一歳迄の発達 E 7 〜9ヶ月までの発達  

七〜九ヶ月頃

 7〜9ケ月頃になると、運動発達の原則にも説明されるように成熟は腰部から下肢にすすみ、肩甲部 (両肩の周囲筋群) と骨盤部で( 骨盤の周囲筋群) 上半身を持ち上げて前方へ移動する “四つ這い” が可能となります。

 運動発達研究者は調和のとれた四つ這い (正常な四つ這い) について 「四肢に交互に同じ割合で負荷がかかっている・手掌支持・体幹が側方に振られない・足を前に進めるとき足関節の軸に一致して軽く底屈している」 と述べています。この調和のとれた四つ這いが手の機能の発達におおきく関与してくるようです。 四肢に交互に同じ割合で負荷がかかる時、肩周囲の筋群も含めて親指側全体の筋群がはたらいています。

 四つ這い姿勢から後方に後ずさりするように、骨盤部が後方に落ちて斜めすわりからなげだし座り(長座位) へ、即ち a→b→c のような独りでのお座りが可能になります。 この座位こそが自発的に出来たお座りで、発達の原則に従い身体がお座りに必要な条件を満たした時です。 これ以前に保護者がお座りを強制すると、体の各所にストレスを来します。

 この姿勢では両手をフル活用して遊ぶことが可能となります。 両手が自由になり、おもちやを両手に持って打ちつけるなどの遊びが可能になります。

 この頃は細かいものを見つけると、示指を伸ばして摘み上げています。 このような筋群の働きが指の先端を使った “つまむ運動” へと繋がります。  

 四つ這いでは重心が移動するたびに親指側で大地をしっかりつかもうとする手のなかの筋群が働いています。この過程のなかで、物をつかむときに作用する筋群の働きが成熟します。

 この時期になると、周囲のいろんなもの (テーブルの上の食器など、引き出しの中身、電気のコードなど) に手をのばしてひっぱりだすような遊びが活発になってきます。 まず利き手でつかみ、次いで反対の手でつかみます。 更にもう一つ見つけると利き手のものが離れて、利き手でさっとつかむというように “外界との結び目がふたつ” になってくるようです。

a→d→e と進むとつかまり立ちの獲得となります。 お座りの獲得に少し遅れて可能となります。 四つ這い姿勢が保持できるようになった乳児がつかまり立ちに使用する道具に近づく移動が四つ這いです。  

 このように四つ這い、独りで座る、つかまり立ちが出来る頃には活動の範囲が更に拡がり、テレビや新聞紙やボールペンなどが目に入ると、対象物に向かってまっしぐらにつき進んで両手で遊んでいます。

 そして大人にとってますます日の離せない状態になっていくのもこの頃です。

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