2000年8月中旬の日記

8月18日(金)で夏期講習が終了しました。長くて暑い1ヵ月でした。この日は長*さん(銀河のパートナー/同居人)の誕生日でもありました。これから約20日間、夏休みに突入します。(2000年8月27日記)

8月11日(金) Power Mac G4 Cubeのデモ展示を見る。
[日記]ちょっと変則的だった5日間の授業(午前中に都内の某校舎で90分授業を1コマ、午後からは自宅から至近距離の某校舎に移動して90分授業をもう1コマ)も今日が最終日。
授業終了後は、新宿へ。長*さん(銀河のパートナー/同居人)と合流して、新宿西口のT-ZONEへと向かう。Power Mac G4 Cubeの店頭展示が昨日から解禁になったそうなので、実物を見学するためだ。生のCubeは、Web上や雑誌の写真で見ていたよりもずっと洗練されている。アップルの新しい15インチ液晶ディスプレイとセットだと、本当にキュートだ。しばらく見とれてしまった。昨年(1999年)の3月に買ったiMac(266MHz)がそろそろ買い換えてもよい時期にきていることもあって、絶対に「買い」だと思うのだが、長*さんが「もう少しよく考えてからにしなさい」と言うので、その場の勢いで予約するのはヤメにした。出荷は8月26日。どうせ1ヵ月くらいは品薄で入手困難なのだろうから、そのあいだにじっくりと買うかどうか考えることにする。でも、やっぱり買うんだろうなあ、きっと。
[読書記録]辻本浩三『辞書のウソ』(朝日出版社)。例えば「青春を謳歌する」っていう言いまわしがある。広辞苑第5版の「謳歌(おうか)」の項目には「声をそろえてほめたたえること」という定義が書いてある。だが、「青春を謳歌する」っていうのは「青春を声をそろえてほめたたえる」って意味だろうか。そうではなくて「青春を思う存分、遠慮なく楽しむ」という意味のはずだ。本書はこのように辞書の定義を批判的に取り上げながら、評論文で多用される単語の用法をくわしく説明してみせる。筆者は予備校講師。高校生・大学受験生向けの現代文の参考書の体裁をとりながらも、すぐれた「辞書論」あるいは「現代日本語概論」にもなっている。

8月12日(土) あべメンタルクリニックで、倫理委員会の話を伺う。
[日記]1ヵ月ぶりに浦安のあべメンタルクリニック(阿部輝夫先生)へ。性同一性障害(GID)(用語についてを参照)の医学的診断と治療に関するガイドライン(ここを参照)によれば、ホルモン療法(用語についてを参照)や性別再判定手術(SRS)(用語についてを参照)へと進むためには、まず、2人の精神科医の先生の精神療法を受けて、診断書を2通いただく必要がある。銀河が阿部先生のところに通っているのは、ガイドラインに則った1通目の診断書(ファースト・オピニオン)をいただくためなのだが、今日はちょっぴりがっかりしてしまうできごとがあった。
すでに6月の時点で、8月中に阿部先生がファースト・オピニオンを書いてくださることが決まっていて(6月20日の日記を参照)、8月の下旬か9月の初旬からは2人目の精神科医(予定では埼玉医科大学の深津亮先生)のところへ通い始めることになっていた。今日あたり、ひょっとしたら、オピニオンが書き上がっているかなと心密かに期待していたのだが、阿部先生から「申し訳ないけれど、ファースト・オピニオンは11月まで待ってくださいね」と言われたのだ。なんでも、阿部先生が6ヵ月とか8ヵ月とかでオピニオンを出した患者に関して、埼玉医科大学側(詳しくは訊かなかったけど、その後の話の成り行きから推察して、おそらく「倫理委員会」)からクレームが出ているらしいのだ。精神科医がオピニオンを出す際は、約1年(月に1度の通院で10ヵ月という言い方がなされる場合もある)の経過観察が必要だとされている。昨年(1999年)の12月から通い始めた銀河の場合(1999年12月7日の日記を参照)は、通院8ヵ月の現時点でオピニオンを出すと、あとあとクレームをつけられて先に進めなくなる恐れがあるというわけだ。残念だけど、あせっても仕方がない。そう自分に言い聞かせることにした。
その後、阿部先生が(ガイドラインに則った性別再判定手術をおこなっている)埼玉医科大学の倫理委員会(医療チームがOKを出した患者に関して、性別再判定手術の適合例かどうかを最終的に判断しGOサインを出すところ)について、お話をしてくださった。倫理委員会は、その患者がガイドラインに則った医療を受けてきたかどうかをかなり厳しくチェックするのだという。例えば、ガイドラインが定められた1997年5月28日以後に自己判断でフライング的にホルモン療法を始めてしまった患者は、倫理委員会の段階でふるい落とされてしまうのだそうだ。銀河がフライング的なホルモン療法を開始したのは1997年3月なので、その点に関しては一応セーフとなるらしい。そういったことに関連して、埼玉医科大学で性別再判定手術を受けるつもりならば、倫理委員会でふるい落とされてしまうようなこと(睾丸摘出手術など)をしてはいけないという注意を受けた。
待合室で久しぶりにMTFTS(用語についてを参照)のAさんに会った。Aさんとは、彼女が初めて「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しに参加した今年の2月に知り合い、仲よしになったのだ。ここのところ、彼女が仕事の都合で会の催しに参加できないでいたこともあって、お会いする機会がなかったのだ。一緒にお昼をいただきながら、あれこれとお話しをして盛り上がった。

8月13日(日) 長*さんと2人、ゴロゴロ寝ていた。
[日記]朝から小雨模様。今日は「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」「アウトドア交流会」が予定されていたのだが、雨天の場合は中止ということだったので(中止になったものと自己判断して)一日中自宅にいることにした。いつもなら土日も事務所に出勤したり営業に出かけていったりする長*さんが、今日は珍しくどこにも行かずに家にいると言う。そこで、2人で手分けして掃除や片づけを始める(1学期の後半から夏期講習にかけて、仕事が忙しくて家の中がグチャグチャになってしまったのだ)。でも、すぐに飽きてしまい、ゴロゴロと寝ているうちになんとなく夜になってしまった(苦笑)。

8月14日(月) 夏期講習、最後の5日間が始まった。
[日記]今日から夏期講習の最後のターム(5日間)。都内の某校舎で、午後から90分授業を2コマ担当する。
久しぶりに会った講師仲間(この人の本業は都内の某有名私立高校の先生で、うちの予備校でも非常勤講師として勤務している)から、東京私立学校教職員組合連合という組織の存在を教えてもらった。(たいていの予備校はみんなそうなのだが)うちの予備校には労働組合がない。あるのは御用組合的な「講師会」と呼ばれる組織だけだ(ボス的な講師と予備校経営陣との談合であらゆることを動かしていこうとする組織。もちろん銀河はそんなものには加入していない)。前々から、この業界にも近代的・民主的な労働組合の必要性を強く感じていたので、労働組合結成の前段階として、しかるべき上部団体(労働組合の連合組織)への個人加入を考えていた。彼の話によれば、東京私立学校教職員組合連合なる組織を洗濯するのは悪くない判断と言えそうだ。少し研究した上で、近々行動に移ろうと思う。

8月15日(火) 同じ授業のくり返し。
[日記]同じ授業をあちこちの校舎で何回もくり返していると、プレゼンテーション自体はこなれてくるのだが、正直言って、だんだんと飽きてくる。ちょっとした工夫をしなければ、自分自身がどんどん腐っていってしまうような気分だ。今回の5日間は、2学期(そして来年度)に向けて、少々実験的な試みを導入してみようと思う(まあ、授業の重点の置き方を少しばかり変えてみたのだが)。
[読書記録]花輪和一『刑務所の中』(青林工藝舎)。花輪和一は、中世の説話に題材を求めた猟奇的な作品群(例えば青林工藝舎から刊行されている『朱雀門』など)で知られるマンガ家。日本国内以上に海外での評価が高いらしい。その彼が、趣味のモデルガン収集が高じて、改造銃の試射などおこなっていたことが発覚し、銃器不法所持で懲役3年の実刑判決を受けたのが1995年。本書はその3年間の刑務所生活を記憶を頼りに再現したマンガ作品。これが抜群に面白かった。花輪独特の細密な絵(これがこのテーマにぴったりとはまっている)で、刑務所生活の細部(毎日の食事の献立だとか作業室の様子だとか)が淡々と描写されている。その淡々とした細部描写から浮かび上がってくる刑務所内の奇妙な(そしてある意味で濃密な)時間感覚には、どういうわけだか妙に心地よい眩暈を覚え、何回も読み返したくなる。

8月16日(水) インディゴとルビーのiMacのCMを見た。
[日記]8月7日の日記で、新型iMacのCMのうち、新しい光学式マウスのCM(BGMはステッペン・ウルフの"Born To Be Wild")と、スノウ(白)のiMacのCM(BGMはクリームの「ホワイト・ルーム」)はよく見かけるものの、インディゴ(青)(BGMはエルヴィス・プレスリーの「ブルー・スエード・シューズ」)やルビー(赤)(BGMはドリフターズの"Ruby Baby")やセージ(緑)(BGMは『セサミ・ストリート』に出てくるカエルのキャラクターがうたう歌)のCMは放映されていないようだという趣旨のことを書いた。で、今日になってはじめて、インディゴ(青)とルビー(赤)のCMを目にした。でも、インパクトの点ではやっぱり、クリームの「ホワイト・ルーム」には遠く及ばないなあ。ところで、セージ(緑)のCMがいまだ放映されていない(アップルのホームページでも公開されていない)のは、権利関係の問題がクリアされていないためなのかな。

8月17日(木) セクシュアル・ハラスメント専門相談員に就任することになった。
[日記]長かった夏期講習も、いよいよ今日と明日で終了。あと2日だと思うと、急にパワーアップして、妙にハイテンションな授業になってしまった(笑)。
ところで以前の日記に、銀河が勤務している職場(予備校)で9月からセクシュアル・ハラスメント対策が本格的に講じられることとなり、送られてきた「***(うちの予備校の名前)セクシュアル・ハラスメントの防止および対応ガイドライン案」に対して、性同一性障害(GID)(用語についてを参照)当事者の視点からの意見書を提出したという趣旨のことを書いた(7月17日の日記を参照)。その件に関して、今日、担当部署のトップから連絡が入り、銀河の提案を盛り込む方向で「ガイドライン」の最終案がまとまりつつあるという経過報告を受けた。さらに、「セクシュアル・ハラスメント専門相談員」(セクハラの訴えの窓口になり、話し合いの斡旋や紛争処理をおこなう)に就任してほしいという要請があった。もちろん、喜んで引き受けることにした(半分は自己防衛のためだ)。ついては8月末に研修をおこなうので、これを読んでおいてほしいということで、東京都労働経済局が編集・発行する「セクシュアル・ハラスメント相談マニュアル」という冊子を渡された。関連のある労働省告示(平成10年労働省告示20号)や人事院規則(人事院規則10-10)、さらには過去の裁判の判例、東京都の労政事務所での相談事例なども掲載されていて、勉強しがいのある一冊になっている。
ちなみに、WWW上で「セクシュアル・ハラスメント」であれこれと検索してみたのだが、慶応大学理工学部(日吉)天文学教室(加藤万里子助教授)のWebサイトにあるセクシュアル・ハラスメント相談組織の委員に任命されたらっていうページが大変わかりやすくて勉強になった(「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」へリンクが張られている)。

8月18日(金) 夏期講習最終日は、長*さんの誕生日。りのが泊まりに来た。
[日記]7月20日から始まった夏期講習が、とうとう終わった(夏期講習自体はまだ少し続くのだが、銀河の担当分が全部終了したのだ)。長くて暑い(!)1ヵ月だった。
生徒たちの質問に答えた後、速攻で新宿へと向かう。今日8月18日は長*さんの誕生日。いつもの行きつけの「嵯峨野」(新宿西口の居酒屋さん)で6時から誕生パーティー(っていうか誕生日記念の飲み会)を開くことになっているのだ。長*さんのお母様やお付き合いのある方々など、総勢8人。少し遅れて7時頃、緑川りのちゃんも駆けつけてくれた。りのは、この誕生パーティーに出席できるようにと、今日は朝7時(!)に出社して仕事を片づけてきたのだと言う。おまけに、誕生プレゼントまで持ってきてくれた。どうもありがとう。
誕生パーティーはなごやかな雰囲気で盛り上がる。盛り上がった勢いで、8時過ぎには2次会の会場となっている新宿3丁目のスナックへ(このスナックも行きつけだ)。ここでは、カラオケ大会となる。通信カラオケの採点機能をオンになっていたのだが、銀河は947点(1000点満点)を出して、このスナックの開店以来の最高得点をゲットしてしまった(ちなみに、うたった曲はビートルズの「オブラディ・オブラダ」)。やがて、みんなが少しずつ帰り始めて、10時過ぎには長*さんとりのと銀河の3人だけに。例によって睡眠モードに入った長*さんの横で、りのと2人、カラオケをうたいまくってしまった。
12時をまわって、このスナックの閉店の時間。長*さんがまだどこかに行きたそうな様子なので、新宿2丁目の「えみりん」に寄る。ここは、銀河の昔からの知り合いの梅宮エミリーさんが最近(たぶん1ヵ月ぐらい前に)始めたばかりの、いわゆる女装スナック。長*さんとりのはこれまでにも何度か来たことがあるらしいが、銀河は初めて。遅ればせながら、エミリーさんに開店のお祝いのご挨拶をする。他にはお客さんがいなかったし、長*さんもウトウト眠り始めたので、りのと2人、ここでは性同一性障害(GID)(用語についてを参照)関連の話題で、ちょっとばかり重たい議論(ってほどでもないけど)をすることになった。
3時半頃、タクシーで銀河の自宅へ。長*さんはすぐにベッドに入ったので、りのと、今度は2人が知り合ってからの2年間のあれこれのできごとの裏話(「実はあのときこういうことを考えていたんだ」的なノリね)をする。りのは始発で自分の家に戻るはずだったのだけど、話し始めたらとまらなくなって、あっという間に7時。1時間ほど仮眠をとって、結局8時頃、帰っていった。

8月19日(土) 長*さんと一緒に、2日連続で夜遊び。
[日記]村田高美さん(新宿ゴールデン街にあるスナック「たかみ」のママ)が長*さんの誕生祝いをしてくれるというので、久々に「たかみ」へ(半年ぶりぐらいかな)。10時過ぎに到着。他の8月生まれのお客さん数人とシャンパンで乾杯して、ケーキをいただく。とはいえ、誕生祝いが終わると、長*さんも銀河もそのまま閉店時間(朝5時)まで、ただひたすら眠り続けるばかりだった(笑)。普通の男性(男性の姿をした男性という意味ね)だったらまだ許せるけど、女装した男性客があれこれとちょっかいを出してくる(脚や胸を触ってくる)のがイヤで、他の客に背中を向けて完全武装で眠る(苦笑)。

8月20日(日) 夜、窪田理恵子さんと。夜中にはまた、りのが泊まりに来た。
[日記]夜7時頃、窪田理恵子さんから電話がかかってきた。性同一性障害(GID)(用語についてを参照)をテーマに卒論を書こうとしている大学4年生のネイティヴの女性(Kさん)に協力して、インタビューと簡単な心理テスト(空間把握能力テスト)を受けた後、一緒にお茶を飲んでいるところだと言う。もうパジャマを着てくつろいでいたのだけれど、場所が銀河の自宅から歩いて10分以内のところだったので、急いで着替えて会いに行く。Kさんからは以前にメールをもらっていて、6月17日の「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しのときに1度お会いしていた。研究に協力することをお約束し、ちょうど明日(21日)、インタビューを受けることになっていたのだ。一方、理恵子さんとは、初めてお会いしてからちょうど1年が経ったことになる(1999年8月21日の日記を参照)。なんだか大昔からのお友達だったような錯覚にとらわれていたけれど、出会ってからようやく1年目。おふたりとは小1時間お話しをして、別れた。
11時半過ぎに、緑川りのちゃんから電話。今から銀河の家に泊まりに来たいというので、快諾。12時15分頃、りのが到着した。実は今日、アマチュア女装交際誌『くいーん』が主宰して年に1回おこなわれる全日本女装写真コンテスト(通称フォトコン)の発表と授賞式があり、りのが見事、大賞(第17代女王)を獲得。いろんな意味で先輩にあたる銀河に報告して一緒に喜びを分かち合いたいということだったのだ。りのが来ると上機嫌になる(笑)長*さんも交えて、乾杯。長*さんがベッドに入った後は、りのと出会ってからの2年間のあれこれを朝まで語り合った。21日(月)の午前中は仮眠をとって、3人でお昼をいただいてから、解散。りのにはプレゼント代わりにある品物を渡す。1年前からこの日が来たら(つまり、りのがフォトコンの大賞を取ったら)渡そうと思っていた品物だ(それが何かはここには書かないけど、銀河とりのが共通に持っているもので、どうしても2人分まとめてりのに所持していてほしいと思った品物だ)。この晩のことは、りののホームページひとこと日記の8月21日付けの文章も参照してください。


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