ブログ

2024/01/23 毎週何か書こうと思いながら、年が明けさらに3週間も過ぎてしまった。科研費も今年いっぱいで終了なので、まとめる時期ではあるが、3月末の学会準備(実験も含めて)もあり、やることがたくさんある。さらに査読依頼がポツポツときて、これは自分がやらなくては、と決意するものの時間が経過すると段々と重荷になり、多忙な中でやる羽目になる。今も、卵―幼虫寄生蜂の査読があり、自分が長年飼ってきたハマキコウラのことを考えると、是非読んでみてコメントを、と思っている。今ちょうど数年前にハマキコウラで博士の学位を取得したDaoさんが短期滞在で来ていて、今日数名で会食をすることになっている。修了後何度か来日していて、ちょこちょことは実験するのだが、論文作成までは至らず、中途半端になっている。それも彼女がいる間に何とか進めたいと思っている。等と考えていると、この3月までの予定はぎっしりである。土日も大学に来て虫の世話をしなくてはならない。今は、パートさんが飼育を担当してくれているので何とかなるが、それ以外の作業も何かと忙しい。4月以降は全くの未定である。今申請中の科研費が採択になれば、4月以降も居られるだろうが、こればかりは何とも言えない。4月以降にここに書き込むとすれば、その報告をまず書きたいと思う。

2023/09/05 しばらくぶりに植物用インキュベータを覗いてみると、15本くらいある蛍光管の5本くらいが切れていて、内部が暗く感じる。誰かに任せておくと切れた蛍光管の交換などは後回しになる。早速、植物育成用の蛍光管に取り替えて明るくなった。グロー球も必要に応じて新しくした。このインキュベータ、もう、購入して20年くらい経過しているので、蛍光管のソケット部分が劣化して、無理に回そうとすると、パリンと割れてしまう。接着剤で固定しないと。肝心のコンプレッサー部分はまだ元気であるので、あと10年くらいは持ってほしい。最近のインキュベータだとLEDが使われているので、消耗品の交換などはほとんど無くなるだろう。古いものは、空冷部分のフィルターであるとか、蛍光管の交換であるとか、メンテナンスをしながら使っていると愛着が湧いてきてとことん使ってやりたい気がする。40W蛍光灯が20本として800W、全体では消費電力は軽く1KWを超えているだろう。今や電気代の高騰で、大学の出費も大変らしいので、本数を減らして運転すべきところであろう。

2023/08/31 今週の火曜日には、今までの懸案であった風洞室の空調装置(エアコン)が新しくなった。古い物は、25年間も使い続けて、この夏も正常に動いていた。大したものである。室内機も室外機も結構さびていて、循環している冷媒も圧力が上限ぎりぎりらしく、業者の方からはいつ壊れてもおかしくないと言われていた。この建屋には、空調機が5台ほど入っており、この3年ほどで4台までが新しくなった。風洞実験のメリットは、外気温に左右されず、飛翔行動が観察できることで、今までは、性フェロモンの生物検定、植物揮発性成分(HIPV)の生物検定などに用いてきた。直径30cmの円筒形の風洞では、30cm/秒の風速で実験するとして、1分間に1200リットルの風が出ていくわけで、かなりのパワーで冷却(または暖房)しなくてはならない。今年の夏のように、外気温が35℃であるとか、真冬の零下の時でも25℃で実験が出来るのが理想であるので、それなりの設備が必要である。

2023/08/15 「研究内容」の(5)にある、断面50x50cm,長さ1.5mの風洞は、2007年に当時、埼玉県園試に居られた根本久氏の研究プロジェクト(コンパニオンプランツ)予算で完成したものである。これまで、当研究室のいくつかのプロジェクトに貢献したもので、最近では「チャノコカクモンハマキの定位行動における視覚刺激の役割」というテーマで宮本君(現在、東京海洋大助教)が実験成果を出し学位を取得した。主な特徴は、部屋の空気を活性炭フィルターで清浄化してから流していること、風速は10~50cm/secの可変である。冬場の低湿度条件でも、大型の加湿器を備えているので、真冬の実験も可能である。気流の安定性であるが、整流を作るためにいくつかの工夫をしている。もし関心のある方、これから風洞装置を作ろうという方は、是非見に来て頂きたい。設置する部屋や施設の空調機を利用した風の流れを作らなくてはならないので、ケースバイケースで流路を考えなくてはならない。我々の現在の風洞が出来る前は、活性炭フィルターも無く、そのまま部屋の空気を風洞に導入し、換気扇で外に出していたが、隣のマウス飼育室の排気も同様に換気扇で排気していた。排気する場所が、学内の比較的人通りのある場所だったので、臭気が問題になり、換気扇を使って排気しないように大学から指示があった。隣にあった我々の換気扇もその余波を受けて、換気扇を閉じた。仕方なく、空調システムの排気口に風洞の出口を取り付け、バルブによって風量調節が出来るようにした。このシステムがちょうど我々の希望の風速等に合っていたので、これを長く利用している。INTECH出版の’Wind tunnels and experimental fluid dynamics research'にも書かせてもらった内容以外にも、いくつかのノーハウがあるので、関心のある人は相談に来ていただきたい。ちなみに、今まで見た中で一番優れたな風洞(もちろん昆虫実験用に限る)と言えば、ドイツのマックスプランク研究所の化学生態学グループのもつ風洞であろう。確か、真冬でも1m/secの風速で実験が可能だとか説明されていたように思う。もちろん、研究テーマありきで、テーマも一流である。

2023/03/24 今日は筑波大学の卒業式の日である。この3年間、オンラインの授業を余儀なくされ、サークル活動も自由に出来なくなり、大変な学生生活を送った学生諸君も多かったと思う。しかし、この日を迎えて、色々人生について、社会について、考えてきたことを今後の糧にして、生きていってほしいと思う。
 私はと言えば、3月13日から15日まで、大阪の摂南大学にて日本応用動物昆虫学会の大会が行われ、それに参加した。大会が対面で行われたのは、2019年3月に行われた筑波大学大会以来である。応動昆大会となれば、1年に一度だけ会う人も居れば、しばらくぶりに会う人も居て、懇親会は大盛り上がりであるが、今回は懇親会は無しである。それにしても、ポスター会場は学生諸君や一般会員であふれて、いつもの学会らしい雰囲気を味わうことができた。私も30年以上のブランクがあるが、口頭発表を行った。その昔、日東電気工業にいたころの風洞実験条件の続きを実験して発表したものである。それまでは、チャノコカクモンハマキという蛾でどの程度の風速に耐えてオス蛾が性フェロモンに飛んでいくかは分からなかった。今回の実験で200cm/sec位の風速では定位飛翔が可能であることがわかった。250cm/secでは、オス蛾が飛べないで歩きながら風上に行くことが観察された。最も、よく定位飛翔する(風上の水盤トラップによく取れる)のは、10~50cm/secの風速であることもわかった。一般には30cm/secの風速がよく使われているが、これはどの種にも共通する飛びやすいスピードなのであろう。私の発表後に、若手の人から質問があった。それは、風速を測定したのはどこで測定したか?というものである。彼の風洞では、測る場所によって風速が異なるという。私の風洞は吸い込み式なので、吸い込み口はオープンにしている。つまり、部屋の空気を自由に吸い込む方式である。これだと、風圧は変化せず、どこで測ろうが一定の風速である。質問者の風洞は、風上と風下の両方にファンを取り付けて、双方の風圧を調節しながら風速を設定しているのである。ちょうどこの私のウェブサイトの研究内容を見ていただくと、それと同じ方式の風洞が見られると思う。このことが質問されたときに想像できたので、私の場合は1カ所の測定で十分であることを伝えた。もし、あのときの質問者がこのブログを見てくれた場合には、風上と風下の両方にファンがあるときにはどう調節するかで説明を加えたいので、ご一報願いたいが、難しいだろうか。この20年間は風洞と4-arm olfactometetrを使い続けたので、色々残しておきたいノーハウがあるので、少しずつこのブログにも書いていきたい。英語で、風洞の総説(2011)を書いたことがあるが、細かいことは書かなかったので付け加えたいことも多い。

2022.09.22 今日で留学生のD君も修了だ。3年間、ほぼコロナ禍の中でよく頑張った。関係の皆さん、ご苦労さまでした。

2022.09.21 9月に入ってウェブサイトを少し新しくした。応用動物昆虫研究室からも組織的には離れることになり、ラボ名も新たにした。ラボといっても研究室の形態を取っているでもなく、プロジェクト研究を行うグループの集合をラボとしたわけである。このラボがいつまで続くかわからないが、研究活動が許される限り続けたいものである。