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アフリカポレポレ
岩合日出子
朝日新聞社/1985年刊行
新潮文庫/1990年刊行
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動物写真家である岩合光昭氏の夫人の日出子さんが、アフリカのセレンゲティでの1年半の生活を飾らない言葉で綴った滞在記。このような土地で家庭を守る苦労は並大抵のことではないでしょうが、「ポレポレ(スワヒリ語でゆっくりの意味)」と乗り越えて行く姿に女性の逞しさを感じます。でも、この本の魅力は4才の薫ちゃんの語る言葉です。ヌーがハイエナに襲われる場面を見て「ハイエナってえらいね。一生懸命食べる。丈夫な体をつくるんだね」と言う。自然界では弱者と強者はあっても善と悪ではなく、強者といえど生きていくのに精一杯ということを安っぽい感傷なしに理解しているのでしょう。ペットや動物園の動物しか知らない子供には言えない言葉です。
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