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南フランス日記
6月7日 〜パリからニースへ〜
パリ・オルリー空港にていきなりエールフランスのストに遭遇。一時はどうなることかと思ったがなんとか無事ニース空港着。ニースは曇っていて全然コート・ダジュール!って感じでなくまるで熱海だった…。
マセナ広場近くのホテルにチェックイン。ここのオジサンはなかなかサンパでよかった。マルシェのたつ通りのレストランにてパエリヤ、サラダ・ニソワーズ、プロウァンスの軽い白ワイン。さすが南仏。海の幸がふんだんに使われたパエリヤはかなりしょっぱくてちょっとがっかり。サラダはレタス、ルッコラ、ゆで卵、オリーブ、アンチョビ、ツナ。舌の肥えた友達にいわせるとオイルがよくない、とのこと。私にはわからなかった。おにいさんがかっこよかった。外で食べる幸せ。
だんだん空も晴れてきて世界の国旗がはためく海岸は本で見たそれそのものだった。ここが伊豆ではなかったことを確認。
6月8日 〜美術館鑑賞、その後アンティーブへ〜
小高い丘にあるマティス、シャガール2件の美術館へバスにて。
マティス美術館の庭には何やら気になる木がたくさんあった。
もしや?と思ったらやっぱりオリーブの木だった。
こんなところにも南仏を発見。坂を下って次はシャガール。
マティスの単純な画風も好きだけど絵として見がいがあるのはやっぱこういう絵の具で描いたものなんだろな。
だってマティスはあまりにもシンプルすぎて私にも描けそうなんだもん。
ニース国鉄駅から電車にのってアンティーブへ。ほんとに小さなかわいらしい街。
天気も良くて海の色はまさに「紺碧」。南仏の布や石鹸、お土産やさんを見ながら海へ。
小さなビーチを発見。砂と石の混ざった浜ではそれぞれがヴァカンスを楽しんでいた。
(トップレスなんてフランスじゃ全然めずらしくないんだって)水はまだちょっと冷たくて、
でも日本のようにべたべたしなくてさらっとしていた。
海の近くのタイ・ベトナム・チャイニーズのお店で夕食。揚春巻き、生春巻きってなんて美味しいのでしょう。
香菜って苦手だったけど最近好きになってきた。ミントの葉っぱを食べるってのもなんかねぇ、
と思っていたけどこれもなんだか病みつきになりそう。これでミントがなかったらなんか足りない!
私がメインに頼んだ鴨はぼそぼそしていていまいちだった。それに八角の味ってあまり好きでないのかも。
それにしてもフランスのもやしの美味しさといったら!ふとくて、みずみずしくて、甘くて。
野菜はだいたいそうだったけど、もやしは日本でも注目度が低かっただけに感動。
デセールにでてきたフルーツパンチ?のようなもの。果物が腐りかけたときのビリッっとした刺激。
これはたくさん食べてたらやばかったかも?でも全然平気だった。胃腸が丈夫ってなんて幸せなことでしょう。
6月9日 〜カンヌ、ムージャン村料理学校〜
ハードな一日。朝、マルシェにて焼き菓子や果物、チーズなどを適当に買ってピカソ美術館の前で食べた。
南仏のマルシェは、パリに比べたらやはり野菜が元気。あとやはりオリーブ!種類も豊富で、前種類買いたくなった。
サラダと思って食べたら酢漬けのピクルスで酸っぱかったー!どこへ行ってもマルシェは楽しいな。土地の人の生活を感じる。
ピカソ美術館は晩年のピカソが住んでいた家だが、これが素晴らしくきれいなところだった。
窓からは紺碧の地中海が見え、海からの風が爽やかなこと。家の造り自体はとてもシンプルで素朴なのに
そこにピカソの作品が置かれるとモダンな感じになるのです。たぶん、日本にピカソ美術館があってもだめなんだと思う。
あの家とあの海とあの風があってその調和に私は惹かれるのだろう。
考えてみたらマティス、シャガールも同じ。作品の鑑賞は二の次で庭や、家や景色、全体のバランスがとれているのが私は好き。
だから、日本ではピカソじゃなくて日本の家屋の中の日本の民芸品、伝統工芸品を見るのが好きなのです。
電車にてカンヌへ。ムージャン村行きのバスを待ちながらパン・バニャ(
まぁるいパンにサラダ・ニソワーズがサンドしてある)を食べ、コーラを飲む。
ムージャンはバス停から村中心部まで遠かったが、道を尋ねた女性が親切にも車で村まで連れていってくれた。
田舎の人って親切だね。ムージャンは田舎ながら美食の街として名高く、花の咲き乱れるテラスで皆ランチを楽しんでいた。
3時半からは、かつて3ツ星、現在1つ星の南仏料理レストラン「ムーラン・ド・ムージャン」の料理学校の授業を受けることになっていたため、
ゆっくりランチをとっている暇がなかったのが残念。
名シェフ、ロジェ・ウェルジェの弟子に教えてもらった料理はコルドン・ブルーで習った伝統的フレンチとはちがって、
素材も調理法もかなりヘルシーだった。フレンチはしっかりした味付けでバターたっぷり、こってり、ゴージャスに!というほうが私は好きだから
「素材の味を十分に生かして…」というあっさりしたものはちょっとものたりなかった、というのが素直な感想。
カンヌに戻って映画祭の会場に行き、(小さくて寂れた感じ)食事。イワシのグリルと魚介のパスタを食べた。
フランスでむしょーにパスタが食べたくなることしばしば。でもフランスでイタリアンを食べるのはプライドがゆるさず?
我慢してたのだが、この日はついにパスタを。味は、よし。でも、麺がぜんぜんだめ。
ぐちゃっとしてて、つるつるしこしこじゃないの。日本のほうが断然うまい。ま、パリには美味しいイタリアンはたくさんあるんだろうけど。
ここの店ははずれだったのかも。そのあとでてきたデセールもいただけなかったし。混んでたからよし!って入ったのに…。
6月10日 〜エズ村〜
エズ行きのバスが少なかったので軽く食事。ニース名物「ソッカ」これはエジプト豆を潰して薄く焼いたもの。
とてもオイリーだった。玉ねぎのピザは甘くて美味しかった。
天気が悪かったが、バスでエズ村へ。山道をえんえん30分ほどくねくね行った。
天気がよければ素晴らしく美しいところのようだ。バス停から植物園のある頂上までは小さなお土産や、
クラフトショップなんかがあって楽しい。とくに良かったのは香水屋「フラゴナール」。
田舎の土産物やとは一線を画した、洗練された店内には石鹸、香水等があり、パッケージのデザインも私好みのシンプルなものだったため、
普段香水なんてつけない私だがついつい買ってしまった。あとで聞いたら、香水の街グラースと、
ここエズに1件、パリにも2件の店舗があるとのこと。しかも1件は私の家のすぐ近くにあった!
重たい石鹸をしこたま買い込んだ後に分かった事実。もちろんパリに帰ってからも買いました。
道端でハーブの量り売りをしていたのでプロウァンスのハーブを2種類購入。
昔お城だったものがホテル&レストランになった「シャトー・エズ」のテラスから見下ろす地中海は超超超良かった!
お茶しかしなかったけれど、あそこで食事したかった!!今度行ったら(いつ?)絶対あそこに泊まることを堅く決意。
山羊のマークの4ツ星ホテルでもいいな。
大雨に降られてしまったのでレストランまではタクシーで。ブイヤベース、ここのは身がタイだけだったがスープはなかなかだった。
デセールの「田舎風タルト」かなりまずかった。甘いタルトの中にほうれん草が…。どうして?
ニース〜カンヌ間の地中海を眺めながらのんびり走る電車の中で40歳くらいの男の人がアコースティックギターを弾きながらビートルズを歌っていた。
彼なりのアレンジが加わって少し音程は違っていたが私の大好きな「When I'm sixty-four」だった。
この昼下がりのゆったりしたひとときに何とも言えない幸せを感じた。有名な教会や××大聖堂を観光するよりもこういうふうに何気なく自分の好きなものに出会えた瞬間のほうが幸せ度は高い気がする。
「Stand by me」で演奏が終わり、彼がカップを持ってやってきたとき私はにっこり笑ってチップをはずんだ。
ふと彼について思いをめぐらせてみた。たぶん失業者なんだろうけどなぜかパリのメトロで同じように演奏している人よりのんびり、余裕があるように見えた。
明日食べるものがなくたってこの青い海と空と歌があればいいや的な。ま、実際はそんなわけないんだろうけれどこんなふうに考えてしまうほどこの電車から見える海は青く、青く、続いていた。
6月11日 〜ニースにてお買物〜
うさぎとカタツムリのマークの店でオリジナルのオリーブオイルを買った。
重いとわかっていてもついつい買ってしまいます。
南仏はオリーブの産地だけあって、純度が高くフレッシュなオイルがたくさん店頭に並ぶ。
絞りたてのオイルを量り売りしてくれる店もあるとか。
デパートの食品売り場にて、オリーブも買った。安い、安い!
この日はものすごく天気が良くてニース空港までの海沿いの道が最高にきれいだった。や
っぱり世界屈指のリゾート、伊豆みたいなんて言ってごめん、と心の中で謝った私でした。
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