スペースの関係上、マザーグースの唄に関しての解説は省略しています。ご了承ください。また、他の用例や唄の解説に興味のある方は、ぜひ、拙本をご参照ください。
『ブレードランナー』 Blade Runnner (1982.US)12/3
近未来のLAを舞台にした『エイリアン』のリドリー・スコット監督のSF映画。遺伝子工学の研究員JFが、レプリカントのプリス(ダリル・ハンナ)を連れて帰ったときに、JFが作ったトイズたちが出迎える場面。(映画の中ごろ)
J.F.SEBASTIAN:Yoo-hoo! Home again!
TOYS:Home again, home again, Jiggety-jig.Good evening, J.F.
J.F.SEBASTIAN:Good evening, fellows. They are my friends. I made them.
JF:おーい、帰ったぞ!
トイズ:帰ってきた、ジギティジッグ!お帰り。JF。
JF:ただいま。みんな。トイズは僕の作った友達なんだ。
ひとこと解説!
To market, to market という唄です。
ローワン・アトキンソン扮するMr.ビーンの大騒動を描いたコメディ。イギリスからアメリカに来たビーンがまたまた大失敗をしてしまい、友人デビッドと酔っぱらって歌うシーン。(映画の中ごろ)
BEAN&DAVID:Row, row, row your boat, gently down the stream.
If you see a crocodile, don't forget to sceam. Ahhh! Splash, splash.
Row, row, row your boat, Gently down the stream.
If you see a crocodile, don't forget to sceam. Ahhh!
ビーン&デビッド:こげ、こげ、こげよ。ボートこげよ。もしワニを見つけたら、悲鳴をあげよう。パチャ、パチャ。こげ、こげ、こげよ。ボートこげよ。もしワニを見つけたら、悲鳴をあげよ。
ひとこと解説!
この唄は、マザーグースに入れていいかどうか迷う唄です。でも、マザーグースの絵本にときどき収められているので、今回、ご紹介することにしました。
『毒薬と老嬢』 Arsenic and Old Lace(1944.US) 11/21
ケイリー・グラント主演のコメディ・スリラー。映画の冒頭、グラント扮するモーティマーは、恋人エレーンと、婚姻の申請に市役所に行く。
ELAINE:That's a pendant I borrowed from my aunt. You know what say, Mortimer.Something borrowed. Something...
MORTIMER:Yeah. I know that for myself.Something borrowed. Something blue. Old and new.
エレーン:叔母さんに借りたペンダントよ。言い伝えを知ってるでしょ。「借りたものと...」
モーティマー:知ってるさ。「青いものと、古いものと、新しいもの」だろ?
(1998年11月6日BS11放映)
『ミッドナイト・スキャンダル』 Roses Are Dead (1993.US) 11/21
映画の冒頭。女優のスーザンが、撮影後、スタジオの外で待ちかまえるマスコミやファンの質問に答える場面。
MAN#1:This is her. Is it true you're dating with co-star?
SUSAN:No way. I'm saving myself for you.
MAN#2:What 'Roses Are Dead.?
SUSAN:'Violets Are Blood.' Sure. Bye, guys.
男1:彼女だ。共演者との噂は本当ですか?
スーザン:ウソよ。あなただけよ。
男2:『バラは死す』の続編は?
スーザン:『スミレは血塗られる』よ。ホントよ。じゃあね。
(1998年10月6日サンテレビ放映)
『北京の55日』 55 Days at Peking (1963.US)11/21
中国の義和団事件を描いた歴史ドラマ。映画の冒頭で、チャールストン・ヘストン扮する米軍少佐たちが登場する場面で、アメリカ軍のテーマソングともいえるYankee Doodle がBGMとして流れていた。
(1998年10月17日BS11放映)
『二重の罪』 Double Sin (1990.US) 11/15
ポワロ・シリーズ。映画の冒頭。事務所の鍵を開けたミス・レモンに、少年たちが「ガイに恵んで」と言う場面。ガイ・フォークス・ディになじみのない我々にもわかるように、テレビの吹き替えは、「ガイフォークス・ディは11月。まだ10月よ」となっていた。
BOY#1:A penny for Guy, Miss!
MISS LEMON:It's only the beginning of October.
BOY#2:Not for the season washed on you.
MISS LEMON:Where is theGuy, anyway?
少年1:ガイに恵んで下さい。
ミス・レモン:まだ10月なったばかりよ。
少年2:でも、その場になると、こみあっちゃうから。
ミス・レモン:ガイはどこにいるの?。
(1998年10月29日NHK総合放映のテレビ映画)
『セカンド・ベスト 父を探す旅』 Second Best (1994.US) 11/1
孤児院で暮らす少年ジェームズと、彼を引き取って育てようとするホルト(ウィリアム・ハート)との、二人の心の交流を描くヒューマン・ドラマ。(映画の中ごろ)
MOTHER:Round and round the garden like a teddy bear. One step, two step, tickle you under there!
母:クマさんみたいに、お庭をぐるぐる回って...。一歩、二歩、こちょこちょこちょ!
ひとこと解説!
有名な手遊び唄で、ウチの息子たちも、この遊びが大好きです。この映画では、幸せだった幼い頃を少年が思い出すシーンで、マザーグースが象徴的に用いられていました。引用の意図は、もちろん「郷愁」です。
(1998年10月13日サンテレビ放映)
『恋の闇・愛の光』 Restoration (1995.US/UK) 10/29
17世紀中頃のイギリスを舞台とした歴史ドラマ。ロバート・ダウニーJr扮する医師とキャサリン(メグ・ライアン)が、馬車でロンドンへ向かう場面である。
KATHRYN:Ride a cock-horse to Banbury Cross, To see a fine lady right on a white horse; With rings on her fingers and bells on her toes, And she shall have music wherever she goes.
ROBERT:You are at good temp now.
KATHRYN:Why shall I not be?
キャサリン:木馬に乗ってバンベリークロスへ。白馬のレディを見物に行こう。その指には指輪。かかとには鈴。レディが行くところすべて、美しい音色が響く。
ロバート:うれしいかい?
キャサリン:もちろんよ。
ひとこと解説!
映画の冒頭には、昔のロンドン橋も出てきます。また、『トム・ソーヤー』の項で書いたペスト禍も映画の中で描写されています。
イギリスの歴史のお勉強にも役立つ映画です。もちろん、メグ・ライアンのすてきな歌声も聞けますし。(^^)/~
『トム・ソーヤーの大冒険』 Tom And Huck (1995.US) 10/19
マーク・トゥエインの『トム・ソーヤーの冒険』を映画化したもの。映画の後半、トムたちが洞窟探検をする場面で、女の子たちが手をつないで輪になってこの唄を歌っていた。
塩谷さん(トム・ソーヤーのホームページ)からメールで教えていただいた用例です。ありがとうございました。
GIRLS:A-tishoo! A-tishoo! We all fall down. Let's do it again!Ring around the rosy, a pocket full of posy, A-tishoo! A-tishoo! We all fall down.
女の子たち:ハクション、ハクション。みんなで倒れましょ。もう一回やりましょう!ばらの花輪をつくりましょ。ポケットに花びらいっぱい。ハクション、ハクション。みんなで倒れましょ。
ひとこと解説!
アメリカではRing around the rosy ですが、イギリスでは Ring-a-ring o'roses と歌われます。子供が輪になって唄に合わせてスキップしながらぐるぐる回り、「はくしょん」のところでいっせいにしゃがみこむ、という遊びかたをします。
でも、この楽しい遊び唄には、恐ろしい意味合いが込められているという説があります。17世紀のロンドンで大流行したペストのことを歌ったものという説です。
ばら色の発疹はペストの兆候であり、ポケットの花はペストを防ぐための薬草、くしゃみは末期症状、そして最後には皆倒れて死んでしまったという解釈です。
『24羽のクロツグミ』 Four and Twenty Blackbirds (1989.UK) 10/16
アガサ・クリスティのミステリーを映画化したテレビ・シリーズ。月〜木曜の午後3時10分より放映中。このポワロ・シリーズでは、これ以外にも、マザーグースがたくさん引用されています。
クロツグミならぬ黒イチゴのデザートを食べたはずなのに、歯が黒くなっていなかったところから、トリックを見破ったポワロであった。Sing a song of sixpenceという唄からの引用です。(映画の中ごろ)
POIROT:Four and twenty blackbirds baked in a crumble.
HASTINGS:I think you meanpie, don't you?
ポワロ:24羽のクロツグミ、焼かれてクランブル・ケーキの中。
ヘイスティングス:「パイの中」では?
(1998年10月13日NHK総合放映のテレビ映画)
『ノーマ・ジーンとマリリン』 Norma Jean and Marilyn(1996.US)
マリリン・モンローの生涯を、本名のノーマ・ジーンと女優のマリリン・モンローの二つの人格に分けて二人が演じた人間ドラマ。モンローの少女時代、叔父のドックに遊んでもらう場面である。(映画の前半)
DOC:Come on, little lady. Let's ride.
This is the way the gentleman rides, gallop, gallop, gallop, gallop.
And this is the way the lady rides, trot, trot, trot, trot.
And this is the way the farmer rides, gallon-tilloy, gallon-tilloy...
Come on, honey. Give your old Doc a kiss. God. How pretty.
ドック:さあ、おいで。お嬢さん。乗馬だ。
これが紳士の乗り方。ギャロップ、ギャロップ。
これが女性の乗り方。速足、速足。
これが農夫の乗り方。ゆったり、ゆったり。
さあ、ドックおじさんにキスを。なんてかわいいんだ。
ひとこと解説!
子供をひざに乗せてゆらせる遊ばせ唄。小さい子供ならいいんだけれど、養父がモンローをひざに乗せているようすは、かなりアブナイ。これがもとで、モンローは、孤児院に預けられることになる。
『マザー・テレサ』 Mother Teresa (1997.US) (1998年9月15日NHK総合放映)
去年亡くなったマザー・テレサの生涯を描いたテレビ映画。
1946年、インドで、ロレット修道院のシスター・テレサ(ジェラルディン・チャップリン)は、貧しい人々のために修道院外での活動を開始する。以下は、路上で子供たちに英語を教える場面である。
子供たちに言葉を教えようと考えたとき、マザーグースが一番だと、マザー・テレサも考えたのであろう。(映画の中ごろ)
MOTHER TERESA:Lay them straight, Nine, ten, a big fat hen,
Eleven, twelve, dig and delve, Thirteen, fourteen, maids a-courting,
Fifteen, sixteen, maids in the kitchen, Seventeen, eighteen, maids in waiting. L,M,N,O...
MAN1:Why's she here? European woman. What does she want from us?
MAN2:She is teachig them about Christian God. She must convert them to her faith.
WOMAN:No. She is teaching them to read.
マザー・テレサ:まっすぐ並べて。9、10、太った大きなめんどり。
11、12、穴を掘って。13、14、むすめは恋愛中。
15、16、むすめは台所に。17、18、むすめはお給仕。L、M、N、O...。
男1:なぜ、白人女がここに?何が目的なんだ?
男2:キリスト教の神様について教えているのさ。子供たちを改宗させようとしているんだろうよ。
女:ちがうわ。字を教えてくれているのよ。
ひとこと解説!
One, two, buckle my shoe ではじまるマザーグース。数え唄で、子供たちに数を覚えさせるときに、この唄を使います。
ラフカディオ・ハーンも、日本で自分の子供に英語を教えるときに、この唄を使いました。
レインボウ The Rainbow (1989.英) 1998年9月9日BS11放映
D.H.ロレンスの作品を映画化したもの。ビクトリア朝時代、イギリスの田舎町に生まれ育った自由奔放な少女アシュラの青春を描いた作品。
映画の冒頭、幼いアシュラは虹を欲しがる。父はこのマザーグースを歌いながらパンに3色のジャムを塗って虹を描き、アシュラに渡す。Sing a song of sixpenceという唄からの引用です。
FATHER:When the pie was opened, the birds began to sing. And was not that a dainty dish...?
ASHLA: Stole it. Can't I have it?
父:パイをあけたら、鳥が歌い出した。なんてすてきなお料理...。
アシュラ:あの虹は取れないの?
『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲!!』 Batman & Robin (1997.US)
おなじみバットマンシリーズの第4作。アーノルド・シュワルツェネガーが悪役Mr.フリーズに扮している。3代目バットマンは『ER』で大ブレイクのジョージ・クルーニー。映画の最後で、妖艶な毒女ポイズン・アイビー(ユマ・サーマン)は、一人で花占いをしている。そこへフリーズは妻の復讐に現れる。なお、poison ivy はアメリカの植物「ツタウルシ」で、触れるとかぶれる。
POISON IVY:He loves me. He loves me not. He loves me. He loves me not. He loves me. He loves me not. He loves me.
Mr.FREEZE:...not. Surprise. I'm your new cellmate. And I have come to make your life a living hell.
ポイズン・アイビー:愛してる。愛してない。愛してる。愛してない。愛してる。愛してない。愛してる。
Mr.フリーズ:愛してない。驚いたか。おれはおまえの囚人仲間だ。おまえに生き地獄を味わわせにきた。
『ケーブルガイ』 The Cable Guy (1996.US)
コメディ・スターのジム・キャリーが不気味なサイコのストーカーを演じたスリラー映画。ひたすらスチーブンにつきまとうケーブルテレビ配線工のケーブルガイ(J・キャリー)。これは、ケーブルガイが、スチーブンの恋人のデート相手の男をレストランのトイレで襲う場面。ケーブルガイは、毛抜きで男の眉を引き抜きながら、She loves me, she loves me not. とつぶやく。(映画の中ごろ)
CABLE GUY:You're on a big date? You need to look your best.
That'll take care of the shine. Let's pluck those eyebrows!
She loves me, she loves me not. She loves me, she loves me not!
ケーブルガイ:大事なデートだろ?磨きをかけなきゃ。粉をはたいて、眉も整えなきゃ。
愛してる。愛してない。愛してる。愛してない!
シカゴのタブロイド紙の三流記者フランク(ウィリアム・ハート)、ヒューイ、新米女性記者ドロシー(アンディ・マクドウェル)の3人は、「天使が家に住み着いている」という投書をしたアイオワの読者の家を訪問する。現れたのは、風変わりな天使マイケル(ジョン・トラボルタ)だった。これは、訪問した夜、3人が寝る前の会話。(映画の前半)
HUEY:I'm gonna sleep.
FRANK:Good night. Don't let the bedbugs bite.
DOROTHY:That is a horrible expression.
FRANK:It is not an expression.
ヒューイ:寝るよ。
フランク:おやすみ。虫にかまれないようにな。
ドロシー:いやな言い回し。
フランク:そんなことないよ。
『キャスパー 誕生』 Casper : A Spirited Beginning (1997.US)
いつもブロックたちにいじめられていた心優しい少年クリスは、おばけのキャスパーと友達になる。これは、クリスが古い屋敷の一室に閉じこめられてしまう場面。(映画の後半)
BROCK:Opps. Looks like you're staying.
CHRIS:Let me out, Brock! Brock, let me out!
BOY:Sleep tight. Don't let the dead bugs bite.
ブロック:ここにいろよ。
クリス:出してくれ。ブロック!ブロック、出してくれったら。
男の子:よく眠るんだな。あの世の夢でも見て。