生壁(なまかべ)の釘。
類義:糠に釘。
鈍(なまく)らの大荷物。
解釈:怠け者が、自分に不相応な大仕事をしようと企てること。
類義:ずくなしの大仕事。
怠け者の食い急ぎ。
類義:能なしの食工夫(じきだくみ)。
怠け者の節供(せっく)働き。
解釈:普段は怠けている者が、人が休んでいるときに限って働くこと。節供
の日は皆が休んで、働くことは一種の罪悪だとされていた。また、何時も怠け
ているために、人が休んでいるときにも働かなければならない者に対する嘲
(あざけ)りの言葉。
類義:横着者の節供働き。極道(ごくどう)の節供働き。野良の節供働き。
参考:In the evening the idle man begins to be busy.(怠け者の宵働き)
海鼠(なまこ)の油揚を食う。
解釈:お喋りで、よく口が回ることのたとえ。ただでさえぬるぬるしている
海鼠なのに、油で揚げたためにその油で一層口がよく滑るというのである。
鯰(なまず)が騒ぐと、地震がある。
解釈:鯰は地震に敏感で、鯰が騒ぐと地震が起こると昔から言われている。
類義:鯰が水面に浮かぶと地震あり。鯰の髭(ひげ)に泡(あぶく)が生ず
るときは地震近し。
生兵法は大怪我の元。
解釈:しっかり身に付いていない、いい加減な兵学や武道は、かえって大怪
我をする元になるということで、少しばかり知識があるからといって、中途半
端な浅知恵で軽率に事を行う者は、大失敗を招くという意。
類義:生悟り、堀に落ちる。生兵法は大疵(おおきず)の元。生兵法は知ら
ぬに劣る。生物識(なまものしり)地獄へ落ちる。
参考:A little knowledge is a dangerous thing.(少しばかりの知識は、
危険なことである)
生物識(なまものしり)川へ嵌る(はまる)。
解釈:なまじっか知識のある人間は、浅はかは自信を頼んで軽率に行動する
ので、かえって失敗することになる。
活用⇒中途半端な物識りは、必ず失敗する。A halfway intellect fails
without fail.
類義:生悟り、堀に落ちる。生兵法は大怪我の元。生物識(なまものしり)
地獄へ落ちる。
生物識、地獄へ落ちる。
解釈:生かじりの知識のある者は、自信ありげに軽々しく仏法を批判したり
するので、罰が当たって地獄へ落ち、苦しみを受けることになるということ。
活用⇒中途半端な知識人は、自分が苦しむだけだ。As for a halfway
intellect, he only suffer.
類義:小智(しょうち)は菩提(ぼだい)の障り。生物識、川へ嵌る。
生酔い(なまよい)、本性違(たが)わず。
解釈:少しばかり酒に酔っていても、その人本来の性質は変わらないという
意。
類義:酒飲み本性違わず。
鉛(なまり)の天神様。
類義:糊食った天神様。
訛りは国の手形。
解釈:その人の話す言葉の訛り方で、出身地が分かるものだ。
類義:言葉は国の手形。
鉛は刀(とう)となすべからず。
解釈:頭の悪いのは使い道が無いという意。鉛はどんなに細工を施しても、
刀にすることは不可能であるということから。
涙より早く乾く物はない。
解釈:人の悲しみというものは、何時までも続くものではないという意。
活用⇒悲しみは、時間の経過とともに消えてゆく。Sadness disappears
with the time passage.
類義:後家の見せかけ、数珠は奥紅絹(おくもみ)。
蛞蝓(なめくじ)に塩。
解釈:蛞蝓に塩を掛けると小さく縮んでしまうところから、苦手な相手の前
で萎縮してしまうことや、すっかりしょげて元気のない様をいう。
類義:青菜に塩。蛭(ひる)に塩。
蛞蝓の江戸行き。
解釈:蛞蝓は這うのがゆっくりしているところから、動作がのろのろしてい
て、一向に物事が捗(はかど)らないこと。
類義:蛞蝓の京詣り。
名より実。
解釈:見せ掛けの立派さよりも、実質の優れたものの方がよいということ。
活用⇒名誉職より、実力者。A person of influence than honorary
post.
類義:花の下より、鼻の下。花より団子。賞状よりも、記念品。
習い、性となる。
解釈:習慣を積み重ねていくと、遂にはそれが天性となる。身に付いた習慣
というものは、終いには人間の性格まで変えていくということ。
参考:Habit is a second nature. Custom is another nature.(習慣は第二
の天性なり)
習うは一生。
解釈:勉強にこれで終わりということはない。人間は幾つになっても、一生
勉学する姿勢を捨ててはいけない。
活用⇒勉学は、生涯の友である。Study is a lifelong friend.
習うより慣れよ。
解釈:何事も、人に教えて貰うより、自分で努力して慣れる方が上達する。
活用⇒学習よりも、訓練が大切だ。Training is more important than
study.
類義:亀の甲より、年の劫。愚者は経験によって事を知る。経験は学問に勝
る。
参考:Practice makes perfect.(練習は完全を生む)
ならぬ中(うち)が楽しみ。
類義:待つ間が花。
ならぬ堪忍(かんにん)、するが堪忍。
解釈:どうしても我慢できないことを我慢するのが、本当の我慢強さである。
類義:堪忍のならぬ人は、心の掃除の足らぬ人。堪忍は無事長久の基(もと
い)。
活用⇒我慢に我慢する。Endurance is endured.
習わぬ経(きょう)は読めぬ。
解釈:習い知っている事でなければ、やれと言われてもできるものではない。
反義:門前の小僧、習わぬ経を読む。
家業(なりわい)は草の種。
解釈:何処へ言っても生活の手段や仕事はいろいろあるものだ。
活用⇒職業は、何処へ行っても無数にある。There is innumerably an
occupation wherever it goes.
類義:商売は草の種。生業(すぎわい)は草の種。八百八(はっぴゃくや)
商売。身過ぎは草の種。
なる木は、花から違う。
解釈:実のなる木は、花が咲く頃から他の木とは違うように、優れた人は、
子供の時から普通の人とは違っているものだ。
活用⇒偉人は、子供の頃から目立つ。The great man stands out since
childhood.
類義:紅(くれない)は園生(そのう)に植えても隠れなし。栴檀(せんだ
ん)は双葉より芳し。
成ると成らぬは、目元で知れる。
解釈:意思が通ずるか否かは、相手の表情を見れば分かるということ。
活用⇒心の中身は、目に表れる。Contents of the mind appear in eyes.
類義:目は口ほどにものを言う。
成るは厭なり、思うは成らず。
解釈:厭だと思うことは容易にでき、望むものは思うように手が届かないと
いうことで、世の中のことは中々人の意のままにならないという意。縁組が上
手く纏まらないときに言うことが多い。
活用⇒成功することよりも、失敗することが多い。It is often that I
fail than succeeding.
類義:思うに別れ、思わぬに添う。来る者は善からず、善き者は来たらず。
鳴る腹に祟りなし。
解釈:お腹が鳴るのは、大して重い病気ではないという意。お腹が空いてぐ
うぐう鳴るのは、胃壁が縮んでガスや胃液が動くためで、健康な証拠である。
鳴る腹は下る。
解釈:お腹がひどく鳴るときには、下痢をするというように、いろいろな噂
が、そのうちに本物になってしまうこと。
活用⇒小さな噂が、真実に発展することもある。Sometime, a small
rumor develop into the truth.
成るも成らぬも金次第。
類義:地獄の沙汰も金次第。
熟(な)れて後は薄塩(うすじお)。
解釈:漬物を漬ける際には、初めは塩味を強くし、よく漬かってから薄味に
するのがよいという意から、人の付き合いも、初めから甘い顔を見せて侮られ
ないようにしなければならないということ。
苗代鯵(なわしろあじ)。
解釈:昔は苗代を八十八夜(陽暦の五月一、二日頃)前後に作ったが、その
苗代時が鯵が一番美味しい時期に当たる。
苗代半作、苗半作。
解釈:苗代をきちんと拵えて、丈夫で立派な苗を作ることができれば、大い
に収穫を上げることができるという意で、稲作上よい苗を作ることがどんなに
重要かを述べたもの。
類義:苗代は半作。
名を捨てて、実を取る。
解釈:名声や名誉は捨てて、実利を取る方が賢明であるという意。
類義:名を取るより、得を取れ。
反義:名を得て、実を失う。
参考:Profit is better than fame.(益は名声に優る)
名を竹帛(ちくなく)に垂る。
解釈:本に名前が記され、後世に伝えられるような歴史的偉業を成し遂げる
こと。「竹帛」は竹筒と帛(絹のきれ)のこと。古代中国では紙の無かった時
代に竹簡(ちくかん)や布に文字を書いて残していたことから、書物あるいは
歴史のことをいう。
類義:功名を竹帛に垂る。竹帛の功。
名を取るより、得を取れ。
解釈:名声・名誉よりは実利を取った方が賢明だという意。
類義:名よりも得取れ。名を捨てて、実を取る。論に負けて実に勝つ。
難行苦行(なんぎょうくぎょう)、こけの行。
解釈:様々な苦しみや困難に耐えながら修行するなどは馬鹿げたことだ。
難産、色に懲りず。
解釈:女が難産で味わった苦しみを忘れて、性懲りも無く再び色欲の虜(と
りこ)になるという意。転じて、苦難を切り抜けた者が、直ぐにその苦労を忘
れて、再び困難な仕事を始めること。
活用⇒苦難の次に苦難が現れる。これが人生だ。Hardship appears next
to hardship. This is the life.
類義:喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる。
汝(なんじ)、自身を知れ。
解釈:思慮深くあれ、自分自身の分限を弁えよ、自分というものを忘れるな、
などの意。古代ギリシアの賢人の言葉。
参考:Know thyself.の訳語。
爾(なんじ)に出ずるものは、爾に反る。
解釈:自分自身でやった行いは、その善し悪しに関わらず、必ず報いとなっ
て自分に跳ね返ってくる。善悪禍福は全て自分自身が招いたものであるという
意。
類義:因果応報(いんがおうほう)。身から出た錆。
南船北馬(なんせんほくば)。
解釈:あちこちを忙しく移動すること。飛び回って絶えず忙しく旅すること。
昔、中国で南を船で旅したかと思えば、北を馬に乗って移動しているという意。
大変忙しく動くこと。
活用⇒南船北馬。Travel around。
類義:東奔西走。
なんでも来いに名人なし。
解釈:八方美人で、何でもできるという人に、一つの事に秀でた名人はいな
い。
類義:多芸は無芸。何でも来いの、何でも下手。八方手を出す人は身が持て
ぬ。
難(なん)無くして七癖。
類義:無くて七癖。
何の糸瓜(へちま)。
類義:糸瓜の皮とも思わず。
南蛮(なんばん)食いに金貸すな。
解釈:金を貸す際にはよく相手を吟味しなければいけない。唐辛子を食って
食が進み、つい食べ過ぎるような不経済な人に金を貸すと、貸した金も取り返
せなくなるので、貸さない方がよいという意。
南部男に津軽女。
類義:東男に京女。
南部の鮭は鼻曲がり。
解釈:「南部」は盛岡藩。鮭が産卵で急流を遡る時、顎(あご)が曲がって
顔面が異様な形相になることから、盛岡藩の人は心が捻くれているという意。
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