1.マザーグースの唄の分類
マザーグースの分類に関しては、さまざまな方法があります。ここでは、次のように10項目に分類しました。
唄の目的別分類で以下の7項目
子守唄・遊び唄・願掛け唄・占い唄・歳時唄・格言唄・なぞなぞ唄
上記7項目に分類できなかったものを、主題で以下の3項目に分類
人物・動物・天候、星
2.引用の仕方
映画の中での引用のされ方を次の5項目に分類しました。
「1部」 唄の一部しか引用されていない場合
「たくさん」 唄の大部分が引用されている場合
「もじり」 唄の文句を変えて引用されている場合
「タイトル」 映画のタイトルのみに引用されている場合
「中&タイトル」映画のタイトルと中身の両方で引用されている場合
3.引用相手
唄を誰に向かって言っているかによって、次の6項目に分類しました。引用相手がはっきりしない場合は誰が言っているかによって分類しました。
「赤ちゃん」 0才から1才くらいまでの赤ちゃん
「幼児」 2才から小学校低学年ぐらいまでの子供
「大人」 大人
「成人した子」親が成長した自分の子供に向かって言う場合
「タイトル」 映画のタイトルのみに引用されている場合
「アニメ」 アニメ映画の場合は、引用相手が動物など人間以外のことも多いので別に分類しました。
4.マザーグース引用の意図
映画の中でのマザーグース引用の意図は、次の8つに大別されます。どこに分類したらよいか迷うものもありましたが、引用場面を検討し分類するよう努めました。
1、愛情(いとしい者への愛情の発露)
子供を寝かせつけるときや幼い子供を目の前にしたときに、愛情をこめてマザーグースを歌ったりつぶやいたりします。唄の種類は、やはり子守唄が多いのですが、子守唄に限らず遊ばせ唄などさまざまな種類のものが子供を寝かせつけるときに歌われていることがわかります。
2、郷愁(幼年時代の象)
幸せだった幼年時代に母親から歌ってもらった唄。マザーグースが過ぎ去りし古き良き時代への郷愁を誘うものとして登場します。
3、からかい(からかい・嘲笑・冗談など)
マザーグースを子供っぽいものとしてとらえ、唄を引用することによって冗談を言ったり相手をからかったりします。唄の種類としては人物唄が比較的多く用いられています。
4、恐怖感
ホラー映画・ミステリー映画などで、恐怖感を増すためにマザーグースが引用されることがあります。マザーグースには、不可解な唄や不気味で残酷な唄が数多く含まれます。そういった不気味なイメージを利用する作家も多く、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』などが例としてあげられます。唄の種類としては数え唄が比較的多く用いられています。
5、状況説明(映画の内容やその場の状況を説明)
映画のタイトルに引用されたマザーグースが、その映画の内容を端的にあらわしていることがあります。また、登場人物がその場の状況や自分の感情を唄の一節を使って説明することもよくあります。これらはマザーグースを意図的に引用した例です。
6、決まり文句
マザーグースとしてより、むしろ決まり文句として引用されることがあります。これらはマザーグースが無意識に引用された例です。格言や占い唄、願掛け唄などがこれに含まれます。
7、学習
英語習得の目的で、非英語圏の人がマザーグースを歌ったり、訛をなおすために唄で練習したり、替え唄を暗記の手助けにすることがあります。
8、単なる歌・BGM
単なる歌・BGM・挿入歌として引用です。強い引用の意図が感じられず、上記1から7のどこにもあてはまらなかったものをここに分類しました。