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パリで食べた美味しいもの

フランスの味、バゲット

フランスのパンといえばあの長くて堅いフランスパン(バゲット)。 パリの人たちはその日に食べるパンは朝買いに行く。
パリにはパン屋がものすごーくたくさんあるし、朝はバゲットを持ったパリジャン・パリジェンヌが闊歩する姿はあちこちで見られる。 家まで待ちきれず、焼き立てのバゲットを歩きながらバクバク食べている。

フランス人にとってのパンは日本人にとってのお米、 毎日食べるものだから添加物・保存料をいっさい加えず水と粉のみで焼き上げるため、次の朝には歯が立たないほど堅くなっていることも。 しかしその味は、明らかに日本のフランスパンとは違う。 中は柔らかくもちっとしているが、外の皮の部分はパリっと香ばしい。そして何より粉の味が美味しい。 パサパサしていて味も薄い、まさに無味乾燥って感じの日本のそれと比べると、かめばかむほど小麦の味が濃く味わい深い。 私は日本では朝もご飯派だったが、パリではこのバゲットの美味しさゆえ、毎食食べていた。 小麦粉も日本のもと違うらしく、この味はまさにパリでしか味わえないシロモノ。
ちなみに、バゲットの包装のしかたは、四方の紙をパンの中心部分にのみ巻くだけという、いたって簡単なもの。
このバゲットに限らず、フランスは簡易包装の国だった。(不潔だなぁと思う面もしばしば)

濃厚さらっとバター

フランスは酪農王国。バター、チーズ、クリームの類はこれまた感動的に美味しくて安い。
焼き立てのバゲットにバターのみでも、それ自体の味が良くていくらでもたべられる。 いわゆる「乳」の味が濃くて、嫌なかんじの油っこさがなく、さらっとしていて後にもたれない。 フランスのバターはほとんど無塩。 プレジデントという名前のバター(170円位)が安かったから私は良く買っていた。
日本に帰ってきて、身近に美味しいパンとバターがないため、どうもパンにバターをつけて食べる気がしないが、 「四つ葉の発酵バター」はこれに近い味だった。高いけど…。 

400種類のチーズを食べる国

他の欧米諸国のことは知らないが、フランスにはあちこちに「フロマジュリー=チーズ屋」がある。
店主がその季節や熟成期間なんかを見計らって、食べごろになったチーズが何十種類も店頭に並ぶ。 日本のスーパーで買う輸入チーズは状態もさほど良くないのにびっくりするほど高価だ。 高いだけでさして美味しくもない輸入食品を珍しいからという理由だけで買うことは「贅沢」の意味を取り違えていると思う。
私が良く買っていた「カプリス」という、青い箱に天使の絵が描かれた300円位のカマンベールが日本で1500円もするのだからばかばかしい。
私が好きで良く買ったのは、やや酸味がある若いシェーブル(山羊の乳)、ハードタイプでまろやかでこくのある味のカンタル、 フルーツと一緒に食べると美味しいヨーグルトのようなフロマージュ・ブランなど。
私はくせの強い青黴タイプも大好きなのだが、どーしてもだめだったのがマンステール。 「家畜小屋」の匂いがした…。

ワインと食事の美味しい関係

巷はワインブームだが、どうもワインは奥が深すぎて手におえない。
その時々の料理や雰囲気にあわせて気軽に美味しく楽しめれば、たとえ3流ワインでもそれが一番だと思う。 …思うけど、高いワインはやっぱり美味しい!というのも事実。
3ヶ月のパリ在住で1度だけ3ツ星レストランで高い赤ワインを飲んだのだが、あの香り高さにはくらくらした。 名前は控えてないが、コート・ド・ボーヌの1985年のものだった。
日仏家庭にホームステイしていた時、私が学校で作ったフランス料理を持って帰ると、 いつも美味しいワインを用意して待っていてくれた。 彼らにとってこれは特別なことではなく美味しいワインはごく自然に毎日の食事の中に存在していた。 私も、どんなに美味しい食事でもワインがないと何か足りないし、逆にワインだけでもつまらないと思うようになっていた。
ワインに限らず食事とお酒の関係ってなんだか面白そう。 でも、どんなに良いワインでも保存法を誤ると品質が変わってしまうから日本で安くて美味しいワインに会うのはむずかしいとか。 それならば美味しい「日本酒」を手軽に取り入れてみようか。

エスニック料理

フランスは移民の国。パリでメトロに乗っていても日本人だからとジロジロみられることはない。 イギリスなどに比べると人種差別も少ない、ただし「仏語の話せる外国人」には、の前置きが必要だが。
アフリカからの移民が多いためクスクスなどが美味しいが、私は中華、韓国、ベトナム料理が好きだった。 いわゆる日本の「ラーメン屋」よりも中華のラーメンのほうが美味しかった。 18区の某中華料理店の鴨のラーメンは絶品だった。鶏のダシがきいたスープに鴨の唐揚げがのって、ニンニクと香草の薬味がまたたまらない。

韓国料理は、小皿で出てくるナムルやキムチ、そしてビビンバ。 韓国料理というと焼き肉のイメージが強いが、本来は野菜や薬念 (ヤンニョム=ごま、唐辛子、ニンニク、生姜等の薬にもなる調味料)をふんだんに使ったとってもヘルシーな料理なのだ。
ベトナム料理もヘルシーという面で良かった。野菜が美味しく食べられるのがいい。 モヤシやミントの葉なんかを生でじゃんじゃん使う。 ミントやコリアンダーの葉に最初抵抗を感じたが、帰国のころにはすっかり慣れないと物足りないくらいになっていた。 ベトナム料理は最初、??って思うけど、3回目くらいからなんとなく美味しく感じてきて、そのうち病みつきになる。
フォーPhoというベトナム麺は皆美味しいというけど、私はいまいちあのスープの内臓っぽい匂いがだめ。
しかしベトナム料理は安いよ!6−7人でたらふく食べてビールも飲んでひとり1000円位。

オープンテラスで飲むカフェ

フランス人は外が好きだ。すごく不思議なのだが、どんなに寒くても、 街中で排気ガスもんもんのところでも皆テラス席に座る。晴れた日なんて待ってましたとばかりに皆薄着をするし、日焼けを恐れずテラスでくつろぐ。
コーヒー1杯の値段は席によって違う。カウンターでたって飲む、店内に座る、テラスに座る、の順に高くなる。
カフェというといわゆるエスプレッソが出てくる。カカオ60%位の苦いチョコレートが一枚くっついて。
私はアメリカンより濃いコーヒーが好きなのでいつもこのカフェか、カフェ・オ・レを頼んだ。
ちなみにカフェ・オ・レとは死語でカフェ・クレームというのがパリ風。
家のエスプレッソマシーンで美味しいカフェをいれるのは難しい。 あの泡が重要、あれが過剰な苦みや酸味を押さえてくれているような気がするのだが、 どうがんばっても1500円の直火にかける奴では泡は出せないので牛乳を入れて飲むことにしている。

野菜が元気!!

フランスの野菜はでかい、甘い、みずみずしく活きがいい。 日本のスーパーみたいにまだ半分青いようなトマトは置いていない。 八百屋の軒先に山積みされた色とりどりの野菜を自分が欲しい量だけ買うことができる。
日本ではものすごく高いめずらしい洋野菜をみつけると、安いのが嬉しくてつい買ってしまう。 よく買ったのは、おなじみアボカド。レタスの芯みたいで味はほんのり苦いエンダイブという葉っぱ。 ゴマに似た味のルッコラや、マーシュという小さくて柔らかいからいくらでも食べられる葉っぱ。
あと、ジャガイモ!フランスのジャガイモは日本のものに比べて甘くて水分が多いから、喉がつまるような感じがしなくていい。
ニンジンは少し塩味のついた缶詰ニンジンが甘くて美味しくて安い。 そのまま食べれて手軽なビタミン補給だった。バジルやパセリ、タイム、エストラゴンなど生のハーブもとにかく安かった。
マルシェ(市場)でも一番元気だったのは八百屋のおじさんだった。

生モノについて

話は食から少し離れるが、フランスでは、何かをナマで見るということの贅沢さを噛み締めた。
私は演劇等は全く興味がなかったのだが、振付けの勉強でパリに来ている日本の方と友達になり、 2度バレエとコンテンポラリーダンスを一緒に観に行った。
以前パリに来たときは会場を見ただけだったオペラ座では、国立バレエ学校の生徒の演じる舞台を観た。
その内容はともかくとして、ああいったものを素晴らしい建物の中で老いも若きもがわりと気軽に観ることができるという環境に、芸術の都パリを感じた。 日本にはあれだけの歴史ある劇場はないし、何かをナマで見るということは一部の限られた人たちの珍しい趣味として扱われる。 芸術に対する国の力の入れ方のスケールが違うことも原因だが。 家族で外食をするのと同じような感覚でオペラ座に行けてしまうのだから、なんか、そういうのにはもうかなわないなぁと、誰に対するでもなく、脱帽。


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