一歳迄の発達 C 四ヶ月までの発達
4ケ月の頃には、肘支持が更にしっかりしてきて一側に重心を移し、前方にある玩具に手を伸ばせるようになります。
この頃から寝返ることができるようになります。
運動発達研究者は仰向けからうつ伏せへの寝返りの条件として、*からだの正中線を越えて手をのばしていく *両下肢を左右対称性に屈曲して腹部にひきつけられている *重心の肩方向への移動 *骨盤の後傾(背部がわずかに浮いた状態)の四条件をあげています。
“寝返る” ということは、赤ちやんがはじめて独りで自分の体位がかえられるという画期的なことです。 寝返ることで目に入った対象物などを追って360度の範囲内を自在に見ることができるようになり、「外界の刺激を面として受け止める」 ことと繋がります。
3ケ月頃の肘支持は保護者がうつ伏せにさせての経験でした。 体位の転換が “させられてする” から “独りでできる” ようになったことで、赤ちやんの表情はさらに活き活きとしてきます。
“もっと見たい” という視覚からの欲求に応えてくれるのがこの時期までに獲得できた肘支持と自分の意志で可能となった寝返りです。 この時期に抗重力機能と、動くものに身体を回旋させながら追視する機能が統合されてくると “形” がより見えやすくなります。 このような肘支持から寝返りの過程が “形” を見る能力を高める土台となっているのです。
運動発達の原則から考えると、頭から下半身 (尾側) へ進む成熟は胸部を超えて腰部に達しています。 寝返りを自身で試してください。 肩を反対側移動させて寝返る時には、胸部→腹部→腰部 へと回転部位が移動します。 逆に臀部から寝返りをする時には、腰部→腹部→胸部 へと回転部位が移動します。 この実験から、胸部・腹部・腰部が別々に回転運動が必要と判るでしょう。 乳児も各部位での個別の回転が出来る時期に寝返りが可能となります。
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