線」と呼んでいるケースが多いですね。一般に「高度地区制限」の方が建築基準法上の「北側斜線」よりも厳しくなっています。例えば東京のような都市部においては大抵の所で「高度地区制限」が定められています。東京周辺では東京都内、横浜市内、川崎市内、千葉市内などでしょう。建築基準法上の「北側斜線」が〔5m立ち上がり・水平方向1に対し垂直方向1.25の勾配〕で制限されるのに対し、ほとんどの一種低層の「高度地区制限」では〔5m立ち上がり・水平方向1に対し垂直方向0.6の勾配〕で制限されます。これだけでも結構大きな差になってきますので、まずは計画地に「高度地区制限」がかかるか否かを調べておきましょう。 さて、現状においては敷地形状や真北の方位、また建物高さや高度地区制限があるか否かが不明ですので、具体的にどれだけまで寄せて建ててもよいかはわかりかねます。ですので、ご質問者様でも比較的簡単に目安がつけられる検討方法を述べることにいたします。 検討する際に必要な情報は次のものです。 1.敷地の正確な形状 2.真北(注:磁北ではありません)の方向 3.建物の高さ、屋根勾配、軒先の高さ とりあえずはこれらがわかっていれば目安はつけられます。 まず、北側斜線にしろ高度地区制限にしろ、その制限勾配よりも屋根勾配が同じか緩いものとして計画します。ごく一般的な住宅の屋根なら軒先の高さ(=検討高さ)は6.1m前後を見込んでおけばよいでしょう(計画により変動します)。この数字に質問本文にあるように10cmを足し、これを検討高さとします(この例では6.2m)。 ここから計算です。まず検討高さである6.2mから、制限の緩和高さである5mを引きます。するとこの例では1.2mになりますよね?そして次にこの1.2mを、斜線制限の勾配で割ります。基準法の北側斜線なら1.25で、高度地区適用なら0.6で割るのです。そうすると基準法の北側斜線では0.96mと、高度地区適用なら2mとなるはずです。この数字こそが、検討した部位から真北方向の隣地境界線までに空けなければならない水平距離となります。 ここで注意しなければならないことが3つあります。 1.真北は磁北(磁石で測った北)ではありません。正確には真太陽時の南中時刻に基づく北のことで、 こう書くと難しいですが、比較的簡単に調べられます。一番簡単なのはゼンリンの住宅地図から見る方 法です。この地図は基本的に真北を真上にして掲載されています。地域図書館などに置いてありますの で、該当ページをコピーしてもらえばOKです。 2.斜線制限は「北側の隣地境界線」からだけではありません!敷地に対して真北が左右どちらかに振 れているのが普通ですが、例えば真北が右に(東側に)振れている場合は、東側の隣地境界線からも 斜線制限が発生します。 3.検討しなければならない位置は軒先だけとは限りません。例えば真北が右に振れていて、東側の屋 根が切妻のように高くなっているとすると、その最高点における斜線検討が必要になります。 なお質問文後半の「5〜10cmのクリアランスを空けなければいけないか」についてですが、この数字は高さ方向に対してのクリアランスです。これはどこの役所でも「このくらいは空けて計画しろ」と指導されます。 どういうことかというと、厳密には全くクリアランスを空けずに計画してもいいのですが、施工段階でそこまでの精度が期待できないため予め誤差の分を見込んでおくためなのです。 建物の各部の高さは平均地盤面から全て測ります。しかし実際に施工するときに、ちょっと土をこねただけでも簡単に5〜10cmは変動してしまうものなのです。変動しても最終的に規制をクリアできるよう、その分を予め計画段階で見込んでおくのです。 役所としては「ちょっと変動しただけで違反になってしまう可能性のある計画」に対してはOKを出せない(仮にOKを出したものが違反になった際の役所の責任逃れのため)ので、このようになっているのです。 |
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Q.このたび一部2階建ての自宅を総2階建てに増改築するのですが、規模が約25坪あるので確認申 請の必要があります。私は2級建築士の免許を持っているので、自分で申請したいと思います。その ために事務所登録が必要となりますが、どこでどのような手続きをすればいいのか教えてください。 |
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A |
文面より、ご自宅を増改築されると判断できますが、ここで一つポイントがあります。 まず、質問者様ご本人名義の住宅について増改築を行うのであれば、建築士法上では建築士事務所登録は不要です。これは、建築士法第23条に、このように記載されているからです。
文面は難しいですが、要約すると、他人の建物を設計、工事監理その他の業務を行うときは建築士事務所登録をしないとダメですよ、ということなのです。裏を返せば、ご自分の持ち物(自宅)についてまでは制限していないのです。自宅であれば別に報酬を誰かから貰ってするものでもない(つまり“業”ではない)ため、この場合には建築士事務所登録は必要ないのです。 |
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Q.最近の設計事務所では図面はCADで書くのが普通なのですか? | ||||||||||
A |
パソコンの急速な普及に伴い、確かにCADを利用する設計事務所はここ数年で飛躍的に増えました。今ではむしろ手書きで設計されている設計事務所の方が少数派なのかもしれません。 |