ホロデッキのホームズ関係の調子が悪いとの報告を受け、バークレーは修理をはじめた。とりあえずホームズ関係のプログラムを消去したが、コンピューターは「補助メモリーの中にプログラムが残っています」と報告する。バークレーがそのプログラムの再生を命じると、黒いマントに身を包んだ初老の男が現れ、ジェームス・モリアーティ教授と名乗った。そして「ピカードはまだ艦長か?」と質問する。バークレーが驚いていると、教授は「私は自分がホロ映像だということを知っている」と言い出した。そしてピカードがまだホロデッキから外に出られるような対策を見つけていないと聞いたモリアーティは「ピカードめ」と怒り出し、ピカードに会わせろと要求した。バークレーはメモリーチップを引き抜き、モリアーティの姿が消えるのを確認してから、ホロデッキから出ていった。だがその直後、モリアーティは自分の意志でホロデッキに出現した。
エンタープライズはデトリアン星系に到着、二つのガス状の惑星の衝突を観測になっていた。機関部ではジョーディとデイタが観測の準備を部下に指示している。そこへバークレーがやってきて、ホロデッキでの出来事を説明した。
ピカード、デイタ、バークレーの三人はホロデッキに向かった。ホロデッキの中にはあのモリアーティの部屋が再現されていた。モリアーティが再生され、ピカードは「また会えて良かった」と報告し、「ホロデッキから出る方法は、まだ見つかっていない」と打ち明けた。そして、疑うモリアーティの目の前で本を一冊ホロデッキの外へ放り出した。やはり一瞬で消えてしまう。モリアーティは「生きて精神があるなら外に出ても消えない筈だ」と言い、ホロデッキの外に踏み出した。消えない。モリアーティは「我想う、ゆえに我あり、だ」と勝ち凝ったように拳を振り上げた。
ピカードは医療部にモリアーティを連れていった。ビバリーは人間とほぼ変わらないという。教授は「新しい世界を探索したい。甲板に出られるかな?」と言い出す。ピカードは「打ち明けなければならない」といい、彼をテンフォワードに連れていった。宇宙にいることを知った教授は目を輝かせる。ピカードが「この世界では犯罪を犯すな」と釘をさすと、教授は「私は本の中のような犯罪者ではない」と約束する。そして「急に世界が広がり、淋しくなった。レジーナをホロデッキから出してくれ」とピカードに頼む。レジーナというのは以前デイタが作り出したプログラムの中の女性のことだ。ピカードは「君が外に出られたこと自体が奇跡なんだぞ」とたしなめる。教授が「私の時のように"デイタに負けないような敵を作りだせ"とホロデッキに命じればいいじゃないか」と抗議すると、ピカードは「私たちは偶然にも君という生命体を作り出してしまった。これ以上、新たな生命体をつくることなど倫理的にも許されることではない」と言い返す。
観察ラウンジではピカードたちが対策を話し合っている。確かに教授に対する責任はあるが、教授の実体はっきりしない以上、新たな生命体を作り出すのは危険だという結論にいたった。ピカードはモリアーティの部屋に行き、結論を伝えた。すると教授は「自分で何とかするしかなさそうだな」と言い出す。ピカードは「早まった行動で彼女を失いたくはないだろう」とたしなめた。
エンタープライズはガス状の惑星に接近した。ピカードは探査機を発射するよう命じたが、計器が反応しない。ブリッジ内の照明も点滅しはじめ、艦の機能がおかしくなりはじめた。何者かがコマンド経路を変更したらしい。ピカードは命令体系をブリッジに戻そうとするが、コンピューターに承認コードが認識されない。ピカードが「誰が私のコマンド・コードを無効にしたのだ?」とつぶやくと、後ろの方から「私だ」と声がした。声の主はモリアーティで「今後、艦の指揮は私が執る」と宣言した。
ピカードが「もし安全な場所に避難しなければ、惑星の爆発に巻き込まれてしまう」と警告すると、教授は「私はホログラム映像だからな」と答えた。ピカードはデイタたちにレジーナを外に出す方法を探れと命じ、教授とともに作戦室にさがった。
機関部でデイタたちが話し合っている。転送機を使えばもしかしたら可能かもしれない。バークレーがホロデッキへ行くと、レジーナが登場するプログラムがすでに進行中だった。バークレーが転送パターン安定装置を設置する作業をはじめると、レジーナは嬉しそうに「外の世界に行けるのね」と言う。彼女の様子を見ていたバークレーが「あなたがただのホログラムとは思えないな」と言うと、別の部屋から教授が現れ、「実際違うのだ」と答えた。教授は彼女に意識を与えたという。まずは椅子で実験が開始された。が、うまくいかない。転送室のデイタが機械の出力を上げ、もう一度、転送させると部屋から椅子が消えた。レジーナとバークレーは大喜び。だが転送室に椅子は現れなかった。デイタは今の転送記録を分析する。だが何かが転送された痕跡は記録されていなかった。「幻のようだ。妙だな。」と言い、デイタは転送室から出ていった。
機関部。ジョーディはコンピューターを操作し、ピカードの承認コードは認識された。だがコマンド経路は依然として切断されたままだ。ジョーディたちが不思議がっていると、デイタが現れ、何かの機械をジョーディになげ渡した。デイタは教授が外に出られたからくりがわかったという。教授はピカードたちに幻を見せている。つまりピカードたちはホロデッキの中にいるのだ、とデイタは説明する。
「右利きのジョーディが左手で作業をしていた。これは以前にも故障中のホロッデッキで観測された現象だ」とデイタ。ここにいるジョーディもホロ映像のようだ。デイタは胸についていたコミュニケーターをワープ・エンジンに向かって放り投げた。コミュニケーターは何かにぶつかって跳ね返り、その辺りの景色が一瞬乱れた。外部への通信も閉鎖されているようだ。本物はピカード、デイタ、そしてバークレーだ。初めてモリアーティに会いに来た時から三人はずっとホロデッキに閉じ込められていたのだ。「教授はさっきコンピューターに告げた承認コードを使い、エンタープライズをコントロールし、ライカーに外に出る方法を探させるつもりだ」とピカードは言う。あと三時間で惑星は爆発する。それまでになんとか教授を満足させるか、欺くしかなさそうだ。
ブリッジでは本物のライカーと教授がビューワーを通じて話している。彼はやはり艦のコントロールを支配し、そしてピカードたちの行った実験を実際に行うよう命じた。
ピカードはレジーナに会いにいった。ピカードは丁重に挨拶し、彼女の本当の気持ちを質問した。彼女が「心から出たいと思っている」と答えると、ピカードは新たに転送する方法を見つけたと打ち明けた。そして取り引きを持ち掛ける。それは、二人を外に転送する代わりにエンタープライズのコントロールを返してくれ、というものだ。彼女は「取り引きというより脅迫ね」と言いながらも、教授に頼んでくれると約束した。
エンタープライズは次第に惑星へ引き寄せられていく。ウォーフたち保安部員ははホロデッキの前にはられたフォース・フィールドを解除する作業を急ぐ。
レジーナは教授にピカードの提示した条件を話した。だが教授は首を横に振り、アーチ(ホロデッキの出口)を呼び出すとライカーに通信を入れた。そして転送機のハイゼンバーグ補正器の分離を行うよう命じた。
教授とレジーナが出掛ける身支度をしている。ライカーから準備が完了したと連絡が入り、二人は転送パターン安定機に囲まれたスペースに入った。
二人は転送室に現れた。「ようこそ、当艦へ」とライカーは言う。二人は大喜びだ。ライカーは指揮権の返還を要求するが、教授は「まだ返すことは出来ない」と断る。教授は新たな条件として逃亡のためのシャトルを要求した。
シャトルベイ。ライカーは二人に別れを告げた。教授とレジーナはシャトルに乗り込み、エンタープライズから離れていった。二人は初めての宇宙に息を呑む。教授はエンタープライズのコマンド経路を返還した。レジーナは「地球に戻れるの?」と尋ねる。教授は「ああ、きっと戻れるよ」と優しく答えた。
シャトルベイにピカードが現れた。彼がプログラムの停止を命じるとライカーたちは消え、ホロデッキの格子状の壁が現れた。ピカードが外に出るとデイタとバークレーが待っていた。ピカードが「モリアーティのホロデッキ・プログラムを停止しろ」とコンピューターに命じると、すべての映像は消えてしまった。ブリッジに通信を入れるとライカーが応答してきた。ピカードたちはホロデッキから出ていった。一人残ったバークレーは操作パネルからメモリ・キューブを抜き取った。
観察ラウンジ。ピカードたちが解決法を説明している。モリアーティの作り出した映像の中にさらにホロ映像を作り出し、教授をだましたのだった。そして教授はメモリバンクの中で何も知らないまま生き続けるだろう。「ある意味では教授の願いはかなったのね」とディアナは言う。ピカードは肯き、「もしかしたら我々も誰かの手の上で躍らされているのかもしれないな」といった。皆が出ていった後、メモリーキューブを抱いたバークレーは不安そうに辺りを見廻し「プログラム終了」と命令する。何も起こらないことを確認したバークレーはほっとした顔で観察ラウンジを後にした。