世界がひっくり返るその時ボクは...〜Glacier紀行 2001夏・後編(2)
【9/10-9/11/2001】 Flattop Mtn. Trail, Northern Highline Trail
【9/10-9/11/2001】 Flattop Mtn. Trail, Northern Highline Trail
Day-10 (9/10) : Flattop Mtn. Trail、晴のち曇
〜久々のバックパック、 重っ〜
2日間ではあったものの、 たっぷり Waterton を堪能し、 そしてまた Montana 側 Glacier National Park に戻ってきた。 予定では稼働日は残り4日である。 が、 当面歩きたいトレイルは実は5つ。 Two Medicine の Dawson-Pitarmakan Loop、 Northern Highline、 Sperry Glacier、 Siyeh Pass Loop、 そして The Loop より Swiftcurrent Lookout Trail。 どうしようか? うち、 Northern Highline Trail は往復に2日は必要だ。 朝、 Rising Sun よりほど近い St. Mary Visitor Center にて、 折り返しポイントとなる Fifty Mtn. Campsite の予約が取れるか訊いてみたら、 「今晩なら1サイト空いているけどどうする?」 ...マジ? ここは Northern Highline、 Waterton Valley をはじめとするロングルートの分岐要衝となるキャンプサイト、 の割にはキャパが小さく、 シーズン中はなかなか予約が取りにくい。 ので、 その場ですぐ予約を入れてもらい、 急いで GTTSを登り Logan Pass を抜け、 トレイルの基点となる The Loop へと向かう。
バタバタと準備をするも、 結局歩き始めたのは正午。 しかし二日共同じ Northern Highline Trail を往復するのもつまらないので、 せっかくなので行きは Flattop Mtn. Trail という、 マイナーなルートを歩いてみることに。
今日はオーバーナイトハイクなもんでバックパックが重い。 テントから炊飯道具からフルで背負って歩く。 前半、 静かな森の中をゆる〜く下り、 吊り橋を渡る。 美しい清流。 が、 そのあたりから急激に登りがキツくなり、 休み休み歩いていると、 前方から荷物を載せた馬のキャラバンが。 そしていきなり先導のおっちゃんに「バカヤロー、どけっ!」と怒鳴られる。 なんでやねん!!。 ちゃんと谷側によけてたやんけ。 気ぃ悪いわ。
そこから一気に2000ft.(600m)ほど登ると(んー、600mかぁ、けっこうあるわこりゃ)、 読んで字の如く Flattop Mtn. の平らな部分に出る。 が、 高山帯に出ることはなく基本的には森の中なので、 さほど景色が広がるわけでもなく、 淡々と歩くだけである。 特徴があるとすれば、 山火事の跡であろう。 黒く焼け焦げ立ち枯れた森が続く。 けっこう生々しいところを見ると、 そんなに昔のものではなさそうだ。 大自然のダイナミクスの中に身を置いている自分。
んーしかし、 総括すると、 ここはあんまり面白いトレイルではないなぁ。 これなら往復 Northern Highline Trail 歩いとくんだったかなぁ(だけどそれはそれで距離長いし登りがツラいし大変だ)... 最後に Fifty Mtn. Campsite に出るまで、 一度 Flattop Mtn. を下ってしまい、 また少し登るのも、 久々に肩にくい込むバックパックを背負う今日の自分にはちょっとツラい。
- ハイク本日分:10.8mi 計:82.2mi(131.5km)/10days
Day-11 (9/11) : Northern Highline Trail、霧→曇のち晴
〜世界がひっくり返るその時ボクは...〜
Fifty Mtn. Campsite での夜中。 9月に入り冷え込み始めたここロッキーの山奥、 すぐ東側に連なる Garden Wall〜大分水嶺〜から冷たい風が吹き降ろし、 けっこう寒い。 テントは風に揺られ、 不安な夜が続くが、 まぁバックカントリーキャンプなどはいつもこんなもんだ。
明けて朝7時過ぎ。 同じサイトで夜を過ごしたもう一組のアメリカ人夫婦と一緒に朝食を摂りながら談笑。 話題といえばどのルートを歩いてきた、 とか、 一昨日の夕方キャンプサイトすぐそばまで熊が来た、 とか、 そんな他愛ない話。 一つ盛り上がったのは、 ロングランを記録したIMAXドキュメンタリー映画 "Everest" に主演していた世界的クライマーである、 Ed Viestures にレーニエ山(ワシントン州)登山をガイドしてもらったことがあるけどやっぱりあの人は常人とは違うわ、 とか、 ボク(←ハイ、自分のことね)はその時1996年5月のエヴェレスト大量遭難をルポした John Krakauer氏の "Into Thin Air (邦題「空へ」)" が大好きでねぇ〜、 何回も読み直してるよ、 とか、 えー、 あの本日本語版出てるの? とか、 出てるよ、 でも英語原本のペーパーバックも持ってるよ、 とか、 まぁそんな類いの話題。ちょっと山歩きストっぽい? そして、 今日は熊は大丈夫かなぁ、 とかね。
...この時間帯(時差が2時間あるので)、 東海岸では、 歴史を変えるかの大事件の発生により世界中のニュースがひっくり返っていたことなど、 のどかで凛とした山奥の朝の空気に包まれた簡素なキャンプサイトで温かいコーヒーやら味噌汁やら飲んでた我々には知るよしもない。 本当に同じ国にいたのか? と思うほど隔離された環境だったが、 数日後、 思わぬ余波を受けることになろうとは、 この時点では知ろうはずもない(詳しくはEpilogueにて)。 今の我々にとっては、 テロの発生より、 本日の天候や、 熊の出没の方が遥かに大きな関心事なのである。
朝方寄り道した、 Garden Wall の上から裏側を仰ぎ見るはずだった Sue Lake Overlook は、 残念ながら真っ白な雲の中で何も見えなかった。 午前中のうちは、 ルートの大半が霧の中であまり景色が冴えない。 結局、 途中もう一つある Overlook である Ahern Pass への寄り道も、 雲に隠れていたのでやめることにした。
しかし次第に雲も晴れてきて、 ゴージャスな壁沿いルートの景色がひらけてくる。 ちょうど Garden Wall から雲が滝のように流れ落ちるような風景も。 距離はそこそこあるが、 高低差はさほどない。 壁伝いにほと走る沢で一旦荷を降ろし、 頭と顔を洗う。 気持ちイイっ!!
そうこうするウチに、 Grantie Park が視界に飛び来んできた。 Chalet と、 その奥には Many Glacier からの風景でお馴染みの Mt. Gould まで見渡せる。 実はカメラのフィルムがもうほとんどなく、 あまり沢山写真を撮れなかったのがちょっと残念。
Grantie Park に着いた時、 時刻は午後2時をまわっていた。 車を駐めてある The Loop まで下るとおそらく 4時手前くらいか。 ここから Swiftcurrent Lookout に登って降りてくる、 というオプションもちょっと考えていたが、 時間もビミョーだし、 なにしろバックパックが重いのでもう疲れた。
Northern Highline Trail、 天気の良い花の季節にもう一度じっくり歩きたいな。 昨日の Flattop Mtn. Trail は、 まぁ、 んー、 もういいや (^^;。
そして夜は、 今度は Two Medicine Campground へ車を走らせる。 節操のない旅程??
- ハイク本日分:16.5mi 計:98.7mi(157.9km)/11days